そういうわけで……どうぞ!
才司Side
転生悪魔。それは、かつての対戦を凌いだ悪魔が手にした一つの手段。
悪魔を統括する四大魔王が全員戦死するほどの被害を受け、それでも戦争を積極的に続けようとした魔王血族たちを、更に血を流す内乱の上に追放。その上で、実力のある悪魔四名に魔王の字を襲名させることで、悪魔は漸くある程度の安定を獲得した。
だが、本来の魔王は全員が死亡、それだけで被害は終わらない。
上級悪魔や彼らが率いる万を超える軍勢も、その殆どが打ち滅ぼされた。名門とされる七十二柱の上級悪魔も、半分以上がお家断絶。大打撃をあまりに受けたと言ってもいい。
その打開策こそが
かつては大量に動員していた直属の軍勢は、基本として悪魔の駒による転生悪魔の眷属を中核とした少数精鋭にシフト。その過程でのもめ事の解決や実戦訓練を兼ね、レーティングゲームという競技が成立される
その過程で、眷属悪魔はその功績に応じて昇格されることがある。
昇格そのものは貴族社会の悪魔ゆえに少数例だが、その中には上級になり、自らも悪魔の駒をもって眷属を持つ者もいる。中には最上級という位置に据えられ、名門貴族でも無視できない発言力を持つこともあるのだ。
とはいえ、何の考えもなく転生悪魔になるなど愚行だ。
レーティングゲームはゲームで、滅多にないが死者も出る競技だ。実戦訓練や眷属の力自慢から始まっている為、治療されるとはいえ骨折ぐらいは普通に起こりえる。
そして転生悪魔はその性質上、主の直属として戦いの場に出ることも多い。むしろ本来はそこがポイントである以上、避けて通ることは難しい。
つまり命がけの殺し合いを大前提にするわけだ。如何にすべての生物はいつか死ぬとは言え、それを身近に生きていくのは中々に精神的な負荷がある。精神の鍛錬なしに生死の境目を生きていけるのは才能なんだ。
だからこそ、積極的に彼らを転生悪魔やエージェントに取り込むつもりはない。
上層部は大規模テロリストの存在を察知して備えているけど、それはあくまで今の戦力は兵士たちの育成が主体になるだろう。折角和平を結べたのに、更に非人道的な方法をとる必要性も薄い。
今後は各勢力間の睨み合いもあって、隔離に近い体制をとっていた
だからこそ、イッセーにはちょっと悪いとは思っていた。
だけどイッセーの神器適性は微妙だ。更に大雑把な検査とはいえ、その神器はイッセーに制御できないぐらい大きい。とどめにもし暴走した場合、かなりの被害を生むと試算が出ている。
その為、暗殺を回避するには誰かの眷属として転生悪魔になるぐらいしかないのだ。
その辺りは少々心苦しいけど、リアスちゃんが懇切丁寧に説明している。
そしてイッセーは少しうつむいて考えこんでいたけど、やがて肩を震わせる。
「……リアス先輩。つまり―」
うん。流石にちょっと心が痛んで当然だよね。
そう思ったときだった。
「―上級悪魔になればハーレムが作れるってことですか?」
なんか突拍子もない質問が来た。
「え? ……ま、まぁそうね。上級悪魔の眷属は独自最良ですし、冥界では一夫多妻や一妻多夫も珍しくないわ。知り合いにも眷属でハーレムを作ってる人もいるし」
リアスちゃんは戸惑いながらも、そう答える。
その瞬間、イッセーは顔を上げて血走った眼を見せながら跪いた。
「希望をありがとうございますリアス様ぁっ! 頑張ります、貴方の期待に応えらえる眷属になり、そしてハーレム王に俺は……なるっ!!」
『『『『『『『『『『こいつぶれねぇ!?』』』』』』』』』』
思わず教室にいるほとんどが絶叫したよ。
いや、凄いというかなんという……か?
