地球防衛伝説ハイスクールD5   作:グレン×グレン

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 連投の序章は終わり、ここから本編の始まりです!


一之一 頑張り屋さんも大変です!

才司Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぜぇ……はぁ……ぜぇ……はぁ……」

 

 隣で息も絶え絶えになっているイッセーに、俺は素直に思ったことを声にすることにした。

 

「だから言ったんだよ。最初はもっと軽くでいいって」

 

「で、でも……才司さん、めっちゃ軽く……」

 

 そう返すイッセーは、そのまま我慢できなかったのか倒れこむ。

 

 そしてそのままずるずると後ろに押し出されたのを見てから、俺はランニングマシーンのスイッチを切った。

 

 ま、俺も三十分だけする予定だったからいいんだけど。

 

「あのねイッセー。俺はこれでも小さい頃から鍛えてるし、何より四年間色々と揉め事に慣れてるからね」

 

 俺の軽いトレーニングは、大半の人間からすればハードすぎるんだよ。

 

 イッセーは既に悪魔に転生しているけれど、それにしたってなり立てだ。基本性能は向上しているだろうけど限度がある。

 

 悪魔は基本性能では人間を超えているうえ、魔力というアドバンテージもある。ただ同時に、聖なる物体は強い光には弱くなるという体質的弱点も数多い。寿命がけた違いに伸びることを踏まえても、リスクはあるんだ。

 

 そういう意味では生まれついての堕天使ほど気楽な三大勢力もない。天使だと堕天しないよう気を引き締める心理的なデメリットがあるけど、既に落ちている状態で生まれている堕天使二世なら意味がないしね。

 

 とはいえ、堕天使だということを知ってから俺は頑張って鍛えていた。

 

 毎日走り込みをしているし、悪目立ちすると言われてからはトレーニング器具を貰ってやっていた。だからこそ、俺は結構強いわけだ。

 

 四年間の放浪生活でも、割とトラブルは多かったからね。それを乗り越えた経験もあるから、俺は割と強い方だ。

 

 だからこそ、ちゃんと言ったんだけどね。

 

「トレーニングは身の丈に合ったことをして、少しずつ拡張していくこと。これに懲りたらいきなりハードトレーニングはやめるように」

 

「は……はい……」

 

 納得してくれたみたいなので、俺はとりあえず水を入れるとイッセーに手渡す。

 

 その上で俺も飲みながら、小さく肩をすくめて見た。

 

「ま、初日でそこまでできるなら頑張った方だよ? このトレーニング機器、特別性だから」

 

 俺達が使ったトレーニング機器は、只のトレーニング機器じゃない。

 

 マッドサイエンティストがゴロゴロいて、趣味で研究に金を投じる連中の集まり。そんな神の子を見張る者(グリゴリ)の特別性だ。

 

「因みに走っている時の負荷が数倍になる仕様だから、たぶん普通に走ると気持ち良く走れるよ」

 

「……そ、そうなん……ですか。通りできついと思った……っ」

 

 だいぶ持ち直しているようで、イッセーも立ち上がりながら水を飲みほした。

 

 ふむ。転生悪魔になる前と後を見たのは初めてだけど、これぐらい強化されるんだ。

 

 体育の授業で見たイッセーと比べて、かなり体力がついているね。回復も早い。

 

 とはいえ、現役の悪魔祓い(エクソシスト)なら翻弄できるレベルだ。まだまだ努力しましょうだね。

 

「転生悪魔の仕事の方はどうだい? リアスちゃん、基本スパルタだから大変だろ?」

 

「大丈夫です! 今はまだチラシ配りだけだけど、慣れてきたら契約をバンバンとってきますよ!」

 

 元気いっぱいに言ってくれるけど、そう簡単にもいかないだろう。

 

 悪魔の契約は根本的に、最近では何でも屋に近い。

 

