スキル【夢オチ】でお金を稼いで美味しい物を食べたかっただけなのに…   作:粗だらけ

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6話

な、何で?

 

《当たり前だろ?学校の連中がお前を探しに此処に来たらどうする?2人に俺達と会った事は絶対に秘密って言うのか?逆に怪しまれるだろ。だったら俺達と会わなかった事にすれば良い。》

 

でもどうやって…。《夢オチスキルがあるだろ?それにパワーアップアイテムもあるしな》

 

そう言ってトーカスはニタッと笑った。

 

 

 

…。小さい子供はなまはげやお相撲さんに抱えられる並みに泣くと思うから笑わない方が良いと思う。

 

《俺が泣くぞ》「辞めなさいよ良い年して…」

 

 

 

 

 

 

 

 

《坊ちゃん!起きろ…》頬にくすぐったい刺激とペシペシという音で僕は目を覚ました。

 

坊ちゃんじゃないって…。目を擦りながらそう応える。《俺だってトーカスじゃない》じゃあスカート…《こんなことをしてる場合じゃない。さっさと此処から出よう。後嬢ちゃん?もか…。》

 

もしかして…トーカスは幽香さん見えないの?

 

そう言えば此処に来てから幽香さんと手を繋いでいない。だから彼女の存在は確かにそこにいるけど周りには分からない。だから…

 

《ああ…。坊ちゃんには悪いが。イマジナリーフレンドって奴かと今も思ってるよ。幽香?って名前から女っぽいから一応嬢ちゃんって呼んでるだけでな。》

 

そっかぁ…だからいつも幽香さんを呼ぶ時?がついてたんだ。成程ね…。えっもしかして山田のおじさんとおばさんが僕になんか優しかったのは…

 

《気を遣ってたんだろうな…。ただでさえ坊ちゃんは年相応って言うより歳より下に見えるからな。中学生にしか見えねえもんなぁ》

 

…次牛農家行こう《酪農家な?牛乳一気に飲むと腹壊すし身長は伸びないぞ》

 

…あ。やばいかも…《?どうした?》幽香さんが何処に寝ているか知らない。

 

《はぁ!?おいおい坊ちゃんなら何処に寝てるか知ってると思ったのにな…。》

 

僕は祈りを込めながら電話をかけた。……数コールのち相手は電話に出た。

 

「どうしたのまひる?モーニングコールには、はやすぎないかしら。まだ12時よ?」

 

すごい眠そうなフニャフニャ声だ。申し訳無さが湧いて来るけどそんな事言ってる場合じゃない。何で僕って分かったのかも気になるけどね。

 

事情を説明しながら2人が寝ている寝室に向かった。

 

《じゃあいよいよコイツの出番だな。》そう言いながら懐から何かを…何か…何?

 

 

まだ?《悪りぃ…無くしたわ。坊ちゃんのお母さんからの手紙》

 

えぇ…。もしかしてそれが"パワーアップアイテム"?《その通り!》

 

はぁ?《まあまあ…内容は見ても良いって言われたから俺も見て内容は知ってるからこそ言うけどアレは見ない方が良いレベルだった。見た俺もちょっと後悔してる。トラウマだよあれ》

 

じゃあパワーアップアイテムじゃなくて呪いの装備じゃん。

 

《いやそれが一部一部に文字が大きくなっている気がしてな。そこの文字だけ抜き出してみるとそれがどうやらパワーアップアイテムらしいんだ。》

 

ふーん…で。

 

なんて書いてあったの?《良いか…良く聞けよ…。》

真剣そうな顔をしてトーカスはそう言う。

【ゴクッ…】

 

《"って言う夢を見てたのさ"》

 

え?

 

《これがパワーアップアイテムだ》正気?《本気》

 

うそだぁ…

 

 

「お待たせ…。って何この空気…でどうしたのまひる。名前負けしてるわよ。そんな暗くなって…」

 

あ…。おはよう幽香さん。色々あってね。僕は幽香さんと話している内に思い出す。そうだ幽香さんの存在を証明しないと!

