TS転生ドM強制逆転オレっ子魔法少女の日々   作:メガネズミ

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なんだこの赤いの…!?
初投稿ながらここまで多くの人に見ていただき、評価して頂けて感無量です。


鎧の魔法少女、決意‼︎

 

 

私は青木 すみか。『魔法少女・ブライトダイヤ』としてあの恐ろしい怪人達と日夜戦い続けて…れば良かったんだけど、逃げてばかりでまともに戦えたことはない。

 

どれだけ勇気を振り絞っても、すぐに諦めて逃げたり降参してしまう。そんな私の固有魔法は

 

(アルマ) 」。

 

見えない鎧を纏う能力で、どんな攻撃も通さないらしいんだけど…生憎とその魔法がまともに発動したことはない。いつも直前で怯えてしまい、とても戦うことも出来なかった。あの時もそう。

 

私の親友、桃井こころ こと魔法少女・プリズムハート。初めての実戦で私が逃げ出しちゃったせいで、彼女は一人で戦う事になってしまった。

いつものように逆転して勝利を収めた彼女は、隠れてうずくまっていた私に手を伸ばすとこう言った。

 

「すみかは初めてだったし仕方ないよな!

最初は誰だって失敗して当たり前。次から少しづつ戦えるようになれば良いだろ?

 

…嫌な気分のまま引きずってもどうしよもうないぞ?パフェでも食べにいこうぜ?ちょうど今キャンペーン中で〜」

 

逃げた私を非難することなく、優しく語りかけて。励ましてくれた。

 

けれど、あの日のことは今でもはっきり覚えてる。

 

私が逃げたあの瞬間、私を見つめる瞳が…確かに私を責めていた。分かっている。当然の事だと。そう思われても仕方のない事を私はしてしまっている。だけど…私は…‼︎

 

…とまぁ、こんな事があって以来。親友だった彼女に対して私は顔向けできずにそっぽを向いてしまっている。

こうしていればいつかは彼女の方から諦めてくれると信じて_

 

「なぁすみか!新しいお菓子店がオープンしたんだって!一緒に行かないか!?」

 

「ひゃっ!?」

 

「どうした?そんな声あげて…具合でも悪いのか?」

 

油断してた。思考の海に溺れていて彼女の接近に気づかなかった。私の内心も知らないで、「でも顔色は悪くないしな…」と呟く彼女を見つめる。

 

あの時の目はしていない。それだけで少し安心する。未だに引きずって逃げる私を、彼女は諦めることなく追いかけて、こうして話しかけてくれている。

 

「今日はこの後予定があるからまた今度ね。」

 

嘘だ。予定なんて何もない。彼女と話し続けるのが怖いだけだ。確かに話している時は楽しい。けれど、いつかふとした時にあの目で見られるかもしれないと思うと。私はどうしても彼女とは一緒に居られないのだ。

 

「そうか?じゃあまた今度な!」

 

ほんの少し寂しそうな声を混ぜて答える彼女を振り切りたくて、授業が終わってすぐに私は家へと急いだ。

 

それがいけなかったのだろうか。いつもは通らないような、急いで帰る時だけの道を使った結果。

 

「テメェは…魔法少女だなァ?

俺様の名はトゲハーン‼︎早速だが…ブッ刺させてくれよォ‼︎」

 

会ってしまった。怪人・トゲハーン。

その姿は名前の通り、棘だらけ。この前テレビで見ていたカミキリンという怪人とは対照的に、細くしなやかな体はまるで人間のよう。体色はえんじ色で、棘は真っ黒。体のあちこちに細かい棘、腕の部分には大きく太い棘がある。あれに刺されたら体に風穴が開いてしまう。しなる触覚は例のカミキリンよりも太く、短い。先端が尖っていることを考えると、もしかしたら伸びるのかもしれない。特徴をまとめてみると、あの怪人はどうやらトゲハムシのようだ。

 

トゲハムシといえば学名が長いことで有名だ。棘があるからトゲハムシ。トゲのないトゲハムシだからトゲナシトゲハムシ。それに棘があるから…と長く続いた学名は、最終的に【トゲアリトゲナシトゲハムシ】となったとされる、あのトゲハムシだ。

 

「黙り込んでどうしたァ?

さっさと変身してくれねぇと…そのままブッ刺すぜェ!?」

 

この時の私は気が抜けていたのか、それとも逃げられないと分かっていてもしてしまう現実逃避だったのか。呑気にトゲハムシの事を考えていて…

 

「喰らえェ‼︎」

 

迫り来る太い棘に、なんの抵抗もできず…

 

「させるか‼︎」

 

間一発で庇ってくれた親友に、風穴を開けさせることになる。

 

「こころ!?なんでここに…っそれより‼︎

その傷…!私を…庇って!」

 

「大…丈夫だ…!