「イッセーよく考えるんだ。いや、考えても避けられないんだけど、冷静に考えよう?」
思わず俺は指摘するけど、イッセーは首を横に振ったうえで拳を握り締める。
「避けられないんなら考えるだけ無駄です! ……いや、それだけの価値があるってことですし、俺はいいことを考えて掴み取る為に頑張ります!!」
あ、目が真っ直ぐだ。
うん。前向きなのは基本的に良いことだけど、それでいいのかなぁ。
「大体才司さん、そんなに止めるとリアス先輩の眷属がブラック企業みたいに言ってるみたいなんですけど?」
「いや、そうは言わないけど」
イッセーの即答で返せるぐらいには言えるけど。
リアスちゃんは年齢とお嬢様であることを考えると、凄まじくいい子だからね。
ちょっと我が儘なところはあるけれど、超名門のお嬢様と考えれば大した問題じゃない。むしろ下手な同年代の女の子よりよっぽどいい子だ。
欠点がないとは言わないけど。報告連絡相談を怠りがちなところがあるけど。
むしろ勤勉だし努力家だし、日々の研鑽を欠かさないのは間違いなく美徳だ。特に異形は血統での個体差が大きく寿命も長いから、努力して伸ばすという発想が生まれにくい中でこれだ。超名門貴族であるグレモリー本家の出身とは思えないぐらい、きちんと自分を磨ける子だ。
付け加えるなら、グレモリー家は基本的に情愛が深いから、福利厚生はしっかりしているし扱いもいい。少なくとも外部からの理不尽な悪意には徹底抗戦してくれるだろう。そういう意味でも優良企業といえる。
ただし、難点がないわけではない。
「一応言っておくけど、リアスちゃんは基本スパルタだからね? 慣れてきたら早朝トレーニングとか絶対あるからね?」
「当然じゃない。私はもちろん、リアス・グレモリー眷属ならそれに見合った強さを獲得しれくれないと困るわ」
ほらこういう。
「でも、実戦を踏まえるのなら戦闘訓練は必須ですから。私達も場合によってはお手伝いしますよ?」
「それはそうなんだけどね。……とはいえ、軍隊並みのトレーニングって大変だしさぁ」
ランダリンもフォローするけど、普通の男子高校生にいきなりリアスちゃんレベルのスパルタ企業は大変だと思うんだよ。
そんな心配を俺はしているわけだけど、イッセーは強く拳を握り締めると、力強い頷きを示す。
「ハーレム王になる為なら大丈夫です!! 俺は一年間で偏差値を強引に上げて
「あ、それもそうか」
思わず納得だった。
それもそうだった。うん、大丈夫かも。
イッセーSide
うぉおおおお! やる気があふれるぅうううううっ!!
「畜生! イッセーだけずるい! ずるいぞ!」
「そうです! 俺達も神器持ってるんでしょう!? 俺達も眷属にしてくださいよ!!」
松田と元浜が嘆き悲しみながらそう懇願するけど、才司さんは悲しそうに首を振った。
「残念だけど二人の反応は、日常生活で便利どまりだから。異形の戦闘にはついて行けないと思うよ」
あ、そうなのか。
神器って本当にピンキリなんだなぁ。
「ついでに言うとリアスちゃんは、元七十二柱の一つでグレモリー本家の跡継ぎだから、それなりのポテンシャルは必須だよ? 出張るならそれこそ先進国の軍事基地レベルの敵になるだろうし、最低でも戦車や攻撃ヘリを生身で数台相手にできるぐらいじゃないと」
「うっわぁ、マジなんですか才司さん。アメコミぐらいかと思ったら、異能系バトル漫画的な感じなんだ」
才司さんの説明に桐生も感心するけど、その時横でリライトさんが頷いている。
この人俺と同級生だけど、クラスは違うんだよなぁ。
才司さんとよく一緒にいるし、付き合っているんじゃないかって雰囲気なんだけど―
「……そーゆわけで、残りの子に関してはこっちに任せてもらいま……しょうっ!」
―と、そこで声を上げたのは一年の女の子だ。
グレーの髪を後ろで二つ結びにしているその子は、パンパンと手を鳴らすとこっちの注目を集めている。
「……はっ! あの子は一年の洞門瑠璃ちゃんか!」
「「知っているのか元浜!!」」
俺達のエロ眼鏡は、一年生を既に網羅しているのか!
