ヒーロー【セイバーオルタ】   作:なゆさん

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遅くなって本当にすみません。
何度も謝ってますがすみません。
謝罪の気持ちがあるのかと思われるでしょうが本当にすみません。


7話

初めての戦闘訓練が終了し、落ち込んでいるであろう爆豪を慰めようとマスターが四苦八苦していたが、結局は緑谷が立ち直らせた。緑谷や爆豪ばかりを気にしてもいられないので他の生徒達の授業映像を再度確認したのだが、まだ未熟な部分は多々あれど、それぞれ伸び代を充分に見せてくれた。

 

「マスターは贔屓目なしで誰が最も期待できると思う?」

「う~む、緑谷少年! と、言いたいところだけどね。贔屓目なしで見るならやっぱり轟少年と八百万少女かな。轟少年は氷だけしか使っていないものの、よく鍛え上げられてる。学生であのレベルは中々いない筈だ。エンデヴァーの教育がいいのかな? 八百万少女は万能とも言える個性とそれを活かせる頭脳を持っている。今回の屋内戦闘訓練ではそれがいかん無く発揮されていた。――まあ、後は爆豪少年もだね。今回の訓練や普段の態度は別にして、実力面は轟少年にも劣らないだろう。他の皆も優秀だ。きっといいヒーローになる」

 

マスターの言う通り、今年の1年生は粒揃いだ。つまり、

 

「――緑谷がマスターの後を継ぐ気なら……」

「そう! 死ぬ気でプルスウルトラ! してもらわないとね」

 

ただでさえスタートが遅れているのだ。生半可な努力ではどうしようもないだろう。いくらワン・フォー・オールがあったとて、宝の持ち腐れだ。そうなれば、

 

「私は、緑谷がマスターの後継とはまだ認めてないぞ。奴が求められる水準に到達できなければ、そのまま見捨てるつもりだ。手を貸すつもりはない」

「――そうはならないよ。私は緑谷少年を、彼の輝きを信じている」

「……そうか」

 

マスターの力強くまっすぐな瞳。それを見ていると、なんだか無性に胸にナニカが湧いて、

 

(あぁ、本当に()()()()()に――)

 

『ズキ』

 

「――ッ!」

「む。大丈夫かい?」

「少し頭痛がしただけだ。問題ない」

 

(何だ? この頭の痛みに、突然湧く明らかに不自然な感情……。何らかの個性の影響か? そんなもの食らった覚えはないが……)

 

ここ数日、偶に起こる頭痛とそれに伴い感じる謎の感覚。ただの偶然であれば何度も起こり得ないだろう。何かしら原因があると思われるが……

 

(なんだか嫌な予感がする。相談しようにも、マスターに言ってしまえば変に動き出してしまいそうだな……。この予感が杞憂で済めばいいのだが)

 

結局、疑念は解消されないままであったが、この日は特に何もなく一日を終えた。

 

 

◆◇◆◇◆

 

翌日

 

学校でいくつか授業を終えた休み時間、次の授業の支度をしていた私の仕事用の携帯電話に着信が入った。

見れば、何度か共に仕事をした事のあるヒーローからだ。

 

「もしもし」

『もしもし! セイバーオルタか!? 頼む、大至急来てくれ!』

「落ち着け。状況は?」

『手練れのヴィランが廃ビルに立て籠もってる! 交戦した俺のサイドキックが人質に取られた! そいつの要求がお前と会う事だ!』

「何? ――そいつの容姿は?」

『黒の神父服の、長身で黒髪黒目の男だ!』

 

知らない。恐らく直接の面識はない筈。……まぁ、私をご指名なら行くしかない、か。

 

「分かった。すぐ向かう」

 

通話を切り、学校の書類を片付け、準備を整える。

いつも通りならば休み時間中に終わるが、今回は何故か妙な胸騒ぎがする。連絡してきたヒーローも手練れと言っていたし、一筋縄ではいかないかもしれない。

 

「……遅刻してしまうかもな。一応伝えておくか」

 

念の為、今日授業を共にするブラドキングにその旨を伝えてから、送られてきた位置情報の下に向かった。 

 

 

◆◇◆◇◆

 

 

「待たせたな」

 

10秒程で現場に到着する。

 

