side こころ
昨日はやらかしたなぁ…事情を察して来てくれたリズのおかげで傷も塞がったし血も戻ったけど、何が酷いって治し方‼︎
その場ですぐに治してくれればよかったのに、沈痛な面持ちでオレのことを魔法で浮かべて連れて帰ったせいでめちゃくちゃ誤解されたからな⁉︎しかもそんな顔してた理由が『自爆を予測できてなかったから良いアングルで撮れなかった事』なのがな‼︎
いや気持ちはめちゃくちゃ分かるけどタイミングってものがあるだろ‼︎
「ごめんよこころ…!僕はカメラマン失格だ…‼︎」
「そこまで引きずらなくても…いくらでも撮ろうと思えばこの先撮れるだろうし…」
まぁこいつがここまで引きずってるって事はそれくらいショックな事だったんだろうな。
「罰としてこの先ちょっとだけ戦いに参加しながらカメラマンをするのはどう?こう見えても僕、強いよ?信じられないなら組み手でもするかい?」
「やめとく!なんとなくだけど逆転込みでもお前には勝てない気がするし。良い感じに引き際を見極められて負けそうだし、逆転無しなら無しで普通に負けそうだし。」
「そこまで言うならやめておこうか…」
直感的にだが、リズは相当強いと思う。『
それを実現しているカメラはリズ特製のカメラだ。じゃなきゃあの速度の攻防をブレなく撮るとか絶対無理。その上、さっきのだって『撮れなかった』じゃなくて『良いアングルで撮れなかった』だからな。大方爆発を撮るか人物を撮るかで悩んだ結果決めきれず…とかだったんだろう。あれ…?リズって思ったよりバカ強い?
まぁそんなリズが出張って来たらまぁピンチなんて無くなるからどっちにせよ却下で。ライも強いのかと聞いてみれば、強くないらしい。あくまでもリズがおかしいようだ。
そういえば、なぎのの妖精って知らないな?リズみたいに何か仕事をしているわけでも無いし…何かあったのだろうか?
「なぁリズ、なぎのの妖精って知らないか?」
「知らないなぁ…ただ、妖精によってはとある方法で魔法少女に力を貸すものも居るからそのせいかもね。」
「どういう方法だ?」
とある方法…謎パワーを貸したり戦闘を遠くからサポートしたりとかか?
「分かりやすく言えば『
「融合って解除は出来るのか?」
「出来るよ?ただそもそも融合っていうのは妖精的にはあんまり好きじゃない技でね、自分の意識が溶けて消える嫌なイメージがあるみたいだよ?僕は未経験だけどね。だから簡単に解除出来るとしてもやりたがらない妖精も多いんだ。」
溶けて消える感覚か…オレもリズも一度死んだことがあるから似たようなのを知ってるけど、確かにあれは2度と体験したくはない感覚だな。自分が自分である感覚が無くなって、自分と他との境界線が曖昧になる感じ。
まぁそれはそれとしてこれ以上強くなる方法があることも知れたのはデカいか。
「なるほど…強化フォームみたいな感じかぁ…だからか?なぎのの必殺技が『グリッドスペード・エルスラッシュ』で、『エル』っていう明らかに別格そうな名前が付いてたのは…」
「かもね。それなら斬撃がやけに強いことの証明にもなる。ちなみに融合する事で衣装に白い差し色が付くらしいけど…なぎのは紫だったから、白が普通に入っててもそういうデザインだと思ってたけど違ったんだね?」
それにしても…強化フォームか。なぎののあれが強化フォームなら、固有魔法の元はおそらく単発の斬撃とかだったんだろうか?