俺と松田が促そうとすると、更に眼鏡を煌かせるのは何と桐生!
「海運業から発展した日本でも有数の複合企業「洞門財閥」の経営者一族っていう子だったわね。確か化粧品部門のアイディアや広報で既にいっぱしの活躍をしてるとかいう、スーパーな女の子よ!」
「その通り! そしてこの匠のように、エロに足して肝要であるうえ、バレンタインには義理チョコの配布を行うことから男子人気が絶妙に高いことで超有名! 一年女子の中ではツートップの片割れだ!」
連携で桐生と元浜が解説するけど、そんな子が何でここに!?
と、そこで百鬼が咳払いをしていた。
「洞門は五大宗家の一角から分かれて起業した一族でして。異形関係とも商売しているんです」
「その通り! そしてダーリンのところに行く為に来ちゃったんだねぇ!」
百鬼に続いてウインクする洞門だけど、ちょっと待とうか。
俺達の視線は一気に才司さんに集まると、隣にいた才司さんと似た子がため息をついた。
「ご推察の通りって感じなのよ。で、このおバカが放浪中に関わって惚れさせちゃってねぇ」
ツンツンとその女の子につつかれて、才司さんは視線を逸らす。
そっかぁ。惚れさせちゃったのかぁ。
「ふふぅん。マイダーリンは堕天使のハーフだから、ハーレム作れちゃいますからぁ。滑り込んでポジション覚悟するよぉ?」
にやりと笑う洞門さんだけど、これは才司さんから娶られるのも時間の問題か。
「すいませーん。そういうお姉さんはどちら様で? 才司さんの親戚ですか?」
と、生徒の一人手を挙げて質問する。
そうすると、その子はふふんと言った感じの笑顔を浮かべている。
「妹だよ。……このバカ兄が失踪した時に願掛けで休学してたから、今年で高二だけど」
ジト目を向けられた才司さんが視線を逸らした。
「……今度なんか改めて奢ります」
「よろしい。じゃ、回らないお寿司で」
そして高い賠償金だった。
俺達の前でそんな漫才が繰り広げられると、才司さんの妹さんは自棄なのか胸を張ってこっちの注目を集めている。
「そういうわけで、
それでいいんですか!?
俺が内心で絶叫していると、フレアさんは不敵な笑顔を浮かべながら童門さんと肩を組む。
「そういうわけでー! 私はこのお義姉さまと一緒に、神器保有者の囲い込みを目的とした起業狙ってまっす! 神の子を見張る者のフロント企業でーす!」
「将来神器を生かしたいやつは来るがよい! 私達が使い方を教えて進ぜよーう!」
おお、なんか仲がいいな。
「……なんだろう。外堀が着々と埋められてるなぁ」
「まぁまぁ。才司さんはそれぐらいしても問題ないのですよ」
そして才司さんは才司さんで、ランダリンに慰められているし。
でもそうか。才司さん、やっぱりモテるんだ。
自分から堂々とやらかしていることを言っているから距離を置いている人も多いけど、人柄がよくてイケメンだから好感度高い人も多いんだよなぁ。
かくいう俺達も慕っているし。ダメなことはダメだとはっきり言うけど、自分のことを引き合いに出してまで止めに来るから、本当に真剣に接してくれるんだよなぁ。
他にも困っている人がいたらきちんと声をかけるし、酷い目に遭っている人がいたら親身になって助けてくれるから人気もあるんだよなぁ。
……うん。モテることはむかつくけれど、モテるだけの人だ。悔しいけど納得。
でも、そんな日々とももうすぐお別れだ。
そう、俺は上級悪魔になる道をひた走る。そして自分の眷属を全員可愛い女の子にして、ハーレム王に俺はなる!
