No.1オペレーター城戸奏真の華麗なる緊急脱出<ベイルアウト> 作:羊毛ローブ
「宇佐美先輩。ちなみに、城戸隊長って解説も凄いって言ってましたよね?」
「言ったね」
「その時の実況と解説の音声ログって、残ってたりしますか?」
「修君……」
宇佐美栞の顔が露骨に曇った。
「残ってはいるんだけどね」
「はい」
「あんまりオススメしたくない理由は、もう分かってくれる?」
「それは……まあ」
前回見せてもらったログだけでも、ある程度は理解したつもりだった。
開始十五秒で自発的にベイルアウトし、その後オペレーター側へ回って試合そのものを終わらせた男、城戸奏真。
技術的にはとんでもない。
ただし、真似しようと思うと何一つ参考にならない。
「でも、他の試合も見ておきたくて」
「ああー」
宇佐美が頭を抱える。
「その台詞言われたら断れないじゃん」
「すみません」
「いいよ。後輩の勉強のためだもんね」
宇佐美は深く息を吐いた。
「私の心がちょっと痛くなるだけだから」
「何で宇佐美先輩の心が?」
「そのうち分かるよ」
何かを覚悟したような顔で、宇佐美は前年度の実況音声ファイルを検索する。
「じゃあ、これかな」
「何の試合ですか?」
「前シーズンB級ランク戦、第八ラウンド夜の部」
映像と音声が同期される。
「実況が武富桜子ちゃん」
「はい」
「解説が――」
一拍。
「城戸奏真さん」
再生が始まった。
◯
『B級ランク戦、第八ラウンド夜の部! 実況はこの私、海老名隊オペレーター、武富桜子と――』
『呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃん! 皆大好き解答キッドこと、城戸隊隊長、城戸奏真がお送りします』
『こんなこと言うのもアレなんですが』
武富の声が急に冷静になった。
『二十四歳にもなって、それ言うの恥ずかしくないんですか?』
『開始十秒で心折りに来るじゃん』
『率直な感想です』
『いやいや。解答キッドの異名で親しんでもらえたら、いつか我が城戸隊にもオペレーター志望が現れるのではないかという、淡い期待が込められているんですよ、タケミッフィー』
『誰がタケミッフィーですか』
『可愛いじゃん』
『勝手に変なニックネーム付けるのやめてください!』
一拍置いて、武富が続ける。
『というか、オペレーターが来ないの、そういうところなんじゃないですか?』
『え』
『新人で本部のオペレーター訓練を受けてる子ですら、城戸隊希望がいないって普通あり得ないですよ?』
『……』
『城戸隊長?』
『傷口へ塩を塗り込む実況者だなあ』
修は画面から宇佐美を見た。
「……本当に誰も来ないんですね」
「修君」
「はい」
「先を聞こう」
「はい」
宇佐美の目が少し悲しかった。
『まあ、それについては』
奏真の声が少しだけ弱くなる。
『残念ながら俺のサイドエフェクトも原因なんですよね』
『え!?』
武富の声が裏返った。
『城戸隊長ってサイドエフェクト持ちなんですか!?』
「え!?」
修もほぼ同時に声を上げた。
「そうなんですか!?」
「……修君」
宇佐美がものすごく言いづらそうな顔をする。
「続きを聞こう」
「は、はい」
「そして察してあげて」
「……はい」
大前提として、宇佐美は奏真を嫌っているわけではない。むしろオペレーターとしての技術は強く尊敬している。
ただし。
二人きりで長時間同じ場所にいたいか、と聞かれれば話は別だった。
『正式名称としては、対人威圧』
奏真が説明を始める。
『簡単に言うと、意思疎通出来る相手に威圧感を与えるサイドエフェクトだね』
『威圧感?』
『うん。敵対意識とか競争意識とか、こっちに対する抵抗が強い相手ほど効きやすい』
『戦闘だとかなり強そうですね』
『敵相手ならね。本気で敵だと認識した相手なら、一瞬身体が止まったりすることもあるし』
『強いじゃないですか! 村上隊員の強化睡眠ほど分かりやすくはなくても、かなり実戦向きですよね?』
『そこだけならね』
『そこだけ?』
『これ、自分でオンオフ出来ないんだよ』
『ああ……』
