こんばんは。
最近呪術廻戦にハマっているので書いてみました。作者はにわかなので、術式や設定等間違っていたら教えていただけると幸いです。あと渋谷事変までしか読んでないのでネタバレも控えていただけると幸いです。
アル中、始まる。
静岡県浜松市。
の。
人里離れたお屋敷。
の。
中で、会話する二人。性別は女性。
任務の最中、屋敷から抜け出せなくなっていることに気付いた二人は、どうにかして脱出しようと模索していた。
おさげの女性が話す。
「どこまで続くのよ、この廊下」
それに、ポニーテールの女性が返した。
「屋敷に巣食う呪霊の結界はループ構造ではなく、私達の移動に合わせてツギハギしているのかもしれないね」
どこまでも、延々と、果てしなく。脳が認識しなくなる程のはるか彼方まで続く廊下。
勿論、二人は泊まり掛けの予定ではなかったので、水や食料等の装備も整っていない。
所謂、ピンチ。
何とかして脱出せねば。案を出し合う。
「二手に別れましょう。二手に別れてできるだけ速く大きく不規則に動く。呪霊の結界の構成が間に合わなければ外に出られるハズ」
「いいね、試してみよう」
おさげの女性の案を聞き、ポニーテールの女性が了承。床に転がっている〝荷物〟を小脇に抱えて早速取り掛かろうとした矢先、建物内にヒビが入った。建物の一部が圧縮。それから敷地面積の外側を綺麗にライン引きしたように、円状に陥没して崩れていった。
「助けにきたよ〜歌姫。……泣いてる?」
余裕が感じられる声と共に、瓦礫の向こう(陥没しているのでこちらから見ればいくらか高い場所)から現れた、この世のものとは思えないほどの美貌を持った高身長白髪丸グラサン美青年(名を五条悟)は、全く心配していない声色でこちらを見下ろして、いや見下していた。
五条の煽るような言葉におさげの女性──庵歌姫が倒壊の衝撃で尻餅をついた姿勢のまま半キレで返した。
「泣いてねぇよ!!」
敬語!! と年上を敬わせるのも忘れない。
「泣いたら慰めてくれるのかな?」
二人のやりとりに、ポニーテールの女性──冥冥が入ってきた。突然の展開だったというのに、その表情と佇まいは先程と全く変わっていなかった。
煽る五条と煽られる歌姫。
半キレから全キレに移行した歌姫は五条に指を立てて(中指じゃないよ)反論しようとした瞬間、お目当ての呪霊が歌姫の背後の瓦礫の下から飛び出してきた。あわや大惨事。しかし、また次の瞬間その呪霊を飲み込むように新たな呪霊が飛び出してくる。
「飲み込むなよ。あとで取り込む」
ポケットに手を入れながら出てきたのは、男にしては長い髪を後ろで結んだ、これまた高身長美青年、夏油傑だった。
「悟、弱い者イジメは良くないよ」
「強い奴イジメるバカがどこにいんだよ」
「君の方がナチュラルに煽ってるよ夏油くん」
「あ゛」
冥冥の指摘に夏油の喉からそんな声が漏れた。
夏油傑という男は、五条悟というクソガキの隣に立つことが多いので、初対面でこそ優しそうな青年と思われるのだが、それから少しでも会話をしてみれば、あぁ、コイツもクソ野郎なんだなとすぐに気付くことができる。証拠に、歌姫が凄い顔で睨んでる。
「歌姫センパ〜イ。無事ですか〜?」
陥没しているので(以下略)。五条の後ろから右目の下の泣きぼくろがチャーミングな女生徒──家入硝子がひょっこりと、手を振りながら出てきた。ちなみに、歌姫と冥冥以外は皆学生である。
家入が登場した瞬間、歌姫の顔が花開いたように明るくなる。余程、五条と夏油の二人が嫌らしい。
「心配したんですよ。2日も連絡なかったから」
「硝子!! アンタはあの二人みたいになっちゃダメよ!」
「あはは。なりませんよ、あんなクズ共」
4人が合流し、歌姫が家入に熱いハグをする。家入は歌姫からしてみれば可愛い可愛い後輩で、しかも歌姫が目尻に涙を浮かべるほどのものだったようで。しかし、それから数秒後。
「……2日?」
∪
「──ねぇ、浮舟。浮舟ったら。いつまで寝てるの。しっかりしなさい」
気持ち良く
「何笑ってんのよ全く……はぁ。元はと言えば、浮舟! アンタが大暴れして呪霊を逃したからこんなことになったんだから!」
「はい……」
「寝たまま説教聞くな! 正座!!」
「はい……」
瓦礫で膝がズタズタになるのも構わず、正座。それから間も無く、歌姫先輩お得意の説教タイムが始まった。いや、お得意になるほど怒らせているオレ達が悪いのかもな。
