なんとか早めに投げたいものです。
side こころ
「今日は雨か…」
「雨だねぇ…これじゃお出かけも延期かな?」
今日は健康を考えて、行きだけではあるが徒歩で散歩する事にしていたのだが、天気は予報を裏切った雨。普段なら雨というだけで辞めてしまうが…
「傘さして行かないか?」
「行くのかい?こころって雨嫌いだろう?」
確かにオレは雨が嫌いだ。特にどしゃ降りの雨は。よく『雨が悲しみを洗い流してくれる』とか言うけど、オレはそうは思わない。むしろ悲しみを作ってる原因だろう、雨は。こいつのせいで楽しみにしていた学校のイベントを幾度となく潰された。
思い出すのは、ぐちゃぐちゃで水浸しになったグラウンド。あれだけ入念に準備していたのに、前からずっと楽しみにしていたのに。たった一回の大雨で運動会が潰された。それだけじゃない。学級別の対抗レクも、授業中のスポーツも。
とにかく、オレは雨が嫌いなのだ。たった一晩。いや、たった1時間でイベントを潰していく理不尽そのもの。だから今回も雨のせいで散歩を潰されたくはないのだ。例え大嫌いな雨の中を、傘をさして散歩することになっても。
「嫌いだからこそ雨如きで散歩を中止したくない‼︎」
「まぁ気持ちは分からないでもないよ。雨での中止は中々堪えるからね。じゃあ行こうか?」
「おう!」
傘をさして歩く。オレは持ってるけど、リズは持っていない。別にリズは雨に濡れても良いらしいが、雨に濡れるのを見るのは好きじゃないので、傘の中に居てもらってる。サイズ感はおかしいが、これもある意味『相合傘』なのかもしれない。まぁ風情が無いが。そもそも位置的にはオレの頭の上らへんだから相合傘というには変だが…
「雨、強くなって来たねぇ?この傘で防ぎ切れるかな…?」
「そうだな…100均の傘じゃダメか…?」
次第に降り方が強くなっていく雨。頼りない傘は今にも折れそうで…折れない。全くびくともしないわけじゃないが、折れずに雨を防ぎ続けている。
「意外と折れないねぇ?この傘…」
「まるでオレみたいだな。折れそうで折れない。周りから見たらこんな感じなんだろうかなぁ?そりゃ心配にもなるよなぁ…」
「まぁそりゃあね?仮にこの傘が絶対壊れない能力を持ってたとしても、それを知らない僕らからしたらただの折れそうな傘なんだから。」
思っても見ない形でこの傘に親近感が湧いて来た所で、ふと大きな影が近づいて来ているのが見える。
「なぁ…リズ?」
「どうやらそのようだね?頑張って!こころ!」
怪人だ。高さはオレの身長の2倍はある。奥行きは…トラックよりも長い。バスほどの長さはあるだろう。ずりずりと地面を這いながら、身体中から粘液を出している。奴の通った道にはべっとりと粘液がついており、この雨でも中々流れそうにない。大小それぞれ2対の触覚に、わずかに凹んで見える部分は口だろうか?カギムシ怪人のカギムーのように乾いていない、粘液に塗れたベタベタとした体。
そう、ナメクジだ。結構嫌われがちなやつ。誤って食べれば寄生虫で死ぬとかなんとか。まぁこのサイズだと食べることもないけどな。
「わたしはナメクジ怪人のメナと申します。えーと、
短い時間ですが何卒よろしくお願いします、はい。」
「オレはプリズムハート!早速で悪いが退治させてもらうぜ!」
「出来るものならやってみろでございます、はい。」
「礼儀正しいのか悪いのか分かんない奴だな⁉︎」
まずは牽制。見た感じあの肌に直に触れるのは避けた方が良さそうだ。光弾を発射し、様子を見る…のだが、今回は見積もりが甘かったようだ。
「うぁっ⁉︎粘液が…飛び散って…‼︎」
光弾を当てたは良いが、当たった部分から飛び散った粘液がオレの足元に付着した。量は少ないがどうやら強力な粘液のようで、瞬間接着剤のように地面にくっ付けられてしまった。
「く…!こっちに来るな‼︎これでも喰らえ!」
移動を封じられた今、出来ることはひたすら撃つだけだ。幸いダメージが無いわけではなくしっかり効いているので、倒せないということはなさそうだ。
「そんなに恐れなくてもすぐにどろどろにして食べてやるので焦らないでください、はい。」