 

《それは後で良いぞ。取り敢えず今は2人の…山田の爺さんと婆さんの記憶を消す事を優先してくれ》

 

「?どう言う事かしら」トーカスが幽香さんに説明してる内に僕は2人の部屋に入った。

 

《あっやべえ。伝えてなかった!坊ちゃん待て》トーカスが慌てて扉を開けて入って来たので僕はシーッと合図した。

 

《坊ちゃんやる時には合図をしてくれ。それから俺たちもそうだが坊ちゃんも耳を塞いだ方が良い》

 

何で耳を塞がなきゃいけないの?

 

《それはな坊ちゃん(夢魔)の言葉には言霊(コトダマ)が宿っているから…らしい。二枚目の手紙に確かそう書いてあった。まあ全ての言葉に宿っている訳では無いらしいから安心しろよ。悪魔でも夢に関する発言が地雷なだけらしいから》

 

夢の話出来ないじゃん…。《まあまあ…そろそろやってくれ》

 

僕らは部屋に入った。そしてチラッとトーカスの顔を見ると伝わったみたいで耳を塞ぐ。幽香さんも耳を塞いだ事を確認して僕は2人の寝床に近付いた。

 

声が届く距離まで近づくと息を一つ吐く。そして…

 

 

【"って言う夢を見てたのさ"】

 

 

と2人の耳元に囁く。そんな事をするつもりは無かったのに…何故か体が勝手に動いた。まるでそれが正しい動きかのように…。

 

…。本当にこれで良いのかな?耳から離れて離れようとすると光り出した。もう訳が分からない…。

 

トーカス先生。これは何が起きたのでしょうか。《これは…知らねえ。分からないことがあったら近づかないで逃げた方が良いのは分かるから逃げるぞ!》

 

 

 

《成功したのなら俺達と出会った記憶は夢としておぼろげな記憶になって…そのうち忘れる筈だ。多分…!》

 

なんか心配だな…。《しょうがないだろ!俺だって手紙で見ただけなんだから》

 

 

幽香さんが黙っている。どうしたの?

 

「いや…此処での暮らしも今日で終わりかぁって思うと。ちょっとね」

 

確かにみかんは甘かったし人の好意に甘えまくって此処から離れたく無いなって思ったよ。

 

《人間そこで止まるとそこから成長する事が出来なくなるからな。お前らは若いんだから色々なモノを見た方が良い…。あっ…そうだ。坊ちゃん。嬢ちゃんの姿を見せてくれよ!》

 

家から出てからにしない?《そっか悪いな》「やっぱり私の姿は見えて無かったのね。まあ期待はしてなかったから特に何にもって感じだけど。」

 

「そう言えばまひる。どうして電話相手が貴方って分かったか。その答えを教えてあげるわ」

 

本当?なんで?「それは…」それは?「(貴方しか私を認識出来ないのなら他に連絡先はいらないでしょ?だから分かったのよ)」

 

「何でだと思う?」えぇ?その答えを教えてくれるんじゃないの?「気が変わったわ。それより…ほら」

 

そう言って幽香さんは手を伸ばして来た。黒いパーカーから覗く白い手が消える前にしっかり掴む。

 

彼女の存在が他人からも分かる様になり…

 

《うぉっ…。まっ、まじか…》

 

目を見開いたまま心底驚いた面白い顔をするトーカスを見て僕らは顔を見合わせて吹き出した。

 

 

 

 

 

「まったく…いつもみたいにすぐ戻って来ると思ったら単身赴任ですか」

 

女はスマホを見ながら怒っていた。普通に考えれば仕事中の夫の仕事を心配する妻を想像するだろう。

 

 

 

 

 

彼女が学生服を着ていなければ…それは正しいと言える。

 

「全くこんな可愛い奥さんを置いていくなんて酷い夫ですね。まひるん(パパ)♡」

 

手に持ったスマホで前髪を弄りながらカメラで確認している少女はそう呟いた。

 

はぁ…はくしゅんっ!《風邪か?やっぱり風邪薬とか買った方が良いか。にしても何するにしたって》

 

「お金ね。分かってたけど…いや人が増えるのは分かってなかったけれどもやっぱりお金が必要みたいね」

 

やっぱりお金持ちのおじさんストーカーするの?

