NEW GENESIS EPISODE PARALLEL ZERO 作:楠崎 龍照
2450年 月面基地 マザースガイド本部
「それって本当なの? 50%信じられないけど」
「ああ、450年後に、外宇宙から正体不明の異星人が襲来してくる」
ピンク色の長髪が特徴の女の子。
オークゥ・ミラー(未亡人)が訝しげな表情で、もう1人の男性に訊ねる。
その男性は「間違いない」と答えた。
彼の名は、小野寺龍照。
私と同じ、マザースガイドの幹部を務めている。
「ホッホッ……やはり、平和とは長くは続かないもんじゃのぅ……」
スキンヘッドの老翁、アラトロン・トルストイは自分の頭をコンコンと叩きながら悲観する。
「ああ。しかも、今回は宇宙からの異星人やから。我々人類からしたらふざけんな!って感じやろ……。なぜこうも平和が続かんのか。いや、この異星人がいなけりゃ平和が続いてたんやがな……」
「まぁ、でも襲来年が分かってるならいいじゃないか。僕の超大和を試す時が来たみたいだね!」
龍照の言葉に金髪の青年、亜贄ハギトがワクワクした雰囲気で話す。
「で、だ。演算した感じやと……オラクル側にも襲来する感じっぽい」
「それ本当なの?」
オークゥは信じられないという表情をした。
「あぁ、その存在……あー、仮の名を"スターレス"と呼ぼうか」
「BETAじゃないの?」
龍照の話に、エスカファルス・エルミルがキョトンとした表情で訊ねる。
それを聞いた龍照は苦笑いをして口を開いた。
「いや、まぁ、ある意味BETAやな。そのスターレスが起源種かどうか定かでは無いけど」
「戦術機を用意しないとね!」
「既に用意してる。MSとかAIS、閃機種合わせてな」
「仕事が早いね!」
「数百年前の、終の艦隊戦でも使用したでしょうに」
龍照とエルミルの脱線した会話を元に戻すため、フルは「コホン」と咳払いする。
それに気づいた龍照は「あ、ごめん」と話を戻した。
「それでや。オラクル側はダーカーもいなくなって平和を享受してるっぽいから、多分スターレスに対抗できない可能性があんねん」
「なるほど、私達が救援に向かうって訳ね」
フル・j・ラスヴィッツの結論に、龍照は頷く。
「あぁ、時空転移ポッドを作ったから、誰かが450年後のオラクル世界に行って、スターレスを一網打尽にする訳や」
そう言って、龍照はホログラムに映し出されたポッドを指さして、そう語った。
「それじゃあ、誰が450年後に行くか決めないとね」
「オリンピア組でいいんじゃない?」
ハギトの言葉に、オークゥが適当に答える。
その言葉に幹部たちは概ね賛成だった。
だが、龍照は少し言い辛そうな表情で渋々答えた。
「ただ、1度行ったら、この世界に戻って来れなさそうなんだよな」
と。
その言葉にオリンピア組は「え?」となったが、オークゥ・ミラーは「私は別に100%構わないけど?」と平然と言った。
「もう、これだけ生きたんだもの、別の世界を見てみたいっていう好奇心ぐらい、90%出てくるわよ」
「クゥが行くなら私も行きたい。クゥと離れるのは嫌だ」
オークゥ・ミラーの言葉に、フルと賛同する。
そして、幹部オリンピアと幹部四神との話し合いの末に出た結論が、マザー、ファレグ以外の幹部オリンピア組と、龍照を除いた四神組がオラクルへと向かい、マザー、ファレグ、龍照とエスカファルス組が地球に残って防衛。
ただ、マザー、ファレグはスターレスとの防衛が集結した後にオラクルへと増援として行く事になった。
そして……。
惑星ハルファ
空から一対のポッドが落下する。
それは海岸から少し離れた小島に落着。
ESCA-Code:フル
5……4……3……2……1……。
パージ。
ポッドの扉が音を立てて開く。
中には1人の少女が眠りについていた。
その少女は、紺色のショートヘアーをしており、白を基調として、所々に青いラインが引かれた不思議な服装をしている。
顔にはモノクルと思われる装飾も成されており、不思議で可憐な印象を受けた。
少女の名をフル・ジャニース・ラスヴィッツと言う。
「うーん……」
朦朧とする意識を覚醒させて、私はポットから身を乗り出した。
「まだ意識が……ハッキリしてない……」
私はパシパシする目を開けて、辺りを見渡す。
場所は海岸と思われる場所で、心地の良い小波の音が私の耳を撫でた。
「そっか……無事に着いたみたいだね……」
私は少し前の記憶を思い起こし、独り言を呟いた。
「あれ?」
記憶を思い起こすと同時に、もう1人の親友が居ない事に気づいた。
「クゥは?」
私の親友、オークゥ・ミラー。
私とクゥは、1人用のポットにそれぞれ乗って……。
もしかして、まだ着いていないのかな?
