さぁて、戦闘はもう数話待っててね!?
イッセーSide
お茶会から数日経った夜、俺はリアス部長達に連れられて、東京の郊外に来ていた。
「……えっと、半グレっていわゆる犯罪者集団っすよね? そんなところに、三大勢力から逃げた連中がいるっていうんですか?」
「そのようね。和平を機に反対した者が離反することはままあるし、はぐれ悪魔は悪魔にとっての社会問題。当然探し出して処罰することもあるからこそ、隠れ蓑を求めるのは当然だわ」
リアス部長が俺に応えてくれるけど、中々面倒だな。
でも、表の顔がある犯罪者っていうのは漫画とかでもよく出てくるよな。いわゆる……フロント企業?
いや、表の顔ってのはちょっと違うか。どっちかというと、隠れ家を提供してくれる連中だよな。
「半グレは裏で抗争することもあるらしいし、そういう時の用心棒かもね」
「それに異形は表に隠す都合上、記憶操作や電子記録の抹消のノウハウがあります。犯罪組織からすれば喉から手が出るほど欲しい人材ですわね」
「……人食いをする奴なら、死体処理の手間と食事の確保で釣り合います」
木場も朱乃さんも小猫ちゃんもそう言うけど、怖い怖い。
え、そういう連中の相手もするっていうのか? 流石にいきなりそれは怖いんだけど。
ちょっと肩が振るえていると、リアス部長は安心させるように微笑んでくれる。
「安心して頂戴、イッセー。今回の相手ははぐれ
「そ、そうなんですか」
悪魔祓いっていうと、教会の戦力をやっている人間だったな。
基本的には光の銃や剣を使って戦ったりする。中には聖水や十字架も使うし、聖書をそらんじることもあるとか。もちろん神器を持っているなら、それだって使う。
で、信仰心を忘れて暴力を振るうことに酔った連中は大抵追放や処罰となる。そこから逃れた連中は、和平が結ばれるまでは堕天使が戦いに備えて保護していたはずだ。
でも、和平が結ばれたことでえげつない連中まで保護する必要も薄れている。もちろん悪いことをこれからしなければそれなりの対応になるらしいけど、それを嫌がった連中は戦争をし続けたかった連中は逃亡したりもしているらしい。
つっても、結構な人数が集まっているな。
才司さんやリライトさんは今は席を外している。三大勢力からそれぞれ相応の人数が出て来るらしいので、その辺りのすり合わせをして入りらしい。
なんでも、想定される敵勢力から考えるとオーバーキルだとか。初心者とか若者の安全とかを考えたんだろうか。
「堕天使はバックアップが中心になるそうですわね。まぁ、自分達のところから逃げた手合いですし、匿うといった邪推が怖いのでしょう。うふふ、情けないですわね」
「まぁまぁ朱乃さん。そもそも大本である教会の方は、恥も知らずに大挙して悪魔祓いを送ってますし、そちらよりましでは?」
……朱乃さんと木場が、神の子を見張る者と教会にそれぞれ厳しい。
正直ちょっと怖いんだけど。なんか因縁があるらしいけど、何があったんだよ、ホント。
朱乃さんはいつも笑顔で優しいけど、そんなままで雰囲気が怖いからちょっと震えそうになる。木場はイケメンでモテるからいけ好かないけど、それでもこの様子を女子に見せるのは気が引けるな。
正直ちょっとビビってきたけど、俺は気合を入れ直す。
こんなところで躓いてなんていられない。ハーレム王になるには成果を上げる必要があるし、それはつまり無様なんて晒せないってことだ。
基礎トレぐらいしかしてないけど、とにかく足を引っ張らないようにする程度のことはしないとな。……正直ちょっと怖いけど、リアス部長の下僕として頑張らないと。
深呼吸して気持ちを落ち着けてから意を決していると、小猫ちゃんがツンツンと俺をつついてくる。
「落ち着いてください、兵藤先輩」
お、思った以上に泰然自若だ。経験豊富なんだろうか。
「今回私達もバックアップよりです。相手をするなら半グレの方が多いので、勢い余って殺さないようにするぐらいです」
……異形とか異能とか裏の世界って、人間離れしているんだな。
とりあえずそれぐらいの差があるってことなんだろう。そう思うと、ちょっと気が楽になったかも。
よし、とりあえず足を引っ張らないように頑張ろう。才司さんも「いきなり活躍しようと思わないように。足を引っ張らないのも貢献だよ」って言われてるしな。リライトさんからも「今日は空気を感じてくれれば十分なのです」と言われてるしな。
と、リアス部長も俺の見て小さく微笑んでいた。
「ふふ、今日のイッセーは見学の気持ちでいいわ。必要なところはまず私達がするから」
「はい! でも荷物持ちぐらいはやって見せます!」
俺が気合を入れて返事をすると、ふと足音が響いてきた。
「やはりリアスか。来ていると思っていたぞ」
そこにいたのは、なんていうかがっちりした体格の人だ。
ごついところがあるけど凛々しいというか整った顔つきだ。あとなんていうか、カッコいいって感じを体現している。
かっこいいとなると木場や才司さんもそうだけど、雰囲気が違う。才司さんはなんていうかイケメンアイドルみたいな雰囲気で、木場はよく言われるけどプリンスとか王子様。でも、あそこの人はイケメンスポーツ選手みたいな感じだ。
「サイラオーグ! あなたも来ていたのね?」
リアス部長が気安く微笑んでる。
え、もしかして恋人とかそんな感じ? あ、超名門貴族の本家だし、もしかして婚約者とかですか!?
