スキル【夢オチ】でお金を稼いで美味しい物を食べたかっただけなのに… 作:粗だらけ
《"ジュー!"ジュー!"》
お肉が出せる中で一番良い声を出している。幸せだ。こうやってお肉を焼いている時間はまるで自分がこの牛を育ててる様に錯覚する。まあそんな事は決して無いんだけど。それより…。
もう離しても良いんじゃない?手汗がヤバくなってきたからさ。そろそろ解放して欲しいんだけど…
「いや…これから食べながら話さなきゃいけないし手放したら真昼が独り言言いながら二人分のご飯並べて食べてるヤバい奴になるけど…それで良いのなら離すわ?」
そうだ…。彼女は半幽体で僕は普通に認識出来るんだけど…周りの人は認識出来ないらしい。じゃあ何で僕見えるんだろ…もしかして霊感がある?
その代わり…何故か分からないが僕と手を繋いだ時だけ周りの人も彼女を認識出来るらしい。これは前コンビニでご飯を買いに行った時に偶然起きた事だ。またそれは置いといて本題に戻ろう。
色々な意味で目立ちそう。でも同じ席で手を繋ぎながらご飯食べるのも目立つと思う。この時代に絶滅危惧種並みに少ないと思う。こんなバカップル…
僕は手を離すの諦めて肉を育てる事に集中する事にした。燃え盛る火…。赤みがかった帯の様な肉が運ばれ焼かれて姿を変え…僕の元に運ばれる。
美味い…。どうしてお肉ってこんなに美味しいんだろう…。「君は本当に美味しそうに食べるね」食レポは下手だけどと続ける彼女を一瞥して僕は箸を進める。凄い…やりにくい。
「あーん」それもう本当にバカップルじゃん。僕は首を振るけど僕のお腹と幽香さんは許してくれなかった。
《"ググ〜!"》とお腹が意思表示をする。肉を掴んだ橋がさっきより近くなったのを見て僕は諦めて肉を食べご飯を掻っ込む。
「じゃあそろそろ話をしましょうか」うんそうだね…。僕もあんまり整理出来てないんだけど
「はぁ!?警察官に追いかけられたからスキルで意識を堕として逃げたら今度はお爺さんに会って何故か戦う展開になった!?」
その後ムマゴロウの母さんが匂い嗅がせて堕としてお金貰ったよ。
「…。何やってんのアンタ…。あのねぇ…もうちょっと気をつけた方が良いわ。アンタは今逃げてるのよ?それなのにそんな目立つ事やったら捕まるわよ…」
確かに…。捕まりかけたけど。
「一つ良いかしら。私ずっと気になってるんだけど…」
ん?どうしたの?「あのおっさん私達が店に入った後に入店して注文してからずっとこっちの方見てるんだけど知り合い?」
そう言って顔をおじさんの方へ向ける。いや知らない。
そう伝えると溜息をつく。「まあきっとバカップル過ぎてドン引きしてるか。リア充爆散しろって思ってるかのどっちかでしょ。」
それで幽香さんは?どんな感じだった?「あー貴方のが酷過ぎて私のなんて小学生の絵日記みたいな内容だから特に無しで良いわ…」
この後どうする?「ここはもう危険だから何処かへ移動した方が良いわね。夜行バス捕まえて移動しましょう。」
何処へ?「今から決めるわ!」お肉食べて良い?「食べなさい」わーい!
