アル中とさしす組   作:大塚ガキ男

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こんばんは!ブーストありっぽいです!





出、こっちに来い。理由(ワケ)を知りたいのだろう?

 

 

 

 

「こうやって4人で飲みに行くのも、なんだか久し振りな気がするね」

 

 〝僕〟以外の三人がお酒を飲み始め、各々の身体にアルコールが回り始めてから1時間ほど経過した頃。ぱっと見いつもと何ら変わらない様子の冥冥さんが、ビールの大ジョッキを空にしてからそう言った。

 冥冥さんは、お酒が強い。

 顔色の変わらなさ加減は、我等が酒豪クイーンである硝子ちゃんと同等だ。冥冥さんの隣で陽気モードを通り越して絡み酒に移行しようとしている歌姫先輩と比べても、だいぶ強いことが分かる。飲み会でしてしまいがちな()()も全くしない。

 お酒の強さランキングを付けるとするならば、硝子ちゃん>冥冥さん>歌姫先輩。といったところか。

 しかし何故冥冥さんのお酒の強さが硝子ちゃんには敵わないのかというと──〝僕〟が何故わざわざ冥冥さんのお酒の強さについて言及したかというと──しっかり観察すると酔っ払っていることが分かるからだ。

 顔色こそ変わらないものの、僅かに左右に揺れている体幹が冥冥さんの酔い具合を物語っている。普段のクールな冥冥さんを知っているので、どこか気持ちよさそうに左右に揺れる冥冥さんというのはとても貴重だ。写真に収めるのは失礼にあたるので、しかとこの目と心に焼き付けておくとしよう。

 

「久し振りどころか10年ぶりですよ。全く、浮舟ったら」

 

 〝僕〟が心の中で冥冥さんにありったけの賛辞を送っているうちに会話が進む。言葉を言い終えた歌姫先輩が、酔いによって据わった(まなこ)でじろりと〝僕〟を睨んでいた。

 

「いやあ、死んじゃってたもんで。ははは」

 

 それもこれも全部産土神(神様)所為(お陰)なんですわ。お酒の席故についポロリと言ってはいけない言葉を溢してしまいそうになるのを抑え、笑って誤魔化す。

 

「……本当に()()()、何があったのか分からないのかい?」

「そうなんですよ。喰われたと思ったら、気付いたら高専にいたと言いますか」

 

 冥冥さんからの追及も、笑って返す。返していると、二人にバレないように硝子ちゃんが太ももを指で突いてきた。恐らく、その辺にしておけ的な合図だろう。

 

〝僕〟が死んでいた云々(そんなこと)より、楽しい話しましょうよ!」

「曖昧だね」

 

 強引に話を変えた〝僕〟を見て、口元を隠して上品に笑う冥冥さん。その所作の美しさに思わず見惚れていると、二人にバレないように硝子ちゃんに太ももをつねられた。恐らく、その辺にしておけ的な合図だろう。

 あれ、さっきと同じ合図の筈なのになんでつねられてんだ? 

 

「浮舟ぇ、アンタ一発ギャグとかしなさいよ」

「大人とは思えない雑なフリ!」

「えぇ、やってくれないの〜?」

「いややらないとは言ってませんよ。ゴホン、──じゃあ〝僕〟の激似モノマネレパートリーの一つ、幼いサンジを生かす為に自分の足を食っていたことがバレた時のオーナーゼフの真似でも」

「別のにして」

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ∪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二軒目。

 

「二軒目にまで来て言うことでもないが、すまないね。私に合わせてもらって。東京からだと遠かっただろう」

「気にしないでください。〝僕〟達牛タン大好きっ子クラブみたいなもんですし」

「私も今日は有給使いましたから」

「そう言ってもらえると助かるよ」

「冥冥さんご指名の依頼、でしたっけ」

「あぁ。蓋を開けてみれば特段厄介な相手──というわけでもなかったけれど、やはり適任ではあった」

「カァ座右衛門は元気ですか?」

「勿論。流石に飲みの席には同席させないけどね。近くで待機させてある」

「凄いなぁ冥冥さん。任務終わりでも傷一つ負ってないですもんね」

「ふふふ、褒めても何も出ないよ」

「よっ、スーパー美人! 優しくて頼りになる大先輩! 閉じてるお目目可愛い! お目目開いてても可愛い! 笑った表情が神がかってる! 背筋綺麗! 髪の毛のキューティクルエグい──」

「ふふふ、そんなに女性を手放しで褒めるものではないよ」

「冥さん、それ私のジョッキです」

 

 

 褒めて良いターンかと思ってここぞとばかりに褒めまくると、何故か歌姫先輩のジョッキを(あお)る冥冥さん。あれもしかして照れてるのかと己の目を擦ってみたところで、硝子ちゃんに肩を抱かれた。

 

「いずるぅ」

「なぁに、硝子ちゃん」

「…………」

「え? 本当になに?」

「…………」

 