『例えば俺が「こいつちょっと苦手だな」とか、「負けたくないな」とか思っても、勝手に出る』
『なるほど。扱いづらいのは分かりましたけど』
武富が少し考える。
『それでもオペレーターが一人も来ない理由になるほどですか?』
『そこなんですよ』
奏真が笑った。
『お恥ずかしながら私、城戸奏真』
『はい』
『生まれてこの方、潜在的に女性が苦手です』
『……』
『だから初対面の女性に会うと』
『はい』
『「うわ、女の人だ。どうしよう」って俺が無意識に思う』
『はい』
『サイドエフェクトが』
『……』
『ドーン』
『あああ……』
武富の声から、全てを理解した気配がした。
『ある程度慣れればかなりマシなんだけどね?』
『一番大事な第一印象が』
『最悪です』
『自分で言った!』
『第一印象で怖がられる』
『はい』
『慣れてきた頃には、この軽い性格で嫌われる』
『自覚あるんですね』
『あります』
『じゃあ直しましょうよ』
『そこは努力します』
『サイドエフェクトより先にそっちですよ!』
『でも一回「怖い人」って認識されたものを、後から好きになってもらうのって難しいじゃん』
『恋愛相談みたいになってますよ』
『恋愛じゃないんだから!』
『あなたが言い出したんでしょう!』
宇佐美が再生画面を見ながら遠い目をした。
「……ね?」
「はい……」
「これ、オペレーターがいない理由を聞くと大体出てくるんだよ」
「辛いですね……」
「誰が好き好んで知人の『女性に第一印象で嫌われます』エピソードを何回も聞きたいと思う?」
「確かに……」
修は画面に映る奏真を見る。
少し泣きそうになった。
その直後、実況席周辺の背景音声が拾われる。
『奏真さーん! 女に嫌われても何とかなりますよー!』
『ならねえかもしれないけどファイトっすー!』
『ランク戦出てたらそのうち女性ファン増えますってー!』
聞こえてくるのは。
全員、男の声だった。
「……」
「……」
「男性には人気なんですね」
「すごくね」
さらに別の声。
『逆にどうしたらそこまで女性を避けられるんですか! 心の師匠と呼ばせてください!』
『辻ちゃんが変になってるよー! ひゃみちゃーん!』
『はーい。辻君、あの人は参考にしちゃ駄目って二宮さんも言ってたでしょー。忘れようねー』
『……』
『二宮さん?』
『ふん』
「今の辻先輩ですか?」
「多分」
「何で城戸隊長を師匠に……」
「そこは深掘りしなくていいと思うよ」
その時、玉狛支部の玄関が開く音がした。
「ん? また懐かしいもの見てるな」
「あ、レイジさん」
木崎レイジが買い物籠を持って入ってきた。
「おかえりー。ササミあった?」
「高かったから胸肉にした」
「節約大事」
「レイジさん、お疲れ様です」
「ああ」
レイジは画面を見る。
「奏真さんの解説か。また変化球なログ見せてるな、宇佐美」
「個人的には弓場隊とか生駒隊の試合を先に見せたいんだけどね」
「だろうな」
「でも修君が見たいって言うから」
「なるほど」
レイジが買い物籠をテーブルへ置く。
玉狛支部ではレジ袋代も節約対象だった。
「あと、この声援聞くのちょっと切ないんだよね」
「奏真さんの前説で野郎共が声援飛ばすの、昔から半分恒例行事みたいなもんだからな」
「男にはめちゃくちゃ好かれてるんですね……」
「そうだな」
レイジは一度考えた。
「男受けに能力値振り切ってる」
「嬉しくない特化ですね……」
◯
『あれ?』
武富の声が戻ってくる。
『ちょっと待ってください』
『何?』
『私、その威圧のサイドエフェクトに引っ掛かった記憶がないんですけど』
『……』
『城戸隊長?』
『では今回のB級ランク戦第八ラウンド夜の部ですが!』
『露骨に話逸らした!』
『諏訪隊、荒船隊、漆間隊の三つ巴ということでよかったですよね、タケミッフィー』
『話逸らしましたよね!?』
『試合始まっちゃうよ』
『あとで聞きますからね!』
『はいはい』
修が宇佐美を見る。
「武富さんには効かないんですか?」
「何故かね」
「何でです?」
「城戸さん本人もよく分かってない」
「そんなことあるんですか?」
「あるんだよね」
