スキル【夢オチ】でお金を稼いで美味しい物を食べたかっただけなのに… 作:粗だらけ
「ところでアンタって何のスキルを持っているの?」
コンビニでお弁当を買って近くの公園のベンチで二人で座ってお弁当を食べる。時期が時期だから夜桜がとても綺麗だ。花見をしながら食べるお弁当は凄い美味しい。
と言うかチネって無いご飯が久々すぎて凄い美味しい。コンビニのお弁当ってこんなに美味しいんだね…!
ちなみに僕は唐揚げ弁当でえっと…彼女の名前を知らないや。彼女はカップ麺とレジ前のホットスナックを買ってた。
まあ…あんまり桜は見れてないけど桜は逃げないからね。
そうだ!質問に答えないと…「うんっ…えっと。んっ…!まっへ」
「…はぁ。食べ終わってからで良いわ。そしたら色々話しましょう。私達はお互いのことを知らなすぎるわ。名前もスキルもお互いの状況も…。それにアンタのその格好…」
じっと見られて彼は頬をハムスターの様に膨らませながら首を傾げるのに釣られてこっちも傾げる。可愛い。じゃなくて…。
「誰かと一緒にご飯を食べるのがこんなに嬉しい時が来るなんてね…」
ボソッと気づかれない様に呟いて涙を拭う。そして麺を啜る。夜の外はまだちょっと寒くてカップ麺のスープの最後の一滴まで飲み干した。
「ふぅ…。」「ご馳走様でした。美味しかったぁ…。」「じゃあお話をしましょうか…。まず私から良いかしら。アンタについて聞きたいことが沢山あるの」
「僕も聞きたいことはあるけど…お先にどうぞ」
「ありがとう。じゃあまず自己紹介から始めましょうか。私は反体幽香《ハンタイカスカ》って言うのよろしく。アンタの名前は?」
「僕は白夢真昼《シラユメマヒル》よろしくね」
「白夢?もしかして夢魔をこの世界から滅ぼしたあの白夢家!?」
「え?もしかして有名なの!?」
「そりゃあそうよ…白夢家がいなければこの世界に人間は存在しなかったかもしれないんだから…」
「まあそれは小さい頃父さんがよく語ってたよ。だけど盛ってるんじゃないかと思ってたんだ」
「何で貴方こんな所にいるの?家に帰らなくて良いの?御坊ちゃまにコンビニの弁当物食べさせたからもしかして重刑⁉︎」
「今は家じゃなくて寮ぐらしだしご飯はカロリーバーしか無かったからすごい久しぶりに美味しいご飯を食べたよ。本当にご馳走様でした。反体さん」
「?カロリーバー?後幽香で良いわ。苗字は好きじゃないから…。」
二人の話はドンドン進んだ結果。「はぁ~…。」少年は欠伸をして目を擦る。幽香が時間を確認するともう23時だった。
「白夢く…下で呼んで良い?貴方が白夢家の一族ってバレたら何か不都合があるかもしれないから」
「そっか学校から抜け出してるから」「まあそんな酷すぎる学校は抜け出した方が良いと思うけどね。」
そう会話しながら彼女はベンチを立った。それに合わせて僕も立つ。きっと彼女は家に帰るつもりだろう。なら僕も帰らなくてはならない…。まああんまり気は進まないけど…。
「じゃあそろそろ帰りましょうか」分かった。彼女が駅とは反対の方向を向いたから僕は駅方向に向いた。線路沿いに歩けば最寄りの駅に着くでしょ。
「何処行くの?」彼女はそう言って僕の方へ来た。何処って自分達の家へ帰るんだろう。だから僕は学校へ向かうんだ。
「辞めた方が良いわ」何で?「あのねぇ…どう考えても普通じゃない!このまま逃げた方が良いわ。」でも寮と実家以外家なんて…。
「私の家に来て。その代わり明日から私と仕事をして貰うわ。それに貴方みたいな人初めて見たから…」(色々な意味で)
「…。」「ほら早くしないと明日になるわ。帰りましょう。」
そう僕の背中を押して僕達は彼女の家に向かった。
ヤバい…。またいなくなってる!就寝時間になっても部屋の中はもぬけの殻だった。その状況に理事長の秘書は溜息をつく。
「今までは就寝時間までには必ず戻って来てたからそれは特に言わなかったのに…。」
いちいち説明すると自分の非を認める事になるので一日一回いなくなったら後はいなくなったとしても報告しない様にしているか。だが今日はほとんどいない。
だが報告しようにも理事長はお休みだ。だから仕方が無い。まあどうせ明日には戻って来てるだろう。そう楽観視し自分の部屋に戻り眠る事にした。