 問うても無言の硝子ちゃん。

 ↑語呂の良さ異常。

 肩を回したまま〝僕〟に体重を預けている硝子ちゃんは、一言も発さずに〝僕〟の鎖骨あたりで鼻呼吸を続けている。硝子ちゃんの髪の毛が頬に当たってくすぐったいし、アルコールが回って火照(ほて)っている硝子ちゃんの体温がしっかりと〝僕〟に伝わってくる。

 

「嫉妬だね」

「嫉妬ですね」

「え、硝子ちゃん嫉妬しちゃったの?」

「…………したない」

「それはどっち?」

 

 硝子ちゃんとお話する〝僕〟を他所に、店員さんが運んできた牛タンをテーブルに埋め込まれた網に乗せて焼き、頃合いを見てぱくぱくする冥冥さんと歌姫先輩。

 つまりは、生肉が焼き上がるくらいの時間硝子ちゃんに抱きつかれているということになる。外の風当たる? と耳元で囁くも、硝子ちゃんは聞く耳を持たない。

 珍しいことにこれは、硝子ちゃん結構酔っ払ってるのかも知れない。

 耳赤いし。

 

「ん、美味しいわね」

「そうなんですよ。ここ、ケイちゃんオススメのお店らしくて」

「ケイちゃん?」

「はい。後輩のケイちゃんに牛タン美味しいお店教えてって聞いたら、スマホに住所送っておいてくれてたんです」

「へぇ、良い子ね」

「そうなんですよ〜。ねぇ、硝子ちゃん」

「……いずる、今晩はそこらのホテルで一泊しよう。こんなに酔っていたら新幹線で帰るのも危ないだろうし。な、良いだろ? 今晩はしっぽり──しっかり休んで、明日の夕方頃東京に戻れば良いさ。あまり私を焦らさないでくれ」

「ほら、硝子ちゃんもこう言ってます」

「アンタのスルースキルで、日常の壮絶さが窺えるわ」

「あっ、硝子ちゃんのエッチ。無言でシャツの中に手ぇ入れないでよ」

「ふふふ……」

「あ、ちょっ、くすぐった……!」

「冥さん、私達はなにを見せられてるんですか」

「さあね。ただ恥ずかしさで顔を赤らめる浮舟君の姿は中々……」

「……中々?」

「酒が進む」

「えぇ……」

「今度、女子用の高専制服でも着せてあげようか」

「えぇ……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ∪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「では、気を付けて」

「はい。冥冥さんと歌姫先輩も」

 

 時刻は19時。飲み会にしては早い解散と思うかもしれないが、開始が昼間だったので時間で換算したら十分な時間。

 電話で呼んでおいた長距離タクシーに半分眠っている硝子ちゃんを乗せた後の会話。つまりはまだ冷静な会話が可能な二人が、会話もままならないくらい深酔いしている二人を介抱しながら。

 

「浮舟! 冥さん! 私はぁ、まだぜ〜んぜん……ぐぅ」

 

 冥冥さんに肩を支えられている歌姫先輩が、突然動き出して元気に喋り出す。しかしそれも一瞬で、またすぐ眠りについてしまった。その様子を見た冥冥さんは肩を(すく)めて口角を上げる。

 

「歌姫は私が責任を持って送り届けよう。硝子のことは頼んだよ」

「はい。……と言っても、タクシーなので〝僕〟が出来ることはありませんけど」

「どこか泊まっていかないのかい?」

 

 冥冥さんが揶揄(からか)うように笑う。〝僕〟も笑って返す。

 

「〝僕〟達は同期ですから。()()()()()はナシです。それに硝子ちゃんは明日も仕事が──ちょちょ、硝子ちゃん。ズボン引っ張らないでよ」

「だいぶ酔っているね」

「そうなんですよ。硝子ちゃんってばお酒強いけど、今日はあり得ないほど飲んでたんで」

「君が隣にいて安心しているんだろう。こうして心から楽しむのも、彼女からしたら10年振りだろうしね」

「……本当、迷惑かけちゃいました」

 

 〝僕〟が死んでいた10年間に意識が傾く。お酒を一滴も飲んでいない冴え切った頭が、お前はなんてことをしたんだと自責を始める。

 

「こらっ」

 

 しかし、始めて数秒と経たずに額を小突かれた。小突いたのは勿論冥冥さん。

 

「自分を責めるなんて無駄なこと、するもんじゃない。君は何も悪くないんだから」

 

 〝僕〟は沢山の人を悲しませた。それは言い逃れようのない事実だ。

 けれども、今こうして目の前にいる冥冥さんが真正面からその言葉を否定してくれる。

 〝僕〟はなんて、人に恵まれているのだろうか。

 頭を下げる。

 

