二人のビーストテイマー   作:ほにゃー

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第8話 第1層攻略

「う・・・うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

悲鳴が部屋に響きわたった。

全員が武器を握りしめ、構えている。

だが、誰も動けなかった。

ボスの使用武器とスキルが攻略本と違うこととリーダーの死。

この二つのことがショック過ぎて誰も動けなくなっている。

「落ち着け!!ボスの使用武器が違うからといってうろたえるな!!

 C、D隊は俺と共にボスを引き付けろ。残りはE隊を中心に撤退!!

 A、B、E、F隊が撤退完了後C、D隊も即時撤退!!」

アヤメさんがディアベルさんに変わり支持を出す。

「アヤメさん!!また、センチネルが現れた!!

 ここも情報と違う!!」

しかし、またもや情報が違っていた。

それにより、混乱がおこり、陣形が崩れた。

アヤメさんの声はもう届かない。

そんな中、キリトさんゆっくりと立ち上がった。

「キリト・・さん?」

「レイン。ディアベルが最期に言ったのは『撤退しろ』じゃない。

 『ボスを倒せ』だ。」

その言葉で俺は、はっとした。

そうだ、今ここでボスを倒さなきゃもう倒しに行けないかもしれない。

だから、今ここで倒すしかない。

デスブリンガーを強く握り、コボルドロードに視線を向ける。

アヤメさんが今、なんとか一人で持ちこたえているが長くはもたないだろう。

「行くぞ。レイン。」

「はい。」

コボルドロードに向かおうとした瞬間、二人のプレイヤーが横に並んだ。

「シリカ!!」

シリカとアスナさんが横に並んでいた。

「シリカ、今すぐ「一緒に行くから」・・はっ?」

「あたしたちはコンビだよ。

 パートナーを見捨てて逃げるわけない。

 それに・・・あたしを守るんでしょ?」

強い意志を持った笑顔がそこにあった。

まったくそう言われたら・・・意地でも守ってやるよ。

「・・・私も行く。仲間だから。」

アスナさんもそう言った。

「・・・解った。頼む。」

キリトさんも短く答えて剣を構えた。

 

「俺とレインで、アイツの剣を抑える!!

 シリカとアスナはアタッカーだ!!」

「はい!!」

「了解。」

二人に指示が回った。

後は混乱してる人たちだ。

混乱を鎮めないと。

だが、生半可な指示だと余計に混乱させる。

何か短く、強烈な一言を言えばいいが思いつかない。

その時、シリカとアスナさんは、フード付きのマントを掴み、一気に引きはがした。

松明の光が二人を照らした。

アスナさんは栗色のロングヘアでとても美人だ。

恐怖の極みにいるプレイヤー達は皆アスナさんに見惚れていた。

全員がアスナさんの美しさに見惚れて、シリカの幼さに驚いているのだろう。

だが、俺はシリカに見惚れていた。

松明に照らされるシリカの横顔がとても美しい。

「全員、出口方向に下がれ!ボスを囲まなければ範囲攻撃は来ない!」

キリトさんの言葉で気づきデスブリンガーを構えて走り出す。

「二人とも、手順はセンチネルと同じだ!!行くぞ!!」

コボルドロードが野太刀を左手に持ち、腰だめに構えた。

あれはカタナ直線遠距離技《辻風》だ。

俺は《スタンバインド》をキリトさんは片手剣基本突進技《レイジスパイク》を使い

二人同時にコボルドロードの野太刀にぶつけ相殺した。

互いにノックバックしたが、コボルドロードに隙ができた。

その隙に、シリカが《サーキュラー》、アスナさんが《リニアー》でコボルドロードの右腹を

打ち抜いた。

僅かにだが、HPが減った。

このまま押し切れるか。

俺とキリトさんはβテストでカタナスキルを使うやつと10層で戦った。

その時に、カタナスキルの予備動作を把握した。

だがら、今のところ、技を相殺し切れている。

だが、15回目か16回目の時、あることが起こった。

シリカの後ろからセンチネルが迫っていた。

シリカは気づいていない。

俺はとっさにコボルドロードから離れシリカへ向かい走り出した。

「シリカァァァァァァ!」

叫びながら俺は《グリムゾンフォース》を出し、センチネルを倒した。

倒す瞬間に、センチネルの剣が脇腹に刺さったらしくHPがかなり減った。

「レイン!大丈夫!?」

シリカが近づいてくる。

「大丈夫だ。言ったろ?絶対に守るって」

シリカに笑いかけながら言うと、

コボルドロードが《幻月》を使った。

《幻月》は上下ランダムに発動する技で読みが外れることがある。

キリトさんは垂直斬り《バーチカル》の発動をキャンセルし、

アニールブレードを引き戻し、防御した。

だが、それでもキリトさんのHPは3割以上減った。

キリトさんが膝をついた代わりにアスナさんが突っ込んだ。

その時、コボルドロードが《緋扇》の構えをとった。

アスナさんがやられる。

そう思ったとき

「ぬ・・・・おおおッ!!」

雄叫びと共に両手斧系ソードスキル《ワールウインド》が撃ち込まれた。

攻撃の主はB隊のリーダー エギルさんだった。

「あんたらがPOT飲み終えるまで俺たちが支える。ダメージディーラーにいつまでも

 壁役やられちゃ、立場ないからな。」

「すまない。」

「ありがとうございます。」

すぐに回復ポーションを飲みHPの回復を待った。

ポーションは飲んでもすぐには回復しない。

ゆっくりと、じわじわと、HPが増えていく。

HPの回復を待っている間、キリトさんの指示で

コボルドロードに徐々にダメージを与えている。

そして、コボルドロードのHPが赤くなった瞬間、一人のプレイヤーが足をもつらせて

コボルドロードを囲む形になってしまった。

そして、コボルドロードが《旋車》を使おうと動作に入ろうとした。

キリトさんがまだ、回復しきっていないのに飛出し《ソニックリープ》をだし、

コボルドロードが《旋車》を出すのを妨害した。

そして、コボルドロードは、人型モンスター特有のバットステータスの《転倒》状態になった。

そこを、エギルさんたちが、メイスやハンマーを振り下ろした。

コボルドロードのHPががりがりと削られた。

後一回当てれば倒せるのにコボルドロードは立ち上がり、攻撃の動作に入った。

「アスナ、レイン、シリカ!!一気に行くぞ!!」

キリトさんの掛け声で、一気に駆け出した。

最初に、シリカが《スラッシュ・ファル》を出し腹を斬り、

俺が《グリムゾンフォース》で、縦に斬り、

アスナさんが、左脇腹に《リニアー》を突き刺した。

最後にキリトさんの剣がコボルドロードの右肩から斬り裂いた。

残り・・・1ドット。

コボルドロードがにやりと笑った気がした。

だが、キリトさんが出した技は《バーチカル》じゃない。

《バーチカル・アーク》。

片手剣二連撃技だ。

HPが0になり、コボルドロードは顔を天井に向けて高く吠え、両手から野太刀を落とした。

そして、イルファング・ザ・コボルドロードは幾千のガラス片のように散った。

後方にいたセンチネルも儚く四散した。

こうして、デスゲーム開始から1ヵ月、アインクラッド第1層が攻略された。

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