機動戦士ガンダム0088 ideal of Titans 作:わいるどうぃーぜる
いや決してディアブロ4にハマっていたわけではクソっユニークが出ねえ。
それはそれとして、コンラッドたちの行き着く先がどうなったか、どうかお確かめください。
四年後。宇宙世紀0092。
今日も抜けるような青空だった。
「ちょ、ジムストライカーすか!? マジ博物館モノっすがこれレストアするんすか!?」
カイルの呆れた叫びがオーストラリアの青空に響きわたる。
「無駄口を叩くなアイランド少尉。ただのレストアではない。全周モニター化、新型核融合炉への換装でどれだけ出力が上がるかのテストも兼ねてる」
「実質ジムⅡ化みたいなもんじゃないですか! ああ、向こうのチームみたいにバイアランに乗ってみたい……」
二人の部下の見ようによっては微笑ましいやり取りを、コンラッドは離れたところから眺めていた。
四年前、あの作戦が終了してからすぐに、サイド3へのアクシズの浸透が表面化する。
もはやプロパガンダなどやるいとまもなく、「ドーバー」は夜逃げ同然に帰港したばかりのサイド3から、1名のVIPを乗せて出港する羽目に陥る。
地球本星艦隊基地である、低軌道連絡宇宙ステーション、「ペンタ」に到着すると、VIPと他の1名を降ろし、「ドーバー」は地球に降下した。
それからコンラッドたちは「ドーバー」を降り、それから地球の基地をドサ回りしていく。
キャリアは改ざんされ、エリートではなく一般の兵士として。
そして今は、ここオーストラリアのトリントン基地に腰を下ろしている。
「そう言えばシャロ先輩、どうしているのかなぁ」
「噂では政財界のお偉方に混じって、慈善パーティや寄付の看板になったり忙しいようだ。のんきなものだ……、と言いたいところだが、彼女がいなければわたしたちも今頃アクシズか、火星か」
「それはマジ嫌っすねえ……」
そう、結局彼女のおこぼれに預かって、俺たちはここにいるようなものだ。そう、コンラッドは想う。
俺個人に限っても凶状持ちとも言える身分だが、冷たい宇宙の果てではなく、大地にいることができる。贅沢を言えばコーヒーのいいやつが手に入らないことだが。
いや、地球産のコーヒーが手に入ってもだ。
以前偶然に、テレビに映る「シャーロット・バウアー」を見たことがある。
笑顔をふりまき、綺麗なドレスを身につけているその姿は何も苦労がないように見える。
しかし、あのティターンズの日々を知るコンラッドの目には、その姿は風切羽を抜かれ、飛び立てない白鳥に見えた。
シャロ、「作られた英雄」になるな。あいつは、ジョンはそれで全てを失ったのだから。
身勝手だとは思いつつ、コンラッドはそう祈るしかなかった。
「大尉、その、お客様です」
そう物思いにふけっていると、整備員から声をかけられた。
「お客様? こんな田舎まで、追いかけて来る女はいないつもりだったけどな?」
トシコの強烈な冷たい視線を感じつつ、コンラッドは返す。どうにもいつまでたってもこの軽口だけは変わらない。
「いやその、なんというか。ヒシカワ中尉とアイランド少尉もご同行をと」
「わたしも」「自分もっすか」
三人は互いの顔を見合わせた。
「いやいや、あなたたちのような高名な方々がこんな辺境までよく来ていただきました。コーヒーは軍隊風ですが一杯いかがですか」
ソファに座って、目の前のふたりの人物と対面したコンラッドは、自分の声が若干震えるのを感じた。後ろの二人にいたっては直立不動となっている。
「世辞はいい。要件だが、単刀直入に言う。我々の部隊は人員を補充中だ。ジョン・バウアー議員とその娘さんから、君たちのことを推薦された」
「シャロ先輩! 俺たちのこと忘れてなかったんだ!」
目を輝かせたカイルの脇腹に的確にトシコの肘が突き刺さった。悶絶するカイルを尻目に、コンラッドは不敵な笑みを浮かべた。
「たしかにそれについては『慣れて』おりますな。そして、あなた方の部隊の任務からすると、ついにあの仮面の男が動きますか」
「言っておくが、かつてのティターンズのように強権的な捜査権はない。規模も一個艦隊がいいところだ。それでも我々はやらなければならない」
片方の人物の黒目がちな瞳が、真剣な眼差しをもってコンラッドを見つめる。
「そうですな、そろそろ地上の重力に縛られているのも飽きました。わたしはどんな待遇でも行かせていただきますが、お前たちは?」
「わたしはいつでも隊長のお側に」
「お、俺は問題ないっす!」
部下たちの返答に、コンラッドは笑みを深くする。
「決まりだな。それではよろしくお願いします、ブライト・ノア大佐」
手を差し出し、ふたりと握手する。
「俺も同期だな。よろしく、コンラッド・イステル大尉。ロンド・ベルにようこそ」
コンラッドの手を握り返しながら、目の前の青年、アムロ・レイは不敵な笑みを浮かべた。
Fin
というわけで、「ティターンズの理想」、完結です。
最後に逆襲のシャア「MAIN TITIE」の音楽が読者様の心に流れたのなら、作者にとって望外の喜びです。