「……冥冥さん、ありがとうございます」

「私は事実を言ったまでだ。それより、帰りの車内であまり考え過ぎないように」

「はい。楽しいこと考えます」

「車椅子は畳んでトランクに入っているから、松葉杖と一緒に忘れずに下ろすように」

「はい。覚えておきます」

「ホテルに行くなら避妊も忘れずに」

「はい──って、行きませんから! 絶対に直帰します!」

「ふふ、なら良い。じゃあ、また会おう浮舟君」

「はい。今日は本当にありがとうございました」

「こちらこそ、楽しかったよ」

 

 挨拶を交わし、別れ。楽しそうに片手を上げて歌い出す歌姫先輩を宥めながら歩き出す冥冥さん。その背中が曲がり角の向こうに消えるまで見送ってから、〝僕〟も車内へ乗り込んだ。

 

「東京までお願いします」

「私は大丈夫だけど、君は大丈夫? ここから東京までって凄い金額になるよ」

「それは、まあ……」

 

 ポケットから長財布を取り出し、中身を確認する。そこにはお(さつ)入れにギッシリ入った札束。

 

「大丈夫です。(みつ)がれてるんで」

「? 君、ホストかなにか?」

「はは、まあ似たようなものかも知れないです」

 

 タクシーがゆっくりと動き出す。窓の外、綺麗な月夜に浮かぶ星を線で繋ぎ、高身長アイマスク男座を形作る。帰ったらお礼を言っておこう。

 

「うぅ……いずる」

 

 気持ち良さそうに隣で眠る硝子ちゃんが、寝言を言いながら寄りかかってくる。硝子ちゃんは〝僕〟の右側に座っているので、残念なことに頭を撫でてあげることは出来ない。せめて気持ち良く眠れるように、なるべく動かずにジッとしておくことにした。

 

「美人さんだね、彼女かな?」

 

 ルームミラー越しに、運転手さんが回答に困る質問を投げかけてくる。困るなりに、真摯に答えることにした。

 

「まあ、彼女ではないですけど……大事な人です」

「はっはっは! 君、まだ学生(子供)なのにしっかりしてるね!」

「いやいや、本当ならアラサーなんで」

「はっはっは!」

 

 笑う運転手さんと、照れてはにかむ〝僕〟。どんな夢を見てるのか、体勢を変えて〝僕〟の胴体を両腕でキツく締め上げる硝子ちゃん。膝枕をしてあげてるような体勢だけど、〝僕〟の知る限り膝枕ではこんなに(あばら)は傷まない。ソースは由基ちゃん。

 タクシーの運転手さんと話しながら、タクシーは仙台の街中を静かに走っていく。仙台に来たことはないけど、都会の夜景ってやつはどこでもあまり変わらない。未だ眠れない頭は会話を求め、運転手さんと他愛も無い話に花を咲かせる。

 

「……ありゃ、渋滞だね」

「そうみたいですね」

「任せてよ兄ちゃん、近道があるんだ。そこ通れば渋滞回避出来るよ」

「お、じゃあお願いします」

 

 大通りから何もない小道へと左折したタクシーは灯りの少ない路地を進み、何度か右左折を繰り返して住宅街に抜けた。成る程、確かに他の車は見当たらない。

 走る。

 硝子ちゃんが寝言で〝僕〟の名前を呼んでいる。

 走る。

 運ちゃんのトークが止まらない。

 走る。

 日を跨ぎそうだけど、五条は〝僕〟達が帰ってくるまで起きてそうだな。

 走る。

 あとで停車してる時に連絡を入れておかないと。

 走る。

 

「──運転手さん、今の聞こえました?」

「え? 何か聞こえた?」

「窓開けてください」

「良いけど」

「……気のせいじゃない。運転手さん、そこ左曲がってください」

「えぇ?」

「良いから」

「分かった分かった」

「次も左」

「はいはい」

「次は右」

「こう?」

「真っ直ぐ」

「了解」

「……止まってください」

「ここで?」

 

 停車。しかし〝僕〟はスマホには手を触れず、硝子ちゃんを起こしてしまわないように車内から抜け出す。振り返るも、硝子ちゃんはスヤスヤと眠っている。

 タクシーに手を置き、座席の足元に置いておいた松葉杖を引っ張り出す。

 

「学校じゃないか」

 

 運転席から降りてきた運転手さんが夜の学校を見上げる。正門には『杉沢第三高校』との文字が彫られてあった。

 

「窓ガラスが割れるような音がしたんです」

「よく聞こえたね」

「たまたまですよ──ほらまた!」

「確かに聞こえる。でも、なんで停めたんだい?」

「…………」

「兄ちゃん? まさかとは思うけど」

「止めてきます」

「えぇ」

「運転手さんは硝子ちゃんとここで待っててください」

「それは構わないけど。君、足怪我してるんでしょ? 行ってどうするのさ」

「青春真っ盛りな、ただの一対一の喧嘩とかなら別に良いんです。でもイジメとか事故だったなら、〝僕〟は行かなくちゃいけない」

「なんで?」

 

