鉄血のクドリャフカ~100日後に死ぬ衛兵~   作:河灯 泉

5 / 7
アッシュアームズコラボでのスキン買おうか迷ってしまうくらいには飢えてます。マルフーシャもっと流行れどんどん流行れ。


5話――1日目

「おかえりなさい何日も連絡つかないしどこに転属になったのかも機密扱いで教えてもらえないし姉さんがいつ戻ってくるか毎日毎日不安で心配でなんだか怖くってでも監査官として仕事はちゃんとしなきゃって頑張って一生懸命早起き残業してようやく会えて全部杞憂なんだってわかって良かったわ!!」

 

 視界が真っ暗になったのは俺の頭を誰かが思いっきり抱き締めているせいで、(クドリャフカ)を姉さんと呼ぶ同室の誰かってそりゃあ一人しかいないよねって。

 監査官ライカ。ゲームでは何故か弾幕が2つに分散する天性のショットガンナー。抱き締められる寸前に見えたブロンドヘアーから推測すれば彼女しかいないだろう。ちなみに俺は若干白みがかかったプラチナヘアーだ。顔つきや体格もあんまり似てないので本当に血の繋がった姉妹なのか確信が持てない。そもそも繋がっていようといなかろうとどっちでもいいし。

 

「……姉さん?」

 

 気が済むまで好きにさせておこうかと思っていたが想定より遥かに早く違和感に気付いたらしい。気まずさから電熱線の尻尾が揺れ、チャリっと小さな音を立てる。

 義体化するにあたって骨格や背丈は運動能力に支障が出るから大きくは弄っていないそうだが、それでも以前と比べてあちこち変化はあるだろう。常時稼働する尻尾は当然、中身とか両方の意味で(物理的にも精神的にも)別物だし。

 ライカがゆっくりとその身を離す。

 目に涙を浮かべ、口をきつく結んだ彼女は何を考えているのだろう。

 その疑念を形にさせない為、先手を打つ。

 

「お風呂を借りに来ました」

「借りにってそんな自分の部屋なのに……」

「いえこの子――ビオンに」

「すいませんすいません感動の再会をお邪魔してすいません!」

「………………え、誰!?」

「ゴミ捨て場で拾ってきましたビオンです」

「なんかものすごく臭いのだけれど」

 

 もしかして涙が滲んでいるのは臭いがきついから? いやまだそこまできつくは……ない、はず……たぶん。そんな属性はなかった……はずだ。

 

「というわけでビオン、臭いが落ちるまでしっかり洗ってきてください」

「はいっ!」

 

 部屋主であるライカには悪いがあのまま放置して再び出会った時には機械兵から声が、なんて展開になったら死んでも死にきれないので許してほしい。俺かマルフーシャが関わらなければおそらく最も早く脱落する仲間なので。

 困惑しているライカの横を通過させるようにビオンを送り出す。

 そして、避けようがない現実と向き合う。

 

「話をしましょう」

「……わかったわ」

 

 

 

 ライカには自分が記憶喪失であることと人間を半分くらいやめたことを正直に話した。

 姉妹相手に隠し通す能力も必要性もないのだからさもあらん。

 

 このことを知ると泣き崩れてもおかしくないと心配と不安が脳内を占領していたのだが意外にも彼女は気丈だった。涙は滲み、歯を食いしばっているようにも見える表情で震えてはいるが、こちらに向けた視線は逸らさず瞳の中の意志も折れてはいない。

 

「記憶喪失は一過性のもの、っていう可能性もあるのよね?」

「どちらも確定ではありませんから。可能性は0ではありませんね」

 

 人間の脳は複雑で記憶なんてふわっとしたものなので確実なことは誰にもわからない。戻るかもしれないし、戻らないかもしれない。

 もし記憶が戻ったら今の俺はどうなるのだろう。消えて元々のクドリャフカが帰ってくるのか、それとも融合するのか、共存するのか……それこそ神のみぞ知るってとこか。

 

「…………例え何も覚えていないのだとしても、姉さんが帰ってきてくれて良かったと思ってるわ。戦場から帰ってこない人の噂も最近よく聞くようになって……そうなるよりはまだずっと希望が持てるんだもの。それにどんな姿になっても貴女は私の姉さんであることに変わりはないの……例えすべてを忘れてしまっても私がそのことを覚えているから」

「……ありがとうございます」

 

 そして、ごめんなさい。

 謝られても困るだけだろうから口には出さないが。胸の内で謝罪の言葉を浮かべよう。

 君の姉を奪ってしまったのだと、罪を自覚するだけに留めよう。

 贖罪と言えるのかは怪しいが、その代わりにできることならすでに見つけている。なんて明快な答え。俺がすべきことなんて初めから決まってたわけですね。こんな身体だからこその役割が。

 

 決意を一つ新たにしたところでドクターからの呼び出し電報が頭の中で鳴り響く。ベルでもなくアラートでもなく、個人に向けたモノで周囲に音を伝える必要性もないからただの信号が脳内に伝わるだけなのだが……なんだか不思議な感覚だ。勝手に埋め込まれた義体特有にして非人間的な機能だからだろうか。

 

「召集を受けたので私はもう行きます。……手間を掛けさせるのは心苦しいのですがビオンのことを頼めますか?」

 

 召集、と聞いたライカは表情を曇らせたが、すぐに淡い笑みを浮かべて頷いた。

 

「ん、任せてちょうだい。……またすぐに会えるわよね?」

「確約はできませんがまだ全然話をしていませんからね。そのつもりでまた来ます(・・・)よ」

「約束、絶対帰ってきて(・・・・・)。いってらっしゃい、姉さん」

「……はい。いってきます、ライカ」

 

 小さく手を振るライカに見送られて部屋を出る。

 ビオンのこと丸投げしちゃったけど俺だと人事権もないし命令系統も違うはずだし正直拾ったところで何ができるわけでもないから監査官であるライカに任せるのがベターなはず……二人とも良い子だから大丈夫だよな? 無責任と罵られたらそれはまったくもってその通りなので頭を下げるしかない。

 早いうちにベストなバディを組めるようにビオンと相性の良い(らしい)ストレルカを探さなくちゃな。原作の固有イベントはいいぞ。みんなかわいくていいぞ。必見だ。

 

 

 

 ……あ、マルフーシャにもう会ったのかそれとなく聞くの忘れてた!!

 




これより古戦場とシラクザーノを開始する!(コラボ開始までにはせめて1話分くらい書けるよう頑張りたいと思っております)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。