二人のビーストテイマー   作:ほにゃー

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エクスキャリバー編
プロローグ


十二月二十八日の日曜日の午全九時三十分を過ぎたぐらいに俺のスマホに着信が入った。

 

手に取り画面を確認すると、相手はキリトさんだった。

 

「はい。どうしました?」

 

『レイン、唐突だが今日暇か?』

 

「今日ですか?」

 

今日は確か、特に予定はない。

 

「特にないですけど」

 

『そうか。実は今日の昼頃から皆でクエストをしようと思うんだ』

 

「クエストですね。いいですよ」

 

『サンキュー、詳しい時間と集合場所はメールしとく。後、シリカにも連絡頼んだ』

 

「分かりました。また後で」

 

『後でな』

 

そう言ってキリトさんは通話を切る。

 

クエストか………

 

「ALOでなんかイベントクエストでもあったっけ?」

 

そんな疑問を考え、シリカに連絡するためにスマホを操作する。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後で知ったのだが、なんでも《聖剣エクスキャリバー》が発見され、それを手に入れるイベントをするために召集されたとのことだ。

 

待ち合わせ場所と指定されたリズさんの店には俺、シリカ、キリトさん、アルブス、アヤメさん、シノンさん、クラインさん、そして、回転砥石に皆の武器を当てて耐久値を回復させてるリズさんの八人いる。

 

アスナさんとリーファさんはポーション類の補充に外に出てる。

 

キリトさんは、壁際に寄りかかり、クラインさんはベンチであぐらをかきながら酒瓶を傾け、その隣にアヤメさん、アヤメさんの向かい側にシノンさん、そして、俺、シリカの順に座っている。

 

「そういえば、クラインさんってもう会社って正月休みですよね?」

 

「ああ、昨日からな。働きたくても荷が入ってこねーからよ。年末年始に一週間も休みがあるうちは超ホワイトだとか自慢しやがってさ!」

 

文句を言うクラインさんだが、クラインさんがSAOに囚われていた二年間、社長さんはクラインさんの面倒を見て、更に生還後もすぐ仕事に復帰できるようにしたそうだから、実際いい会社なんだろう。

 

「おうキリの字よ。もし今日ウマイこと《エクスキャリバー》が取れたら、今度俺の為に《霊刀カグツチ》取りに行くの手伝えよ」

 

「えぇー、あのダンジョンくそ暑ぃじゃん」

 

「それを言うなら今日行くヨツンヘイムはくそ寒ぃだろが!」

 

言い合うキリトさんとクラインさんを見てるとシノンさんが声を上げた。

 

「あ、じゃあ私もアレ欲しい。《光弓シェキナー》」

 

「きゃ、キャラ作って二週間で伝説武器を御所望かよ」

 

シノンさんの言葉に、アヤメさんが口元を引き攣らせる。

 

「リズが作った弓も素敵だけど、もう少し射程が……」

 

「あのねぇ、この世界の弓ってのはせいぜい槍以上、魔法以下の距離で使う武器なのよ!百メートル離れた所から狙おうなんて、普通しないの!」

 

シノンさんの弓の弦を張り替えながらリズさんが怒鳴る。

 

その横で、アルブスは苦笑いしてる。

 

「欲を言えば、その倍の射程は欲しいとこね」

 

まぁ、GGOでは二千メートルの距離から狙撃するシノンさんだから、そう思っても仕方が無いだろう。

 

「分かったよ。もし今日《エクスキャリバー》が手に入ったら手伝ってやる」

 

キリトさんは諦め手伝うことを約束した。

 

「ついでだし、レインとシリカ、アヤメとアルブスも欲しい武器あるか?手伝うぞ」

 

「いいんですか?」

 

「ああ、クラインとシノンだけ手伝って他の連中だけ無しは不公平だろ」

 

「じゃあ、《山金造波文蛭巻大太刀》手伝ってください」

 

「私は《カルンウェナン》で」

 

「俺は《聖槍ブリューナク》かな」

 

俺とシリカ、アヤメさんは欲しい武器をそれぞれ口に出す。

 

「OK。《エクスキャリバー》が手に入ったらちゃんと手伝ってやる。アルブスは何にするんだ?」

 

キリトさんは、そう言ってリズさんの横で作業を手伝ってるアルブスに声を掛ける。

 

「俺か?俺は良い。今の刀で間に合ってるし、この刀以外使う気はない」

 

そう言って既に研ぎ終わり腰に差した刀を叩く。

 

「ほぉ~」

 

そう言うアルブスを見てキリトさんはニヤつく。

 

キリトさんだけでなく、此処にいるリズさん以外全員がニヤついてる。

 