 心底不思議そうに問いかけてくる運転手さんに、〝僕〟はこれから言うセリフに少し照れてしまいながらも笑って返した。

 

「それが〝僕〟の信念なので」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ∪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、格好良く敷地内に侵入したは良いものの……」

 

 どうしたものかと松葉杖片手に歩きながら考えてみる。よく考えたら普通に不法侵入だ。喧嘩を止めるとかより先に、これじゃあ〝僕〟が悪い奴じゃないか。喧嘩やイジメ(断定)は悪いことだが、それを止める為に悪い奴になるのはいけないことだ。なんだか小学生みたいに曖昧な言い分だが、間違ったことは言っていないだろう。

 思案。

 

「…………帰ろうかしら」

 

 しかし、あんなに格好つけてタクシーから降りておいて「やっぱりなんでもなかったですw」なんて言えるわけがない。一体どうすれば良いんだ。

 

「うーん」

 

 悩む。

 そんな、悩む〝僕〟の視線の先で、校舎の外壁を駆け上がっていく人影。

 

「は?」

 

 その人影は校舎の4階部分まで難なく駆け上がってみせると、窓を蹴り破って校舎内に侵入してしまった。

 呆然。しかしただこのまま立ち止まっているわけにはいかないことを理解していた〝僕〟は、これ幸いとばかりに呟いた。

 

「……大義名分発見(ラッキー)

 

 あんなん見るからに悪い奴だろ。そう鮮やかに脳内演算で結論を叩き出した〝僕〟は心穏やかに、そして晴れやかに。心置きなく、曇りない心を持って校舎へと足を進めるのだった。

 小躍りで。

 

 閑話休題。

 

 何故か開いていた昇降口から校舎内へと入った〝僕〟は、ロッカーの片隅に置いてある来客用のスリッパに履き替えた。

 松葉杖が廊下を突く音が、誰もいない空間に寂しく反響する。夜の高校なので当たり前だが、人影は見当たらない。一人だから独り言だけが弾む。

 

「ビックリするほど何も無い。もっと喧嘩に負けた高校生とかがぶっ倒れてるかと思った」

 

 しかし先程聞こえた、窓ガラスが割れる音も校舎を駆け上がる人影も、幻聴でも幻覚でもない。〝僕〟の脳内に記憶として残るソレがある以上──そして校舎の外壁を駆け上がったバケモンフィジカルの人影を追っているという大義名分がある以上、〝僕〟は足を止めるわけにはいかない。

 何も無い校内に気が緩んだところで、歩幅に合わせて突いていた松葉杖がなにかに弾かれて手から離れた。静けさに包まれた廊下を甲高い金属音が支配する。

 

「なんだぁ?」

 

 前方に転がっていった松葉杖を片足ケンケンで取りに行く。左手で拾って状態を確認するも、特に変わった箇所は見られない。

 まあ良いか。

 なにもないならそれで良い。

 そう考えた〝僕〟はそれ以上考えることをやめ、再び歩き出した。

 重量に逆らって左右に揺れる、淡く光る非常口の灯。それから、ガタガタと震える窓から入る月明かりだけが頼りの暗い廊下を自分のペースで歩いていく。

 

「──ッ」

 

 短い地響き。まるで上の階に巨人でもいるかのような、上部を起点とした短い揺れ。天井を見上げた〝僕〟のこめかみには冷たい汗が(つた)っていた。

 

「……これ、ただの喧嘩じゃなさそうだぞ」

 

 窓ガラスの割れる音、外壁を駆け上がる超人、弾き飛ばされた松葉杖、おかしな挙動を見せる背景、そしてこの地響き。〝僕〟はいくつかの可能性を頭に浮かべ、それから意を決して呟いた。

 

「……緊急事態か」

 

 衣類が後ろに引っ張られる感覚を無視し、歩きながら考える。

 硝子ちゃんに連絡しようか? 

 いや、硝子ちゃんはタクシーの中でぐっすりだ。もし電話に出てくれたとしても、他者反転を扱う硝子ちゃんを前線(現場)に出す程〝僕〟は愚かじゃない。

 近くにいる補助監督さんに連絡を入れてみようか? 

 いや、まだ〝僕〟は(おおやけ)には死んだことになっている。勝手なことは出来ない。

 ケイちゃんに連絡してみようか? 

 いや、ケイちゃんは任務中だ。加えて、もし今のケイちゃんが──こういったことはあまり考えたくないが、呪物回収の任務になにか手違いがあって戦闘中ならば、このタイミングでの電話はケイちゃんの邪魔をすることになってしまう。戦闘中での邪魔は、(すなわ)ち命の危険に直結する。ケイちゃんを危ない目に遭わせるわけにはいかない。

 五条に連絡してみようか? 

