異次元の逃亡者の崇拝的日常   作:鉄鷲

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「スズカさんはいかにしてトレーナーさんを崇拝するようになったか」のタイトル変更版
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異次元の逃亡者が崇拝者になるまで

「トレーナーさん!!先頭の景色が綺麗でした!!最高の舞台でこんな素敵な景色が見られて!それにトレーナーさんが待っていてくださる!!ああ嬉しい!嬉しいです!!ここまで導いてくださってありがとうございますありがとうございます!!」

「スズカ…おめでとう…君が満足いく走りができて良かった。本当に良かったよ…」

私、サイレンススズカはここまで導いてくださったトレーナーさんに何度も何度もお礼を伝える。

11月1日”栄光の日曜日”と実況が言っていた気がする。ふふ…本当にその通り。

「ところでスズカ、痛むところとか違和感は無いかい?なんだか心配で…」

「ああ!トレーナーさんが心配することなんて何一つありません!全然不調とか違和感はありません!アレはただの夢…そう夢で…あんなことは起きない…絶対起きないの大丈夫大丈夫…」

このレース直前、1ヶ月くらい前からときどき、いや、頻繁におかしな夢を見ていた。

 

第四コーナー

 

大ケヤキ

 

そこで私は終わる… 妙にリアリティがあって… これは予知夢なんじゃないかと怖くなることもあった… でもトレーナーさんが... ずっと励ましてくれて… ふふ、ほんとに優しい人。嬉しい。こんなに素敵な人はいない私のトレーナーさん私だけのトレーナーさんトレーナーさん…

「スズカ?スズカ?おーい聞こえてるか?」

「あ、ごめんなさい。ちょっとあの夢を思い出してしまって… でも身体は本当になんともありません。まだまだ走れます。走ってきますね!」

「こらこら今はレース直後なんだしどこで走るんだ。とりあえず大丈夫そうで良かった。」

本当に優しいお方。いつでも私を大事にしてくださって…あの出会いに感謝してもしきれない――

 

「お願いします。サイレンススズカを自由に走らせてあげてください!」

まだデビューしていない私は選抜レースでスカウトしてくれた前トレーナーに指導を受けていた。その人は私を速くしてくれるとは言ってくれた。でもその走り方は基本にして王道の”差し”途中まで控えめに走り最後に加速する。この控えめに走ることが私にはどうしても合わなかった。悶々としながら自主トレをする私をたまたま見つけた今のトレーナーさん。私の悩みを聞いてくれて前トレーナーに直談判してくれた。それから移籍してトレーナーさんの指導。というより私の好きな走り方。形で言えば”大逃げ”で走らせてくれた。

「スズカは自由に走ってるとき本当に楽しそうだね。競ってるときの真剣な顔も素敵だけど。走るのが本当に好きなんだね」

「はい、今までずっと走っていましたし、それに先頭の景色はとても綺麗なんです。」

何気ない雑談、レースに向けての話し合い、不調のときは真剣に向き合ってくれた。そして勝っても負けてもずっとゴールで待っててくれたトレーナーさん。私を尊重してくれるトレーナーさん。優しくて暖かくて素敵なトレーナーさんに恵まれて少しずつ勝率もあがっていき気づけばシニア期になっていた。

 

先頭の景色は誰にも譲らない。

でもこの景色をトレーナーさんとだけは一緒に見たい。

いいえ、

一緒に見ていいのはトレーナーさんだけ…

私のトレーナーさん…

私だけのトレーナーさん…

 

「さてスズカ、いよいよ秋天皇賞が1ヶ月後に迫ってきたわけだ。ここからはトレーニングを… どうしたんだ?妙に考え込んで?調子が悪いのかい?」

「え?いえ…ただそのう… ちょっと悪い夢を見まして… 少し寝不足かもしれません。」

「そうなのか。じゃあ今日は無理しない程度に軽めにしよう。」

「はい。今日もお願いします。」

この頃からね…例の悪夢を頻繁に見るようになったのは…

「スズカさん、今日もうなされてましたよ?最近ずっとじゃないですか?今日は授業もトレーニングもお休みしたほうが…」

「平気よスペちゃん…このくらいで休んでられないわ…トレーナーさんに失望されたくない…大丈夫なはず…」

「スズカさん…」

スペちゃんにも心配されるくらい酷い状態にもなった…さすがにトレーナーさんもこれはただ事ではないと思ってくれた… 心配してくれた…嬉しい… 

「スズカ…その夢はどんな夢なんだ?思い出すのは怖いかもしれないけど原因をつかめるかもしれない。教えてくれないか?」

「はい…あの夢は――」

 

夢の内容はいつも同じ、

第四コーナー

大ケヤキ

57.4秒

11月1日

――

 