「……気を取り直して! 頑張らせてもらいますよぉ、リアス先輩!」
俺が元気よくそういうと、リアス先輩は楽しそうにほほ笑んでくれる。
あ、俺の主様美しい!
「ふふっ。元気な子が下僕になってくれて嬉しいわ。よろしくね、イッセー?」
「はい! ご期待に応える為、一生懸命頑張ります!!」
ハーレム王に、俺はなる!!
???Side
私は与えられた部屋の一室で、酒を煽る。
今日もうんざり。自業自得が生んだ地獄の日々は、酒に酔ってでもいないと耐えられなくなって暴発しそうになる。
その上でため息を吐きながら、私は映像を確認する。
そこに移っているのは最近の異形関係の情報。
注目されているのは駒王会談による、三大勢力の和平。それに伴い増加している神器保有者の保護活動の推進と、神話勢力に対する和平活動を進めていくという情報。
いえ、それはちょっと楽観的にもほどがあるわね。
あいつらだって頭が悪いわけじゃない。悪いんだったらここまでのことはできないし、準備を整えている段階で尻尾を掴まれて潰されている。
感づかれている可能性を踏まえながら、決定打を撃たれないように立ち回る。それができるだけの能力がある。
だからこそ、私も派手には動かない。
やることは小さい。人の口に戸は立てられぬというけれど、だからこそ警戒だってされるでしょう。
私がすることは最初から流れてしまうだろうと相手が思っているだろう情報を、何度か流すというこすっからい策。
もれてしまった情報と言えど、それが相手に届くかどうかは別問題。だから意図的に何度も流すことで、届く可能性を増やすという策。
内通者や裏切り行為にしても、これはあまりにせせこましい。でもこれが限界。
危険視されれば即座に殺される。むしろ面白がって泳がされているだけという可能性もある。だから、これ以上はできない。
あいつらに殺されるのは論外。私は私の死に方をもう決めている。
できるかどうかは分からないけど、だからって投げ捨てたくはない。最後までそこに向かって進み、そして前のめりに倒れて死んで見せる。
と、その時衣擦れの音が響く。
「……起きてたの?」
「ええ、ちょっと情報確認をね」
そう答える、私が引きずり込んだ罪人に、罪人である私は苦笑で応じる。
……もはや戻る道はない。戻ろうとすれば死ぬし、合わせる顔もない。
彼女まで巻き込んで転げ落ちた私は、せめて彼に撃たれることで死ぬしかない。
同情の余地のない邪悪な悪女。その因縁を彼自らの手で断ち切ることで、彼が少しでも前を向けるように。
この
苦笑しながら私は窓の外を見る。
そこに移るのは、青く輝く私達の故郷。その名も地球。
「……才司、私達はいつか殺されに行くわ。その時は、よろしくね?」
宇宙の片隅で私は願う。
私が傷つけた彼が胸を張って生きれることと、この星が悪鬼達に呑み込まれないことを……心から。
そんなこんなで敵は宇宙!
いや~前から思っていたんですが、宇宙人の侵略とかハイスクールD×Dでやってみたかったんですよねぇ。で、ほかのアイディアと組み合わせる形でこんな作品となりました。
この作品は依然眺めに続いた作品のリメイクでもあり、他の反省なども踏まえた一種の実験作です。
オリジナル展開を最初っから明言しているのもその一環。この作品は最初から原作とは異なる方向性を目指しており、それを踏まえた作品にしたいと思っております。
……まぁその分、負かも大きいからエタる不安も大きいですが。とりあえず頑張らせていただきます!!