 

「安心して?その役目はそこのおっさんよ」いやおじさんがおじさんをストーカーするのも全てにおいてアウトだと思う。

 

《おいもしかしてさっきからおっさんだおじさんだ言ってるのは俺か?俺はまだ27だぞ!まだお兄さんだぞ》

 

そうトーカスは怒り出すけどそんな事気にせず幽香さんは続ける。

 

「もうアラサー見えてるじゃない。おじさんよおじさん」

 

《いやいやまだまだ現役だって。な?そう思うよな坊…真昼…サン》

 

「…」無言で見つめないでください。その分かってるわよねみたいな顔辞めてください…。後トーカスは露骨。《うっ…やっぱりか…》

 

分かっててやってたの?《まあな。でどうするんだ?》

 

「お金の問題ならかなりヤバいわ。此処らへんで一稼ぎと行きたいところね。って言ってもキツイかしら…。最悪都会へ移動するお金だけでも…。」

 

《お前ら…そんなに金無いのか。まあそこは"大人"の俺に任せろって!》

 

そう言って大股で近くの店に行く。

 

 

 

 

 

戻って来る彼の足取りはとても遅くまるでスローモーションされている亀の様だった。

 

《まさか…俺の切札が使えないなんて…。》

 

そう言って僕らに見せる。これってキャッシュカード?

 

《ああ…。お前らも大人になったら一枚は持っといた方が良いぞ。何てお坊ちゃまには余計なお世話か…》

 

そう愚痴りながらカードをポケットにしまった。《まだ手はある。金は無くても教団から援助して貰えば…》

 

「駄目よ。人間は一回甘えてしまうと際限なく堕落に堕ちて幸せの麻薬に手を伸ばし続けてしまう…。自分で手に入れたお金で制限のある自由を送って貰うわ。それにお金はあるわ」

 

そう言って少女が見せたのは…《ブラックカード!?それは招待制の筈だ…。何でだ。》

 

《本当に困った時には私が蜘蛛の糸を垂らすわ。そうすればきっと真昼はね…》

 

最後まで口にすることは無かった。でも大人なトーカスは理解してしまい…。

 

《女は怖いな》そう漏らした。

 

【グゥ…。】どんな時にでもお腹は空く…。《分かった分かった。腹へったんだろ。飯食いに行くかぁ!でも食ったら寝そうだな》

 

「分かる…。今もちょっと寝てたわ」寝てたの?道理で喋らない訳だ。何処か眠るにしても場所が。お金が…。

 

「夢の訪問販売でもする?」それだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「我が王」『あー可愛いぃ…。美味しそう。良いなぁ一緒に食べたいなぁ…』

 

「我が王よ…」『はいはい。何?ボク今忙しいんだけど?』

 

「いつになったら人類を滅亡させるのですか」

 

『はぁ?…。それは夢魔の王に聞いて。ボクは担当外だから』

 

そう言ってまだ独り言を呟き始める。この石の視界には一体何が見えてるのか…。

 

「なら貴方様は一体?」『ボク?ボクは夢魔の王から夢魔の王成分を無くした存在。そうだね…名前は、キングちゃんかな』

 

「センスが絶望的ですね我が王よ」『この天才的なセンスが分からないとは…。人生やり直した方が良いよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いつもの理事長室。そこでいつもの様に理事長と呼ばれる男が今日も鋭い眼光で椅子に座っていた。

 

が、座りながら忙しなく動いている。それを見て秘書は溜息をつく。

 

「どうしたんですか理事長…。珍しく重役出勤で学校に来たと思ったら小型のモニターを理事長室に向けて片っ端からローカルテレビを流し見し始めて…」

 

「そんな事しても最近の流行は掴めないですよ?だからいつまで経っても理事長は時代遅れなんですよ」

 

秘書の言葉もテレビの音で消される。そして理事長は真剣にテレビを見ていた。

 

が電源を消して秘書の方を見る。その顔は凄く嫌そうだ。

 

「どうせあれだろ?何でそんなにローカルテレビ見てるんですか?老後でやることが無くなったお年寄りの暇潰しの予習ですか?とか言ったんだろ?」

 

「そんなこと言ってませんよ。この純粋無垢な美女を捕まえて何を言うんですか」

 

「ウソで塗り固めすぎだろ…。ローカルテレビの理由はな」

 

「実は今日予知夢を見たんだ」理事長は今日の行動の理由を語り始めた。




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