二人のビーストテイマー   作:ほにゃー

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もしかしたら、知らない人がいるかもしれないのでご報告します。

現在、活動報告にてアンケート実施中。

期間は絶剣編終了まで。

もしよろしければアンケートに答えてください。

内容は絶剣編終了後のSAOについてです。


第4話 霜巨人の王スリュム

階段を下ると徐々に幅が増し、周囲の柱や彫像が華美になる。

 

アインクラッド恒例の《ボス部屋に近づくとマップが重くなる》現象だ。

 

突き進むと、二体の狼が彫り込まれた扉が見え、おそらくあれがボス部屋だろうと全員が気合を入れ直す。

 

扉の五メートル範囲に踏み込むと扉は自動的に左右に開く。

 

扉の奥から冷気と、いわく言い難い圧力が吹き込んでくる。

 

アスナさんは呪文を唱え、全員に支援魔法をリバフする。

 

フレイヤさんも何か呪文を唱え始め、俺達に何かの魔法を施す。

 

すると、全員のHPが大幅にブーストされた。

 

HPを増やす魔法なんて初めてだな。

 

これは、フレイヤさんを助けたクラインさんの行動は正しかったかもしれないな。

 

HP/MPゲージの下にいくつかのパフアイコンが並んだのを確認して、俺達は一度アイコンタクトを交わすと一気に駆け込む。

 

内部はとてつもなく巨大な空間で、床も壁も青い氷で出来ていて、氷の燭台には青紫色の炎が灯っている。

 

そして、左右の壁際には金貨や金の装飾品、金の剣、金の鎧、金の盾、金の彫像などと黄金尽くめだった。

 

「総額何ユルドだろ?」

 

リズさんが呟くのが聞こえた。

 

クラインさんは、あれも武士道なのだろうか疑問だが、フラリと黄金の山に近づく。

 

「小虫が飛んでおる」

 

奥の暗がりから重低音の声が聞こえた。

 

「煩わしい羽音が聞こえるぞ。悪さをする前に、一つ潰してくれようか」

 

ずしんっと言う音と共に床が震え、立て続けに何度も床が震える。

 

振動音が近づいて来る。

 

そして、現れたのは地上を徘徊している人型邪神や、スリュムヘイムのボス邪神よりも遥かにデカイボスだった。

 

鉛のような鈍い青色をした肌、寒々とした青い瞳、青い髭、頭には王冠が乗っている。

 

そのあまりのデカさに全員が言葉を失った。

 

旧アインクラッドのボスでもこんな大きい奴はいなかった。

 

あれじゃあ、剣が足の脛ぐらいにしか届かない。

 

「アルヴヘイムの小さき羽虫ども。ウルズに唆され潜り込んだが。どうだ、いと小さき者よ。あの女の場所を教えればこの部屋の黄金を持てるだけくれてやるぞ」

 

まるで、魔王が仲間になれば世界の半分をくれてやろうみたいなことを言ってくる。

 

こいつが、《霜巨人の王スリュム》。

 

俺たちが唖然としてる中、クラインさんは真っ先に言葉を返した。

 

「へっ、武士は食わねど高笑いってな!オレ様がそんな安っぽい誘いにホイホイ引っ掛かって堪るかよ!」

 

クラインさんが鞘から刀を鞘走ると、俺たちも各々の武器を構える。

 

伝説級装備の武器こそ持ってないが、俺たちの武器は固有名付きの古代級装備か、リズさんが鍛え上げた銘品。

 

だが、スリュムにしてみれば俺たちの武器はいとも簡単に折られそうな物ばかり。

 

この中では一番大きい俺の大太刀もスリュムには爪楊枝でしかないだろう。

 

スリュムが高い位置から俺たちを睨みづけると、後衛に居るフレイヤさんに視線を止めた。

 

「そこにおるのはフレイヤ殿ではないか。檻から出てきたということは、儂の花嫁になる決心がついたのかな、んん?」

 

「は、花嫁だ!?」

 

クラインさんが裏返ったような叫びを漏らす。

 

「そうとも。我が嫁としてこの城に輿入れしたのよ。だが、宴の前の晩に、儂の宝物庫をかぎ回ろうとしたのでな。仕置に氷の牢獄に繫いで置いたのよ」

 

状況からしてフレイヤさんは取り戻したい一族の宝があった。

 

そのため、スリュムの花嫁になると偽って夜中に宝物庫を物色しようとした。

 

だが、門番に見つかり氷の牢に入れられていた。

 

これなら、戦闘中に後ろから攻撃されたり、スリュムを倒した後に真のボスとして現れることはなさそうだ。

 

………あれ?

 

スリュムとフレイヤ………盗まれた宝………どっかで聞いた話のような………

 

「誰がお前の妻になど!かくなる上は剣士様たちと共にお前を倒し、奪われた物を取り戻すまで!」

 

「ふっ、ふっ、威勢の良いことよ。さすがは、その美貌と武勇を九界の果てまで轟かすフレイヤ殿。しかし、気高き花ほど手折る時は興味深いというもの……。しかし、小虫どもの中にもフレイヤ殿ほどで無いにしろ、上物が揃っておる。フレイヤ殿の前に、先にそちらから味見するのも良いかもしれん……」

 

シリカ、リズさん、シノンさん、アスナさん、リーファさんの順に視線を移し、スリュムはニヤニヤと厭らしい笑いを浮かべる。

 

女性陣の行動は素早く、シリカは俺の、アスナさんはキリトさんの、シノンさんはアヤメさんの、リズさんはアルブスの背後に隠れる。

 

そして、俺たちもそんな女性陣を守るように前に立つ。

 

唯一、彼女・彼氏持ちでないクラインさんとリーファさんは武器を構えていた。

 

ただ違うのは、リーファさんは毅然とした態度で、目は女性の敵を討つような目をしていて、クラインさんは、悔しそうに、そして、目から一筋の涙を流していたということだ。

 

「自分の彼女守れなくて、彼氏が名乗れるかよ。シノンには指一本触れさせないぞ」

 

「俺から専属鍛冶師を奪うってんなら、死ぬ覚悟はできてんだろうな?」

 

「アスナは奪わせない。必ず、俺が守ってやる」

 

「シリカに手を出すって言うなら、お前は俺が倒す」

 

スリュムのセリフが自動クエスト・ジェネレーターとは分かっていてもあんなこと言われたら、いくらゲームだからと言って俺達は黙っていられなかった。

 

ストーリーに若干《入り込んで》しまい、男性陣はキザなセリフを言う。

 

アヤメさんは槍を手の中で回転させ、脇に挟むような形で構えを取り、アルブスは刀の刃を上に向け、顔の傍まで持ち上げ、キリトさんは、左の片手剣を水平にし、右の片手剣をスリュムに向ける。

 

俺も大太刀を正眼に構える。

 

「所詮は小虫の戯言。その威勢、いつまで保っておられるかな!」

スリュムは足を一歩踏み出す。

 

その瞬間、視界右端に長大なHPゲージが三本現れた。

 

あれを削り取るのは至難の技だろう。

 

だが、新アインクラッドのフロアボスはHPゲージが見えないから、それに比べれば、ペースがつかめる分まだマシだ。

 

「来るぞ!ユイとユウナちゃんの指示をよく聞いて、序盤はひたすら回避!………お前ら、自分の彼女はしっかり守れよ!」

 

『言われなくても!』

 

キリトさんの激励に俺達は揃って言葉を返す。

 

「……なんで俺には彼女がいないんだろ?」

 

ぼそっと呟かれたクラインさんの言葉は聞かなかったことにしよう。

 

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