アル中とさしす組   作:大塚ガキ男

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こんばんは。
ブーストがかかっているので早く書けました。
どうぞ



アル中、暇をする。

 

 

 

 

「それで、任務の方はどうだ?順調?」

『あぁ。全く以って順調だよ。それこそ、〝Q〟を瓦解させるくらいにはね』

「〝Q〟ってあの、呪詛師集団の?はえ〜、やっぱり夏油達は凄いな」

『まぁ、私と悟が出張っているんだ。寧ろ、私達で手こずるようならそれこそ()だよ』

「……それもそうか。じゃあ、また明日。今日と同じ時間くらいに連絡するわ」

『ああ、それじゃあ。っちょっと、悟──おーい!いずるか?』

「おう、オレだ。五条も大丈夫そうだな」

『当たり前だろ、あんな雑魚共じゃ戦ってないも同然だっての。それより、今切ろうとしてただろ!俺に挨拶の一つもしないでマジどういうつもり?』

「悪かった悪かった。日毎に夏油と五条、交代で連絡入れようと思ってたんだよ」

『ふーん……。まぁ良いや。兎に角、今回の任務はいずるの手を借りなくてもヨユーだから!そんな毎日連絡入れなくても大丈夫じゃぞ』

「じゃぞ?」

『ああ、〝星漿体〟のガキの真似。コイツ喋り方作ってやんの。クソウケるよな』

「おい、なんか遠くから怒ってる女の子の声が聞こえんぞ。仲良くするのはいいけど、女の子からかうのも程々にするんじゃぞ」

『だーっはっはっは!!いずるオモロ!じゃあ、そろそろ移動するからまたな!お土産適当に買っていくからリクエストあんなら連絡寄越せ!じゃあな』

「ああ、じゃあ──……切れた」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「傑、お前()()()言わなかっただろ」

「それは悟も同じだろう?」

「チッ、……少し、迷ったんだよ。もし黒井さんのことを言ったら、いずるの奴加勢しにくるんじゃねぇかって」

「同感だ」

「だから、言わなかった。いや、言えなかったのかもな。ただでさえ早死にルート突っ走ってるいずるに、オレと傑のトチりで無駄酒飲ませるわけにはいかないし──いや、何よりあんな格好付けて出発しておいてこの様だってバレたらクソダサいしな!あぁもうやめやめ!とにかく、今は取引に集中するぞ。分かったなガキ」

「さっきも言ったはずじゃ!妾は決して恐れないと!」

「はいはい。傑、そろそろ行こうぜ」

「……そうだね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

暇だ。

退屈だ。

五条と夏油が任務に出てまだ半日も経っていないはずだが、早くもオレはいくばくかの平穏と退屈を感じていた。勿論、二人がいないことはこれまで何度もあった。しかし、今回は天元様からのご指名という大仕事。もしかしたら何かあるんじゃないかとの疑いが、自身の体感時間を余計に引き延ばしていた。

突然耳元で大はしゃぎする五条と、それを窘めたり窘めなかったりする夏油がいない高専とは、こんなにも静かなところなのか。

何度目か数えていないが、慣れない。

オレがいない時って3人はどうしてるのかなとか考えてみる。オレみたいに暇だなとか思ってくれてんのかな。思ってくれても嬉しいし、普段と変わらずにはしゃいでてもなんだかんだ嬉しいな。ヤダ、オレってば同期のこと好き過ぎ?

 

「はぁ……」

「なに、早くもロスってんの?」

「いやいや。このオレがそんなおセンチかますわけないでしょ。ただ、静か過ぎて逆に落ち着かないっていうか。寝転がりながらテレビを観てて、眠たくなったからテレビを消したら不思議と眠れなくなるみたいな」

「あー、納得。授業中の夜蛾先生も心なしかやりづらそうだもんね」

「あの二人いなかったら、オレと硝子ちゃんって普通に授業受けれるもんな。普段は、面白そうなことになったらしかたな〜く加担するだけで」

 

話題に挙がるのはこの場にいない二人のことばかり。それくらい、オレ等二年生の中心にはあの二人がいるんだな──いや違う。あの二人がマジで自己チューだからオレと硝子ちゃんが合わせてあげてるだけだわこれ!うわっ、最悪!