「相変わらず早ぇな! だが助かった! とにかく、俺のサイドキックを助けてやってくれ! 相手はこの廃ビルの3階にいる!」

「了解した」

 

廃ビルへ潜入する。

中は薄暗く、廃ビル特有の埃っぽい匂いがする。私の勘に引っかからないあたり、危険な罠の類はなさそうだ。人質もいるため、急いで三階に上がる。

 

 

三階に到着した私の目の前にいたのは、情報通り、神父姿の長身の男。暗く濁った目が印象的な男だ。

 

『ズキ』

 

また頭に痛み。それを努めて無視し、悠然と立つその男に相対する。

 

「ご機嫌よう、セイバーオルタ。このような場所ではもてなしもできんが、会えて光栄だよ」

「もてなしなど必要ない。手早く終わらせる」

「これは手厳しい。だが、そうは言ってもこちらも与えられた役割を全うせねばならんのでね。暫く付き合ってもらおう」

 

男はそう言うと、独特な構えをとった。

与えられた役割という言葉。もし真実ならばこの男には仲間、もしくは上の存在がいる。視界に人質の姿もないことから、もしかしたらこの廃ビルに仲間がまだいるかもしれない。

―――周囲を警戒しつつ、最短で終わらせる。

 

「フッ!」

 

一瞬で距離を詰め、常人には認識不可能なスピードで拳を放つ――が、

 

「何を驚いている? この程度で全力という訳ではあるまい?」

 

私は咄嗟に距離を取っていた。

いとも簡単に拳を受け止めたその男は、薄気味悪い笑みを浮かべたままこちらに問いかける。

もちろん今のが全力ではない……が、ほとんどのヴィランは今の一撃で片がつくのだ。その一撃に反応どころか完全に対応されるとは。

 

「……認識を改める必要があるな」

 

こいつ自身もそうだが、そのバックの存在。もしかすると――

 

「私の手の内が分からず、仲間が控えている危険がある。その上、バックに誰かいるような発言。君を私自身がここに呼び寄せたという事実。――安易に攻め込まないのも仕方あるまい。……さてどうする? 私としては、そこで苦悩する君の顔を眺めているのもやぶさかでないのだが」

「殺す」

「ぬっ!」

 

剣を呼び出し、男に向けて振るう。

先程の数段上のスピードだったが、やはり男はひらりとその斬撃を躱した。

 

「それがセイバーたる所以か。今まで一度しか使用されていないというが……躊躇なく剣を振るものだ。ヒーローたるもの、人命第一ではないのかね? だから君も、その剣の使用を控えていただろう?」

「ヒーローを拉致し人質に取る精神性と実力の高さ。危険なヴィランとして排除するには十分な理由だ。それに、私の勘がお前は危険だと言っている」

 

剣を構え、周囲の警戒も怠らず、油断なく相手を見る。

目の前で自らの命を脅かす凶器を構えられても、その男はその悠然とした態度と薄気味悪い笑みをやめない。明らかに余裕がある。

 

「諦めて投降しろ。お前に勝ち目はない」

「ふむ、通常ならば確かにそうだ。――しかし、人質がここにいる可能性が高い以上、君はこの廃ビルが崩れるような威力の技は使えない。同様の理由で踏み込みもセーブする以上、スピードも先程の攻撃程度が限界。これ程の条件ハンデがありながら、尚も周りを警戒しつつ、私に勝てると?」

「…ああ。その程度造作もない」

 

そう返答したが、男の発言は実に的を得ている。私が負ける事はないが、同時に私の今出せる最高速に対応できるこの男にダメージを与えるのは至難の業だ。

それを男も分かっているからこそ、あの余裕なのだろう。いや、もしかすると、いくつか勝つための策を仕込んでいるのかもしれない。

 

「ダァ!」

「ふっ! ……ハンデありとはいえ、流石に速いな」

「黙れ――フッ! ハァ!」

「手数で押そうと無駄だ」

 

今出せる全力の一撃も、己の技術を駆使した連撃も、男は紙一重で躱す。

男の戦闘技術がずば抜けているのもあるが狭い屋内という場所では、どうしても剣という小回りの効かない武器は真価を発揮できない。

こうなってしまえば、最早素手の方がマシだな。

 

「……剣を消したか。いい判断だ」

「ほざくな!」

 

再び接近。勢いそのままに蹴りを放つ。

 

「ふん!」

 

男は独特の動きでその一撃を躱し、私の鳩尾にカウンターを入れる。

 

「かハッ!」

「動きが直線的になってきているぞ? そんな単純な一撃で、私を倒せると思っているのかね?」

 

……確かにその通りだ。どうも今の私は冷静さに欠けている。

 

(何故私はこうも苛立っているのだ?)