 人は平等ではないという前提のもと、願いを叶えたうえで機材で計測される範囲内の報酬を貰う。それが最近の悪魔のトレンドだ。魂を対価にするケースは近年ではほぼなく、教会や天界が和平を結べたのもそこが大きいだろうね。

 

 だからこそ、何かしらのスキルがあるに越したことがない。裏を返すと頑張り屋さんだけど高校生の範疇内のイッセーだと限度がある。

 

 慣れれば傾向分けもできるだろうけど、当分は評価もさほどないだろう。これはもう仕方がない。

 

 だからこそ、そういう時の落ち込んでいる彼をフォローしてあげないとね。

 

 最初に会った時は自制が全然できない困った子だったけど、ダメである理由と我慢した報酬を見せればしっかり頑張ってくれている。良くも悪くも真っ直ぐだから、見ていて気持ちのいい子だしね。基本はいい子なんだよ。

 

 ただエロすぎるのが難点だからね。俺の失敗談が彼に少しでも自制心を与えてくれるのなら、まぁ明かすことに否はないさ。

 

 ……ただ同時に、あの頃の二人の微笑を思い出す。

 

 胸に走る痛みと共に、首から下げたロケットをふと握りしめる。

 

 二人は今頃、どこで何をしているのだろうか。

 

 期待はできない。そんな失踪だと聞いている。未だに足取りすら掴めない以上、最悪の可能性だって想像できる。

 

 それでも、資格が無くても思ってしまう。

 

 せめて、心から笑える時が来てほしいと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして数日後、俺とランダリンはリアスちゃんとお茶会をしていた。

 

 この駒王町は日本の地方都市だ。なので表の管理は日本国に繋がっているのは当然。その上で、悪魔であるリアスちゃんが契約活動を行う傍ら、要は用心棒のようなことをしている。

 

 要は駒王町で異形や異能が問題を起こすと、リアスちゃんを敵に回すわけだ。そうなると最悪グレモリー本家を敵に回すし、最悪の場合は悪魔社会が出張ることになる。そういう意味では余程の馬鹿でもない限り問題を起こそうとはしない場所といえる。

 

 まぁたまに出てくるけど。調子の乗って増長しているタイプのはぐれ悪魔とか。現地の悪戯好きな妖怪とか。

 

 そしてとあることから和平を進める為、堕天使と教会から俺とランダリンがそれぞれ派遣されている。便宜上はリアスちゃんの眷属に一人ずつ警戒対象といえる手合いがいることを上げている。実態は和平が成立した際のモデルケースを集める一環だったけどね。

 

 その一環もあってちょくちょくお茶会に招かれるけど、俺とランダリンはその警戒対象からそれぞれ距離を置かれている。

 

 なので、ここにいるのは四人だ。

 

「あ、お茶菓子にアップルパイを作ってみたよ。どうかな?」

 

「……あえて辛口で70点です。リンゴの選定を厳しくしてみてください」

 

 中々に辛口な評価を入れてくれるのは、リアスちゃんの眷属である塔城小猫ちゃん。

 

 チェスの駒におけるルークの駒で転生した、打撃戦から関節技までなんでもござれのちびっこファイターだ。

 

「……そうなのです。日本のリンゴは生食前提で加熱処理に不向きなものが多いと聞くのですよ」

 

 ランダリンからも中々手厳しい評価。

 

 うん。精進しよう。

 

「それはともかく、このお茶会も長く続いているものね」

 

 リアスちゃんがフォローするように話を変えてくれるけど、まぁ確かに。

 

 週に二回ほどやっているお茶会だけど、もっとギスギスするかと思ったら割とスマートに終わっているんだよねぇ。

 

 まぁ、ギスギスしそうな人をリアスちゃんが連れてきてないからだろうけど。

 

「朱乃ちゃんや祐斗くんが基本来ないからね。……二人が同時に来た日は大変だったよ」

 

 思わず苦笑いを浮かべると、ランダリンもリアスちゃん達も同じ感じになる。

 

「ピリピリした雰囲気なのを今でも覚えてるのです。リアスさんの胃が不安になったのです」

 