 いや、五条は出張中だ。五条に謎ワープを使わせてまで頼るのか現状ではまだ決定出来ない。五条を頼るなら最終手段だ。

 乙骨君に連絡してみようか? 

 いや、今はふざけている場合じゃない。というかなんだこの選択肢。

 

「…………じゃあ〝僕〟がやるしかないよなぁ」

 

 うーんうーんと悩んでみたが、結局はこれが一番早い。懸念点としては()()()()の一言に尽きるが、緊急事態だ。補助監督さんの後処理が必要無いくらいの被害に止め、〝僕〟が現場に居たという証拠を残さず、素早く場を納めれば誰にも正体がバレずに解決できる。

 筈。

 

「いや怖過ぎる」

 

 怖過ぎるが、やるしかない。

 人命第一、被害は第二。三、四が無くて、五に言い訳。

 早歩きを意識して歩く。相変わらず不定期的に校舎の天井やら壁やらから振動が伝わってくふが、それ以外には変わったことはない。

 歩く、歩く、歩く。

 歩いた先に見えた目的地、『理科室』と書かれた室名札を見つける。ドアの前に立ち、教室の鍵が開いてることを祈って──

 

「うおッ」

 

 後ろから何者かに突き飛ばされた。受け身も取れずにつんのめるようにドアに身体をぶつけ、〝僕〟の身体の形にひしゃげたドアと共に理科室内へ転がり込む。

 割れたガラスの散る音と舞い散る埃の匂いでようやく現状を理解し、理科室内の長机を支えに立ち上がる。松葉杖は今のゴタゴタでどこかへ消えた。

 

「……なんだよ一体」

 

 不審者だと思われて警備員にぶん殴られたのかとも思ったが、〝僕〟を突き飛ばした犯人はどこにもいない。理科室内にも、廊下にもだ。

 不可視。

 そして、不可思議。

 しかし何も分からず、問題は解決しない。

 

「……まぁ悩んでても仕方ないよな。兎に角、()()()()()()()

 

 長机を支えに、壁を支えに、理科室内に置かれた薬品棚を漁る。目当ての物はすぐに見つかり、〝僕〟はソレを手に取った。

 

「…………」

 

 実験用アルコールランプ。

 の、隣に置かれた不透明の容器。

 

「中学の頃が懐かしいぜ」

 

 不透明の容器。その中身は、アルコールランプの燃料の補充液。つまりはほぼほぼ純度100%のアルコール。

 アルコールランプに補充する為に先端が尖った補充口を咥え、柔らかい容器を押す。補充口からアルコールを含んだ少量の空気が押し出され、その後すぐに最低な味が舌に流れてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ∩

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──ッシャア! 元気100倍! アル(コール)パンマンだぜ!!」

 

 半年振りの飲酒を終えた浮舟は、その開放感に酔いしれ左拳を天に突き上げていた。ゲラゲラと笑いながらふざけた発言をし、舌に残るアルコールの味に舌鼓を打つ。飲酒で気が大きくなったことにより、好き勝手暴れ回りたい衝動が湧き立っていたのだ。

 

「でも善い人になれって()()も言ってたしな〜〜〜〜〜〜! よっしゃッ、人助けするか! 人助けして感謝されて、自己肯定感爆アゲで今夜は眠る! 決定決定!」

「せぇぇえんんせえぇぇぇえ、ちぃいこくしいいちゃいまああぁしたぁぁぁぁあぁぁ」

「……アァ? ンだよ入口で邪魔くせぇな。もしかしなくてもオレのこと突き飛ばしたのはテメェか?」

 

 浮舟が、何者かに突き飛ばされた浮舟が破壊したことによってぽっかりと間が空いた理科室の入口。そこを塞ぐようにして四足で立つ呪霊の姿を視認した浮舟は、片足で跳躍しながら呪霊との距離を縮めた。

 

「でんんんんんしゃがぁぁああぁぁ」

「テメェの所為で校舎への被害大きくなっちまっただろうが! 死ねボケッ!」

 

 軸足で跳び、空中で身体を捻って横回転。遠心力が十二分に加わった軸足で、呪霊の横っ面を蹴り抜く。爪先蹴り(トーキック)は呪霊の頭部を確実に吹き飛ばし、その場に残ったのは呪霊を構成していた肉片とその残穢のみ。蹴り飛ばした方の足、右足で着地した浮舟は軽くストレッチをしながら独り言を口にする。

 

「軸足で跳んで軸足で蹴るって、まるでベストキッドだな。オレにもミスター・ミヤギみたいな師匠ほしいぜ──おっ?」

 

 呪霊の残穢の中から現れた物。浮舟は片足跳びで近寄って手に取る。左手で取る。

 

「松葉杖、無ぇと思ったらテメェが食ってたのかよ。ったく、キッシェな。なんかベタベタしてんじゃねぇか。幻聴も聞こえやがるし飲酒で気分悪ぃしで最悪。お酒なんて飲むもんじゃねぇな。もう飲酒なんかしねぇなんて、言わねぇよ絶対」

