【完結】蒼い星へ還る日まで〜少女六人、終末世界で自由気ままなスローライフはじめました〜   作:スグリ@あれこれ書いたりする人

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ロボットを改造しよう

 記憶を取り戻してからも、することが大きく変わることもなく。畑から野菜を採って、種を植えて、釣りをしたり狩りをしたり。そうして食べ物に余裕ができた時には基地や街を探索したりしながら、それなりに安定した生活を送り続けていたある日。

 

「あっ」

「どうしたのフランちゃん」

「そういえば、思い出したことがあるんです」

「なになに、どったの」

 

 朝、目を覚ました時。フランが突然あることをふと思い出したようです。一体どうしたのでしょうか。

 

「ゼクト・オメガの自己修復機能についてです。詳しくは格納庫で話しましょう」

 

 自己修復機能。それが何なのかを確かめる為にも、この日は着替えて準備を済ませてからみんなで格納庫に向かうことになりました。

 

 

 

 

 

「なんで格納庫? ここってガラクタばっかだったよね〜」

「何も、使えなかった……」

 

 格納庫といえば記憶を取り戻す前にも一度訪れましたが、その時は確かにロボットの武器やパーツはたくさんあったものの、長い年月で全部使い物にならないくらいに劣化してしまっていました。

 

 当たり前ですが、改めてやってきた今もその様子は前から変わりはありません。こんなところでフランは何をしようとしているのでしょう。みんな疑問に思う中、フランは説明を始めます。

 

「ゼクト・オメガに私たちの身体の中の物と同じ、ナノマシンが組み込まれているというのは皆さん知っていますよね」

「そういえばそうだったね」

「そしてそのナノマシンには、傷ついた機体を自己修復する機能があるんです。私の機体は肩に天使のレーザーを受けて装甲が焼けてしまいましたが、その傷ももうありません。もっとも、部位が丸ごと壊れてしまえば直せませんが」

「再生能力か」

「メンテとか全然してないのにちゃんと動くのもそれのお陰だったりすんの?」

「その通りです」

「自分で自分を直しちゃうんだ。やっぱりすごいロボットなんだね、私たちのって」

 

 ナノマシンはゼクト・オメガとそれに乗る光里たちの身体の中の両方に入っていて、普段は操縦しやすいようにパイロットの意識を機体に伝える役割を担っています。これのおかげでみんなは簡単に、自分の手足のようにゼクト・オメガを操縦できるのですが、このナノマシンが機体の修理まで自動でしてくれているのだといいます。

 

 確かにみんな機体の整備なんて一度もしていませんが、それでも何の問題もなく動き続けているというのはその証でしょう。

 

「ですがそれ以上に、凄まじい機能があったんです」

「流石開発者の一人。詳しいな」

「ここから先は機体に乗って説明しますね」

 

 ただこの機能には、自分の修理以外にもできることがあるみたい。それを説明する為に、フランは自分の機体に乗り込むと使えない筈のバズーカ砲を手に掴みました。

 

「あれ、それって使えないんだよね?」

「それが、使えるんです」

「でも弾とか出なかったよ〜?」

「ゼクト・オメガには、接触した部品にもナノマシンを流し込んで修復する機能があるんです。物理的に破壊されていては修復できませんが、経年劣化であれば火薬なども含めて使える状態にまで復元することが可能です」

「持つだけで、修理できる……」

「ヤバくね、それ」

「相当ヤバイぞ」

 

 なんとこのゼクト・オメガの修復機能、限度はありますが触れたものにも触れて修理することができるというのです。長い年月で変質してしまった火薬さえも、元に戻してしまえると。

 

「だったら、他のロボットも復活させられるの?」

「復活はできますが、ゼクト・オメガとは比べ物にならないほど弱いですね」

「そっか……」

 