「心遣い感謝するわ。そしてあの時はうかつでごめんなさい」

 

 ランダリンとリアスちゃんもすすけた雰囲気になり、小猫ちゃんはあえて口を挟むまいとアップルパイに集中してしまっている。

 

 ……俺が言っておいてなんだけど、雰囲気を変えよう。

 

「そういえば、イッセーの方はどうなのかな? 少し前から依頼を受けるようになったんだよね?」

 

 ……その瞬間、リアスちゃんと小猫ちゃんが更にすすけた。

 

 なんだろう。もの凄く反応に困っている感じだ。

 

「……やっぱり、初心者だと失敗も多いのですか?」

 

 ランダリンが踏み込むと、リアスちゃんは微妙な表情で首を横に振る。

 

「判断にとても困るわね。いえ、ある意味でとっても面白いのだけれど」

 

 そこから詳しいことを聞いたけど、確かに反応に困る。

 

 まず、依頼人の元に転移ができなかったらしい。

 

 悪魔が契約活動で行う転位はとても簡単だ。担当する地域内という限定的な範囲内かつ、チラシというビーコンを使ったうえでの転位。純血悪魔なら小学校に通わないような年齢の子でも持つ程度の魔力量でできる。

 

 つまるところ、イッセーの魔力量はとっても低いようだ。

 

 結果として、チラシ配りに使用している自転車で向かったらしい。

 

 今度、学食で何か奢ることにしよう。

 

 続いて最初の依頼だった。

 

 小猫ちゃんのお得意様が被ったので片方に派遣されたようなんだけど、ここでも大変だったらしい。

 

 まず自転車できたことから慣れていたその人は信じなかったらしい。そしてイッセーが酷い現実に崩れ落ちて泣いていたところ、とりあえず話を聞くことになって信じてもらったとか。

 

 とりあえず、いい人が最初でよかったね。質の悪いのだったら警察とか呼ばれてたかもしれないし。

 

 そして当初の依頼が「コスプレした小猫ちゃんにお姫様抱っこしてもらうという依頼だったので、当然無理。

 

 これは仕方がない。問題はここから、仕方ないので他の依頼を試した場合だ。

 

 1:大金が欲しい。検査の結果、お金が目に入った瞬間に死ぬと出る。

 

 2:綺麗な女の子と仲良くなりたい。以下同文。

 

 ……哀れな。

 

 思わず天を仰いで涙を堪えるが、更にここから妙なことになる。

 

 この残酷な現実に八つ当たりをされ、イッセーはその人と口論になったが何時の間にか漫画談義に。

 

 結果としてアンケートでは、また依頼を受けてほしいという高評価になった。

 

 ちなみに次の日は「魔法少女になりたい」とかいう筋骨隆々の大男に依頼を受けたらしい。そして最終的に魔法少女アニメを1クール見続けて、また好評。

 

「そ、それは確かに評価に困るね」

 

「実益と満足感は別という事なのです……か?」

 

 俺もランダリンも、流石に困惑したよ。

 

 ただ、話してスッキリしたのかリアスちゃんは微笑を浮かべている。

 

「ふふっ。駒の()もそうだけれど、あの子は見ていて飽きないわ。良い眷属になってくれそうね」

 

 どうやら、イッセーは今のところリアスちゃんに気に入られているようだ。

 

 ま、変態性さえ何とかすれば良物件だからね。……悪魔としてはちょっと不安になるけど。

 

「兵藤先輩はとても頑張り屋さんです。それまでは悪魔として先輩の私達がフォローします」

 

 小猫ちゃんも応援する方向だし、ま、まずは様子見だね。

 

 イッセーは悪い奴じゃない。性欲も最近は頑張って迷惑をかけないように発散しているし、努力できるし根性もある。真っ直ぐな好漢だと一年で理解できた。

 

 頑張れイッセー。君は光る物を持っているんだし、ハーレム王だって本当に狙えるさ。

 

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