二人のビーストテイマー   作:ほにゃー

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第2話 双牛との決闘

氷の巨城《スリュムヘイム》の中は以上に敵の数が少なかった。

 

ウルズの言った通り、殆どの配下を地上に下ろしてるみたいだ。

 

まさか、中ボスクラスもいないとは驚きだった。

 

しかし、二層に降りる階段前にはちゃんとフロアボスがいた。

 

一層のフロアボスは単眼巨人型ボスで、キリトさんが言うには、圧倒的に攻撃力が高いとのことだ。

 

ボスが持つ巨大な棍棒を俺の大太刀で弾き、側面からキリトさんたちがアタック。

 

ダメージを負えば、後衛に居るアスナさんが回復。

 

頭上から振ってくる氷柱もシノンさんが弓を使い破壊してくれるので、氷柱の攻撃を気にすることは無い。

 

そして援護射撃も行って、隙も作ってくれる。

 

事前にアスナさんによるステータス強化魔法のお陰もあり、なんとか第一層のボスを倒すことができた。

 

HPを回復すると一気に二層に駆け下り、ダンジョン内を駆け抜け、再びボス部屋に到達。

 

二層に居たボスは《ミノタウロス》型の巨人だった。

 

それも黒と金の二体。

 

「今度は二体か」

 

「でも、HPバーは一本しかない」

 

アヤメさんとアルブスが呟く。

 

「よし、俺とレインで金色にアタック。クラインとリーファ、アルブスは黒色に。アヤメ、シリカ、リズは様子を見つつ、攻撃してくれ」

 

そう言うとキリトさんは金色に向かって走り出す。

 

キリトさんの二本の剣は金色の脇腹を深く斬りつける。

 

俺の持つ大太刀も金色の身体中央を突き刺し、振り上げる。

 

俺とキリトさんの攻撃はクリティカルヒットした。

 

だが、黄色のHPは僅かにしか減ってなかった。

 

「な!?」

 

「どうして!」

 

驚く俺たちをよそに黄色は斧を振り上げる。

 

咄嗟に武器を引き戻し、防御態勢を取ったのでHPをごっそりと持ってかれることはなかった。

 

だが、クリティカルの攻撃なのになんだHPが僅かにしか減らない。

 

黒色を相手してるアルブスたちが心配になり、そちらに目をやる。

 

見ると黒色はHPがかなり減っている。

 

どういうことだ?

 

「レイン、キリト!どうやら金色は物理耐性があるみたいだ!」

 

くそ、厄介だな。

 

俺たちはだいたい、いつも決まったメンバーでパーティーを組む。

 

メンバーは大抵俺、シリカ、キリトさん、アスナさん、リズさん、アルブス、アヤメさん、シノンさん、リーファさん。

 

八人の内、七人共同じ学校に通い、キリトさんはリーファさんと一緒に暮らして、シノンさんはアヤメさんの隣の部屋に住んでるのでタイミングは合い易い。

 

たまにクラインさんやエギルさん、菊岡さんことクリスハイトさん、レコンさんなどがパーティーにいる。

 

そして、今回のパーティーには一つ問題がある。

 

アスナさんはウンディーネなので魔法スキルを取ってはいるのだが、半分は細剣スキルに振ってるので使える魔法は支援・回復魔法。

 

同じウンディーネのアヤメさんは、魔法が肌に合わないらしく魔法スキルを全く使わない。

 

リーファさんは魔法剣士だが、使えるのは戦闘用の阻害系呪文と軽いヒールしか使えない。

 

シリカも多少は魔法を使うが、基本は変異魔法と支援系の魔法しか使わない。

 

リズさんはスキルの半分以上は鍛冶系スキル。

 

そして、キリトさん、クラインさん、アルブスは近接物理戦闘系に全振りしてる。

 

俺も変異魔法を使う以外、近接物理戦闘系だ。

 

早い話、このパーティーには一人として攻撃魔法を持ってる人・使える人がいない。

 

物理耐性があるなら魔法で戦えばいいのだが、攻撃魔法系は無い。

 

上位のソードスキルには魔法属性が付与されてるが、上位技はスキル発動後の硬直が長い。

 

万が一そこをやられたら。

 

「金色は後回しだ、先に黒色から倒すぞ!」

 

アヤメさんの声に従い、先に黒色を倒すことになった。

 

金色を無視し、黒色目掛けて走る。

 

黒色に多くの攻撃を叩き込み、黒色のHPがイエローに差し掛かった。

 

すると、金色が雄叫びを上げ、黒色を守るように立ちはだかる。

 

黒色は下がり、武器を置くと、座禅を組んでHPを回復させ始める。

 

なるほど、黒のHPが少なくなったら物理属性に強い金色が守り、黒色は回復に専念するってパターンか。

 

その時、ユイちゃんとユウナの声が聞こえる。

 

「衝撃波来るよ!」

 

「二秒前!一、ゼロ!」

 

ユウナとユイちゃんのお陰で全員左右に飛び退き、回避する。

 

だが、範囲ダメージがあったらしく全員のHPが減ってる。

 

「キリト君、今のペースだと、あと百五十秒でMPが切れるよ!」

 

まずいな。

 

アスナさんのMPがなくなったらパーティーが壊滅する。

 

壊滅したらセーブポイントのアルンから出直すになる。

 

「お兄ちゃん、メダリオンが七割以上黒くなってる。死に戻りしてる時間はなさそう」

 

出直す時間もない。

 

すると、キリトさんは何かを決意して、叫ぶ。

 

「みんな、こうなったらやれることは一つだ!金色の方にソードスキルの集中攻撃で倒し切る!」

 

「よっしゃ!その一言待ってたぜキリの字!」

 