 直せるのはロボット本体もですが、流石に縮退炉も核融合炉も積んでいない300年前のゼクトでは強さはオメガの足元にも及びません。天使を前にしても一瞬でやられてしまうでしょう。

 

 けれどこのお話は、これでは終わりませんでした。

 

「ですがパーツをゼクト・オメガに取り込む形で換装すれば、ゼクト・オメガの性能そのままで機体特性を大きく変えることは可能ですね」

「マジ!?」

「本当かそれは!」

「あ、ゲーマー二人が反応した」

「は、はい。できますが……」

 

 部品をゼクト・オメガに取り込んで、性能をそのままに特性を変えられる。それを聞いた途端、智実と小夜子は目の色を変えて大興奮です。

 

「カスタム要素だぁ〜っ!」

「ここにある部品だけではない。世界中からパーツを集めて自分の機体を改造できるということだ。燃えるな」

「ふららんの説明じゃピンとこなかったけど、つまりロボを自分好みに作り変えれるってこと?」

「いえ〜す!」

 

 この機能があれば、今は崩壊砲を積んでいる光里の1号機以外ほとんど同じ量産機のゼクト・オメガを、簡単に自分の好きなように改造してしまえるというのです。

 

「リアルで自分専用機をカスタムして乗ることができる。これ以上のロマンはないぞ」

「なんだかすごく楽しそう!」

「私も、やってみたい……」

「つくみんも意外と乗り気だし、うちもやってみるか」

「あくまで現地での部品補給の為の機能でしたが、そういう見方もあるんですね。確かに楽しそうです」

 

 この機能はあくまで機体が壊れた時の部品の現地調達の為のもの。ですがこれを使って自分だけの専用ロボットを作ることができると聞くと楽しそうに思えて、みんな乗り気になってきました。

 

「ねえねえフラン、これって繋いだらどれくらいで動くの〜?」

「えっと、二時間くらいですね」

「よし、なら決まりだね! 今日はみんなでロボット大改造、してみよう!」

 

 こうしてこの日することは、ロボットの改造に決まったのでした。

 

 

 

 

 

「おーらいおーらい!」

「ドッキングするよ〜」

 

 部品の取り付けは、ロボットに乗っての手作業。装備品や、下半身を付け替えるときは胴体を他の機体で持ち上げて嵌め込んでいきます。

 

「よし、ハマった!」

 

 ガシャンと音を立てて、上半身と下半身が繋がりました。こうして、改造作業は順調に進み……。

 

 

 

 

「お弁当、すごく美味しい!」

「ポテトサラダとハンバーグ、最高〜!」

 

 一通りできたところで、修理の待ち時間にはみんなでお昼ご飯のお弁当タイム。竹製の弁当箱に詰まったりんご入りポテトサラダと鹿肉のハンバーグは、まさに絶品の美味しさです。

 

「すりおろしたじゃがいもを、つなぎにしてみたの……」

「ポテトサラダはうちが作ったんよ」

「すごく美味しいです!」

「冷めても肉汁が出てくるのはどういう技術なんだ、これは」

 

 マヨネーズがないなど調味料の不自由さはあるものの、そんな中での料理にも慣れてきたのか月美と悠樹のサバイバル料理の腕前はみるみる上がっていました。今ならお店もできそうなくらいです。売る相手はいませんが。

 

 

 

 

 

 みんなでお弁当を食べた後、おしゃべりをしたりして時間が経ち、そしてついに……。

 

「できたーっ!」

「いや〜、いい感じになったね〜」

「多分、乗りやすくなった……」

 

 全員の機体の自己修復が終わり、みんなの専用ロボットが完成したのです。

 

「早速発表会といくか」

「じゃあ私のロボットから!」

「光里さん、どんな機体でしょうか」

 

 そうとなれば早速発表会。月にいた頃のスムージーパーティーを思い出しながら、まずは光里から専用機を発表します。

 