「な、なんだよ?そんなニヤついて」

 

「いや、ただアルブスは一途だなって思ってよ」

 

「な!?」

 

「いや~、こんなに思われてリズも幸せだな」

 

「本当ね。この刀以外使わないって、余程の想いじゃないと無理よね」

 

「いや~、若いもんは青春していていいね」

 

「早く付き合っちゃえばいいですよね」

 

「それももう秒読みだろ」

 

俺達にさんざん言われたアルブスは顔を真っ赤にし、刀の柄に手を伸ばし抜こうとする。

 

「「ただいま~」」

 

それと同時にポーションの買出しに出ていた三人が戻って来たのでアルブスは大人しく刀から手を離した。

 

明日菜さんたちは買って来たポーション類を机に並べ、買出しに付き合ってたユイちゃんとユウナ、キリトさんの頭と俺の肩に乗っかる。

 

「買出しついでに情報収集してきたんですが、まだあの空中ダンジョンまで到達出来たプレイヤー、パーティーは存在してない様です」

 

「じゃあ、なんで《エクスキャリバー》のある場所が解かったんだ?」

 

「ユイお姉ちゃんたちが発見したトンキーさんのクエストとは別種のクエストが見つかったみたいなの。そのクエストの報酬としてNPCがエクスキャリバーだったんだって」

 

ユウナとユイちゃんの説明聞いていると、アスナさんが青いロングヘアーを揺らして振り向く。

 

「しかも、あんま平和なクエじゃなさそうなの。お使い系や護衛系じゃなくて、スローター系。おかげで今、ヨツンヘイムはPOPの取り合いで殺伐してるそうなの」

 

「そりゃ、穏やかじゃないな」

 

確かにスローター系のクエストはPOPの取り合いみたいなものだ。

 

それも狭いエリアならモンスターの再湧出の奪い合いでギスギスもする。

 

「でも、変じゃね?《聖剣エクスキャリバー》ってのは、おっそろしい邪神がうようよしてる空中ダンジョンのいっちゃん奥に封印されてるんだろ?それをNPCがクエの報酬に提示するってどうゆうことだ?」

 

クラインさんの言う通り、言われてみるとそうだ。

 

「ダンジョンまでの移動手段が報酬なら解かりますけど」

 

シリカも首を捻り、考える。

 

「ま、行ってみれば解かるわよ、きっと」

 

シノンさんが冷静に言う。

 

それと同時に、リズさんが全員分の武器の耐久値の回復を終えた。

 

「よーし!全部器フル回復ぅ!」

 

『お疲れ様』

 

全員でねぎらい、それぞれの愛剣、愛刀、愛弓、愛槍を受け取る。

 

次にアスナさんの指揮能力で分割されたポーションを貰い、ポーチに収納。

 

持ちきれない分は、アイテム欄に格納。

 

これで、全員の準備が整った。

 

「しっかし、相変わらず脳筋ばっかりのパーティーだな」

 

クラインさんがパーティーメンバーを見て言う。

 

確かにその通りだけど。

 

「なら、アンタが魔法スキル上げなさいよ」

 

「へん、やなこった。侍たるもの魔の文字が付くスキルは取れねぇ、取っちゃならねぇ!」

 

「それは前も聞いた。だがな、そんな拘ってるといつか痛い目見るぞ」

 

「上等だ。魔法使うぐらいなら刀折って、侍止めてやる!」

 

「でも、この前クラインさん、炎属性のソードスキル使ってましたよね。あれって半分魔法だったと思いますよ」

 

シリカのセリフにクラインさんはマジか?と言った顔をする。

 

「忘れたんですか?上級ソードスキルには物理属性以外に六つの魔法属性が備わってますよ」

 

「あ、いや……そうだっけ……」

 

クラインさんは冷や汗を掻きながら焦り出す。

 

「魔法使うぐらいならどうするんだっけ?」

 

「なんなら、私が折ってあげようか?」

 

アルブスとリズさんに言い寄られ、クラインさんは自身の愛刀を両手で握りしめる。

 

「き、キリの字~」

 

「ま、まぁ、ソードスキルは呪文唱えないし、ノーカンってことで」

 

「しょうがないわね~」

 

「ま、見逃してやるか」

 

クラインさんの代わりに弁解し、キリトさんは俺たちを見る。

 

「今日は急な呼び出しに応じてくれてありがとう! このお礼はいつか精神的に! では今日はよろしく!」

 

全員でおー!と唱和し、リズさんの店を飛び出す。

 

そして、イグシティの真下のアルン市街から地下世界ダンジョンに繋がる秘密のトンネルを目指して俺たち十人と二人に二匹は大きく踏み出した。

 

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