さて、本作の重要なオリジナルポイントをこの話で進めさせていただきます!
才司Side
「リアスちゃんリアスちゃん。それは語弊があるからちょっと待とうか」
とりあえず、年長者として勢い余っているリアスちゃんには注意しておかないとね。
まったくもう。リアスちゃんには困ったものだ。
いきなりそんなことを言われても困惑されるに決まっている。というより、頭がおかしいとか思われる可能性だってあるだろうに。
「なるべくサプライズにしたいって要望は聞いたけど、それなりに段取りを用意してくれないとみんながついて行けないでしょう?」
「あら、ごめんなさい。こういうのはインパクトが大事だと思ったのだけれど」
いやいやいや。そんなことを言いたくなる。
報告連絡相談は大事だって。ま、まだ十代の女の子なら手抜かりがあってもおかしくないか。
いや、そういう問題じゃなかった。
能力はあるしやることはしっかりやれるんだけど、どうも深刻じゃなければ重要なことでも事前の通達をあえて省く悪癖がある。そこさえ除けば年齢相応のお嬢様としてはむしろしっかりしているぐらいなんだけどなぁ。以前会ったご家族の方もそんなところあったし、遺伝かもしれない。
ま、逆にこれぐらいインパクトがある方がいいのかもしれないけど―
「そうそう。堕天使と教会を飛ばさないでほしいんだけどなー?」
―と、そこで更なる反論が変化球で飛んでくる。
俺はその発言で更に周囲をぽかんとさせる生徒達に代わり、ジト目を向ける。
「フレア。頼むから、初心者にこちら側のノリを押し付けないで」
「え~? 散々私らに心配かけたせた人に説教されたくないんだけどな?」
反論が飛んでくるけど、俺は肩をすくめてスルーする。
「だったらされることしない。こっちもちょっとは心苦しいんだからね?」
俺はそう切り返すと、肩をすくめながら背中に意識を向ける。
その瞬間、広がるのは黒光りする鳥のような翼。
それに呼応するように、リアスちゃん達が蝙蝠のような黒い翼を広げる。
その光景に面食らうイッセー達の前で、俺達翼をはやした側は宙に浮かんで見せた。
「……驚いたかしら。実は私達、人間じゃないの?」
「……厳密には人間もいるし、俺は人間とのハーフだったりもするけどね」
さて、ここまでは良しとするか。
その上で、ここからが大変だね。
とりあえず、十分ぐらいかけて大筋を説明する。
一つ。この世界には神話に残されるような神仏魔王は大抵実在する。もしくはしたになる場合もあるけどね。
一つ。その一角である聖書の教えに由来する、悪魔や天使といった勢力は、三大勢力としてつい最近まで争っていた。
一つ。だけどつい先日和平が結ばれ、その繋がりを他の神話勢力にも広げようと試みている最中である。
そして、ここからが本番だ。
「この駒王町は人間界の日本が治める街だけど、
「そして才司は堕天使側からの出向班。去年からトップで和平の動きが進んでいたこともあり、そのモデルケースにするべく同じタイミングで縁を結んだ彼を住まわせていたのよ」
俺とリアスちゃんが説明すると、誰もがぽかんとしている。
ま、これは仕方がない。
今までそんなこと想像もしてなかったろうしね。普通ならこれを聞いても、妄想を拗らせすぎた系列と見なすのが関の山だし。
目の前で魔力や光力なども見せつつの説明。これで何とか信じてもらえてるって感じだからさ。ま、これはしかたないよね。
そして、それを説明する理由はいくつかある。
「……そして、和平を進めるに当たって一つの問題を解決する動きも進められている」
俺はそこで、一呼吸を入れる。
これはちょっとアレな問題だからね。覚悟を決めておかないと。
「では、まずは私が説明します」
そこで、一歩を前に踏み出す女の子。
白が混じった金色の髪を左右に束ねる少女。
「初めましての方も多いので、自己紹介を。駒王学園高等部二年、ランダリン・リライトです」
……うん。彼女はこういう時、本当にしっかりしているね。
ちょっと微笑んでしまう姿を見せる彼女は、俺の視線を受けながら一礼する。
「私は教会で
さて、ここからが本番だ。
俺は緊張感を覚えながら、事が荒立たないことを祈っていた。
イッセーSide
なんかとんでもないことになっているけど、俺達は説明を受けている。
曰く、聖書の神様は人に宿る
神器は歴史上の偉人にも宿っていることが多いとされている力で、色々な種類がある。
基本的には、頭の回転が速くなったり足が速くなる程度。ただし物によっては、使いこなせば戦車や戦闘機をあっさり返り討ちにすることもできる。しかも最強格の
そして、ここまで語ってから、ランダリンは目を伏せた。
「そして、これは少なくとも日本政府も容認なさっていることです。……神器保有者のうち、力を制御できず暴走するだろう人物や悪逆な行為を行っている者は、
……え?
