こんばんは。長い目で考えたらブーストです。
『良い、出』
色褪せたセピア色の思い出。
今の記憶よりも若い姿の母さんが〝僕〟に言って聞かせている。
第三者目線。
母と子、二人だけの空間を、〝僕〟が高い視点から見下ろしている。
『貴方はどうか長生きなさい。健やかに、そして幸せに暮らすのよ』
父さんは〝僕〟が小さい頃に死んだ。恐らくこの記憶は、父さんの葬式を終えた後の自宅の和室にて母さんに言われた時のものだろう。
朧げながら、自宅で葬式をあげたものだから親族や関係者でごった返していたのを思い出す。
『善い人になりなさい。自分の中の信念に従い、困っている人を助けられるような人間になりなさい』
分かったよ母さん。だから泣き止んでよ。
幼い〝僕〟がそう言う。
当時の〝僕〟にとっては父さんが死んだ自覚なんて欠片も無くて、ただ目の前で泣いている母さんを励ましたかったのだと思う。
母さんがハンカチで涙を拭いながら続ける。
『
父さんが悪い人?
『そう。あの人は宿儺様を信じられなかったの。それどころか、宿儺様のことを悪く言うなんて』
母親の言葉の一部分だけノイズがかかり、よく聞き取れない。だから父さんが誰を信じなかったとか、父さんが誰のことを悪く言ったのかが分からない。
つまりは、当時の〝僕〟もよく理解していなかったのかもしれない。
『良い、出』
なあに、母さん。
『辛い時は宿儺様のことを思い出して。きっと貴方を助けてくれるわ』
うん、分かった。
『じゃあ叔父さん達に挨拶してきなさい。私はやることがあるから』
うん、分かった。行ってくるね。
〝僕〟の意思を他所に、幼い〝僕〟はどこかへと駆けていった。母さんは〝僕〟の小さな背中を悲しげな眼差しで見送る。
……、
…………、
………………。
あれ。
おかしい。
視点が変わらない。
これは〝僕〟の記憶の筈なのに、この部屋から視点が動かない。〝僕〟が居なくなった和室で、一人溜め息を吐く母さんの姿だけが残っている。
母さんは立ち上がり、こちらに向かって歩いてきた。正座をしてこちらを見上げる母さんと目が合う。
〝僕〟はこんな記憶知らない。
なんなんだこの記憶は。
『……宿儺様。どうか出をお守り下さい』
戸惑う〝僕〟を他所に母さんは、〝僕〟と真っ直ぐ目を合わせてそう言った。
∪
「め、目が覚めましたッ!」
最初に耳に入ったのは、誰かの叫ぶような言葉。目が覚めたと言われたということは、どうやらオレは寝ていたようだ。自分が眠っていたか分からないくらいには熟睡していたようだ。嫌に気分が良い。
ボヤけた視界を左手で擦り、左手に体重をかけて上体を起こして──
「……いってぇ」
尋常ではない頭の痛さに上体を倒してしまう。目は冴えているのに、頭がガンガンする。枕に頭が沈み、額に持っていこうとした左手を誰かに掴まれた。
「浮舟先輩」
こちらを見下ろす金髪の男はどうやら大層怒っているらしく。世の中に絶望しているような瞳の色でオレを睨み、両手で握ったオレの手を痛いくらいに握り締めている。それから気付いた。
「……そうだ、七海か」
誰の耳にも届かないくらいの声量で、一人口の中で呟いた。
一年生三人と喧嘩をしていた最中に出会った金髪の男。あの時は思い出せなかったけど、こうして目の前で見たら完全に七海だ。そうだ、10年経ってるんじゃん。後輩もオレより年上だわな。
「…………」
こちらを見下ろす冷徹な瞳。しかしよく見れば目元は腫れているし声が所々震えているしで、オレはみんなに心配をかけてしまっていたんだなと改めて思う。左手に力を込め、七海の手をゆっくり握り返す。
「大人になったね、七海」
「……10年経っているので」
