二人のビーストテイマー   作:ほにゃー

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やってしまった。

後悔してはいない。


第19話 告白

「ここで次のスキャンを回避しよう」

 

あの後、俺たちは砂漠エリアにある洞窟に身を隠し、スキャンをやり過ごすことになった。

 

「そう言えば、どうしてザ……死銃はスキャンに映らず、そして、川も潜らないでシノンに接近出来たんだ?」

 

「メタマテリアル光歪曲迷彩よ。一部の大型ネームドMobが持つ能力。そう言った効果を持った装備があってもおかしくない」

 

なるほど。

 

だったら、この場所は大丈夫だな。

 

下は荒い砂だがら足音が分かるし、足跡も残る。

 

音に注意してれば大丈夫だな。

 

「ねぇ、あの爆発であいつらが死んだって可能性は?」

 

「多分無いです。爆発に巻き込まれる直前にロボットホースとバイクから飛び降りるのが見えましたし」

 

レインが首に治療キットを押し当てて応える。

 

無傷ではないと思うが、死んでは無いだろう。

 

レインとキリトは入口を警戒してくると言って俺とシノンをその場に放置して、向かった。

 

あいつらなら、見つかるなんてへまはしないだろう。

 

「ねぇ、どうしてあの時、早く私の下に来れたの?」

 

「ああ、銃士Xが死銃じゃないって分かったからだよ」

 

「どうして?」

 

「女だったんだ。キリトみたいなM9000番系じゃない本物の女性だ。そこで、俺たちは何か見落としていたと分かって、堂々と自己紹介してる銃士Xを尽きのラッシュを叩き込んで倒した。そして、南側を見たら、倒れてるシノンと近づく死銃を見かけて、銃士Xからスモークグレネードを拝借して、助けに行ったってわけだ」

 

「そう」

 

そこから互いに無言になり、暫くすると俺は立ち上がった。

 

「俺たちは行く。シノンはもう少しここで休んでろ」

 

「え……アイツらと戦うの?」

 

「ああ、彼奴の銃や、装備、ステータス以上に奴自身の力が突き抜けてる。さっき逃げ切れたのも半分奇跡だ。これ以上、お前を付き合わせるわけにはいかない」

 

「……アヤメでも、あいつが怖いの?」

 

「怖いさ。昔の俺なら、躊躇なく戦えたかもしれないが、今は守りたいものが現実にも仮想にもあるから死ねない、死にたくない」

 

耐久値の減った銃剣を取り外し、新しい銃剣を付ける。

 

「私、逃げない」

 

「え?」

 

「逃げない。隠れてない。私も外に出て戦う」

 

「ダメだ。あいつに撃たれれば本当に死ぬかもしれないんだ。俺たちは近接戦闘タイプで、防御スキルも色々ある。だが、シノンは違う。姿を消せる死銃に零距離から不意打ちされたら危険は俺たちの比じゃない」

 

「死んでも構わない。………さっき、凄く怖かった。死ぬのが恐ろしかった。五年前の私より弱くなっていて、情けなくて、悲鳴を上げて………。でも、それじゃあ駄目なの。そんな私のまま生き続けるなら死んだ方がいい」

 

「怖いのは当たり前だ。死ぬのが怖くない奴なんていない」

 

「もう、怯えて生きるのは疲れた。別に付き合ってくれなんて言わない。一人でも戦える」

 

シノンは萎えた腕に力を込めて立ち上がる。

 

俺はその手を掴んだ。

 

「人は弱い生き物だ。一人で戦うことなんてできるはずがない」

 

「……離して」

 

「どうしても戦うって言うなら、俺と一緒に戦え」

 

「離して」

 

「俺たちはパートナーだろ」

 

「うるさい!」

 

シノンは俺の手を振りほどき、俺の襟首を掴む。

 

「私の事、何も知らないくせに!知らないくせに、よく友達面できるわね!私は、私は、この手で人を殺したことがあるの!五年前、あの黒星で、強盗犯を撃ち殺したのよ!」

 

シノンは涙を流しながら叫ぶ。

 

「私の手は血で汚れてるの!そんな私の手を握る人なんて誰もいない!貴方は、そんな私の手を握ってくれるの!?」

 

「………ああ、握ってやるさ」

 

「!?う……嘘吐かないで!そう言って、心の中では私のこと人殺しの女って思ってるんでしょ!」

 

「思ってない!」

 

「嘘よ!」

 

「……なら、証拠を見せてやる」

 

俺はもう一度シノンの腕を掴み、そして、俺の方に引っ張りよせた。

 

シノンの顔と俺の顔が近づく。

 

「え?」

 

シノンの口から吐息のような言葉が漏れた。

 

俺は構わず、そのまま抱きしめ、自分の唇をシノンの唇に重ねた。

 

「!?ん~~~~~~!!」

 

腕の中でシノンが力を込めて抵抗するが、次第に力は弱まり、黙って俺の唇を受け入れた。

 

何秒かそうして、俺は唇を離した。

 

何分、何時間にも感じた。

 

シノンは顔を真っ赤にして、俺にもたれ掛るように倒れる。

 

「ど……どうして……あんなこと…………」

 

「……好きだからだ。シノンが、誌乃の事が好きだから」

 

「……………バカ」

 

そう言ってシノンは俺の背中を抱くようにしがみついて来る。

 

「しばらく、こうさせて」

 

「ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃の洞窟入口付近

 

「キリトさん」

 

「なんだ?」

 

「俺たち、滅茶苦茶空気ですね」

 

「こんな状況じゃなければ冷かしてやるんだがな」

 

男の娘とイケメンが二人仲良く体育座りしていた。

 

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