右翼でクラインさんが刀を大上段に据える。

 

左に飛んだリーファさんも長剣を腰溜めに構え、アルブスも居合のような構えを取る。

 

背後に居るシリカ、リズさん、アヤメさんもそれぞれの武器を握り直す。

 

「レイン、シリカ、カウントで《泡》と《炎》を頼む!―――――二、一、今だ!」

 

「フィー、狐火!」

 

「ピナ、バブルブレス!」

 

フィーの口から金色の炎が、ピナの口から虹色の泡が吐き出され金色に当たる。

 

この技も魔法に分類されるので、数秒ほど動きが止まる。

 

「ゴー!」

 

キリトさんの言葉を合図に全員が居ろとりどりのライト・エフェクトを眩く迸らせた。

 

口々に吠えながらそれぞれ習得している中で最大級のソードスキルを繰り出す。

 

クラインさんの刀が炎の包まれて暴れ、リーファさんの長剣が疾風を巻き起こして閃き、シリカの短剣が水飛沫散らしながら抉り、リズさんのメイスが来航を放ちながら唸り、アルブスの刀が闇を纏い襲い掛かり、アヤメさんの槍は輝き刈り取る。

 

後方からはシノンさんが氷の矢を放ち、金色の急所らしき鼻の頭を貫く。

 

同時に、俺は両手剣六連撃ソードスキル≪カラミティ・ディザスター≫発動する。

 

属性は物理五割、地五割。

 

六連撃目が入った瞬間、キリトさんの剣がクラインさんと同様に炎を纏って攻撃をする。

 

キリトさんの最後の攻撃も見事決まるが、だが金色のHPはまだ残ってる。

 

「キリト!」

 

クラインさんが駆け出そうとするが体が固まって動かない。

 

「くそっ、硬直が……!」

 

大技を使った後なので誰一人動くことが出来ない。

 

キリトさんも大技を使った後なので動くことが出来ない。

 

「ここだ!」

 

片手剣が纏った炎が消えそうになった瞬間、キリトさんは呟く。

 

呟くと同時に右に持った片手剣の炎が消え、左に持った剣が青色に輝く。

 

そして、左の剣が金色の脇腹を切り裂く。

 

その光景に俺以外の皆は驚いていた。

 

あれはキリトさんが編み出したシステム外スキル《剣技連結》

 

腹を突き刺したままの剣を九十度回転させ、深く刺し、そして跳ね上げる。

 

左の剣の輝きが消えかけると同時に、再び右の剣が光り輝く。

 

丁度、俺たちの硬直も解け、走り出す。

 

俺たちが近づく間に、キリトさんは《バーチカルスクエア》を発動し、金色の身体を四回

斬り裂く。

 

キリトさんは三回目のソードスキルの発動が終わると、今度は《ヴォーパル・ストライク》の構えを取る。

 

キリトさんが攻撃を出す前にクラインさんは居合切りするかのように刀を抜き、金色を斬り裂く。

 

斬り裂き、刀を鞘に納めると同時に、斬った場所が炎を吹きだす。

 

リーファさんも疾風を纏った長剣の二連撃を使って斬る。

 

シリカが駆け上がるように金色の身体を斬りつけ、俺も刀単発重攻撃ソードスキル《空閃一刀》で体を斬りあげる。

 

リズさんとアルブスはジャンプして頭上から同時に雷と闇属性のソードスキルを頭に叩き込む。

 

アヤメさんが今度は風を纏ったソードスキルを使い。四連撃を決めて動きを阻害する。

 

その隙にシノンさんが猫のように俊敏に金色の身体をよじ登り至近距離から氷の矢を撃ち込む。

 

撃ち込むと素早く金色から飛び降り離れる。

 

その瞬間キリトさんは飛び出し、《ヴォーパル・ストライク》叩き込む。

 

剣は金色の下腹に剣の根元まで突き刺さり、貫通した。

 

金色のHPはみるみると減少し、イエローからレッドになった。

 

だが、まだHPは五パーセント程残ってる。

 

俺たちはスキル発動後の硬直で動けない。

 

金色はデュレイから回復し、獰猛に笑った。

 

斧を持ち上げ、キリトさんに振り下ろそうとする。

 

だが振り下ろす前に、アスナさんが走り出す。

 

「せやあああああ!」

 

持っていた杖から細剣に変え、聖属性が付与されている三連撃ソードスキルを使い攻撃を仕掛ける。

 

しかし、それでもHPは数ドット残っていた。

 

金色はアスナさんの攻撃を食らい、デュレイしてる。

 

硬直が最初に解けたのは俺だった。

 

俺は走り出し、大太刀を構える。

 

剣を振り上げるように構え、ソードスキルを発動する。

 

∞を書くように斬り、この行為を五回繰り返して、最後に上から一直線に振り下ろす。

 

「百鬼乱戦……桜花………」

 

シリカがそう呟くのが聞こえた。

 

これは旧アインクラッドで、俺が使っていたユニークスキル《大太刀》専用スキルだ。

 

俺が繰り出す十一連撃は、金色に全てクリティカルヒットする。

 

魔法属性が付与されていないが残り数ドットのHPを削るには十分だ。

 

金色のHPを全て削ると同時に、黒色がHPを回復させ立ち上がり、斧を持ち上げた。

 

直後、金色が甲高い悲鳴を上げ、硬質のサウンドエフェクトとともに体が爆散した。

 

黒色はえ?といったような表情をして動きを止める。

 

そして、硬直が解けた俺達は一斉に黒色を見る。

 

「おーし、牛野郎、そこで正座」

 

クラインさんがそう言うと同時に俺達はソードスキルを使い黒色をフルボッコにした。

 




大太刀スキルのソードスキルが使えた理由は次回説明します。
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