そ、そんな。あり得ないとは思っていたけど、微レ存で恋人とかそんな感じを妄想はしてたんだよ。
思わず崩れ落ちそうになるけど、ここで崩れ落ちるとなんか部長に恥をかかせるかもしれないし我慢。
そんな風に俺が葛藤していると、リアス部長は俺達に振り返った。
「イッセーは初めてよね。彼はサイラオーグ・バアル。バアル家次期当主で、私の従兄弟になるわ」
……そうだったのか!
は、部長の親戚なら挨拶しないと!
「お、俺はつい最近ぶちょ……リアス様の眷属になった兵藤一誠です!」
「ああ、話には聞いているぞ? 中々将来有望なものらしいじゃないか」
おお、朗らかに応えてくれる。もしかしていい人か?
……と、なんか違う方向がざわざわしてるな。
グレモリー次期当主とバアル次期当主がいるからかと思ったけど、別の方向を見てざわついている感じだ。
一体なんだと思った時、その方向から何人か人が来ていた。
……神父の格好やシスター服、あとボディスーツみたいな体のラインが出る服を着てる子もいるな。
「
木場が毒のある発言をしているけど、あれが悪魔祓いの連中なのか。
う~ん。ピリピリした雰囲気の人が何人かいるな。やっぱりあっちも和平に追いついてなかったりするのか。
やだなぁ。折角平和になったんだから、もうちょっとなんかないかねぇ。
「……ふむ、悪魔側もそれなりの戦力は送ってきているようだね」
しかも、青い髪の女なんて凄い事言ってるし。
聞こえていたのか、悪魔の人達の雰囲気が結構ピリピリしてるぞこれ。
「ちょっとゼノヴィア、共闘する人達に失礼よ。私達レベルを簡単に集めるのも無理があるでしょう?」
止めに入っているツインテールの子も言い方悪いし。
あれ、絶対悪気がないタイプだ。悪意とかそういう事言ってるつもりがないタイプだ。でも挑発になってるって。
ああもう、更にピリピリしてるし―
「―はいはい。君らレベルをポコポコ出すとか、流石に無理があるから勘弁してよね?」
―あ、才司さん!
声に振り返れば、そこには確かに才司さんがいた。
「……へぇ。堕天使側もそれなりの手練れは送っているようだね」
「
才司さんはそう言いながら、パンパンと手を鳴らすと周囲を見渡した。
「そろそろブリーフィングだから、一旦集まってくれるかな?」
彩木Side
……なんでこうなったのやら。
ため息をつきたくなる理由は単純。半グレの抗争に巻き込まれるうえ、三大勢力まで動きそうだってこと。
最近面倒ごとになりそうな半グレのカバーに派遣されれば、大きな抗争になりかけている。というか、相手側が襲撃準備万端って感じだし。
しかも周囲を調べている連中曰く、三大勢力がゴロゴロいるとか。半グレの後ろ盾じゃなく、たぶん相手を狙っている感じだ。
仮説とするなら、相手方に三大勢力が追いかけている連中がいる。そしてその情報を掴んだので、半グレ同士の抗争で生まれるだろう隙をついて奇襲する。
数があまりに多いのはあれね。上のくっだらない挑発の所為で、三大勢力がピリピリしている。だからガス抜きとして、何かしらのイベントでも起こした方がいいだろうって感じ。
……ついてないわね、三大勢力の連中。
そう思いながら、私は肩をすくめて後ろを振り返る。
そこには全長十数メートルはあるだろう、カモノハシ型ロボットとでも言うべき兵器が鎮座している。
半グレ集団には過ぎたおもちゃ。だけど上の計画が進んでいる現状、こういった兵器程度は、使い捨てにできるレベルの手駒にだって持っていてくれないと困る。そういう判断もあり、実験の一環で送られている兵器だ。
その額にあるコアユニット。中枢に組み込まれた少女を見て、私は自虐的な笑顔が浮かんでしまう。
「……お互い大変ね。ま、突っつく相手を間違えたのが悪いんだけど」
そこに埋め込まれた子は、私の言葉に首を傾げる。
「……ダメ? 静寂を与えてくれるって、言ってくれた」
ああ、この子はやっぱり、子というしかないわね。
純真無垢で精神的に幼い。何も知らずに接していれば、素直な女の子と思ってしまう事請け合いだ。
もっと早く、まともな奴がそれに気づけば世界はもっと平和だったでしょう。それが残念でならないし、彼女にとっても不幸だ。
私のような自業自得な馬鹿じゃない。でも、長く生きてきたことを考えれば過失ではあるだろう今の現状。
それが耐え切れず、私は目を伏せてしまう。
「……もう、
「……? オーフィスは我、無限の龍神」
よく分からず、その少女、オーフィスは首を傾げる。
応えてあげる必要はないけれど、それでも私は言うしかない。
「いえ、今の貴女はただのオーフィスというドラゴン。
そこまで言うと、私は踵を返す。
これ以上語り続けるのは、こちらが危険だ。
死ぬのはいい。ただ、死に方を選ぶ努力はしたい。
私の命は使い切る。そしてそれは、今じゃない。
ただ、願わくば。
……この戦いでぶつかるだろう三大勢力に、彼女を助けてあげたいと思うようなもの好きがいてほしいわね。
そんなあり得ないだろう可能性を考えながら、私は準備を整える為に動き出す。
ああほんと、クソッタレな毎日だ事で。