「尚更焦るわ‼︎」
ダメージは与えられたようだが、とうとうこいつはオレの目の前まで来てしまった。べとっとした体を押し付けてきて、オレはなすすべなく押し倒されてしまう。胴体は既にこいつの下敷きにされて動かすこともできない。ステッキも粘液に取り込まれてどこかへ行ってしまった。
「うぇ…!べとべとぬるぬるが気持ち悪い…‼︎」
「粘液で動けない姿は随分と無様ですね、はい。」
ぐじゅぐじゅとオレの上を這い回るこいつは、見かけによらず意外と軽い。だがそれがかえってこいつの感触を感じされることになって気持ちが悪い。重ければそっちの痛みで誤魔化せるこのぬるぬるも、こいつが軽いせいでいやになるほどじっくりと味あわされてしまう。
「良いですねーその顔。もっとみせてください、はい。」
「…っ!この…やろ…‼︎」
最悪だ。嫌がるオレの顔を見て楽しんでやがる。その事実に対してより増していく不快感に思わず顔がこわばっていく。
「怒ったんですかー?何もできないから怒る事しか出来ないんでしょうけどねー?はい。」
時折必死で睨みつけてはいるが、そんなものはこいつにとって良いスパイスにしかならないのだろう。ある意味ではオレやリズと似ているような奴だ。
「そろそろ食べ頃ですかねー?ではいただきます、はい。」
「ぐっ…うぁ…⁉︎」
こいつがオレの首筋に顔を近づけると、鋭い痛みが走る。噛まれたんじゃ無い。こいつの歯で削られているんだ。幸いペースは遅く、ゆっくりじっくりと堪能しているようですぐにやられることは無いが、かえってそれが逆転を起こしにくくなっている。
「美味しいですね、はい。
せっかくなので…溶かして啜るのもアリかもですね、はい。」
「溶かす…⁉︎いっ…‼︎あああああ!!!!!」
こいつが口からオレに何かを吹きかけたと思ったら、焼けるような痛みが広がった。ほんのわずかだが、溶かされている。肌だけでは無く服も溶かされているのか、次第にボロボロになっていく。
「やはり啜るのもオツですね。悲鳴が良い味を出しています、はい。」
「…っあ‼︎やめ…‼︎」
「やめません。大人しく喰われてください、はい。」
「………」
「おや?もう悲鳴は終わりですか?諦めてしまったと?では面白く無いですね。強酸でさっさと終わりにしますか、はい。」
「…っ‼︎うああああ!!!!!」
「さてさて、一気に啜って…おや?」
割と簡単に引っかかってくれたようだ。オレが諦めたと思えば、こいつはつまらなくなってすぐに決着をつけるだろう。そうなれば…逆転は発動出来る‼︎
「残念だったなナメクジ怪人‼︎この距離なら…必殺技は外さないぜ⁉︎」
「はて?ステッキは取り上げておいたはず。なぜ…まさか!食事に気を取られていた隙に⁉︎」
こいつはさっきからオレの顔を見て楽しんだり食事に勤しんだりと、ステッキに意識を割かなくなっていた。後は動けるようになればこっちのもの。
「ご名答だナメクジ‼︎後は簡単だ!確かに強力な粘液だったが…酸のおかげで動けるようになったからな‼︎これで止めだ‼︎プリズムハート・スプラッシュ‼︎」
「残念です…せめて食事だけでも…‼︎」
思ったより強い敵だったが、倒し切れて良かった。爆散と同時に、空に光が差し込まれる。あれだけの土砂降りの雨が止んだのだ。
「お疲れ様、こころ。雨は止んだみたいだね?」
「おう!ただ今は降ってて欲しかったな…粘液を少しでも誤魔化せるかもしれなかったのに…」
「まぁまぁ、さっさとかえってシャワーでも浴びたらどうだい?」
「そうだな!さっさと帰るか‼︎」
あっという間に晴れ渡った空には、雲ひとつなく。先ほどまでの雨が嘘のようだった。
いつか、この雨にように怪人も綺麗さっぱりなくなるのだろうか?その時が来るまで、オレは皆んなの傘になろう。改めて、オレはそう思い直すのだった。
時間ギリギリに出そうとするせいで文字数が少なくなってしまうのはすみません…
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