「そう言っても崩壊砲があるからあまり変えられなかったけどね。一応私が隊長だから、みんなとの通信用のアンテナを頭につけて、脚にもジェットをつけてみたの。これなら崩壊砲を背負っていても動きが素早くなるし、キックでも敵をやっつけられるかなって」

「ブーストキックだ〜!」

「使いづらそうだが、光里なら問題ないだろう」

「上級者向けな感じ?」

「流石……」

「光里さんは私たちの最高戦力ですからね」

「えへへ……」

 

 光里の専用機は背中に崩壊砲があるので大きく変えることはできませんでしたが、脚のブースターで素早く動けるようにしつつリーダーとしてアンテナで通信機能を強くしていました。

 

 脚の推進力がとても強く崩壊砲のせいで重心も偏っていて、とても扱いづらくはなっていますが、天才的なテクニックを持つ光里なら大した問題ではないでしょう。

 

「次はふららんでどう?」

「わかりました」

 

 次に発表するのはフラン。彼女は一体、どんなカスタマイズをしたのでしょう。

 

「私は索敵範囲を広げるレーダーアンテナを増設したのと、空中戦が苦手だったので割り切って滑走用のホバーユニットを取り付けて陸戦に特化させてみました。電子戦装備も組み込んだので、もしかしたら何かの役に立つかもしれません」

「苦手を他で補いつつ得意なことに特化させたか。それもアリだな」

「なんか頭よさそ」

「これこそフランにしか使えないよね〜」

「まさに専用、だね!」

「二人とも、すごい……」

 

 フランの専用機は、敵を見つけてみんなに伝える機能とハッキングなどの機能もつけた、いわゆる電子戦型。先の戦いで空で戦うことの苦手意識も感じていたので、陸地での戦いで素早く動けるようにホバーユニットも取り付けられています。

 

 苦手なことは割り切って、得意なことを伸ばす。これもまた、専用機の正解の一つかもしれませんね。

 

「そういう月美はどんなのにしたの?」

「バリアがあっても敵の攻撃は怖いから……鎧を着せて、遠くからでも戦えるように背中に大砲を付けてみたけど……臆病、だよね」

「いいと思う!」

「増加装甲とキャノン砲、まさに支援砲撃機って感じで好きだよ〜。ガ○キャノンみたいで」

「これもまたロボとしては王道だ。防御力を高めるからこそ思い切って前に出られるということもあるし、なかなかにいいカスタマイズだ」

「てゆか普通にかっこいいじゃん。マジで」

「とても強そうです」

 

 そして次に月美の専用機。追加装甲で守りを固めながら、大砲で攻撃力を高めた重装備のロボットです。

 

 身を守りながら遠くから撃つことを考えた作りは臆病だったかなと、月美は少し自信なさげ。けれど攻撃と守りを強くすることは、操縦の上手さとは関係なしに間違いなく強力な王道のカスタマイズです。ここまでの二人が癖の強い作りだったこともあり、そのシンプルな力強さはみんなからも好評みたい。

 

「次うちいい?」

「悠樹さん、どんな風にしたんですか?」

 

 次は悠樹の専用機。ですが……。

 

「なんか可愛いなーって思ってキャタピラにしてみたらさ、色々載りそうだからってミサイルとかキャノンとかいっぱい着けてたら止まらなくなっちゃって」

「ガチタンだ〜っ!」

「要塞だな」

「要塞ですね」

「なんだかすごいね」

「悠樹の、強そう……」

 

 その悠樹の専用機は、これまでの三人とは全く違うシルエットの超重装備。下半身は戦車のようなキャタピラに変わり、武器にはミサイルランチャーや大砲、ガトリング砲などこれでもかと取り付けられていました。

 

「どうよ」

「一国を攻め滅ぼせそうなオーラを感じるな」

 

 見ただけでもわかる、圧倒的な火力。全てを焼き尽くさんばかりのそれは、悠樹の言うような可愛いとは程遠い威圧感を見た人に与えます。

 