 

普段の己ならばこんなミスはしない。こんなに感情的になることもない筈だ。なのに、何故か目の前のこの男の言動一つ一つに過剰な不快感を、怒りを覚えている。

 

『ズキ』

 

「ぐっ」

 

再び例の頭痛。

 

「ふむ、どうやら何かしら思い悩む事があるようだ。どうだね? これでも主に仕える神父だ。話ぐらいは聞くが?」

「くっ……黙れ!」

 

不味い。精神が安定しない。何故こんなにもヤツに心が乱されるのだ。

 

「む? ――すまない、セイバーオルタ。悪いが時間だ」

「何?」

「中々に楽しい時間だった。再び会うときは、その迷いを払ってから来るがいい。」

 

一体どういう事だ? 何故いきなり? 男自身がヒーローを人質に取り、私を呼び寄せたというのに? ヤツの狙いが分からない――

 

「さて――」

 

ヤツが窓へ向かう。

 

「逃がすと思うか!」

「――()()()()()

 

ヤツが呟くと、窓の先に黒いモヤが現れ――

 

――ドォン!!

 

モヤから矢のようなものが射出され、それが爆発した。

 

「くっ! 爆破とは――」

「また会おう、セイバーオルタ」

 

男は、そのままモヤに吸い込まれていった。

 

「チッ! まだ――」

(私がモヤの中に入れば――)

 

窓に向けて最速でかける。そして――

 

「人質は返しておこう」

 

神父の声が聞こえたかと思うと、モヤの中から縛られた人を担いだ赤い外套を羽織った左半身らしきものが現れ、持っていた人を投げ飛ばしてきた。

避けるわけにはいかず、それを受け止める。再び前を向いたときには、既にモヤは搔き消えていた。

 

「転移の個性持ち、か」

 

あの赤い外套が転移させたのか、あるいはまた別の者がいるのか。どちらにせよ、

 

「厄介だな……」

 

これだけの個性持ちが集まる組織力。マスターが平和の象徴となって以降だと中々ない規模である可能性が高い。背後にあの男、AFO(オールフォーワン)がいるかもしれない。

結局ヤツの狙いも分からないままだ。考えられるものとしては、私の情報収集? 罠に掛けようとしてできなかった? ……駄目だ。情報が少なすぎる。やはりあの男は捕らえておくか殺すべきだった。みすみす逃してしまったのが悔やまれる。

 

「――ん、んん。ここは……」

 

人質となっていたヒーローが目を覚ました。

 

「目覚めたか。さっさと降りるぞ」

「へ? あ、ハイっす!」

 

そうして、そのヒーローを連れてそのまま廃ビルに集まっていた警官らと合流し、事の経緯を説明してから、私は雄英高校へと戻った。

 

その後、授業に大遅刻をした私は、事前に伝えていたために許されたものの、生徒とブラドキングからネチネチ文句を言われる羽目になった。




はい。麻婆神父と赤い弓兵さんが参戦しました。最初からこいつ等だけは入れようと思ってたんですよね。
相変わらずキャラ崩壊しないように書くのに必死です……。

後、アンケートを開催します。
一応どの展開も内容は考えているのですが、自分では決められませんでした。
こんな亀さん投稿のおバカ作者の作品を読んでくださる皆さん! 優柔不断な僕の代わりに今後の展開を決めてください! 選択によっちゃあバッドエンドもあるかも……

アルトリアオルタと7話時点で登場している2人以外のstay night鯖いる?

  • 鯖もマスターも全員集合!
  • 鯖はみんな欲しい
  • 三、四人くらいでいいかな
  • 二人だろ!
  • 一人に決まってる!
  • もう要らんわ!!
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