キリトVSジョニー・ブラックは次回になります。
楽しみにして下さっていた方すみません。
それでは21話どうぞ。
アスナさんが、菊岡さんを呼んでから五分ほどで菊岡さんごとクリスハイトさんが着た。
ひょろっとした長身にマリンブルーの長髪、毒気の無い細面に銀縁の丸眼鏡を掛けた水妖精族で、アスナさんと同じ魔法使いだ。
「セーブポイントから急いで飛んできたよ。ALOに速度制限があったら免停確実だ」っととぼけたセリフを吐いたことに若干イラッとしたのは秘密だ。
「クリスハイト、貴方が知ってること全部教えて」
「いや、知ってることって言っても、まず何から話せばいいのか」
誤魔化す気でいるクリスハイトさんにアスナさんは苛立ちを見せた。
あたしも、その態度に苛立ちを感じ、今にも殴りかかりそうだった。
「ならその役は私達が引き受けます」
「引き受けるよー」
ユウナちゃんとユイちゃんが現れ、いつもの笑顔ではなく厳しい表情をしてる。
そこからユウナちゃんとユイちゃんは、GGOと死銃、死剣の事件を解説し、それにより三人のプレイヤーが死んだこと、そして、先程死銃に撃たれたプレイヤー、ペイルライダーさんが死んだことも説明した。
説明が終わると疲れたのか二人はグラスに寄りかかった。
あたしはお疲れ様と言ってユウナちゃんを手の平に乗せる。
「これは驚いたな。この短時間でそれだけの情報を集め、その結論を出すとは。どうたい君達、ラー……いや、《仮想課》でバイトしてみないかい?」
とぼけたように言うクリスハイトさんにアスナさんとあたしは睨みつける。
「あ、いや、すまない。誤魔化すつもりはない。御チビさんたちの説明は事実だよ」
「じゃあ何か、クリスの旦那よ。テメェが彼奴らのバイトの依頼主だってんなら、テメェはそこに殺人事件の犯人がいると分かって彼奴らを送り出したってのか!?」
今にもカウンターから飛びかかりそうなクラインさんをアルブスさんが制し抑える。
「待ってくれ、クライン氏。殺人事件ではない。それが僕とキリト君とレイン君の三人でたっぷりと話し合って出した結論なんだ」
「どういうことだ?」
「考えてみたまえ。アミュスフィアはナーヴギアじゃない。あらゆるセーフティが設けられ脳には毛ほども傷を付けれない。ましてや直接機械と繋がってない心臓を止めるのは不可能だ。それが話し合った結論だ」
クリスハイトさんの冷静な結論にクラインさんはぬぬ……と引き下がる。
「クリスハイト、死銃と死剣、それとGGOに居る彼らの協力者は私達と同じSAO生還者よ」
アスナさんの言葉にクリスハイトさんは一瞬目を見開いた。
「それは本当かい?」
「ああ、キャラネームも分かってる。お前たちならキャラネームから現住所や名前を突き止めることもできるんじゃないのか?」
アルブスさんはクリスハイトさんに静かに、それでいて怒りをあらわにしながら聞く。
「それは不可能だよ。仮想課のデータベースにあるSAOプレイヤー諸君のデータは本名とキャラネーム、最終レベルぐらいだ。キャラネームが分かっていても現実の住所までわからない」
アルブスさんは舌打ちをし、俯く。
刀を握ってる左手に力が入ってる。
「バ……ッカ野郎どもが!!彼奴ら、水くせぇンだよ! 一言言ってくれりゃ、俺もどこにだってコンバートしたってのによ!!」
「彼奴らのことだ。俺たちを巻き込みたくないとか思ってんだろう。くそっ!余計な気遣いしやがって………………!」
クラインさんは左腕をカウンターに叩き付け、口元を歪め、アルブスさんは俯きながら、悔しそうに叫ぶ。
「クリスハイト、貴方なら知ってるはずよね。二人が何処からダイブしてるか」
「……ああ、知ってるよ。というか、僕が用意したんだ。セキュリティは鉄板、モニタリングも盤石。そばに人もいるし、二人の現実身体の安全は保障「どこですか?」え?」
「二人は何処にいるんですか?」
「…………悪いが、教えられない。これでも、この話はかなり危険なんだ。ここまで話して挙げただけでも十分サービスだ」
「危険って………これだけ話したんだから、今更危険も無いでしょ!!」
「………とにかくこれ以上は教えれない」
そう言ってクリスハイトは立ち上がろうとする。
あたしは席を立ち、クリスハイトさんの胸倉を掴んだ。
「お?」
クリスハイトさんが疑問の声を上げる。
次の瞬間、あたしは右足でクリスハイトさんの左足を払った。
「「「「「「「え?」」」」」」」
あたしとユウナちゃん以外声を上げる。
足を払いつつ、胸倉掴んだまま引っ張るように背中から倒す。
「ぐはっ!!」
背中から床に叩きつけられて、クリスハイトさんは口から肺に溜まった空気を一気に吐き出す。
倒した後、足で犯罪防止コードに引っ掛からない力で喉を踏む。
喋れるように最低限力を弱めるが、空気が吸えないようにする。
「あ………が!?」
「教えてください。今、レインがどこに居るのか?」
おそらく今のあたしは冷静じゃない。
一刻でも早くレインに会いたい。
傍に居たい。
ただそれだけの感情しかなかった。
クリスハイトさんは空気を求めようにもがき、口をパクパクさせた。
「もう一度聞きます。レインがどこにいるのか教えろ」
「……ち、千代田区の……お茶の水の病院」
場所を吐かせると、あたしは足を離し解放する。
「それって、キリト君がリハビリで入院してたっていう!?」
「げほっ、がほっ……そ、そうだよ」
辛そうに咳をしながら、首を縦に振る。
「アスナさん、行きましょう」
あたしたちの大切な人の下に。