俺達が思わず息をのんでいると、ランダリンの肩に手を置いた才司さんが渋い表情を見せる。
「悪魔や教会はもとより、他の神話体系や各国政府も堕天使の仕事として例外的に活動が容認されているものでね。要は神器そのものや所有者の暴走で世界に混乱が齎されないようにする為の汚れ仕事なのさ」
その言葉に俺達は一気にざわついた。
え、ちょ、嘘だろ?
危険な人物を暗殺とか、この日本で?
しかも、日本政府じゃなくて堕天使がかよ。ちょっと信じられないし、ショックを受けてる人もいるッポイ。
と、そこで才司さんが一歩前に出る。
「……正直に言うと、日本はその辺りを厳しくするよう
ご、ごたごた?
なんていうか不安なんだけど。話を聞く限り、異形とか異能の戦力って普通に兵器レベルがゴロゴロしているらしいし。
しかも才司さん達、全員ちょっと遠い目になってるし。
俺達が不安を覚えていると、そこで一人の一年生っぽい少年が前に出る。
「……あ~、そこは俺から説明させてもらいます。一年の百鬼勾陳黄龍です」
お、なんかしっかりしてそうな少年だ。
ただ、前のいる人達の中では一番頭痛を感じてそうな表情だ。
「俺の実家は、古来より日本における異能関係を扱ってきた五大宗家というんです。今でもだいぶ残ってるんですが、鎖国的で排他的だったんです」
あ、これ苦労人だ。
俺達はほぼ全員、それをなんとなく悟っていた。
そして出るわ出るわの老害のオンパレード。
五大宗家はそれぞれの家が霊獣を司りそれに由来する異能を持つらしい。そして当主は霊獣の名を受け継ぐとか。
で、五大宗家の人達はかなり保守的だそうだ。その所為で力はあっても家が司る方面は不得手な人とかは「意味がない」という意味でつけた虚蝉機関というところに、問題を起こした人とかを含めて放り込むとか。異形の混血とかの場合、殺しにかかる場合もあったらしい。
……ひでぇ。神器保有者の暗殺は一応大義名分があるっぽいけど、五大宗家の方はそれでいいのかよ。
俺達が嫌なものを見た気分になっていると、そこで才司さんが首を横に振る。
「そして四年ほど前、虚蝉機関と呼ばれるその組織に、神の子を見張る者から脱走した最高幹部が接触したそうだ」
才司さんがそう言って、百鬼と一緒に説明をしてくれるけど、出るわ出るわのアレな話のオンパレード。
リスクを無視して十段飛ばしの新規研究をしたかった堕天使が、独自の権限で確保していた危険な神器保有者を連れて脱走。
そして鬱屈が溜まっていた虚蝉機関だけでなく、神滅具を持っている魔法使い組織と結託。まずは五大宗家を潰す為に暗躍をした。
その過程で五大宗家がそれぞれ司る霊獣に対応すべく四凶とかいう獣を宿した神器保有者が集まっている高校の、修学旅行中を襲撃。乗っていた豪華客船を沈没させ、乗員乗客を口封じに皆殺し。
しかし肝心の四凶は全員欠席していたので、生徒達を誘拐して人工神器技術を利用した兵器の宿主として洗脳して操った。とどめに安定化を図る為、ご家族まで誘拐。
……うわぁ。
「そういう事もあって、五大宗家も日本政府から睨まれているけど
「幸か不幸か、これがきっかけで五大宗家も改革路線に傾き始めているんですけどね。ただ先代の百鬼家当主が死んだりと被害も出ていて、その後釜に俺が据えられているんです」
才司さんもそうだけど、当事者っぽい百鬼の表情には疲れが見える。
た、大変だなオイ。古い一族とか、しきたりとかありそうな印象はあったけどそこまでか。俺は一般市民でよかったよ。
神器保有者を暗殺することもあるって話で正直引いたけど、もっと酷い事がこの国であるだなんてなぁ。
異形や異能の世界って、もしかしてやばいのか?
「……えっと、ちょっと質問」
と、そこで桐生が手を挙げた。
なんだなんだと俺達の視線が集まる中、リアス先輩が頷いた。
「何かしら?」
「そこの百鬼君が当主を継いでるとか、ランダリンが派遣されたスタッフとかいうけど、それって高校に入る前から働いてたって感じ? いいんですか?」
あ、そういえば。
俺達がはっとなっていると、リアス先輩は素直に頷いた。
「異形にしろ異能にしろ実力主義なのよ。特に現場は能力が優秀なら、もっと若い子でも前線に出れるわ」
「私は十三歳でかなり特例ですが、優秀な人なら十五ぐらいで正式に悪魔祓いとなることもままありますね」
『『『『『『『『『『へぇ~』』』』』』』』』』
リアス先輩やランダリンの説明に、俺達は感心する。
そしてリアス先輩は小さく微笑むと、俺達を見回した。
「脱線したけれどここからが本題。……話に上がった
そう前置きすると、リアス先輩は俺達を興味深そうに見つめてくる。
なんだなんだと思っていると、そこで才司さんが苦笑した。
「そして裏に関わっていない駒王学園高等部で、神器を保有しているのが君達だ。……要はあれだよ、和平を期に、平和的に神器保有者を保護したいのさ」
……な、なんだってぇええええええっ!!!?