すみかはあれ以上硬くはならないし…どうなるんだ?鎧が強くなったらどうなるんだろうか?見えない鎧の強化先…でっかくなるとか?全然想像がつかないな。
オレの逆転に至っては何がどうなったら強化なのかが分からない。あるとしたらなんだろうか?戦況をひっくり返すのが逆転なら、その強化と言えば…戦況以外もひっくり返すとか?まぁ多分強くはなるだろ。
side すみか
昨日は本当に心配した。後で変身解除について教えてもらえたから良かったものの、知らないままだったら間違いなくこころが死んでしまったと思い込んでいただろう。
「こころー?遊びに来たわよ?」
「すみかか!今行く!」
昨日あった傷が嘘のように消えている。リズの治癒能力がずば抜けているという事なのだろう。今日はこの前なぎのと出かけた時に買っていたお土産のスイーツを持って来ていたが、この調子なら直接店に行く事も出来るかもしれない。1日くらいはダウンしているかと思ったが、杞憂だったようだ。
「これ、この前の時のお土産ね。」
「前言ってたやつか!ありがとう‼︎」
「もし良ければこの後この店に行ってみない?」
「行く‼︎ちょっと支度してくる!」
目をキラキラと輝かせて支度を始めた彼女を見て、思わず笑みが溢れる。元気一杯に動き回ってこそのこころだ。昨日のような目には出来ればもうあって欲しくない。けれど、彼女はきっと戦いをやめないのだろう。なら、私が今以上に強くなれば良い。
「じゃあ行きましょう?」
「おお!案内よろしくな!」
こんな時まで戦いを考えていたのがいけなかったのか。
「おらはクマ怪人のマク!お前を倒してはちみつを貰いにきた‼︎」
「こういう時ってよく怪人に会うよな?
なんでだろうな…本当!さっさと倒してスイーツ店に行くぞ!すみか‼︎」
「そうね…」
当然のように怪人は現れた。犬も歩けば棒に当たるとはいうが、私たちも歩いたら怪人にあたるのだろうか?流石にそれは困る。私たちだって普通に生活しているのだ。
ともかく、今は目の前の敵に集中しなければいけない。まずはこころが牽制として光弾を放つ。怪人はその爪で簡単に弾いてしまう。中々強そうだ。遠距離からでは埒が空かないと思ったのか、こころが接近して攻撃を繰り出そうとして。昨日の倒れたこころの姿が今のこころに重なった。
「ダメ‼︎」
「すみか⁉︎一体何が…うわぁ‼︎」
しまった。つい声に出してしまった。急に叫んだ事で一瞬攻撃を止めてこちらに振り向くこころ。
隙を見た怪人はその大きな両腕でこころを挟み込んで拘束してしまう。
「へっへっへ!仲間の声に気を取られるなんてな!」
「ぐっ…!どうしたんだすみか!何かあったのか⁉︎」
「いえ、何も…!ただ…昨日のこころと重ねてしまって…怖くなって…‼︎」
傷ついてほしくないという気持ちがこころを傷つける原因になるとは、とんでもない皮肉だ。
「オレの事を心配してくれたのか…なら大丈夫!こんなピンチだって切り抜けて見せる!それでこそ、だろ?」
「うん…!分かった!」
「おいおい!おらの腕から逃げられると思うな!ただ挟んだだけで済むと思うか?こうしてやる!」
「っぐぅうう⁉︎圧力が…!」
あの体勢は…ベアハッグ!熊の名を冠した技!熊のパワーに加え、あの体格差で締め上げられれば、あっという間に骨を砕かれてしまうかもしれない‼︎
止めに入ろうと光弾を放つも、命中しても意に介さない。どうしたら…‼︎
side こころ
熊にベアハッグされる日が来るとは思っていなかった。ダジャレじゃあるまいし…とか思っていたが、実際これを熊怪人のパワーでやられるとやばい。背骨や肋骨のあたりがミシミシと音を立てている。その間殆ど息は出来ず、痛みと苦しみが良い感じに来ている。
抜け出そうにも抜け出せるほど拘束は甘くないし、すみかが光弾を当ててくれてはいるものの効きが悪い。もしなぎのがいたらかなり有利に立ち回れたであろう相手だが、今は二人しかいない以上なんとかするしかない。対策を考えていると、骨が軋む音がどんどん大きくなっていく。
あれ?これ結構やばくないか?敗北は無いにせよ、ここで大怪我を負ったらすみかの心配度がやばいことになる。なんとかして抜け出そうともがくも、全く拘束が緩む気配がない。それどころかもっとキツく絞められ始めた。
「そろそろだぞ!魔法少女!」
「ぅあああああ!!!!!」
一瞬の静寂の後、ボキボキという音と共に数本の骨が砕けた。幸い動けないほどではなかったが、専門家でもないすみかがこの光景を見ていたらどう思うだろうか?背骨や腰の骨が砕け散ったとか勘違いされてもおかしくない。しかも嫌なことに、長い間締め付けられていたせいで血が止まってしまい、足の感覚が無くなっている。これじゃ足を動かそうにも動かせないので、なおさら背骨が折れたと勘違いされそうだ。やばい。
「こころ!嘘…まさか背骨が…?」
だから違うって‼︎確かに絵面だけでみればそうかもしれないけど!違うから‼︎見ろよこの熊怪人の顔を!折ってないのに折れたとか言われても困惑して…
「背骨が折れて足が使い物にならなくなるとはな!どういう気分だ?自分が原因で捕まった仲間が大怪我を負った感想は?」
いやこいつも勘違いしてるのかよ‼︎お前技掛けた側だろ⁉︎なんで把握してないんだよ!「やったか?」じゃないんだぞ?直に触ってるんだから自分の攻撃がどれくらい相手に効いたかくらい把握しておけよ!
