そんなこんなで新作を投下するグレン×グレンです。今回も嘗てを反省してある程度の見切り発車で進めてまいります。
インパクトを重視し、序は一時間ごとに一話ずつ透過する方向になっております。ご了承くださいな。
???Side
「約束するよ。この後どんなことがあったとしても、俺を許してくれた君に胸を張れる俺でいる」
「それで彼が前をむけるのなら、私は邪悪で構わない」
その決意が生まれた一年後、世界は大きく動き出そうとしていた。
アザゼルSide
大晦日の飲み会を終えた後、この俺アザゼルは仮眠をとってから地球の片隅にあるパブに来ていた。
本当はもっとぐっすり眠ってからするのが筋なんだろうが、飲み会を終えて仮眠をした後泊まりってのがデコイになる。
そして俺は席に着くと、先についていた奴の家族関係で話を振ることにした。
「……で、だ。妹さんはもう少しで高校三年生だったな、サーゼクス」
「進学おめでとうございます。リアス・グレモリーには私達も期待をしていますので、素直に喜びたいですね」
同じように来ていたミカエルの半分本気の社交辞令に、サーゼクスは小さく頷くと満面の笑みを浮かべていた。
「ああ、まったくだよ! なんとか時間を捻出できたので、この日の為にオーダーメイドで調達したカメラを思いっきり使わせてもらったね!」
いい笑顔だな、おい。
正直ちょっと俺はひいているが、ミカエルは妙なところで天然なのか、サーゼクスの天然発言を特に気にしてないみたいだ。
紅茶を一口飲んだうえで、普通の微笑みながら頷いてやがる。
視線をサーゼクスの後ろに向けると、給仕をしているグレイフィア・ルキフグスは同情の表情で小さく頷いてやがる。
奴さんも大変だな。部下であり主人であり夫でもある奴が、このレベルのシスコンなんだから。更に愛妻家かつ親バカも併発してるんだから目も当てられん。
……ま、そこはもういいだろう。
「じゃ、そろそろマジな話をしようぜ? 俺らがこんなところでお茶してるなんて、知られると
なんで俺が真面目な進行役をしてるんだろうなぁ。
俺はこういう時、ラインぎりぎりで思いっきりふざけたおすはずなんだが。
ま、天然が絡んで話が脱線するとあれだって分かってるが。これが純度100%のシリアスなら問題ないんだがな。ミカエルがボケに回っちまうと俺がツッコミに回るしかなくなるわけだよこれが。グレイフィアに任せ続けると俺にしっぺ返しも来るだろうし。
だが現実問題、俺の言ったことは何も間違っちゃいない。サーゼクス・
そう。分かるやつがこの光景を見れば、誰もが目ん玉をひん剥いて驚愕するだろう。
聖書に記されし三大勢力。聖書の神に仕え信徒達を導く天使。主と敵対する魔王に従い、人間の欲を叶えて対価を貰う悪魔。そして人間に知恵を授けて追放され、聖書の神が遺した力を研究する堕天使。
神仏魔王に龍やら妖怪、あまねく異形が人間世界の裏側で跳梁跋扈する異形社会。その中でも指折りの勢力圏を持つ、三つの勢力の長。
そう、主に変わり天界を統治して信徒をけん引するセラフのトップたる、天使長ミカエル。
三つ巴の戦いで死んだ四大魔王の後を継いだ新世代のリーダーたる、サーゼクス・ルシファー。
そして堕天使の組織である
異形に関係する奴がこの集まりを見れば、驚愕するに決まっている。なんたって俺達が集まってお茶会なんて開いているんだからな。
聖書の神が本格的に活動を開始してから二千年以上。その壮絶な戦いを繰り広げていた三つの勢力のトップがのんきにお茶会とか、普通に考えれば理解不能になるだろう。
だが、それはもはや表向きの話。
俺達は一年前から進めてきた物事を本格的に固めるべく、話を一歩進めることに決めている。
「……一年前、リアスにもたらされた奇縁によってできた繋がり。それが漸く結実になろうとしている」
苦笑を浮かべながら、サーゼクスは小さく頷いた。