「その格好、〝スパイ映画に出てくる敵〟みたいな装いで素敵だね」
「なんてこと言うんですか」
ハァ……。
七海が心底呆れたような呟きと共に溜め息を
目の前の男──七海とそんな感じで一言二言言葉を交わしてから、何気無く周囲を見渡してみる。オレが今どこにいて、どこで眠っていたのかが気になったからだ。
まず、オレはベッドの上で寝ていたらしい。ベッドといっても、同期達によって行われていた監禁生活の時のようなドデカくてふかふかなベッドではなく、言うならば組み立て式のベッドのような感じの。
次に感じたのは消毒液の匂い。なんだか保健室みたいな匂いだなとベッドから視線を移動すれば、メスやらガーゼやらの医療器具が目に入る。どうやらここは保健室というより、医務室的な場所らしい。
視線を動かす。
窓の外は真っ暗で、一体オレは何時間眠ってしまっていたのだろうと少し胸がざわつく。
視線を動かす。
「「「「「「「「…………」」」」」」」」
「ヒッ」
動かして、こちらを睨む八人と順番に目が合った。思わず小さく悲鳴をあげてしまったが、仕方ないだろう。だってみんなの顔怖過ぎるし。
八人。
10年経過しているという事実を思い出せば、中にはぱっと見では分からない人物も、残っている面影から容易にその正解に至れる。
灰原と夜蛾先生と伊地知。
あとは知っている。さっき戦った、一年生のパンダと真希ちゃんとミステリアスボーイ。
みんなが、オレが寝ていたベッドを囲むように立ち、オレを見下ろしている。
「「…………」」
あと、忘れちゃいけないのが同期の五条と硝子ちゃん。しかし自身が置かれている現状を考えると鬼気まずいので、出来るだけ目を合わさないようにしておく。
半分以上が知人で構成された八人組。そんな八人組──七海を入れれば九人組に何故睨まれてしまっているのだろうと少し考えてみる。
「……あー」
そうじゃん。オレ
ふぅ。
一息ついた直後にブワッと全身から汗が噴き出る。
え、え、え、え? つまりこれって向こうからしたら、10年前に死んだ筈の人間が突然高専内に現れて一年生ボコってたんだが? ってこと!?
まずいまずいまず〜い! そりゃ睨むわ! 五条と硝子ちゃんまで睨んでるのはちょっと分からないけど、そうじゃん同期以外には復活したこと知らせてないんじゃん! なんで知らせてないんだよ知らせておいてくれよ! だからこんな状況になっちゃってるんじゃん! 助けて由基ちゃ──────ん!
「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」
七海も加わり、こちらを黙って睨む九人の皆さん。オレはいつの間にかベッドの上で正座をしていた。以降の発言には気を配らなければいけないことは容易に分かる。まるでスーパーで買った卵を自転車のカゴに乗せて家に帰る時くらい、慎重な発言が求められている。
言葉を選ぶ。
「……えーっと」
「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」
「……あのー」
「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」
「……この度のオレの行動は……ああいや、そうじゃなくて」
「「「「「「「「「…………」」」」」」」」」
「──……元気してた?」
オレの中にある語彙から、この場に適切なモノを選ぼうと何度か言い直してみたが、やはり最適解は見つからず。取り敢えずこの信じられないくらい重たい場の空気を和まそうと、左手を後頭部に回して照れ笑いながらおちゃらけた雰囲気で言ってみた。
直後には九人分の怒声がサラウンドで降りかかってきました。本当にごめんなさいでした。
