スキル【夢オチ】でお金を稼いで美味しい物を食べたかっただけなのに… 作:粗だらけ
「儂と闘って勝ち、仮初の自由を手に入れてみるか?白夢真昼」
そう言って腰の警棒を取り構えた。
…。僕に出来ることと言えば目を瞑らせて夢を見せることしか出来ない。よし煽ろう。
恥ずかしくないんですか?「あ?恥ずかしい?儂がか?」
ええ。勝つと分かってる戦いでしか戦えないリスクをかけられない。決まった勝ちを本気で取りに行く臆病者の生い先短いお爺ちゃんですもんね。自覚が無いならしょうがないですね。
…お腹もすいたけど喉も乾いた。後罪悪感がやばい。後日警備員のお爺ちゃんに謝ろう。
「ほう…。そこまで言うんだったらハンデをやろう。ハンデとして儂は5秒間目を開けん」
5秒…。分かりました。「いーち…」
『《夢オチ》《祖悪》』
僕は条件が整った事を確認してスキルを発動した。
《何だ?》夢魔斬は手に持った警棒を元の場所へ戻し目を開ける。
「儂の異能…いや今はスキルと言うんだったか。儂の異能はな…対夢魔専用の異能だ。つまり夢魔側のスキルを持つお前は儂には絶対に勝てない。」
「さっきお前のスキルの効果を切った。嘘だと思うのならもう一回やってみると良い…」
はぁ…どうしよう。僕にはこのスキルしか使えない。でもお腹が空いて…。捕まったらきっともう出れないだろう…。
体が熱くなって来た。頭も痛いし…喉も乾いた。朝から警察官に追いかけられるし…。何で僕はこんな目に遭わなきゃいけないんだろう。どうにかして逃げなきゃ…。誰か助けてくれないかな…
『あっなんか呼ばれた気がするからちょっと行ってくるね。留守番よろしく〜』
「我が王!お待ちください…。」静止を聞かず石は激しく光だし目を背けた後何処にも見当たらなかった。
『チラッ…』え?『チラッ…チラッ…』ん?『出て来たのは良いけどノープランでした。どうしようね』
なんか小声でボソボソ言ってる。ってかなんか懐かしい様な…。いや石に知り合いはいないし…。
『!…力が欲しいか』力?欲しいです。
『じゃああげちゃう…。でもそうだね。今の真昼じゃあ力が強すぎて力にオーバーキルされちゃうから…。うーん…そうだ』
いや待ってください。夢魔のスキルではお爺ちゃんに勝つ事は出来ないんです。何か他の方法で…。
『分かってるよ…それぐらい。だから安心しなよ…。全部知ってるから』え?
『あれ言われてない?真昼は私の子供だよ。貴方が通ってた学校の理事長との生まれた子供が貴方白夢真昼。だから貴方は夢魔のスキルを使えるの。』
…。『ちなみに私が夢魔の王って言うのは…あんまり知っている人はいないと思うから内緒にしてね』
はぁ…。まさかムツゴ○ウさんが夢魔の王だとは…。
『考え方を変えてみれば良いんだよ。夢魔のスキルが効果が無いのは耐性を持ってるからとかでは無くてスキルの効果を切られているから』
『なら…気づかない内にスキルを発動させれば良いでしょ?』
僕の身体が僕の意思とは関係なく動いた。『夢魔の残り香。コレヲカグトゾウデモスグネテシバラクオキレナイ』
鼻をつまみながらムマゴロウさんはそう説明して石の匂いを嗅がせた。
「ゔっ…。」
『よしこれで寝たから後は…』お爺ちゃんの体を漁って財布を抜き出した。
いや何してんの!?『お金必要なんじゃないの?いや…本当だったら私が出してあげたかったんだけどね?無いからさ…銀行から引き出そうと思って。』
お義父さんの財布からお金を抜き取る事を銀行から引き出すって表現をしだしたムマゴロウさんに今日一驚いた。
『福沢諭吉だけで秋元○が新しいアイドルグループ立ち上げるぐらいいるんだから。気にしなくて良いよ』
『じゃあね…。またね。また会いに来るからね…。』