「三大勢力にとどまらない、各勢力間での和平の締結。少なくとも、三大勢力すべてがそれを求めていると知れたあの会合は、三大勢力のトップたる私達全員にとって僥倖でした」
ミカエルも苦笑を返しながらそれに頷いた。
イヤホンと、あの出来事はこっちにとっても凄い話だったぜ。
だがその結果、この場所にいる
お互いそうであってほしい、そうなんじゃないかと思いながら、直接確認する機会がない為結べなかった和平。
だが顔を合わして意見を交換して、俺達はその意見が本当に一致していたと確信できた。
だからこそ、こうして色々と準備をする時間も取れたしな。
「……で、タイミングはどうするんだ? 二年間も色々準備してるが、まだ早いって意見もあるんだろう?」
俺はその辺を確認する。
三大勢力の和平は、少なくとも俺達三大勢力のトップにとって共通事項だ。だが同時に、諸問題がないわけでもない。
今まで千年以上争ってきたわけだから、遺恨もある。当たり前のようにそうやってきたから、和平について行けない連中も出るだろう。和平を結んだとしても、当然そこからの変化で不利益を得るやつも出るだろう。
だからこそ、一年ちょっと前だと時期尚早だったこともあり、俺達は準備をし続けてきた。ある程度の根回しをしつつ、和平に反対して暴走するだろう連中を宥める流れも作っているが、それにしても限界もある。
そういう意味では、
だがそうもいかねえのが問題だ。
サーゼクスもミカエルも分かっているから、こうしてため息をついている。
「そうではありますが、しかし時間をかけすぎるのもあれでしょう。……サタナエルが遺した置き土産、見過ごせない領域でしょうからね」
「そしてそれが動くとするなら、間違いなく彼らも便乗する。先に動かれた場合、私達はともかくそれ以外と和平を結ぶことは難しいだろう」
「なんだよなぁ。あの大馬鹿野郎、余計なことをしやがって……っ」
俺はため息をつくとちょっと俯いたぜ。
神の子を見張る者の幹部でありながら脱走した大馬鹿野郎、サタナエル。
野郎が自分の権限で独自に確保していた危険な連中を暴れさせるは、日本の異能組織である五大宗家が持つ歪みをつついて客船一つ乗員乗客ごと海の藻屑にするは、更にろくでもないことを企んでいるわと厄介極まりない。
この世界における最強の存在。俺達三人が束になっても足止め程度が限界だろう化け物。
サタナエルは奴を神輿にする形で、色々な勢力にいるだろう不穏分子を集め、どでかいテロ組織を作ろうとしていた。そして奴が死んだ後もその動きを引き継いだものがいて、既に無視できない勢力になっているとされている。
俺達が和平を今結ぶのもそれが理由だ。当初の計画より早いので歪みも出るだろうが、和平前に奴らが暴れられると厄介だ
三大勢力が和平を結ぶだけなら問題はない。既に根回しも進んでいるから、むしろいい対抗馬になってくれるだろう。
だが奴らが本格的に暴れてからだと、そこにとどまってしまう。
俺達の目的は三大勢力にとどまらない。この和平の流れも世界規模の進めることで、世界が滅びるような争いが起こらないようにすること。それにより世界全ての種族が滅びる危険から解き放たれることだ。
テロリスト共が派手に暴れてからだと、それに呼応して各勢力の不満が爆発して世界規模の内乱に繋がる可能性がある。そうなれば三大勢力が頑張っても自分達しか守れない。人間を巻き込んで多くの勢力が滅ぶのは、俺達としても避けたいところなんでな。
だからこそ、奴らが本格的に動く前に対応する。その為の準備を進めるべきだろう。
「……つーわけで、会談の準備を進めないとな」
俺は含み笑いをしながら、ちっとばかし胃が痛い思いをしながらも話を進めていく。
テロリスト共が暴れる前に和平を結べれば、オーフィスを神輿にした連中に対抗する為に俺達を神輿に担ぐ選択肢が取れる。そうなればテロ連中を打倒さえすれば、和平の波は世界を包む。やりようがあるだけこっちの方がはるかに増した。