∪
「……それで、つまりこういうことか。百鬼夜行の日、気付いたら高専にいて、たまたまその場に居合わせた悟と硝子に保護されて、その後は悟の家で三人仲良く数日暮らしていた──と」
「はいぃ……そうなんですぅ……」
「おい出のヤツ泣いてるぞ」
「ダッセぇ」
「高菜」
サングラスをかけた、とてもカタギの人間とは思えない男に威圧感たっぷりの眼力で見下ろされる。一年生三人からの舐めた発言にも反応出来ないくらいオレのメンタルは破壊されていた。
しくしくと泣く。号泣だ。
スウェットの袖で涙を拭いながら壁に掛けられた時計を見る。体感ではもっと長く感じたが、どうやら一時間くらいノンストップで代わる代わるお説教されていたらしい。ちなみに由基ちゃんから貰ったお揃いのライダースジャケットは医務室の壁にハンガーに通されて掛けられていた。
そんな、ノンストップお説教のトリを飾った夜蛾先生。オレ復活の経緯を大雑把ながら説明して──今、という感じ。
そりゃ泣きたくもなる。
みんなガチで怒ってるし、あと普通に人前で泣いてる高専三年生の自分が情けなさ過ぎて。
「いや本当にすみませんでした。
百鬼夜行が行われた12月24日。オレはあの日、夏油が発動させた『呪霊操術極ノ番、うずまき』によって復活している。うずまき発動と共に産土神も他の呪霊と一つの塊になってしまった──つまりは産土神が死んだから、オレは
しかし、そのことを馬鹿正直にみんなに話すことは出来ない。信じてもらえないとは思ってないけど、あまりに超常。常軌を逸している体験だったからだ。
『いずるが上層部の手によって殺されたことは皆には秘密にしてあるから。喋っちゃ駄目だよ』
それに、つい先程の五条からの説教の時に耳元で囁かれた一言。何故秘密なのかは分からないが、まぁ確かに聞いていて気持ちの良い話でもない。
それに、酔っているオレのことだ。産土神のことを喋れば、どこからかボロが出て銃に撃たれたこともバレかねない。
だから、いっそのこと産土神のこと自体秘密にしてしまおうという算段。当然ながら夏油の生存も話していない。
嘘吐いてごめん。そして、その謝罪も出来ないのは本当に申し訳ない。
「何故、今になってその……
夜蛾先生が問うてくる。口ごもるのは、やはりオレがこの場にいることが今だに信じられないからだろう。オレの身体をまじまじと見詰め、本当にオレが浮舟出なのかと思考している。
「……分かりません。オレは呪霊に喰われて、気付いたら高専に立っていました」
「……そうか」
オレの嘘をそのまま受け取った夜蛾先生が顎に手を当てて考え込む。経緯は何も語らないけど、結果的に考えれば真実だ。まるっきり嘘というわけじゃないのだし、許してほしい。
心の中でそんな風に釈明を
「というか出? な〜〜〜〜んで家から出ちゃってるわけぇ? こうならない為に僕、キチンと呪符貼ってたんだけどなぁ?」
「……待て、今なんと言った。呪符だと?」
「あっ、ヤベ」
「以前〝窓〟から武器庫の呪符の数が合わないと報告を受けたが……まさか悟」
「え、五条お前呪符パクったの?」
「……ピュ~」
オレが問うと、五条はそっぽを向いて口笛を奏でる。そのふざけた態度に夜蛾先生の肩がわなわなと震えた。多分、というほぼ確実に、怒りで。
「この馬鹿者が!」
決して広くはない医務室の中をドタバタと走り回る五条と夜蛾先生。武器庫から勝手に呪符を持ち出すような長身のイケメンアイマスクも、昼間はキチンと教鞭を執っているというのだから驚きだ。
……良いなぁ、五条が先生とか絶対おもろいじゃんね。