 

 左手で持った松葉杖を軽く振るう。それからその有用さに気付いた浮舟は、一人ニヤニヤと笑った。

 

「ジャジャーン! 武器ゲット〜! アーッハッハッハッハ!」

 

 浮舟の笑い声が廊下の果てまで響き渡る。

 その声に引き寄せられた呪霊達が、物陰から、至る所から姿を現した。

 

「あァ? 蝿頭に三級、二級と四級、三級、三級、二級、三級、二級──多過ぎんだろボケ共が。ここ普通の学校だよな? 呪霊学校とかじゃねぇよな?」

 

 松葉杖を握り直す。怪我人なら決してしない持ち方で、西洋剣のように松葉杖の先を呪霊へと向けた。

 松葉杖に呪力を込める。まさか松葉杖も自分を武器にされるとは思っていなかっただろう。

 松葉杖に呪力が廻る。壊してしまわないように、浮舟は正確な呪力操作で松葉杖の隅々まで呪力を廻す。

 廻し終えれば、浮舟が持つ松葉杖は一本の立派な呪具と成っていた。

 

「かかってこいよカス呪霊共。オレは一級呪霊だって倒してんだからな?」

 

 飛びかかってきた三級呪霊を、松葉杖で軽く叩いて祓う。背後から忍び寄っていた二級呪霊を、振り向きざまに横真っ二つに()って祓う。

 右足だけで器用に立ち、器用に立ち回る浮舟を囲むように、狭い廊下に呪霊が殺到する。浮舟を食わんと、それでなくともせめて傷くらいはつけてやろうと各々鋭い爪や歯を立てて浮舟へと伸ばす。

 

「よいしょ」

 

 しかし届かず。

 歯が立たず。

 辺りにひしめいていた呪霊は一体一体確実に祓われ、気が付けばもう浮舟の周囲には祓われた呪霊の残穢しか残ってはいなかった。

 頭の中で幻聴が笑う。笑うんじゃねぇと叱るが当然、聞いてはくれなかった。

 

「…………」

 

 浮舟が口を(つぐ)む。その理由は知り得ず、しかし浮舟が視線を向けた方向に答えはあった。

 

「……あ? なんで五条がここに」

 

 振り回していた松葉杖の先が地面に付く。コツンと鳴ったその音が床に反射し、壁に反射し、新たなる呪霊を(おび)き寄せる餌となった。

 

「……クソ、いつもより幻聴が五月蝿(うるせ)ぇ。なんなんだよ全く」

 

 突然現れた五条の呪力は、上の階から。よく視れば感じる呪力は一つではない。

 

「えー、一つは五条の呪力だろ? もう一つは……ケイちゃんの呪力か? 玉犬(ワンちゃん)みたいな雰囲気感じるし」

 

 親指を折って数える。人差し指を折って数える。そして三本目。中指を折ったところで、浮舟の左腕が──深緑色の金属で出来た義手が震えた。

 

「……なんだよこの呪力」

 

 只者ではない気配(呪力)を受けてか、左腕が震えて止まらない。この学校という場所では極めて異質な色濃い呪力に驚愕し、浮舟は目を限界まで見開いていた。

 

「……それに、なんだこの()()()()みたいなのは」

 

 懐旧(かいきゅう)寂寥(せきりょう)郷愁(きょうしゅう)追憶(ついおく)、浮舟の脳内にそれらの熟語が連なるが、的確なものは何一つ無い。それでも分かる。この呪力は浮舟にとって決して未知のものではないのだと。

 見上げた方角、分厚い天井を何枚も抜けた先に、その正体が待っている。浮舟は知らず知らずのうちに松葉杖を突いて歩き出していた。

 思考が廻る。

 アルコールが廻る。

 呪力が廻る。

 浮舟の体内で生成された呪力は、浮舟の逸るような現在の感情と同期してみるみる内に膨れ上がる。

 

「おなかぁぁぁああぁいたいですううぅ」

「邪魔だッ!」

 

 浮舟の呪力に(ひる)んだ呪霊を松葉杖で祓う。

 階段を登る。

 2階。校舎内にいる呪霊が全員()()呪力に向かって引き寄せられているかのように、()()呪力に近付くごとに呪霊の数が増えていた。

 

「……ったく、オレは急いでんだよクソ共が! 邪魔すんじゃねぇッ!」

 

 右足で跳ぶ。空中で複数体の呪霊を祓い、着地した直後にまた右足で跳ぶ。行く手を阻む呪霊を軒並み祓い飛ばしながら階段を片足で駆け上がる。

 

「クソ……! なんでこんなに懐かしいんだよ……!」

 