気づけば私は泣いていて口は言葉を発していなかった

「スズカ…よく話してくれた…辛かったな…」

トレーナーさんは優しく頭をなでながら言ってくれた。少しだけ気が楽になった気がする。誰かに話すと軽くなるというのは本当なのね…なんて今なら思える。それともトレーナーさんが相手だから?もっと撫でてほしい溶かしてほしい…

「思うにメンタル的な問題。それだけじゃないかもしれないけど一つずつ当たってみよう。スズカ、大丈夫だよ、逆に良い夢にしてやろうじゃないか」

そう笑いながら言ってくれた。少し元気が出た気がする。

まず身体の精密検査。異常なし。念のためトレーニングは負担が少ないものに変更。

次にメンタルケア。気分転換にトレーナーさんと出会った頃に行った景色のいい草原を少しだけ思い切り走った。思い切りと言っても負担になるといけないからとトレーナーさんと一緒に走った。普段は誰かに合わせるとストレスになるのに全然苦しくなかった…これが効いたのかな?レース数日前は悪夢を見なかった…

 

そして11月1日。天皇賞秋当日。控室で最終確認。

「今のところ身体的に問題なし。夢も数日は見ていない。全て問題なしと信じるしかない。でも絶対に無理はしないこと。少しでも異常を感じたら中止するんだ。スズカが一番大事なんだからね。」

そうトレーナーさんが言ってくれた。

”スズカが一番大事”

なんだかこの一言ですべてうまくいくような気がする。それから少しだけ甘えたくなった…

「あの…トレーナーさん…一つお願いがあるんです…」

「なんだい?この際だスッキリして臨もうじゃないか」

「ゴールで待っていてほしいんです。いつも通りに。私が先頭で帰れるように。」

「もちろん!スズカが先頭で無事に帰ってくるところを一番最初に出迎える。それが俺のトレーナーとしての役割だ!安心して走っておいで!」

私の頭を撫でながらそう言ってくれるトレーナーさん… 完全に吹っ切れた気がした。

「はい!行ってきますね!トレーナーさん。」

 

 

天皇賞秋、”栄光の日曜日”から約1ヶ月。私とトレーナーさんは温泉旅館にいた。年始に福引で当てた旅行券を使う絶好のタイミングと言える。まるでこのために今までがあったかのような幸せな時間。あ、この苺大福美味しい。

「はい、トレーナーさん苺大福ですよ。あ~ん」

「おいおいさすがにそれは… まあいいか」パクッ

「そうです、思いっきりくつろいでくださいね。トレーナーさんを労る旅行なんですから。」

「スズカが頑張ったからこの旅行があるんだぞ?そうだ、二人で頑張った記念にしようか。」

「いいですね!素敵ですね…」

そうして話が弾んでいく。ああ…なんて幸せな…

「今後の事と言えば来年からチームを持たないか?と話が来てるんだ」

「え?」

今なんて?チーム?誰かが入るってこと?あり得ない絶対に許さない渡さないトレーナーさんは絶対に渡さない誰にも譲らない先頭の景色とトレーナーさんの隣は私だけのもの……

「…でもまだまだスズカと頑張っていきたいし複数人を見るのは向いてないから断ろうと思うよ。うん…」

「そうですよね!トレーナーさんの実力を疑うことなんて万に一つもありません。でもトレーナーさんは私だけを見ていてほしい…じゃなくてずっと導いてほしい…のは本当だけど今はまだ恥ずかしい…仕掛け時は今じゃなくて(ブツブツ…)」

 

(あ~ スズカの様子がおかしいとは思ってたけどこれは重症だな…

でもかわいいなあスズカ…たまにこういう話を振るのもアリだな)

 

割れ鍋に綴じ蓋、このサイレンススズカにしてこのトレーナーである。




<後書き>
かわいいスズカさんにはヤンデレ成分を付与せよ。三女神もそう言っていた気がするし自分が見たかったのでひねり出しました。ヤンデレにもいろいろ種類があるけどスズカさんには崇拝型独占執着が似合うと思います。理由?かわいいから。まあ自分がそういうスズカさんを見たいなあということでそうなってもらいました。
スズカさんとアヤベさんが並走するけどなんかペースが合わない。でも各々自由に走るとすごい調子がいいっていうイベントあるじゃないですか。あれいいよね二人共孤高な存在っていうかマイペースっていうか。一等星と逃亡者。すごくすごい良いと思います。
実はアヤベさん好きなんですよねRTTTはいいぞ!
アヤベさんとアヤトレさんはもう共依存メリーバッドエンド一択!!って即決まったんですけどスズカさんはどうすっかなあ~と三女神様に尋ねたらまあこういうのが生えてきたわけですね。スズカさんのところのトレーナーさんも中央のトレーナー陣としては平均的な感じだから味付け加工はしやすいほうですね。だからスズカさんとトレーナーさんの共依存純愛ルートも見たいなあと思うのでどなたかお願いします。やっぱりスズカさんには幸せになってほしいわけですよ。もちろんアヤベさんもね。
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