夜蛾先生に捕まってこめかみを拳でグリグリされている五条を呆れ半分の眼差しで観察していると、いつの間にか硝子ちゃんがベッドに腰掛けてオレの肩に手を回してきていた。それを見た真希ちゃんが「色気パねぇ……!」と硝子ちゃんに羨望の眼差しを向けている。うんうん、分かるよ真希ちゃん。オレも平常心を努めるのに精一杯さ。
「本当に馬鹿だな
「に、匂い?」
「臭い。ジャケットから女の臭いがする」
口に出した
「
普段の気怠げな両目も今この時ばかりは完全に見開かれていて、睨むようにオレの目を覗き込みながらこちらに体重をかけてくる。硝子ちゃん、胸が、胸が。
オレは少しの抵抗とばかりに目を逸らす。肩に腕を回されているので、距離を取らせてもらえなかったからだ。
「さ、さぁ。誰のだろう。もしかして真希ちゃんと戦った時とか?」
「は、ハァ!?」
驚いて振り返り、巻き込むなよとでも言いたげな視線でオレを睨み付ける真希ちゃん。巻き込むに決まってんだろ。
「そんなわけないだろう」
しかし硝子ちゃんはオレのはぐらかすような発言には惑わされず、こちらの目をしっかりと見詰めてくる。
はぐらかす。
「じゃ、じゃあパンダかも」
「えぇ!?」
パンダも振り返る。
「違う、戦ってる時のパンダはもっと獣臭がする」
「硝子ォ!?」
はぐらかす。
「じゃあミステリアスボーイだったかもな。きっとそうだ」
「おかか、おかかおかか!」
ミステリアスボーイも振り返る。これで三人振り返った。なんだかスロットみたいだね。当たると良いなぁ。
「狗巻は、最後の最後にいずるを眠らせる為に近付いただけだろう。その一瞬で匂いが移るか?」
クソ、駄目だ効かない。次は誰に罪をなすりつけよう。
正直に由基ちゃんのことを話したら、きっと硝子ちゃんはこの上無く発狂してしまうだろう。だって、10年前滅茶苦茶仲悪かったもん。
だから思案。どうにかして有耶無耶に出来やしないかと思考を張り巡らせる。
なんて格好つけた言い方をしてみたが、心境的には浮気がバレかけてるダメ男だ。オレの場合は本当にダメ。ゴミカス。
「僕も気になるな」
「ご、五条」
夜蛾先生からのお仕置きが終わったのか、硝子ちゃんとは反対側からオレの肩を抱く五条。同期二人に挟まれる形になってしまったオレは、誰か助けてくれないかと周囲を見渡してみる。
オレの視線に気付いた七海と灰原は自然な流れで無視して、早くも明日の任務について話し合い始めた。流石は一個下。
オレと目が合った夜蛾先生は黙って首を横に振り、その隣の伊地知はアワアワと極度の焦りによって高速で微細な振動をする置き物と化している。
駄目だ助けは望めない。
「あの家からどうやって高専まで来たのか、とかね。いずるお金持ってないでしょ」
「そもそも、いずるにはあの呪符を突破出来ない」
「あれ? 不思議だね」
「不思議だな」
二人して目を合わせる五条と硝子ちゃん。間に挟まれたオレはできるだけ小さくなろうと、身を縮めて存在感を消してしまおうと努力する。しかし無駄だ。五条と硝子ちゃんにガッシリと跡が付くくらいの力で肩を掴まれ、左右の耳元で囁かれた。
「「誰の手を借りたんだ?」」
「…………」
由基ちゃんで────す!!!! って言いてぇ〜〜〜〜〜〜!!!!
しかし言えるわけがないので、誰か助けてと心の中で暴れ回る己を律して押し黙る。
「黙っていたら分からないだろう? なぁいずる。私達はいずるを傷付けたりはしない。ただ、誰の助けを借りたか知りたいだけなんだ」
「そうそう。いずるが勝手に外に出ちゃったこととかは全然怒ってないからさ!」
「だから教えろ」
「教えて?」
「…………」
クソ。どうやら、本当のことを言わないとこの尋問は永遠に続くらしい。
言うか?
いや駄目だ。由基ちゃんに迷惑がかかる。
言わないでおくか?