現在、放課後。特にやることもないオレと硝子ちゃんは、机に頬をつけてだらしなくぼけーっとしながら、ただただ駄弁っていた。

 

「今日夜ご飯なにかな」

 

なんでもない、ふとした呟き。しかし、硝子ちゃんが顔を上げた。その瞳には少しばかり活力が宿っていた。

 

「生姜焼き」

「おっ、あえて先週出たばかりのメニューを選ぶとは大きく出たね」

 

オレも顔を起こす。それから、硝子ちゃんが提案。

 

「実際のメニューから遠かった方がジュース一本。ビタビタに当てたら1週間ジュースフリーパス」

「乗った!」

「で、いずるぅ。アンタは?」

「うーん。……よしっ」

 

思案もそこそこに、携帯を取り出すオレ。

 

「何する気?」

「灰原にメールする」

「人頼みかよ」

「オレが考えるとただ好みのメニュー言っちゃいそうでな。だからフラットな意見聞きたくて」

 

ぽちぽちと覚束ない指先でボタンを押していき、なんとか送信完了。それから間も無く、返信。

 

『僕はお米だと思います!!』

「アカン。コイツも好きなメニュー言ってきちゃったわ」

「お米は毎回出るでしょ」

「ああもう!お・こ・め・い・が・い・で!っと」

 

返信。

 

『カレーライスだと思います!!』

「カレーライス?やっぱ米じゃん」

「……まぁ良いかコレで。あっ、七海にも聞いておこう──もしもし?」

『……何故私には電話なのですか』

「だって七海、メールだと無視するじゃん」

 

言うと、溜め息。あり得ない長さの。

 

『……五条さん達からの連絡ならばそうしたかも知れませんが、私は浮舟先輩のことは良い先輩であり信頼に値する方だと思っています。無視なんてしません。……もっとも、浮舟先輩は私のことをそう思ってはいないようですが』

「うぐっ。……悪かったよ七海」

『あー!!七海が拗ねてる!!浮舟せんぱーい!!七海拗ねてますよ!!──ちょ、事実無根です!嘘はやめなさい!……一応弁解しておきますが、拗ねてませんから』

「ほ、本当にごめん……」

「なに、アンタ達仲良しじゃん」

 

通話口から漏れ出る声が聞こえたのか、硝子ちゃんがニヤニヤしながらオレを見てくる。恥ずかしい。硝子ちゃんの声を聞いた二人からは『家入さんお疲れ様です』と息の合った声が帰ってきた。

 

「おうお疲れ。それより、いずるが七海に聞きたいことがあるんだってさ」

『聞きたいこと?』

「ああ。──今夜の寮食、メニューなんだと思う」

『……………………』

 

無言。

無言が刺さるよ七海くん。そんなことの為にとかぼやかないで七海くん。ホントにごめんよ七海くん。

 

『……はぁ。分かりました。家入さんとメニューの予想をしていて、自分じゃ予想がまとまらないから後輩に決めてもらおう。大方(おおかた)、そんな感じですよね』

「すごっ、大当たり」

『でしたら、私の予想は』

「おう、頼んだ」

『アヒージョ』

「アヒージョ!?」

 

寮食で!?

 

『何か文句ありますか。カレーライスかアヒージョ。どちらかを選んで見事に外し、家入さんにジュースを奢ればいいと思いますよ』

「ジュース奢ることまでバレてる……。ってか七海!お前やっぱ拗ねてるじゃねぇか!」

『拗ねてません。言い掛かりはやめてください』

「く、クソ〜!後輩に舐められてる!──……よし分かった!アヒージョだな!?オレはそれに賭けるからな!?」

『しょ、正気ですか?寮食ですよ?』

 

お前が言ったんじゃろがい。

 

「ああ正気だ!オレは七海を信じる!七海が信じる七海じゃない。オレが信じる七海を信じるぜ!」

「何言ってんだか」

『う、浮舟先輩……!』

 

カンッ、ゴロゴロ。アッヤベ。

 

『…………なんですか、今の音は』

 

なんですかと言われれば先程まで飲んでいたお酒の空き瓶を倒してしまった音なのだが、言えない。何故?七海、オレが任務外でお酒飲んでると怒るから。オレより年下なのに諭すようにお説教してくるから。