冷めてるぅ…でも柔らかくて美味しい。今日も美味しかった。いつか…いつの日か…高い焼肉を食べてみたいなぁ!上場苑とか…きっともっともっと美味しいんだろうなぁ
『すいませんでした』そこには多分恐らく…土下座してるであろう石と。怒っている信者がいた。
「何であんな勝手な事をしたんですか。今の貴方はどう言う状況か分かっているんですか?」
『いやぁ…でも』
「今の貴方様は体を失って核が剥き出しの状態です。夢魔が核を破壊されたらもう二度と復活が出来ないのは貴方様なら分かってるはずでしょう…」
『分かってる。全て分かってるからこその行動だよ。それに…』「?」
『母親が子供の為に動くのに子供を助けようとするのに守ろうとする事に細かい理由を考えていられないんだよ』
『それとも君は身内を黙って見殺しに出来るのかい?それなら君は人でありながら人でなしだね』
その言葉に信者は何も言えなかった。
ミカン美味い…。美味美味…。僕は片手にミカンを持ちもう片方の手で口に持っていく。「あっ赤ちゃんミカンだ!可愛い…。」
「幸せそうだねぇ…」そんな僕を見ながら幽香さんはお婆ちゃんとお茶をすする。
今僕らは夜行バスでとある県まで来て場所は皆の想像に任せるけど…そこのみかん農園でお世話になっている。みかんおいしい…。僕はまた口に運ぶ。
「
どうしようと考えていたら山田のお爺ちゃんが心配そうな顔をしてる。「もしかしたら不味かったか?」そんな心配を吹き飛ばす様に僕は首を振った。
「美味しいです!今までで一番‼︎それに本当にありがとうございます。」
「トーカスー。お前も食えよ!作業は休憩だ。」山田のおじちゃんが呼ぶ。
《ありがてえなおっちゃん。じゃあ言葉に甘えてそうさせて貰うぜ。隣失礼するぜ夢魔の坊主…》
トーカス〜次言ったらどうなるか言ったよね僕。その様子に驚いた山田のお爺ちゃん。トーカスは申し訳なさそうに頭を掻いた。
《悪りぃ…。坊ちゃん》坊ちゃんも辞めてよ。さぞ偉そうなボンボンみたいじゃん…。
《いや実際そうだろ?あの白夢家の次期当主であり夢魔の王の唯一生き残った息子。何処を取ったってエリートには変わらないじゃねえか》
本当の事なら何でも言って良い訳じゃないんだよ?僕はそうトーカスに言う。彼が悪い人間じゃないのは分かるけどどうもちょっと苦手なタイプだ。まあそんなことも言ってられない。慣れなきゃいけない。
これから彼とも一緒に行動しなきゃ行けないんだから
どうしてそうなったのかそれは時間を巻き戻して僕らが焼肉屋を出て夜行バスへ向かう時にまで戻る。
そう言えばさ…。今更で本当に申し訳ないんだけど…。「?どうしたのかしら?」そう言って彼女は首を傾ける。そうするの彼女のツインテールが揺れる。彼女は今フードを取って僕と手を繋いでいる。
つまり彼女の姿は皆に見られている。めちゃくちゃ恥ずかしい。彼女は可愛いけど僕は彼女の横に並ぶのに相応しくないと伝えると彼女は怒り出した。
「次に言ったら生きたまま埋めるわよ」恐ろしいからもう二度と言わない事にする。言った時には僕は死ぬのだから。
「他に話が無いなら早く夜行バスに乗るわよ。」いや…あるよ。すごく大事な話が…。
僕は話を終わらせてバスに乗ろうとする幽香さんを止める。「何よ?」僕に着いてきて良いの?「…どう言う事よ」
いや他に何かやる事とかあるんじゃないの?無理に僕に着いてこなくても…。「埋めるわ」理不尽だ。僕は質問しただけなのに…。
「冗談よ」??「ちょっと手放してくれる?」そう言われて僕は彼女の手を離した。
「私はね貴方と出会う前はね良い人生とは言えなかったのよ。まあ詳しく話すと長くなるから言わないけどね。」
彼女が後ろを向いたせいでどんな表情をしているか分からない。でもそう言う割には声はそれほど暗くはなかったからホッとした。
「でもね今はとても楽しいのよ貴方といると…人生は一度きりやり直すことも出来ないなら。より楽しい時間を過ごしたいでしょ?だから私は貴方が嫌って言っても着いて行くわ」
彼女はそう言って僕の手を再び握る。僕は小さな声で「僕も今が一番楽しいよ」と言った。
彼女の耳が赤く染まった。
これじゃなかった。どれだっけ…
こうして僕らは座席に座り夜行バスは出発した。そして最初の数十分寝ていた僕は目を覚まして隣に話しかける。いやあ夜行バスには僕は初めて乗るんだけど幽香さんは…
僕の隣は知らないガタイのおじさんだった。身長が高く180以上はありそうだ。本当に知らないおじさんだ。思わずえ?って言いそうになった。おじさんが静かにしろとジェスチャーをしてから後ろを指差したので見ると気持ちよさそうに寝ているツインテ少女がいた。