実際、武富桜子は初対面からほとんど影響を受けなかった。
本人にその事実を伝えた時は、
『何で私には効かないんですか!? 私も女性ですよ!?』
と、何故か怒られたらしい。
『現在は漆間隊が八位、荒船隊が十三位、諏訪隊が十一位! 漆間隊は今回の結果次第で上位入りも見えてきます!』
『まあ』
奏真が言う。
『荒船隊にマップ選択権ある時点で、漆間隊はかなり厳しいかな』
『そうなんですか?』
『市街地Cだし』
『おおっと、既にマップまで予測!』
『その可能性が一番高かったってだけだけどね』
『そして市街地Cと言えば?』
『スワルツネガー大激怒』
『誰ですか!』
『諏訪さん』
『変なニックネーム付けないでください!』
『似合うじゃん』
『どこがですか!』
「スワルツネガー……」
修が呟く。
「奏真さんの中では、諏訪は昔からそれだな」
レイジが言った。
「本人は怒らないんですか?」
「割と気に入ってる」
「気に入ってるんですか!?」
『では市街地Cについて説明をお願いします』
『任せてつかーさい』
奏真の声から、ふざけた調子が少しだけ抜けた。
『市街地Cは山の斜面に作られた住宅地をモデルにしたマップ。坂道と高低差が多くて、道路を挟んで階段状に住宅が続いてる』
『はい』
『下から上へ移動する時、どこかで道路を横切る必要があるんだけど、その瞬間かなり身体が露出する』
『狙撃手から見やすい?』
『そういうこと。逆に下側は建物と高低差で視界が切られやすいから、上取った狙撃手がかなり強い』
『ということは荒船隊に有利』
『かなり』
『狙撃手のいない諏訪隊には?』
『激おこぷんぷん丸』
『解説してください』
『不利です』
『最初からそう言ってください!』
『ただ』
奏真が続ける。
『このマップ、上取れば絶対勝てるってほど単純でもないんだよ』
『というと?』
『上側のルートは限られてるから、位置が割れると詰め方自体は読みやすい。それに今日は――』
一拍。
『夕方から嵐』
『……え?』
『だから視界と風の影響で、途中から狙撃側の優位が少し落ちる』
武富が少し黙った。
『まだマップも天候も発表されてませんよ?』
『予想予想』
『ちなみに試合結果も?』
『今のところ脳内シミュレーションだと』
奏真が軽く答える。
『荒船隊三、諏訪隊二、漆間隊二かな』
『各部隊の勝率ですか?』
『いや、得点』
『得点!?』
そこで、レイジが再生を止めた。
「修」
「はい?」
「この後の会話、よく聞いとけ」
レイジの声が少しだけ真面目になる。
「奏真さんの解説が凄いって言われてる理由が、ここにかなり集約されてる」
「分かりました」
「じゃあ再生するぞ」
◯
『得点って』
武富が戸惑っている。
『試合開始前ですよ?』
『そうだね』
『どういう内訳ですか?』
『荒船隊が諏訪隊の一人を落として一点』
『はい』
『その後、諏訪隊が荒船隊の二人を落として二点』
『はい……』
『その間に漆間隊がスワルツネガーを取る』
『諏訪隊長ですね』
『そう』
『それで?』
『隊長落ちて一瞬乱れたササモリパンダをもう一点』
『笹森隊員です!』
『二点取った漆間君は、これ以上戦う理由薄いから得点圏外まで逃げる』
『逃げ切れるんですか?』
『この転送候補なら多分』
『転送位置、まだ決まってませんよ!?』
『だから候補』
奏真は何でもないことのように続ける。
『それで漆間君が自主ベイルアウト。最後に残った荒船隊が生存点二点取って、三対二対二』
『……』
『そんな感じ』
一瞬。
武富が黙った。
そして次の瞬間。
『おおーっと、ここで出ました! 城戸隊長名物、ほぼ九割九分当たる個人予想ーっ!』
『名物扱いされてんの?』
『されてます! しかも今回は得点だけではなく、誰が誰を落とすのか、誰が途中で逃げるのかまで予想しております!』
『いやいや、あくまで予想だからね』
『今までほとんど当たってる人が言っても説得力ありません!』
『外れる時は外れるよ』
『では今回外れたら?』
『タケミッフィーにジュース奢る』
『安い!』
『じゃあ炒飯』
『もっと要らないです!』