なんてね。
そう。オレも、歌姫先輩と冥冥さんに同行する形でこの任務に臨んでいた。俺の特性柄鉄砲玉として飛び出していくことが多いので、今回もそれに漏れず屋敷の中で見つけた呪霊に猛特攻を仕掛けたのだが。
「いやぁ、あの呪霊いつの間にか消えちゃってて。そしたらまさか
「構わないよ。今密かに話題になってる、グロッキーな表情の君が見れたからね」
「え、何すかそれ! オレ有名なんですか?」
「ハイテンションで暴れたかと思えば、死にそうな顔でトボトボと帰ってくる君は、一部の呪術師の間では〝萌え〟と表現されていてね。あまりにも有名だよ」
「うっひょ〜嬉しいなぁ! んならこうして身体張ってる意味もあったってもんですよ!」
「わ・た・し・に・も・謝んなさいよコラ! 何デレデレしとんじゃ!」
冥冥さんに謝り、それから和気藹々と会話をしていると、取り残された歌姫先輩に頭を引っ叩かれた。
「ご、ごめんなさい歌姫先輩。オレ、歌姫先輩のこと大好きで。その気持ちが裏返って、ついついからかいたくなっちゃうんです……」
「うっ……」
悲しそうな声色で眉を下げ、俯いてみせるとピュアな歌姫先輩はすぐに引っかかった。よし、これでお説教の終了が早まる。
「うわっ、見ろよ傑。いずるの奴、また適当こいてるぜ」
「前3人で話した時は『冥冥さん大好き! 冥冥さんに踏まれたい!』って鼻息荒くしながら言ってたのにね」
「おいテメェ等ふざけんな! せっかくお説教終わりそうだったのによぉ!」
「踏まれたいのかい? 安くしておくよ」
「うっひょ〜! ──……ハッ!」
美人な冥冥さんに心底デレデレしていると、しばらくしてから今が説教中だったことを思い出した。
「う〜き〜ふ〜ねぇ〜!」
「先パァ〜〜イいでででで」
全キレのさらに向こう側へと辿り着いた歌姫先輩に、後ろからこめかみをグリグリされているオレ。
そんな光景を見て、硝子ちゃんがナー◯のお仕事? と言ったとか言ってないとか。
∪
東京都立呪術高等専門学校。
オレ等みたいな〝呪術〟なるものを扱う呪術師が、〝呪術〟を学べる育成機関だ。都内だがしかしまったく人目に付かないほどの山の中にあるこの呪術高専は、表向きには全寮制の私立宗教系学校を装っているがめっちゃ都立の学校だ。
呪術を学ぶ学校とは言っても、普通の高校で扱うような授業もやるので、呪術高専で3年間学べば高等学校の卒業資格も貰える。つまり、在学中に呪術師のクソさに嫌気が差しても、卒業まで耐えればパンピーに戻れるというわけだ。
高専と言っても、この高専内に出入りするのはオレ等学生や先生方だけではなく、卒業した呪術師の先輩方もここを拠点に活動していたりする。国内の重要拠点の一つだから、依頼なんかも集まりやすいしね。
依頼。
オレ等は学生であっても立派(立派か?)な呪術師なので、己の等級に合わせた任務が時折回ってくる。言われた場所に行き、人様や土地に迷惑をかけている呪霊を祓う。簡単に言ったらそんな感じのお仕事だ。
その任務をこなせば、お金が貰える。任務の難しさに応じて貰える金額も変わってくるので、懐事情が温かいとは言えないオレなんかは二つ返事で任務を受けてるし、なんなら自分から探しに行く。五条や夏油レベルになるととんでもない強さの呪霊と戦ったりすることもあるらしいが、その分報酬はぼよんぼよんと弾むらしい。良いなぁ。
等級も色々あって、下から四級術師と──ああもう面倒くさくなってきた。また今度な。
「この中に、〝帳〟は自分で下ろすからと補助監督を置き去りにした挙句、〝帳〟を忘れた奴がいるな。名乗り出ろ」
ぼんやりと身の回りのことを考えたりして時間を潰していると、オレ等二年生を担当している、歩く激渋強面教師こと夜蛾正道先生が重低音ボイスでそう言い放った。教師は歩くわ。
それに対して、だんまりを決め込む四人。
オレ。
五条。
夏油。
硝子ちゃん。
どうでも良いが、全員正座している。
まぁ、このまま黙っていても夜蛾先生が許してくれるわけがないので、オレはこの恐ろしい時間をなる早で終わらせるべく〝帳〟を忘れた馬鹿を肘で小突いた。その馬鹿は仕方無く口を開き。
「いずるで〜す」
堂々と仲間を身代わりにしてみせた。何だこいつ。
「無理だわ。〝帳〟云々の時は先輩達と一緒に屋敷の中にいたんだぞ」