それから僕は隣のおじさんと会話をして色々な情報を得た。実はおじさんがムマゴロウさんを復活させる教団の一員な事。ムマゴロウさんの命令で僕のストーカー(ストーキングじゃなくて尾行らしい)兼ボディガードに来た事など。名前は名乗れないと言われたのでストーカーからもじってトーカス鈴木って呼ぶ事にした。
「だから貴方そのおっさんと仲良かったんだ。びっくりしたわよ。起きたら友達が突然おっさんにお姫様抱っこされながらバス降りてるところを見せられて…。」
おっさんじゃなくてトーカス鈴木ね。「どうでも良いわよ…トーカスでもサーカスでも知ったこちゃないわ」
《一応俺の新しい名前だからちゃんと覚えといてくれよ…マジでトーカスか…坊ちゃん。もうちょっと無いか?》
じゃあスカート…《トーカス鈴木最高だな。昭和の売れてない芸名みたいで》
「それで?学校から追ってとかは来てないの?」《あぁ…それは問題無い筈だ。俺は元々探偵をやっていたから人の気配や尾行には敏感でな…そう言うのはすぐ分かるんだ。》
「おーい皆!そろそろ作業再開するぞ!」僕達はそれを聞いて準備を始めた。ミカン甘っ…。ちょうどいい甘さ。僕は最後の一粒を口に放り込んだ。
「オヤジ…。見つけたんだよな。真昼を…何で捕まえなかった!俺はちゃんと言ったよな…。見つけたら連れて帰って来いって…」
学園の理事長室。そこで椅子に座った鋭い目をした中年の男性はそう聞く。
「ああ。勿論だ。だからちゃんと捕まえただろ?」それに応えるのは警備員の格好をした白髪の老人。その眼光は依然として鋭い。その横にいるのは理事長の秘書。何故か笑いを堪えていた。
そう言ってドヤ顔をする警備員の手には植物が踊っていた。
「プフッ…」ついに我慢出来ず笑ってしまった秘書は睨まれたのに気づき真面目な顔を作った。否…口元は笑っていた。
「何だよこれ…ダンシングフラワーか?」「違う。俺の孫だ」
踊る植物を自分の孫だと言う祖父と絶対に認めない父親。部外者だからこそこの空間を一番純粋に愉しんでいる秘書。「プププッ....」
(やばいな..ボケてるのか?ってどっちだよ…まさかどっちの意味でもボケてるのか?なら無敵だなほっとこう)
そして警備員は帰った。帰り際にお土産らしきものを理事長室に置いていったのだが…
「うわ出た。ご当地限定の珍しい味のお菓子…。さて天使が出るか悪魔が出るか…。」
「ふぉれへっほういけますよりじちょう!」「もう食べてるのかよ!」
そう言う事だけは早いなお前はと秘書にチクリと刺すとドヤ顔で「仕事はちゃんとやりましたよ」と返される。
「じゃあ暇なら俺の息子を探す人材を探してくれ」「それもやりました。今頃向かってる筈です」
「ちなみに誰だ?」その質問に対してニヤッと笑ってまたお菓子を口に運び出す。それを見てため息をつき理事長は頭を抑えた。
トーカス!こっち来て…《あいよ!どうした坊ちゃん。って届かないのか…ほらよっと》
作業はどんどん進み辺りは暗くなっていく。
「今日は日も暮れてきたしこれで終わりにしよう…皆ありがとう!今日はゆっくり此処で休んでまた明日頼むよ!」
僕と幽香さんは頷いてトーカスだけが頷かずに暗い表情をしていた。
食事をした後二人が席を外している時トーカスが話しかけてきた。
《なぁ坊ちゃん。それから嬢ちゃんだよな?…大事な話があるんだ。ちゃんと聞いて欲しい。これからに関する話だからな》
《此処で働き始めて三日が経ったな。ちょっとキツイ言い方するゴメンな。いつまでこうしてるつもりだ?いつまで好意に甘えてのんびりとしてるんだ?金だって大して稼げない。このままこれで良いのか?》
…。《なぁ坊ちゃんこれはアンタの旅だ。どうしたいかはアンタが決めろ。だが…このまま此処でみかんに囲まれて生きるって言うのなら俺は帰らせて貰う。俺の仕事はこれで終わりだ。ただし…アンタがそうじゃ無いと言うのなら…》
ずっと考えてたんだ…。この幸せを手放したく無いなって…。手を伸ばせば届く甘さから離れたく無いなって。でもそれは僕自身が甘かったんだ。そのせいで僕は忘れてた。何で僕が学校から出たのか。食事が酷すぎて
まだ食べたいモノは沢山あるよ。本場のたこ焼きだって食べたい。新鮮なお魚も…チーズも…。甘いモノだって辛いモノ。何でもかんでと飲んで食べて…食べて喰べて色々な
こっちこそごめんね。こんな欲張りな僕だけど…これからも着いてきてくれる?
少し心配になった僕は二人の近くに両手を伸ばした。手が震えた。
その手を二人ががっちり掴んで離さなかった。「行けるところまで行きましょう?その為にも沢山お金を稼がないとね?
」
《良かった良かった。勿論着いていくぞ。それから…2人がいない内に話しとくか》
《坊ちゃん…此処から本当に出るんだな?》
うん
《なら2人から俺達の記憶は消した方が良い》
え?
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