カルデアM.U.G.E.N.の座   作:シン・いしい

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第十三節.今にも落ちてきそう(物理)な月の下で-6

 スケルトンという敵は確かに物理攻撃に対して高い耐性を持っている。原型を留めないほどの破壊であってもすぐに再生する様は無敵にも見えた。

 しかし、あくまでこれは魔力によって継ぎ接ぎされているだけに過ぎない。テルミの魔力蛇のように破壊されたリソースが回収されるわけではなく、いずれ再生不可能となる。

 そういう意味では承太郎の初見の印象ほど手強い相手ではなかった。

 

 さりとて、スケルトン全員をシラミ潰しにする必要もない。

 承太郎は、ある程度破壊が進んだスケルトンの動きが鈍くなるのに気が付いた。

 

 承太郎はスタープラチナの拳で眼前のスケルトンを粉砕し、そのままマコトの方へ走った。マコトもマグナムで接近を妨害するが、スタープラチナが難なくそれを払い退ける。

 あと数歩近づければ、時を止める。承太郎は能力に精神を集中させる。

 が、それはまたもや、右斜め後からの聞き覚えある重低音に阻害された。

 

「……! こいつは、まさかッ!」

 

 左横に転げ避ける承太郎のすぐ目の前を横切ったのは、ヨハンナ――マコトのペルソナだ。バイク型のそれは自律的にも動くことができ、機動性はもちろん重量を活かした突進も高い威力を発揮する。

 生身の承太郎はヨハンナに激突されれば骨折程度では済まない。

 

 承太郎が冷や汗かきながら息を吐いている間に、マコトは颯爽と現れたヨハンナに飛び乗る。

 

 承太郎は静かに舌打ちした。こうなっては捕捉はかなり難しい。承太郎とマコトでは機動力に差がありすぎる。

 

 マコトはその異様なバイクで壁を走って大回りに距離を取る。その間も遠慮なしにマグナムをぶっ放し放題だ。

 

「ちいと……まずいな」

 

 前回のマコトとの戦いで承太郎は切り札を見せてしまった。力量を測っていた以前と違い、マコトが自ら接近することはあり得ないだろう。そして性質上、ライダーであるマコトが承太郎より先に息切れするとは思えない。

 承太郎は戦況を変える必要に迫られていた。しかしスケルトンの群勢も相変わらず復活し続け、絶え間なく承太郎に襲い掛かる。

 

「シャアアァッ!」

「オラァッ!」

 

 承太郎は迫るスケルトンの腕を手刀で落とすと、その手に持っていた歪曲剣(シミター)を掴み取り、マコトに向かって投擲する。狙いは精密でパワーも申し分ない。

 尤も、マコトとてそこは得意分野だ。豪速で迫るシミターをナックルダスターで弾き落とすと、それは地面にぐっさり突き刺さった。

 

「チッ。ま、この程度じゃ足止めにもならねーか」

 

 どうも敵はこの霊脈にご執心らしい。承太郎はそう考えた。あの速度なら他の霊脈へ簡単に逃げることが出来るだろうに……それをしないのは、ここの霊脈がよほど惜しいのか、他の霊脈にもサーヴァントが張っていることをお見通しなのか。

 或いは、

 

「よっぽどおれが舐められているか」

 

 確かに、単純に二基分の魔力を有するマコトの戦力は今やサーヴァントの中でも最上位だ。が、戦力というのが戦闘のみの話なら、承太郎も決して劣ってはいない。

 

「オラオラオラオラオラオラオラオラァッ!」

 

 お得意の高速連続拳打で四方のスケルトンを破壊する。それだけではない。攻撃と同時に、砕けたスケルトンの骨を器用に掴み取り、それを粉々に握り潰しているのだ。

 これでは、さしものスケルトンも再生しようが無い。

 

「……」

 

 マコトは射撃も忘れて承太郎を見やる。例の如く無表情だったが、もしも精神を操られていなければ驚いていたのかもしれない。一方で承太郎は……慄いた。彼の目の前に、再び幾つもの空間の歪みが現れたからだ。

 

 そして予想通り、そこから溢れるようにスケルトンが出現した。数も先ほどより多い。承太郎の実力を認めた今、魔力を節約する気はなくなったようだ。

 

「しくじったな。もう少し、手加減してやるんだったか」

 

 苦笑いする承太郎に、スケルトンどもがカラカラと音を立ててにじり寄る。時を止めれば簡単に殲滅できるだろうが、体力の消耗が激しい。とはいえ、このままではジリ貧。いずれ立ち行かなくなることは目に見えていた。

 

「ウシャアアアアッ!」

 

 堰を切ったようにスケルトンどもが雪崩れ込んでくる。

 まずは群れを突破し、種火を使う隙を見つけなければ。

 承太郎が覚悟を決めてスタンドを現出させた時――頭上を影が舞った。

 

「やあぁッ!」

 

 同時に聞こえる、まだ幼さの残すも凛々しい少女の……

 

「……マシュ!」

 

 マシュの大盾が眼前のスケルトン数体を同時に粉砕した。スタープラチナほどの威力と精密さはないが、群勢に穴を穿つには充分だ。

 

「承太郎さん、前を突破します!」

「ああ。後ろは任せろ」

 

 承太郎もマシュに続き、追ってくるスケルトンを叩きのめす。群れを抜けるとすぐに、マシュが二人を包む防御結界を敷いた。光の壁が二人を囲むように防御する。

 

「また助けられたな」

「いえ、アルターエゴ討伐は私たちBB団の目標。共闘は当然です」

 

 そのチーム名は生きだったのかと思いつつも、承太郎はそれを口にせず種火を砕いて体力を回復する。

 

「どうして寺の霊脈にアルターエゴが居ると分かった?」

「……郊外の城の霊脈には既に殆ど魔力がありませんでしたから」

「やつが月を召喚するのに使ったってことか」

「恐らくは。それで……」

 

 マシュは目を細めて、遠くのマコトを睨んだ。

 

「あれがアルターエゴですか」

「ああ。奴の仮面がそうらしい。女の方はライダー」

 

 マコトはマシュの結界の強度を理解しているのか、銃撃はしてこない。スケルトンどもはというと結界に剣を叩きつけているが、正に無駄骨。マシュの防護はびくともしない。

 

「外の様子はどうだった?」

「テルミの魔力量が著しく低下しています。しかし……月の破壊もかなり進んでいます」

「……おれたちにとってもヤツにとっても、モタモタしてられないワケか」

 

 

 

 




ペルソナ5のBGMはカネシロパレス(前半)が最高に好きです。
次回更新は7/6(木)の13時予定です。
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