はい。ありがとうございました。『冷たい…』石は光り輝いて何処かへ消えた。
『っと…そうだ。危ない危ない…。ちょっと協力してくれない?君も教団員でしょ?』
黒いフードを被った男は石に話しかけられても驚きを表面に出さず会話を続ける。
《ああ…我が王よ。何なりと言ってくれ。貴方の言葉こそが俺の生きる道標なのだから》
『あたおk…。ゴホンゴホン…。素敵な思想だね。脳みそに花が植えられてそうだね。ツバキやヒマワリ、サンゴミズキでも育ててるのかな?』
《よく分からないがお褒めの言葉を受け取ろうと思う。有難う。》
『ボクも君が分からないよ…。君確か前探偵やってたって言ってたね?今日から君に特別な仕事を与えよう』
《本当か我が王よ…。だが今日は上司にそこら辺ぶらつき時間になるまで帰って来るなと言われていてな》
『ねえ…君の上司とボク。どっちが偉いと思う?』
仕事の説明をすると無言で頷き何処かへ歩いて行った男の後ろ姿を見て光り輝く石は『本当に大丈夫かな…』と呟いた。
ポケットの中を触るとカサカサと音がする。取り出すとそこには二人の福沢さん。「やっぱり駄目だ…でも…。」
どうしようかと考えているとお爺ちゃんが目を覚ました。がまだ寝ぼけてるようでその目は何処か優しい。その目は警備員のお爺ちゃんの目だった。いつものキリッとした眼差しで無くちょっと戸惑っているとあっちから話しかけて来た。
「あれ?白夢君じゃないか。どうしたんだい?こんな所で」
そう優しい瞳で僕を見つめる。僕はたった今思い出したかの様に嘘を織り交ぜながらお金を返した。だけど…。
「成程…盗まれたお金を拾ってくれたんだね…ありがとう白夢君。」
「でもこのお金は受け取れない。なんでか分かるかな?」
…。少し考えてみるけど答えは出てこない。それが伝わったのかどうか分からないけど警備員のお爺ちゃんは答えてくれた。
「人間って言うのは愚かでね。白夢君の様に誠実で聖人な少年も僅かにいるんだが…大半は根が腐っている様な人間ばかりなんだ。」
「私も決して誠実な人間と胸を張っては言えないんだ。それほど私の手は白くない。戦い返り血を浴びて黒く汚くなっているんだ。私はどうせ老い先短い。それならせめて君の様な若者がお金を持ってた方が良いと私は思うんだ」
「それに君学校から抜け出して手持ちが少ないんだろう?少しでも持ってた方が良いんじゃないか?」
うっ…確かに。痛い所を突かれて僕は黙って頷いてしまった。
「じゃあ私はこれで…。大丈夫。理事長にはちゃんと適当に誤魔化しておくさ。いつもの様にね。」
そう言って僕にお札を握らせてすぐに離れた後手を振った。
僕は泣きそうになりながらありがとうと何度も何度も足りないほど伝えた後その場を後にした。
この後どうしようかと思っていた所幽香さんから電話がかかって来た。《所持金》20,000円。
「はぁ…。上手く行かないわね」私は収穫の無さに思わず溜息を吐く。自分から言い出した作戦なのに具体的な所がフワフワしすぎていた所に今更気付いた。
お金待ってそうなオーラってそもそも何?街中で高級車乗ってる人がそうなの?そんな人を徒歩でどうやって追いかけるの!?
「高級車見つけてタクシー捕まえて片っ端から前の車追いかけてくださいって言えば何とかならないかしら…」
いやダメだ。ちょっと忘れかけてたけど私は存在感が無い。と言うか半分幽体だから…。何か別の案を考えよう。そう思って何処かで座って考える事にした。
「もしもし…今何処?うん…私?ごめん全く上手く行かなかった。ええ貴方の方は?はぁ?色々あって2万円貰った?後で詳しく聞くわ取り敢えず近くの駅で待ち合わせしてご飯でも食べましょう」
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