 こんな状況でなければ涙でも滲んでいたかもしれないほどの胸のザワつき。

 兎に角、五条と合流しなければ。このザワつきはそのあとだ。

 懐かしさをかき消すように右足一本での跳躍を続けて呪力へと近付く。

 ()がる。

 (のぼ)る。

 目の前には分厚い鉄のドア。隙間からは風の音。ドアの向こうは外なのだと浮舟は理解した。

 浮舟は松葉杖を一度置き、取っ手(ノブ)を握る。

 切れる呼吸も、有酸素運動によって倒れる直前にまで悪化している体調も、その一切を(かえり)みずに浮舟は取っ手(ノブ)を捻った。重たいドアを押し開け、()()呪力を警戒するように取っ手(ノブ)を離して松葉杖を握る。それからドアの向こうへと躍り出た。

 

「おい五条! こんなところで何やってんだおま……え?」

 

 こんな場所にいるはずがない、五条という存在。何故いるのか、理由を問い詰めてやろう。浮舟はそんなことを考えていた。そんなことを考え、その通りに言葉を発していた。しかし言葉は途中で途切れた。

 ドアを(くぐ)ったことにより開けた視界。月明かりが満遍なく照らす屋上は、夜だというのに昼間のように視界が効いた。

 屋上には三人の人影が見えた。

 一人は五条。アイマスクをしていても分かるくらい、こちらを見るその表情は焦っている。

 もう一人はケイちゃん(伏黒)。こちらに向かって走っていた身体を止め、傍らに立つ玉犬二匹と共に唖然とした表情で浮舟を見詰めている。

 最後の一人、桃色の髪をした上半身裸の男──両面宿儺が浮舟を見て心底楽しそうに笑った。

 口を開く。

 

「久しいな、(いずる)

「……嘘、なんでオレの幻聴が」

 

 浮舟は信じられないものを見るかのように両面宿儺を見ていた。

 それもそのはず、浮舟が感じていた不思議な呪力の主──両面宿儺の口から出た言葉は、この数年間浮舟を苦しめていた()()と全く同じ声色だったからだ。

 混乱。

 わけが分からない。

 理解が及ばない。

 浮舟はその場から一歩も動けず、両面宿儺の続く言葉を聞き入ってしまっていた。

 

「……と言っても、つい先程まで話していたがな。まあ細かいことをとやかく言うつもりはない。そうだよな、出」

「……」

「おい出、この俺が名を呼んでいるのだ。応えるくらいしたらどうだ」

 

 問いかけに答えず呆気に取られている浮舟を見て、両面宿儺の顔が不快そうに歪む。その瞳で睨まれて、浮舟はようやく口を開くに至った。

 

「……お、()()()()()()()()()()()()

「だろうな」

「でも何故知っているのかが分からない。アンタみたいなの、知っているなら忘れる筈がない」

「? あぁ、そうか。失念していた」

 

 両面宿儺は中指で額を押さえ、やれやれと首を振った。それから再び浮舟を見やる。その表情は、この場にいる誰よりも穏やかなものだった。

 

「出、こっちに来い。理由(ワケ)を知りたいのだろう?」

 

 両面宿儺が笑顔で(いざな)う。誰もが罠だと分かるその言葉を、しかし当事者である浮舟一人だけは見抜けず──いや、罠だと考える余裕もないくらい目の前の男に脳内が支配されていて。

 突如として湧いた疑問と、その答え合わせ。自分はひょっとしてとんでもない運命に巻き込まれているのではないかという不安がこれ以上行くなと袖を引く。

 しかし浮舟は止まれない。フラフラと、カツカツと。松葉杖を突きながらゆっくりと、まるで見えないなにかに導かれるように男へと近寄る。彼我(ひが)との距離はそう離れてはいない。

 

「よせいずる! 行くな!」

「浮舟さん! ソイツから離れてください!」

 

 必死に止める二人の声に、浮舟は少しばかり正気に戻る。自分は一体何をしていたのだと無意識の行動に驚く。

 声のした二人の方へと顔を向ければ、五条が〝蒼〟を使って浮舟を引き寄せようとしている最中であった。すぐさま浮舟の身体が浮き、強い力で五条の方へと引き寄せられる。

 ──しかし。

 

「ケヒッ」

 

 浮舟が重量に逆らい、引力に従って五条の元へと宙を滑っているその途中、両面宿儺が浮舟の金属製の左腕を掴んだ。

 刹那の時間、両面宿儺と目が合う。五条は察した。

 ──コイツ、いずるを人質に取るつもりか。

 指一本分の両面宿儺の力がどれほどの物かは正確には計り知れない。

 しかし人智の埒外にある五条と両面宿儺の力によって、異なる方向に引っ張られた浮舟の身体がどうなってしまうのかはすぐに分かる。五条は悔しそうに顔を顰め、諦めたように力を緩めた。

 

「⬛︎⬛︎」

 