その判断が失敗だった事を後悔するのはそんなに遅く無い未来だった。
《ピピピ!ピピピピッ‼︎》
スマホのタイマーが鳴ってる。僕はスマホを持ってないから気にしないで寝る事にした。
「何時ぃ?8時だってまひる。あさごはん食べれる?」
隣からそう声が聞こえる。お腹は…。僕はお腹に手を当てて聞いてみる。《ググゥ〜》やっぱり寝る前に一回スキルを使ったからお腹が良い感じに空いてる。
「そう言えば昨日良い夢が見れたんだけど寝る前にまひるが使ってくれたスキルのおかげ?」
昨日シャワー借りて部屋に戻ったら反…幽香さんが眠そうにコックリコックリしてたからせめての恩返しとして【スキル】を使った。口でしか説明してなかったから実際に体験して貰う良いチャンスだと思って。条件も揃ってたし
【スキル】夢オチは良い夢か悪い夢しか選べない。具体的な内容は夢を見た本人しか分からない。それにその夢が良い夢なのかどうかも本人次第だ。
そして条件は相手が寝ている事。もしくはそれに近い状態な事。最悪目を閉じてるだけでも構わない。
難しいスキルだな…って思う。だからたまにお腹が空くのは知らないうちにスキルを使ったからなのかなって思うんだよね。な訳無いか…。
「ね!使ったでしょスキル…。」使ったよ
「やっぱり…お陰で凄い良い夢を見られたの…ありがとう!」
夢の内容は聞かない方が良いね。プライバシーだもん。
「じゃあ何食べる?朝からガッツリ系いける?」うーん。お任せで!あっ…美味しい奴で!
「はいはい。えっと…アレルギーとか嫌いな物とか無いの?」多分大丈夫「ラーメン食べれる?」朝から?まあでもこのお腹の空き具合だったらいけるかも…。
「じゃああそこだね。あったあった…」幽香さんはスマホを操作している。
「あっそうそう部屋の掃除ありがとう。中々時間が無くてね」
と言うか此処…ホテルだよね。何でホテルで暮らしてるの?
「あー…。それはね仕事の都合上あんまり同じ場所にはいれないから。お金が貯まったらこの街から出るつもりだけどまひるはどうする?」
…「そういえば仕事の説明してたっけ?仕事の内容はね」
《"ピンポーン!"》「来たみたいだし食べてから話そう」
じゃあ僕が!「はい!ありがとうございます。」あれ…。
「あっそうそう。その制服脱いだ方が良いと思う。」
でも着る服が…。「ならコレ着ていいから」そう言って渡されたのは黒いパーカーだ。昨日幽香さんが来ていたのと同じ服だ。
「もうちょっとさ心配した方が良いんじゃない?いつ学校側から連れ戻されるか分からないんだから顔を隠した方が良いよ」
確かに…脱走に慣れすぎてそこらへん何にも考えてなかった。そう思って僕は制服を脱いでパーカーを羽織った。幽香さんの匂いがする様な気がする。
「さぁ…ラーメン食べましょう。ここのラーメンは美味しいの」
そう言って二人分のラーメンをテーブルに置く。
蓋を開けるとフワッと豚骨の匂いが部屋に充満する。もしかして朝から豚骨?重そう…。そう思ってチラッと正面を見ると普通の顔をして麺を啜っている。
「やっぱり美味しいね。伸びないうちに食べた方が良いよ」うん…まあお腹も空いてるし食べてみようかな。食わず嫌いが1番駄目だし。
そう思って一口食べてみる。ふむ。ん?
あ、美味しい!スルスルと麺が胃の中に入っていく。豚骨だけどそんなに濃く無くてあっさりしたスープ。最高の歯応えのメンマ。そしてこのチャーシュー…。柔らかすぎる。確か圧力鍋で柔らかくなるって本で見たことがある。それかな…スープに浸してから麺と一緒に食べるとほんっとうに美味しい。
「はあ…ご馳走様でした。今日の朝ごはんも最高でした。もう僕カロリーバーじゃ生きて行けないですよ」
「それなら学校に見つからない様に早くここから離れないとね。そうそう仕事の話なんだけど…」
そうだ。その話をしかけてたんだ。一体どんな仕事を…
「簡単な仕事だよ。人の後をつけるだけのね。」そう言ってニコッと幽香さんは笑ったけど絶対そんな事はないと思った。
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