『炒飯美味しいのに』
修の背中に寒気が走った。
修は前年度のB級ランク戦を全試合見ている。
だから、この試合の結果も知っていた。
荒船隊三点。
諏訪隊二点。
漆間隊二点。
その数字だけなら知っている。
だが、奏真は今、それを試合開始前に言った。
得点だけではない。誰が誰を落とすのか、その順番、途中で誰が逃げるのか、生存点がどこへ入るのかまで。
さらにマップは市街地C。
天候は夕方の嵐。
まだ正式に発表すらされていない要素まで含めている。
「……荒船隊から事前に聞いてたんですか?」
「いや」
レイジが即答した。
「それはない」
「どうして分かるんです?」
「加賀美が奏真さん苦手だからな」
「あっ……」
宇佐美が胸を押さえた。
「レイジさん……」
「何だ?」
「これ以上、女性に嫌われてる追加エピソード出すのやめよう?」
「事実だろ」
「そうだけど!」
修も辛かった。
ここまで女性との相性が悪い人間を、今まで聞いたことがない。
「じゃあ、本当に予測だけで?」
「ああ」
「でも天候まで……」
「そこは別に超能力じゃない」
レイジが言う。
「マップ選択の傾向、隊の順位、各隊が今まで取った戦術、マップごとの気象設定の選択傾向。使える情報は全部使ってる」
「それで、あそこまで?」
「だからおかしいんだ」
「なるほど……」
「本人は未来を一本当ててるつもりじゃない。いくつも候補を作って、可能性の低いものから消していく」
修は前回見たログを思い出した。
「それを、試合が始まる前から?」
「何百通りとな」
修は画面を見る。
仕組みは少し分かった。
分かった上で。
「やっぱりおかしくないですか?」
「おかしい」
レイジも否定しなかった。
映像の中では、武富が開始時刻を確認している。
『それではそろそろランク戦開始です! 皆さん、画面に注目してくださーい!』
◯
試合が始まった。
荒船隊は高所を確保し、諏訪隊は下側から距離を詰める。漆間は単独で姿を消し、戦場の端を移動している。
そして途中から、天候が崩れ始めた。
夕方。
嵐。
「……本当に嵐になった」
「なったね」
宇佐美はもう慣れた顔をしていた。
だが、奏真の解説が評価される理由は、予想を当てることだけではなかった。
『ここ、諏訪隊は荒船を追わなくていいですね』
『どうしてですか?』
『今、穂刈君が撃ったことで荒船隊の射線が二本割れた。ここから下がれば狙撃位置も大体絞れるから、諏訪さんなら詰める』
『でも漆間隊の位置が分かりません』
『だから先に荒船隊へ圧かけた方がいい。漆間君は自分から有利じゃない戦闘始めないから』
数十秒後。
諏訪隊がほぼ同じ判断をした。
『ほらね』
『当てたことより、理由を説明してください!』
『今したじゃん!』
別の場面。
『荒船君、ここは撃たない方がいい』
『狙撃出来そうですが?』
『諏訪さんが一回姿晒してるの、わざとだから』
『罠?』
『多分ね。撃ったら堤君が位置取る』
発砲。
直後、諏訪隊が射撃位置を特定する。
『撃っちゃった』
『本当だ!』
『でもこれは結果論じゃなくて、諏訪隊の動きから読めるやつだから覚えとくといいよ』
奏真は予測を当てるだけではない。
何故そう考えたのか。
何を見て判断したのか。
どこまでなら他の人間にも再現出来るのか。
そこまで説明する。
予測そのものは真似出来ない。
だが、予測に使っている材料の一部なら学べる。
修はいつの間にかメモを取っていた。
◯
試合終了。
表示された得点は。
荒船隊、三点。
諏訪隊、二点。
漆間隊、二点。
「……本当に」
修は言葉を失った。
細部には多少のズレがある。
攻撃の角度。
数秒のタイミング。
途中で選んだ細かなルート。
それでも、大筋は試合開始前に語った通りだった。
「凄い……」
素直にそう思った。
「予想は真似出来ませんけど」
「うん」
「終わってから、何でそうなったのか説明してくれるのはすごく分かりやすいです」
「でしょ?」
宇佐美が少しだけ得意そうに笑う。
「『ここ見れば判断材料になるよ』って部分はちゃんと教えてくれるからね」
「戦術面でも勉強になります」