いや駄目だ。胃に負担がかかるこの空間に終わりはない。
ある種のダブルバインド。もしくは、あちらを立てれば的なやつ。しかしどうしてもどちらかを選ばなくてはならない状況に陥ってしまっていて。
逡巡。
苦悩。
「…………っ」
追及の果て。
その圧力に堪え兼ねて、オレの口から飛び出していくであろう言葉の内容もロクに精査せずに、兎に角なにか話さなければと反射的に口を開きかけた刹那。
医務室の扉が開かれた。
「そこから先は私が引き継ごう」
廊下から現れたその人物──10日の間に10年が経過し、すっかり変わってしまった仲間達に戸惑っていたオレでも即座に誰が現れたのか分かるその人物。
二人組。
共に女性。
突如として現れた救援に、オレは喜びの表情を隠そうともせず高らかにその名を呼んだ。
「め、冥冥さんッ!」
「やぁ、元気にしてたかい?」
オレの声に片手をあげて返事をする冥冥さん。長く太く編まれた三つ編みで顔を隠すように前に流したその髪型に「美し過ぎる」と思わず声を漏らし、オレの脳内に存在する複数人のミニ浮舟出達が盛大な拍手と指笛を送る。
冥冥さんの麗しさに思わず感涙してしまった。
「いずる、僕達と再会した時と全然リアクション違うんだけど」
「……ずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるい」
なんだか両隣の同期が抗議の声をあげているような気がするが、そんなことを気にしている
今はただ、最強に美人な先輩から目も眩むような最強美人になった冥冥先輩の変化を余すことなく両目に焼き付ける。数十秒という時間を使い、未だ物足りないもののこれ以上は迷惑だと常識的な判断で苦渋の決断。
目を離す。
……もしかしてオレは
それから冥冥さんの隣に立つもう一人の女性、みんな大好き巫女服姿の大人庵歌姫先輩に視線を移し──
「ひ、ひぃぃッ!」
あまりのショックにより無意識に脳内メモリーに施錠していた筈の、数日前のトラウマがフラッシュバック。傷も癒えぬ前に生存本能として記憶の奥底に沈めておいた筈の
即座にベッドの上を這いずり、同期二人の背中に隠れた。常々会いたいとは思っていたものの、いざ対面すると反射で身体が飛び退いてしまった。
「え、いずる? どうしちゃったの急に甘えて。僕なにかした?」
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
「よしよし、私がついてるからな。ほら、おいで」
「順応はやっ」
両手を広げて「おいで」と誘う硝子ちゃん。その変わり身に五条はツッコミを入れつつも、僕も僕もとオレを抱き締めた硝子ちゃんの更に上からハグしてきた。
二人の向こう、冥冥さんの隣に立つ女性──歌姫先輩は、硝子ちゃんに抱かれたまま震えるオレを見てばつが悪そうにあさっての方向へと視線を逸らした。
本来。
オレが歌姫先輩を見て怖がるなんて有り得ないし、歌姫先輩が人から視線を逸らすなんて有り得ない。
つまりは、普段ならば有り得ないくらいにギクシャクしているオレと歌姫先輩。
冥冥さんはオレと歌姫先輩の様子を一瞥してから溜め息を吐いた。
「……その辺りも含めて、私が説明しよう」
軽くパニックになっているオレの脳にもすんなりと這入り込む冥冥さんの言葉に、ほんの少しだけど落ち着きを取り戻す。言語機能に傷を負ったロボットのように謝罪の言葉を繰り返し呟いていた口を閉じ、鼻でゆっくり深呼吸なんかしてみたりする。
五条と硝子ちゃんに抱かれても尚止まらない震えに思わず目を瞑り、オレもこうなった原因を思い返してみることにした。
浮舟出:ついにその存在が高専関係者にバレた。七海も灰原も伊地知もみんなちゃんと年重ねてるし、髪型変わった夜蛾先生も威圧感だけは相変わらずだしと寝起きで大混乱した頭でその場の全員からお説教を受けた。
今までで一番、由基ちゃんに会いたいと思ったらしい。
「歌姫先輩ごめんなさい歌姫先輩ごめんなさい歌姫先輩ごめんなさい」