「じゃあ傑で〜す」
「じゃあってなんだ」
「ウケる」
「……悟だな」
げ ん
こ つ
「──そもそもさぁ、〝帳〟ってそこまで必要?」
歩く激渋鬼怖教師、夜蛾 正道先生から目を背けたくなるげんこつを食らった五条は、その後教室でそんなことを口にした。明らかに不満気である。
「別に
「ま〜た馬鹿言ってるよコイツ。良いわけないのにな。あっ、硝子ちゃん五条のグラサン借りてんの? 可愛いね」
「でしょ」
「
「硝子ちゃんが可愛いって話?」
「違う。〝帳〟の話の方だ」
教室内の気温の変化を敏感に感じ取ったオレはすかさず茶々を入れるが、相手にされず本題へと戻されてしまった。
「呪霊の発生を抑制するのは何より人々の心の平穏だ。そのためにも目に見えない脅威は極力秘匿しなければならないのさ」
あーあ、折角オレが楽しい雰囲気に戻そうとしたのにさ。もう知らね。五条は何が悪いのか気付いてないし、夏油の眉間には皺が寄り始めてるし。
「弱い奴等に気を遣うのは疲れるよ、ホント」
「〝弱者生存〟。それがあるべき社会の姿さ。いいかい悟。呪術は非術師を守る為にある」
「それ正論? 俺正論嫌いなんだよね」
「……何?」
おいおいおいおい。五条、お前なんでこの状況で煽れるわけ? どう思ってようがここは素直にそうだね〝帳〟は必要だねで終わりで良いじゃん。夏油も、ここで五条を説得なんてできるわけないんだから無理に通さなくても良いじゃねぇかよ。な〜んでこの二人って息ピッタリのクセによく喧嘩するんでしょうな。オレには不思議で堪りません。手に持っていた瓶に口を付ける。
「どうする硝子ちゃん。コイツ等おっ始めそうだよ」
「にげろ」
「あっ、逃げた」
オレと硝子ちゃんがこそこそ話している間にもそっちで話は進み、もう教室内にはズズズズズズと効果音が付きそうなくらいの重たい空気が流れ始めていた。
「外で話そうか、悟」
「寂しんぼか? 一人でいけよ」
臨戦体勢。
微力ながら、オレが間に入るしかないかと半ば諦めの溜め息を吐き、立ち上がる。コイツ等に争わせたら校舎が吹き飛んじまうしな。
そこで、教室のドアが開いた。
一瞬硝子ちゃんが帰ってきてくれたのかと思ったが、入ってきたのは夜蛾先生だった。どうやら授業のお時間らしい。なんだガッカリ。
「おい、出。なんだその面は」
「なんでもありません」
「まあ良い。……硝子はどうした」
「さぁ?」
「便所でしょ」
夜蛾先生のお説教は避けたいのか、いつの間にか椅子に仲良く並んで座っている五条と夏油。発言にはデリカシーや思い遣りというものがカケラも無い。流石クズコンビだ。
二人に倣い、オレも慌てて席に着く。オレ等のクラスは──というか学年は四人しかいないので、席はみんな仲良く横並びだ。
硝子ちゃんがいなくても問題はないのか、それとも探すのを諦めたのか、夜蛾先生は教卓に手を置いて話し始めた。
「ああ、出は楽にしてろ──この任務はオマエ達二人に行ってもらう」
夜蛾先生が、オレ以外の二人。つまりは五条と夏油の二人に向かってこう言った。なんだよオレいらないのかよ恥ずかしい。じゃあとっとと退散しますかね。
「待て出。そう気を遣う必要は無い。お前も話だけは聞いておけ」
「? 五条と夏油を指名なのでは?」
「もしかしたら、お前の力も必要になるかも知れん」
「ハァ? いずるの力が必要? そんなことあんの」
「それだけの任務だと言うことだ……お前らもなんだその面は」
「「いや別に」」
よくもまあそんなにダルそうな表情を作れるもんだ。恐らくその表情は、オレなんかの力を借りるダルさよりも、夜蛾先生が持ってきた任務の中身を想像しての表情だろう。そうだと信じたい。
「正直荷が重いが、天元様のご指名だ」
その名を聞き、二人の表情が変わった。
天元様。
1000年以上昔の時代の術師で、〝不死の術式〟とやらを持っていたらしい。その人が日本全土に散らばる重要拠点に結界を張り、その結界が未だ健在なのだから凄い人だ。……人なのか?
「依頼は二つ。〝
天元様は不死ではあるけど不老ではないので、500年に一度、〝星漿体〟と同化してその肉体の情報を書き換えなければならない。書き換えないと人じゃないもっと高位の存在になるらしいが、そう成った天元様が人類の味方である保証が無いので、こうやって500年周期で肉体の状況を書き換えるのだとか。
……って、抹消?