「うーん、まだ頭が……」
私は頭を抑えていると、後ろから何者かが近づく音が聴こえてきた。
咄嗟に後ろを振り向く。
「……何こいつ?」
黒い装甲を身に纏い、関節部から青い液体が流れるチューブが覗いている人形のような怪物が、私の後ろにいた。
そして、その人形は、持っている巨大な剣を振り上げた。
「……」
私は腕に闘気を纏わせて、振り下ろされる剣を受け止めた。
「……無駄」
私は空いている片方の腕にも闘気を纏い、思いっきり殴った。
こんな奴に具現武装を使う事が無駄と感じた。
「……えい!」
私は、奴の弱点部位を見極めて、その胸部に殴った。
殴られた人形は後ろに仰け反ると同じに胸部の装甲が砕け、黄色に輝くコアが覗いた。
あれが弱点だろうと感じた私は、地を蹴って人形に急接近、闘気を纏った拳をコアにぶつける。
殴られた人形は地面に倒れるし、青い粒子となって消滅する。
「……あれがスターレスなのかな?」
私は、龍照に言われたスターレスのことを頭にうかべた。
少なくとも、無事450年後のオラクルに到着したようだ。
「……どうしよう……まずは、アークスの……」
そう言いかけた時、何かの気配を感じ、警戒する。
「……何か来る」
私は具現武装を顕現させて、再度戦闘態勢をとった。
「……またさっきの奴。やっぱり、コイツらがスターレスみたいだね」
そう言いながら、具現武装である「グリモアメルヒェン・マギア」を使用する。
「終わってしまった物語」
私の詠唱に反応するように、グリモア・メルヒェン・マギアが光る。
黒い装甲を纏った人型の人形は、その者の物語が終わるように消滅した。
だが、また同じ奴から空から降ってくる。
「……キリが無い」
私はもう一度、詠唱をしようとした時だ。
「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
後ろから大地を震わす程の雄叫びを上げて、1人の男が走ってきた。
「……!?」
エスカファルス・エルダーを彷彿とさせる逞しい肉体美をして、上半身を露出させ、全身傷だらけの歴戦の戦士のような風貌をした男性だ。
その男が持っていた巨大な斧と思われる武器を使って、私を囲んでいたスターレス?を一刀両断した。
これを見た私は直ぐに分かった。
この人、恐ろしく強いと。
結構な数の敵を瞬く間に殲滅した男は「ふぅ」と一息吐いて、私の方を振り向いた。
「胸騒ぎがして来てみればこれか。お前さん、無事か?」
「……ええ、助けてくれてありがとうございます。フル・ジャニース・ラスヴィッツといいます」
私はお礼と自己紹介を兼ねた感謝を述べた。
「フルか。俺はガロア、よろしくな」
ガロアと名乗る男は、そういった。
「降りてきたばかりだと、右も左も分からないだろう。詳しいことは、街に戻ってから話すとするか。着いてこい!」
ガロアはそう言って、私を街へと連れて行ってくれる事になった。
少し不安ではあったが、何とかなりそうだ。
私の方も、スターレスやクゥの居場所など、色々と聞きたいことがあったから、ちょうど良かった。
こうしてフルは、エアリオタウンと呼ばれる街へと向かった。
続く