七海建人:10年振りに再会した尊敬する一個上の先輩が10年前と変わらずヘラヘラしているので一周回ってムカつかなくなってきた。でも怒るは怒る。浮舟に了承を得ずともベタベタ触りまくってる五条と家入を見て、ほんの少し羨ましいと思ったらしい。
「……ハァ(本日数百回目の溜め息)」
灰原雄:10年経ち、つらつら説教をするという術を身に付けた。浮舟的には灰原からの諭すような説教が一番効くらしい。
「良いですか浮舟先輩。生き返ったら、ちゃんとその日のうちにみんなに報告しなくちゃいけないんですよ」
伊地知潔高:初対面で気絶させられた先輩の復活の報を聞いて気絶し、ベッドの上で眠る姿を見てもう一度気絶した男。現状に戸惑いつつも、五条さんの機嫌が良かったのは浮舟先輩のお陰かと内心滅茶苦茶感謝している。
「嗚呼……本当に良かった……」
夜蛾正道:グラウンドに駆け付けたら10年前に死なせてしまった教え子が気持ち良さそうに眠っててガッデムだし、起きたら全然反省してなくてガッデム。あと五条と家入の浮舟に向ける視線がちゃんと10年分積もり積もってて超ガッデム。
「……流石にもう俺にはどうしようも出来ん。諦めて受け入れろ」
一年生ズ:浮舟が寝ている間に喧嘩のことをめっちゃ怒られた。でもいち早くグラウンドに駆け付けていた七海による証言から、浮舟の方が悪いという結論に終わったので、夜蛾からの拳骨一発で済んだ。
「なんかもう夜中だけど、流石に見ておきたいよな」
「ああ。これを見ずに眠れるかってんだよ」
「しゃけしゃけ(乙骨に連絡ポチー)」
五条悟:浮舟が眠っている間に、家入と共に床に正座させられて今回の件に対する説明を求められていた。でも全然懲りずに「いずるの寝顔可愛っ」とか考えてた。
何も知らずに旅に出ている夏油にどう説明したものかと考えあぐねている。
「傑ヘルプ」
家入硝子:浮舟が眠っている間に、五条と共に床に正座させられて今回の件に対する説明を求められていた。でも全然懲りずに「こんなふざけた真似するんだったらそろそろ襲っても問題ないはずだよな」とか考えてた。
浮舟の今後の処遇を一番心配している。
「おいクズ、早く戻って来い」
夏油傑:やあ出。今朝は酷い真似をして悪かった。場合によっては君を連れ去ってでもという心持ちだったのだけど、そうはいかなくなった。運命というものはやはり厄介なものだね。
我儘を言ってごめん。この旅がどれだけのものになるかはまだ分からないけど、必ずまた君の前に姿を表すことを誓うよ。
私は今、以前に私が教祖を務めていたとある宗教施設を目指して歩いている。百鬼夜行以前はそこを拠点にしていたから、まだ家族がいる可能性も高いからね。出の隣で年を越せないのは本当に残念だけど、それはまた来年の楽しみに残しておこうかな
────浮舟出のスマートフォンに向けて送信したメールの文面から一部抜粋。
次回で最終回と前回のあとがきで言いましたが以下略案件です。この締まりの悪さも愛して下さい。
予想以上に書きたいこと増えちゃったんです。これでも削った方なんです。でも浮舟を叱るシーンとか、やろうと思えばいくらでも書けちゃうようなことを浮舟はやらかしちゃってるし、医務室に浮舟入れて10人もの人数が集まっちゃってるし、泣く泣く今回のような形になりました。
あれ、最後にもう二人増えた?
この小説も、いつの間にやらUAが400000を突破していました。本当にありがとうございます!凄い!
お気に入り件数も5000件ありがとうございます!ヤバイ!
200人もの大勢の方に評価していただきました!ありがとうございます!
感想いつもありがとうございます!めっちゃ励みになってます!
ここすきも、ちょくちょく確認してはニヤけてます!ありがとうございます!
最後に、この小説読んでくださって本当にありがとうございます。大感謝!
ではまた!
次回。
次回こそ最終回。
本当の本当に。
誰好き?
-
浮舟出
-
五条悟
-
家入硝子
-
夏油傑
-
七海建人
-
灰原雄
-
伊地知潔高
-
庵歌姫
-
冥冥
-
夜蛾正道
-
九十九由基
-
乙骨憂太
-
折本里香
-
禪院真希
-
パンダ
-
狗巻棘
-
枷場美々子
-
枷場菜々子
-
伏黒甚爾