いっそオレが間違えているんだろうか?ここまで来ると自分が信用できなくなってくる。
「こころ!足の感覚はある?繋がってるって分かる?」
「それが…さっきから足の感覚が無くて…」
「そんな…やっぱり背骨が‼︎」
しまったぁ‼︎そうじゃないから!骨が折れる前から感覚なかったから‼︎変に勘違いされる言い方をしてしまった…!
「そんな会話をしていて良いのかぁ?ふんっ!」
こんなやりとりをしているうちに、熊怪人はオレを顔だけが出るように自分の尻の下に敷いてしまった。
なぁこれ骨折れてようが折れてなかろうが動けなくないか?こんな事してくれたせいでいよいよ足の痺れが取れても言い訳が通じなくなるんだが?
「かはぁ…っ…!ぅ…ぁ…‼︎」
しかも重い!全然体が動かん!実質完封されたのはムカつくけど、それ以上に引き起こした勘違いの方が面倒だ!見てみろよすみかの顔‼︎それまで辛そうな顔してたのに一周回ってブチギレて般若みたいになってるから‼︎
「よくも…!よくもこころを‼︎許さない‼︎」
「許さないならどうするんだ?一人で何が出来る?」
「舐めないでもらって良い?私一人でも、こころを抑えていてその場から動けない怪人1匹なら倒せるわ‼︎」
おぉ怖…!絶対やばいこと考えてるって!って速っ!?すみかってあんな速かったか⁉︎それより…はぁ!?怪人の口の中に腕ごとステッキを突っ込んだ⁉︎
「いくらあんたの皮膚が硬くても!内部からの攻撃なら通るでしょ⁉︎私の
「オォ…‼︎」
「今!爆発に巻き込まれないうちに行くわよ‼︎」
「ぁ…ああ‼︎」
あまりの恐怖に腰が抜けて、せっかく痺れも取れたのに立てなかった。あんな恐ろしいすみかは初めて見た。怖い。怒ってる時でもあんな顔は見せなかった事を考えると、相当加減されてたんだな…オレ…
「流石に骨があんなに折れて踏みつけられれば怖かったよね…こころ…!ごめんね…最初から私がこうしてれば…‼︎」
「大丈夫だぜ?そんなに怖くなんか…なかったし。」
怖いのはすみかなんだよなぁ…骨折じゃなくて。しかも思わず声が震えちゃったせいで、さらに勘違いが加速してる。多分今のオレが何言っても勘違いに繋がりそうだ。今日は大人しくすみかにしがみついている事にしよう。
せっかくスイーツ店に行くって聞いて楽しみに待ってただろうにお土産もなしに治療だけをさせられるリズが不憫だが、まぁピンチを撮影出来たしそれでチャラって事にならないかなぁ?そんな事を考えながら、すみかにお姫様抱っこをされたまま家に帰ったのだった。
もっと苦しむ描写があった方が良いような気もしましたが、今日は勘違いにリソースを割きました。
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