 ですがここで、ある問題に悠樹は気付いたみたい。

 

「あっ、やば。これ飛べなくね?」

「今更気付いたか」

 

 脚がなくてジャンプもできない上に、あまりにも重過ぎて空を飛べないんじゃないかと。移動のことも考えると、それは少し困ります。

 

「いえ、飛べますよ。縮退炉の副次効果として重力制御があるので」

「マジで?」

 

 ですがそれは、ゼクト・オメガに積まれている縮退炉という動力のおかげで問題ないみたい。これが飛べるというのは違和感がありますが、ひとまずこれで安心です。

 

「次は私でいいか」

「お、小夜子はどんな機体かな〜?」

「基本性能が高いからな。ここは追加ブースターで機動力を更に上げて、思い切って敵に向かっていけるよう高機動型にしてみた。バリアを抜けてくる天使の攻撃は手持ちのシールドで防ぐつもりだ」

「光里さんとは違う形で上級者向けに感じます」

「ゲーマーらしい機体だね〜」

 

 その次は小夜子の専用機ですが、こちらもまた光里ほどではないにせよ扱いづらい機体になっていました。

 

 武器はミサイルを追加して左手には盾を持ち、背中と脚にブースターを取り付けて素早く動けるようにカスタマイズ。基本的な性能はそのままに速度を大きく上げた機体は乗り手にも相応のテクニックを求められます。

 

「そういうお前の機体はどうなんだ、智実」

「あたしも似たような感じだけど、小夜子よりも近接寄りかな〜。ビームライフル以外は全部ブレードとかで固めてるよ〜」

「小夜子と智実のロボット、なんだか自信を感じる……」

「わかるわ。なんか自分のテクに自信があるゲーマーって感じっしょ」

 

 そして智実もまた自信があるようで、小夜子と同じようなカスタマイズをしていました。違うところは小夜子はミサイルを取り付けたのに対して、智実は剣を何本か取り付けて接近戦に特化しているというところです。

 

「でも小夜子さんは近距離型にはしないんですね」

「自慢ではないが、私の強みは洞察力だと自負していてな。連携を考えると俯瞰的に周囲を観察できる射撃型の方がいいと考えたんだが」

「天使との戦いでも小夜子さんの気付きには助けられましたからね」

「めっちゃ考えてんじゃん……!」

 

 小夜子が接近戦用にしなかったのは、ある程度離れて敵を観察できるようにする為。自分の強みまできちんと考えて作っていることに、勢いだけで作っていた悠樹は驚かされ、そして自分の適当さを少しだけ反省しました。

 

「これでみんなの専用ロボット完成だね!」

 

 これにて専用機の発表会は終わり。今後戦うことがあるかどうかは別として、どれも個性的な機体に仕上がっていました。

 

 後は早速この専用機に乗って、コンテナハウスに帰るだけ。なのですが……。

 

「ああ、そうだ」

「小夜子、どうしたの?」

 

 専用機を作る中で、格納庫を物色していた小夜子は何かに気付いたみたい。

 

「格納庫の奥に巨大な扉を見つけてな。何なのだろうかと気になった」

「あれですか。言われてみると扉になっていますね」

「あれなら、ロボットも通れそう……」

 

 それは、格納庫の一番奥深く。ゼクト・オメガが簡単に通れてしまうほどの、そのせいで生身ではただの壁に見えてしまうほどの大きな扉でした。

 

「今日は時間がないから、あの扉はまた今度にしよう」

「シャワーじゃなくてお風呂入ろっと」

「埃っぽかったからね〜」

 

 ただ今日はみんな疲れてしまっていますし、これだけ大きな扉の向こうとなるとそれだけの準備をしてから調べに行かないといけないでしょう。

 

 ひとまず扉のことは置いておいてみんなはそれぞれ自分の機体に乗り込み自分たちの家、コンテナハウスへと帰っていきました。

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