才司Side
ようやく本題に入れた。
俺が内心で一息ついていると、リアスちゃんが本題を切り込んでいく。
「二十世紀前半から神器保有者の人口比率は増えてきており、二十一世紀に入る頃には爆発的に増えているわ。それにともない、神器保有者の暴走事案も増えていたわ」
その通り。
何故か神器保有者は尋常じゃなく増えており、昨今神の子を見張る者でも警戒していた。
はっきり言えば、堕天使だけでの対応は不可能になりつつある。加えて各勢力が要因しているにしても、勢力間でも睨み合いがあってはできることにも限度はある。
だからこそ、この和平で一気に流れを変えるべく、こういった活動が進められている。
「三大勢力は合同で、神器保有者の保護と教育を行う方針を取り始めているの。もちろん、和平が広まれば各勢力も協調してもらうつもりよ」
リアスちゃんがそれをまとめ、そして話を更に進めていく。
「とはいえ、無理やり戦力として徴用するような真似はしないわ。和平前は悪魔の中にそういった者も出てきたけれど、和平が結ばれた以上は二勢力との協調で抑え込んでいくし、私の目の届く範囲内でそんな狼藉はさせないと約束するわ」
「教会としても、和平前は神器保有者でも警戒せざるを得ないものがありましたが、和平を機に過激な活動も控えて抑えていこうと思っています」
「神の子を見張る者としても、暗殺しないで済むのならよしする者が多数派でね。ま、どの勢力の面倒なのはいるけど和平による連携で対応はしてくよ」
リアスちゃんに続いて、ランダリンと俺がそう説明する。
「ま、検査とか研究のお手伝いとかには報酬も提示できるから、参加してくれると嬉しいかな? でもリアスちゃんのところの転生悪魔や、悪魔祓いに属するというのは……即断即決はしないように」
俺はそう言いながら、魔法陣を展開して映像を映し出す。
ファンタジーな光景に一同が歓声を上げるが、映像を見ている事に押し黙る。
というのも、映し出される映像はレーティングゲームのそれ。
「……説明にあったけど、悪魔はかつての大戦の後に絶滅寸前の数を取り戻す為、
リアスちゃんがそう説明を改めてするけど、そこで小さく苦笑する。
「いうなれば、転生悪魔は主に仕える戦士としての側面が最重要。レーティングゲームも安全策はとっているけれど死亡事故がないわけじゃないし、命の危険は当たり前にあるから……その辺りはちゃんと考えてね?」
その説明に、大半の子達は勢いよく頷いている。
ま、この国は世界的に見てもそういった荒事方面ではまだまだ安全な国だしね。まして命のやり取りを自覚的にするのは、精神的に過酷なものだ。ハードルも高い。
当然、こんなことを聞かされれば大抵の人はしり込みする。それは当然のことで、むしろきちんと理解しているからこそではある。
ただし、例外はどこにでも存在するものだったりする。
「……ただ、悪いんだけどイッセーは強制参加ってことになるから」
「……え?」
俺がそう言うと、イッセーはきょとんとする。
うん、本当に申し訳ない。俺としても正直心苦しいし、選択肢ぐらいは上げたいんだ。
ただ、そうも言ってられない事情があってねぇ。
「単刀直入に言うよ。イッセーはこのままだと確実に暴走させるぐらい神器の適性がない。それも悪魔にして強引に補うか暗殺するしかないぐらい、暴走した時の被害がやばいと検査結果が出ているんだ」
「ぇええええええええええっ!?」
うん。そりゃ絶叫するよねぇ。
原作との大きな違いの一つ:神器の数がめっちゃ増えてる。
これがこの作品の大きなポイント。神器保有者が三大勢力で連携でもしないとカバーなんて全くできないレベルで保有者が増えております。松田、元浜、桐生も保有者です。
最も原作第一巻で明言されていますが、神器の大半は異形社会の争いで通用するレベルは少数派。三人の神器はその当たりですのでご容赦を。
その過程で英雄派も強大化するでしょうし、人間と混血の異形が神器を保有して何人も出てくる予定です。
では、序章の終焉はさらに一時間後になっております。お待ちくださいな。