修の中での城戸奏真の評価は、かなり上がっていた。
小南基準で言えば。
全力で「まあまあ」くらいまで来ている。
自分で真似出来るかどうかは別として、普通に凄い人なのは間違いない。
「まあ」
レイジが腕を組む。
「あの個人予想は、正直言って迅のサイドエフェクトと比較されることもある」
「未来視と?」
「ああ」
「そこまでですか」
「実際、そっちの予測能力がサイドエフェクトなんじゃないかって疑われて、再検査されたこともある」
「やっぱり!」
「結果は」
修が先を読む。
「対人威圧のままだった?」
「いや」
「え?」
「対人威圧が、女性相手だと更に強く出ることが判明した」
「……」
「……」
「……何で?」
修の声が震えた。
「知らん」
「何で城戸隊長は悪くないのに!」
「修君!」
「こんな!」
修は拳を握った。
「こんな悲しい追加効果あります!?」
「落ち着いて修君!」
「予測能力の方がサイドエフェクトなら良かったじゃないですか!」
「俺もそう思う」
「レイジさんまで!?」
「いや、だって本人もそう言ってたからな」
「城戸隊長……」
修は完全に同情していた。
「凄い力を持つ代償ってやつなのかもしれないな」
レイジが遠い目をする。
「そんな代償嫌ですよ……」
その時。
ピコン。
レイジの端末が鳴った。
「ん?」
届いたメッセージを確認する。
数秒。
レイジの表情が微妙に変わった。
「……宇佐美」
「何?」
「悪い。飯作った後、ちょっと出てくる」
「……ああ」
宇佐美も端末の画面を見て、全てを察したらしい。
「仕方ないね。行ってきてあげて」
「どうしたんですか?」
修だけ分からない。
レイジが答える。
「奏真さんが今、一人で飲んでるらしい」
「何かあったんですか?」
「月見に」
一拍。
「『弟子? 誰が誰のですか? 城戸さんに教えてもらったことなんて、鬱陶しい人間のあしらい方くらいですよ?』って言われたらしい」
「……」
修は固まった。
「それで?」
「自棄酒してる」
「行ってあげてください!」
即答だった。
「言われなくても行く」
「お願いします!」
「修君が何でそんな必死なの」
「だって!」
修は今日だけで知ってしまった。
女性相手だとサイドエフェクトが強くなる。
新人オペレーターからも希望されない。
加賀美には苦手意識を持たれている。
そして。
かつて自分の後を継いだ月見から。
弟子扱いを全力で拒否された。
「城戸隊長、何も悪いことしてないのに!」
「それはどうかな」
宇佐美がぼそっと言う。
「宇佐美先輩!?」
「いや、月見先輩側にも色々あるから……」
「でも今は!」
「はいはい。レイジ、よろしくね」
「ああ」
レイジが買ってきた胸肉を持って厨房へ向かう。
「先に飯作る」
「お願いします!」
「何で修が送り出す側なんだ」
レイジが少し笑った。
修はもう一度、停止した画面を見る。
城戸奏真、二十四歳。
自称・城戸隊隊長。
元オペレーター。
現攻撃手。
異常なまでの戦況予測能力を持ち、実況解説では試合開始前から戦況を読み、その後は何故そうなったのかまで分かりやすく説明する。
そして。
女性関係だけは。
びっくりするほど上手くいかない。
最高の解説が出来る男が。
最高の実況の相棒を得る。
これは、そんな物語なのかもしれない。
少なくとも。
武富桜子だけは、今日も彼のサイドエフェクトを全く気にせず。
『だからタケミッフィーって呼ばないでください!』
遠慮なく怒鳴っていた。
Tips
王子隊の王子一彰は城戸命名のニックネームに共感をする事が多いが、それはそれとして自分の付けたニックネームを使う事が多い。
注意
月見さんは普段は厳しいですが酷い方ではございませんし、城戸隊長のサイドエフェクトは最初から効いてないタイプの女性でもあります。
そう効いてないです。
つまりは……
因みに外野は上から
太刀川
当真
迅
辻
犬飼
氷見
二宮
です。
こんな感じの会話の中でしか出ないオリ主ではございますが手空きの時に気が向いたら感想や評価をくれると大変嬉しく思いますのでよろしくお願いいたします。