その前の根回しが完璧にできてない以上、三大勢力からも余計な連中が出る。分っていてもやるしかないのがキッツいところだ。
Other side
この会合の数日後、三大勢力は合同で「各勢力トップによる会談」を開くことを決定する。
その場所として選ばれたのは、ある事情から教会及び神の子を見張る者が監視役を派遣している、悪魔が縄張りとしている日本の地方都市。
この会談はその町の名にあやかり、こう名付けられる。
―駒王会談。
???Side
夢を見ている。ぼんやりとした意識で、俺はそれを理解していた。
「貴方はずっと悔やんできた。そして、そんな自分のままでいることだけは許さなかった」
その言葉と共に、俺の手を包んでくれる彼女の両手の暖かさ。
それに涙が自然とこぼれたことを、俺は今でも覚えている。
「それをこの一年間でしっかりと確信しました。だから、私は貴方が前を向いて生きることを許すのです」
そう告げながら、彼女は自分の額を握り締めた俺の手の当てる。
「そして、貴方は自分を許さなくても……私が貴方を許すことを許してほしいのですよ」
その言葉が、俺にとってどれだけ救いになったのか、俺自身がいまだに把握しきれない。
ただ一つだけ言えるのは、彼女にとって俺がそうするに値するだけの人物だったという事。
だからこそ、俺は一歩を踏み出すと決めた。
かつての俺は問題だった。間違いなく、人から眉をしかめられることをしたと思っている。
だからこそ、家を飛び出して四年間も放浪した。自分を見つめ直したいと思っての行動だったが、その度に俺が俺を許せなくて、ずるずると続けていた。
だけど、彼女は俺が許されていいと言ってくれた。
俺自身がそれを認められなくても、許すことを許してほしいと言ってくれた。
彼女が俺を見続けてくれたように、俺も一年間彼女を見続けた。
この子は、本当に許されていいと思った人にしかこんなことを言わないだろう。そう思える程度には俺も彼女を見てきたのだ。
だからこそ、俺は一歩を踏み出そう。
「……分かった。なら一つだけ、俺にも約束させてくれないかな?」
俺は苦笑しながら、同じように包まれた両手に額を当てる。
「約束するよ。この後どんなことがあったとしても、俺を許してくれた君に胸を張れる俺でいる」
彼女が俺を許したいというのなら、せめてそれが間違ってないと証明しよう。
前を向いて、足を踏み出そう。
罪悪感にただ呑まれるのではなく、償う為に前を向いて歩くとしよう。
だからこそ―
「見ていてくれ。俺がちゃんと前を進んで、君に恥じない俺でい続けていくところを」
―その決意は、絶対だ。
目が覚め、俺は体を伸ばすと顔を洗いに洗面所に向かう。
顔を洗い、そしてお茶漬けと漬物で軽い朝食を終わらせる。
そして着替えて住処であるアパートの部屋を出ると、隣のドアも同じタイミングで開いて少女が出てくる。
そこにいるのは、白い髪をツインテールにした夢に出てきた少女。
顔を見合わせると、互いに小さく微笑んだ。
「お早う、ランダリン」
「お早うなのです、才司」
挨拶を交わすと共に、更に後ろから声が欠けられる。
「ごきげんよう、二人とも。今日も仲が良くて何よりだわ」
その声に振り返ると、そこには紅髪を長く伸ばした少女が一人。
俺は彼女の姿を認めて小さく笑いながら片手を上げる。
「お早う、リアスちゃん。今日もお役目お疲れ様」
この町は駒王町。
そして町の名を関する複合学校である駒王学園を会場に、つい先日ある会談が開かれた。
その駒王会談において和平が決定した、三大勢力。教会を従える天界、冥界を二分する悪魔と堕天使。
その三大勢力が和平を締結して約三か月。駒王町は日本政府の許可をとったうえで和平による繋がりのテストケースとなっていた。
そういうわけでつかみはこの辺で。ではまた一時間後に