 浮舟と両面宿儺が最接近した瞬間、両面宿儺が浮舟の耳元で何かを唱えた。両面宿儺以外の三人がその言葉の意味を考えている間に、異音。

 発生源は浮舟の左腕から。

 

「──う、腕がッ……!?」

 

 バキバキと、鱗が剥がれるように。両面宿儺に掴まれた浮舟の金属製の義手から、深緑色の金属がポロポロと剥がれ落ちていく。一枚一枚しっかりと細かく剥がれ、段々と()()()()が月明かりに触れる。()()()()に、五条も伏黒も、そしてこの腕と決して短くない期間を共にしていた浮舟自身も、酷く驚いた。

 ──高専管理下にあった、誰にも使えやしない金属製の義手。呪具庫内にて半ばガラクタと化していた、なんてことはないただの準一級呪具。

 ──浮舟が呪具庫を訪れたあの日、突然宙に浮いて浮舟の腕に接合したかと思えば、それ以来なんの異変も不自由も無かった、ただ硬いだけの金属製の左腕。

 ──それに中身があったなんて。

 ──その中身がまさか、()()()()だったなんて。

 生気の感じられない青白い肌と、肉付きの悪い枯れ木のような細さの腕。両面宿儺が握った浮舟の腕の形そのままに、その腕の全貌が露わになった。()()()()は浮舟の肘から先と綺麗に接合されていて、縫い目などの跡は見当たらない。

 

「嗚呼、千年振りだな」

 

 両面宿儺は、恍惚の表情で確かにそう呟いた。

 それから間も無く、浮舟からその腕を引きちぎった。

 

「がああああああッ!」

 

 肘から先を──丁度義手になっていた部分を持っていかれ、悶絶する浮舟。両者が離れたことを確認し、五条が〝蒼〟で引き寄せて抱き止める。伏黒は何も出来ずに、引きちぎられた腕の行方を見守っていた。

 夜。

 宮城県仙台市杉沢第三高校。

 その屋上。

 血を流し苦しむ浮舟と、狼狽した様子で浮舟を診る五条。

 浮舟から引きちぎった腕を大事そうに抱き締める両面宿儺と、それを呆然とした様子で見つめる伏黒。

 混沌とした場は、更なる混沌によって静けさを取り戻す。

 

「──ッ、五条先生、あの腕!」

 

 引きちぎられた腕を見ていた伏黒が何かに気付き、その声を受けた五条が注視。そしてその意図を、(わけ)を汲み取った。

 両面宿儺が浮舟から引きちぎった左腕。生気も無く、死人の如く細い左腕。しかしその小指部分。親指から薬指までの指と比べてバランスが取れていない、長い小指。

 その小指は呪力を纏っていた。

 

「あ、有り得ない……! だって、()()()はずっといずるにくっ付いてたんだぞ。なら僕が気付かない筈がない!」

 

()()()()()()()()()()は決して()の腕のものではなく。一人全てを知る両面宿儺自身も、その小指がなんなのかは語らない。

 しかし分かる。

 理解が出来る。

 何故ならばその小指から放たれている呪力は──両面宿儺から放たれる呪力と同一のものであったからだ。

 

「……む、時間か」

 

 三人の混乱を他所に、両面宿儺が空を見上げてマイペースに呟く。

 

「宿儺。お前、何を知っている。お前は──お前といずるはどういう関係なんだ」

 

 左腕を失い、断面から血を流し続ける浮舟。そんな浮舟を片腕で抱き締めながら、もう片方の腕で──指で構えを取る。

 〝赫〟。

 千年に一人の逸材である、両面宿儺の受肉体。つまりは、それだけ希少な虎杖悠仁の身体。その身体をここで吹き飛ばしてしまうことも辞さないほどの殺意を、五条は両面宿儺に向けていた。

 いつでも撃てる。

 五条がアイマスク越しに両面宿儺を睨む。

 

「そんな顔をするな呪術師。俺がその問いに答えてやる義理はない。ただ──」

 

 言葉を区切り、嗤う両面宿儺。全員の視線を集めた(のち)、再び口を開いた。

 

「──全てが終わった時、出は俺のものだ」

 

 両面宿儺の宣言に歯噛みする五条。〝赫〟は放てない。

 呪いの籠った捨て台詞と共に、両面宿儺は浮舟の左腕だったソレを丸呑みした。

 言葉を捨て置いた本人の身体からは、みるみる内に紋様が消えていっていた。

 

 

 

 

 

 





今回、様々なことが明らかになりました。それらについては今後本編にて語られると思うので今はそこまでお気になさらず。
しかし、一つだけどうしても理解しておいていただきたいのは、今回明かされた出来事は決して今回からの後付けでも思いつきでもないよ!ということです。
いつも感想やここすきなどありがとうございます。めっちゃ励みになります。Xでの読了報告もありがとうございます。めっちゃにやつきます。
これからもよろしくお願いします。
ではまた。


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