 

「で」

『で?』

「……デカ◯タ」

『……っ、ふふ』

「あ、面白かっただろ!実は任務外じゃお酒なんて一滴も飲んでなくてさ、最近のMy favoriteはもっぱらデカ◯タってわけ!はっはー、笑ってもらえてよかったよかった!じゃあな七海!灰原もありがとな!そろそろ切るぞ──』

『──今から行きます』

「ひぇっ」

 

それから5分と経たずに灰原と共に二年生の教室凸ってきて滅茶苦茶お説教されたし、夕飯は生姜焼きだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その晩、自室でゴロゴロしていると、夏油から沖縄に向かうとの連絡が来た。その連絡に驚いていると、廊下の向こうから足音が近付いてくる。それからノック。上体を起こしてから了承の旨を告げると、灰原と七海が荷物と呪具(勿論呪具は見えないようにケースに入れてある)を持って入ってきた。

 

「沖縄に行ってきます!!」

「……沖縄に行ってきます」

「えっ、二人も行ってくるの?」

「はい!!夏tモゴモゴ」

 

灰原が喋っている途中で、七海がその口を塞いだ。目で問うと、逸らされた。

 

「ただの任務です。明日の夜には帰ってきますので」

「へぇ」

「な、なんですか」

「ジトーッ」

「口で言わないでください」

「……夏油に口止めされてるんだろ?」

「何故それを」

「分かるさ、同期なんだから」

 

言ってから、少し恥ずかしいことを言ったなと思って頬をかいた。それから二人を見る。

 

アイツ等(夏油と五条)は、二人を信頼してるから任務として呼んだんだ。()()()()()()()()()()ことを知ってる二人がオレに何も言わずに出て行けないことも、オレが夏油からのメールを見て沖縄に向かわないことも、全て信頼した上でアイツ等(夏油と五条)はこうしているんだ。だから案ずるな。オレは行かないよ」

 

真っ直ぐ、二人を見つめる。

ごくり。

二人の喉が同時に鳴った。仲が良くてよろしい。

 

「浮舟先輩!!格好良いです!!」

「え、ホント?照れるな」

「浮舟先輩、申し訳ありませんでした。私は、浮舟先輩には伝えないでおくべきだと考えていました。浅慮でした」

「気にすんなって。それに関してはオレの日頃の行いが悪過ぎる。兎に角、二人は安心して沖縄に向かってくれ。オレは真面目に授業受けるよ。……あっ、五条に、ミミガー五袋ぐらい欲しいって伝えてくれる?」

「「はい!!」」

 

オレが先輩らしく格好を付けてみせると、灰原と七海の表情も晴れた。二人声を揃えて返事をし、頭を下げて部屋を出ていった。

 

「それじゃあ、いってらっしゃい」

「いってきます!!」

「いってきます。あぁ、それからですね」

「なに?七海」

 

部屋の外まで見送り、ドアを閉める直前。七海がベッドの方、正確にはベッドの隣に置いてある瓶を見て目を細めた。

 

「……寝酒ですか?」

「いってらっしゃい」

 

強制的に会話をシャットダウン。これ以上はまずいからね。色々。

ドアを閉めて姿が見えなくなるまで、七海はジッとオレを睨んでいた。

 

 

 

 





五条:いずるがお酒を飲むのをやめさせたい

夏油:出がお酒を飲むのをやめさせたい

家入:いずるがお酒を飲むのをやめさせたい

灰原:浮舟先輩がお酒を飲むのをやめさせたい

七海:浮舟先輩がお酒を飲むのをやめさせたい


こんな感じの関係性。浮舟の術式(術式と言っていいのか?)は本人含めて誰も幸せにならない。

誰好き?

  • 浮舟出
  • 五条悟
  • 家入硝子
  • 夏油傑
  • 七海建人
  • 灰原雄
  • 伊地知潔高
  • 庵歌姫
  • 冥冥
  • 夜蛾正道
  • 九十九由基
  • 乙骨憂太
  • 折本里香
  • 禪院真希
  • パンダ
  • 狗巻棘
  • 枷場美々子
  • 枷場菜々子
  • 伏黒甚爾
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