∪
「それで、そこまで聞いて戻ってきたの? 何それ」
「いやぁ、なんか任務の詳細について話し始めたから面倒臭くなっちゃって。どうせあの二人いればオレいらないんだし、こうやって授業サボってボケーっとしててもいいじゃない」
「いずるぅ、アンタ最高だね」
「でっしょぉ? お菓子食べようよお菓子。全く、オレに期待されても困るって話ですよ。オレは〝これ〟が無きゃ一般人だってのに」
「良いじゃん。強いじゃんその術式」
チャポチャポ。
瓶の中に入った液体──お酒を左右に揺らしながら、硝子ちゃんからのフォローにオレは眉を顰めた。
「〝これ〟がぁ? だったら硝子ちゃんの反転術式の方がよっぽどつよつよでしょ。傷治るってヤバいよ」
「……お酒を飲むと呪術師、ねぇ」
「間抜けだよなぁ。
「でもアルコールがちょっとでも入ってれば大丈夫なんでしょ?」
「いやいや、それが結構キツいのよ? 四六時中ほろ酔い状態だし、1日の半分は二日酔いだし、肝機能終わってるし、走ったら気持ち悪くなるし。……そもそもオレ未成年だし」
「大丈夫。私も未成年だけど煙草吸ってるし」
「おっ、もしかしてオレ達ってワル?」
「そうだよ、ワルだよ」
「ワルかぁ。だったらお酒飲んでも仕方無いかぁ」
グビッ。
「おっ、いった」
体内にアルコールがある状態でのみ、呪術が使える。
それが、オレの個性。天与呪縛。
なんでこうなったのかは分からんが、オレは突然自宅を訪問してきた夜蛾先生にスカウトされ、この業界に入ってきた。関係無いが、初めてインターホンの画面越しに見た夜蛾先生は、思わず両親の借金を疑ってしまうくらいの迫力だった。
じゃあ今みたいな、呪霊と戦わない校内ではお酒飲む必要無いじゃんと思われるかもしれないが、そこがお酒の怖いところである。
依存性。
それから肝障害。糖尿病。心疾患。高血圧。不眠症に心の病。
つまり、オレは任務外でもアルコールが手放せなくなっていた。別にお酒が好きなわけでも得意なわけでもないのに、手元にアルコールが無いと心が不安でたまらないのだ。もしアルコールが切れると身体が震え、思考も鬼ネガティブになってうんたらかんたら。
「はぁ〜……」
「どした」
「いやぁ、オレって呪霊に殺されなかったとしても滅茶苦茶早死にするよなって」
「私の術式も効かないしねぇ」
「マジでどうなってんだろうな
硝子ちゃんは、反転術式といって、負のエネルギーである呪力を反転させて正のエネルギーを生み出すことが出来る能力を持っている。呪力を反転させるとどうなるのかというと、傷を治せるのだ。
しかも、硝子ちゃんはその反転術式を他人に使える。これがどれだけ凄いことか。
反転術式とはそもそも高度な呪力操作を求められる術式であり、この呪術界でも習得している人間はそう多くない。たとえ習得したとしても、自分に使うだけでもありえんくらい呪力を消耗するとんでもない術式なのだ。語彙力無いのはアルコールのせいだから勘弁してね。
それを、硝子ちゃんは他人に使える。つまり、硝子ちゃんはとんでもなく凄い人で、呪術界からも重宝されている稀有な存在なのだ。
いやぁ凄い。こころの中で硝子ちゃんにありったけの賛辞を送りながら、思考を切り替える。
「前世があるかとか輪廻転生とかは別に信じてないけど、人間に生まれてる時点でまあまあまともだったんじゃないの」
知らんけど。
言われて、硝子ちゃんの目を見る。あ、逸らされた。
「……もしかして慰めてくれてる?」
「は?」
「すみません」
オレの同期は、オレ含めて四人いる。
オレ、
硝子ちゃんこと、
五条こと、
夏油こと、
硝子ちゃんは先程のとおり凄い人だというのは伝わったかと思うが、あと二人もまあまあ凄いのだ。
どうなってるんだオレの同期は。
この小説は、浮舟出が呪術廻戦という地獄みたいな世界でどうにかこうにか平穏を享受し、時々原作乖離しながらあわよくばみんなと仲良くやっていきたいよねというお話です。
誰好き?
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浮舟出
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五条悟
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家入硝子
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夏油傑
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七海建人
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灰原雄
-
伊地知潔高
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庵歌姫
-
冥冥
-
夜蛾正道
-
九十九由基
-
乙骨憂太
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折本里香
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禪院真希
-
パンダ
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狗巻棘
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枷場美々子
-
枷場菜々子
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伏黒甚爾