 これくらい…なんて事ない…!」

 

大丈夫なわけがない。いくら魔法少女と言えど、身体を貫通するほどのダメージはこたえるはずだ。額から滲み出る油汗がその痛みを物語っている。今すぐに膝を折って倒れてしまいたいに違いない。

 

けれど、彼女はきっと折れない。今までもそう。これからもきっとそう。どんなに辛い事があっても、目の前から逃げない。

 

…私も。今は無理かもしれないけど。いつか必ず、あなたみたいに折れない心を持てるようになって見せる。

 

とまぁ意気込んだのは良いものの、戦況が変わる事はない。お腹に風穴が開くほどの棘で刺された彼女は、少しフラつきながらもステッキを構えてトゲハーンを睨みつける。

 

「…けほっ!?」

 

吐血。微かだが彼女から吐き出された赤は、彼女にできた一瞬の隙を示しているようだった。

 

訪れた絶好のチャンスに、信じられない速度で近づいてくる棘は、必殺の一撃か。

あれを脳天に貰ってしまえば、いくら彼女でも耐えられない。

       

きっと…きっと死んでしまう(・・・・・・)

 

そう思った時、自分でも何をしているのか分からなかったけど。咄嗟に身体は動いていた。彼女の服を引っ張り、私の体を前に。彼女を助けられるなら…この命。

 

目をつむりやってくる痛みに怯えていると、声が掛かる。

 

「なぜ庇ったァ?順番が逆になるだけだったかもしれねェんだぜェ?どっちにせよ俺様はお前らを殺すつもりだった…‼︎何故だァ?何故弱者が強者を庇う?」

 

…意外だった。この棘の怪人にここまでの理性があるとは。何故庇ったって言われても。私にだって分からない。体が勝手に動いたと伝えれば、怪人は天を少し仰いで…思いもよらぬ発言をする。

 

 

「…やめだァ。今のお前を殺してもスッキリしねェ。

強者とは正々堂々全力で正面から。弱者は上から押し潰す。それが俺様の信念だァ!

 

方や弱者を庇って、半ば不意打ち気味にダメージを与えちまった強者。

方や心は強者のソレだが、戦いがそれに追いついていない半端者。

 

そんなヤツらとこれ以上戦ってもつまらねェだけだ。

俺様は帰る!また今度…テメェらが全力で戦えるようになった時に!今度こそ俺様が殺してやるからなァ‼︎」

 

あまりの急展開に、私も彼女もぽかんと口を開けていると。トゲハーンは高笑いをしながら飛び去っていった。私たちに困惑を残して。

 

「痛たた…!」

 

「っこころ!傷は‼︎早く治さないと…!

確か魔法少女って妖精に頼めば傷を治せるんでしょ?なら早く呼ばないと!」

 

魔法少女の力を開花させた妖精は、以後その魔法少女のサポートをするパートナーとなる。

その際に魔法少女の名前をもじった名前になるらしく、私の場合は『ライ』、こころのパートナーは『リズ』だそうだ。

 

しかし、彼女のパートナーを戦場で見かけた事はない。彼女曰く、リズにはリズにしか出来ない事をしてもらってるらしい。

 

かと言って私のライはと言うと、血や傷を見るのが怖くて来てくれない。普段は私が戦わないからそれで良いんだけど…

 

…ってそんなこと話してる場合じゃない!傷をどうにかしないと…

 

「大丈夫だって!心配すんな!ほら?もう傷口も塞がってるだろ?血も止まったよ。」

 

信じられない。そんな高速で治癒できる筈もない。

けれど実際に目の前で起こってるし…あぁもう!

今日は色々なことがありすぎて頭がパンクしそう‼︎

私もう帰る‼︎

 

困惑の声を上げた彼女を振り切って、私は今度こそ家に帰った。

 

 

なんだったんだ?いきなり大声を上げたと思ったら帰るって…まぁでも、ちょうどよかった。

 

「いるんだろ?出てこいよ!

隠れてたって分かるぜ?」

 

突如として目の前に広がる黒の軍団。

彼ら一体一体は脅威では無いが、束になられると厄介な奴ら。『ハタラキ・アリーズ』。

顔がまるでアリのようで、ウジャウジャと出てくるところがアリそっくりだ。

 

いわゆる雑魚戦闘員と言った所だ。いつものオレなら束になったところで一蹴できる奴らだが…今は分が悪い。腹に風穴が空くという大怪我を負っている上、後ろにすみかが居るから引くことも出来ない。

 

『逆転』に対して相性の悪い敵。それがこいつらだ。

逆転の能力上、全体に対して発動する訳ではなく一体一体に対して発動することになるので、一体と戦い、負けそうになって逆転するといういつもの戦い方が通用しない。最後の一体に逆転が発動するまでの間、オレは一方的に蹂躙される事になる。

 

…でもまぁ、オレにはこれしか無いからな!がむしゃらに突っ切るだけだ‼︎いくぜ‼︎

 

 

殴られる。

 

「ぐっ…!けほっ!…ぐぅ!」

 

蹴り飛ばされる。

 

「ごふっ…ぉ…えぇ!」

 

羽交い締め。

 

「卑怯な手段で勝とうなんて楽しいか?

 そんなんだからお前らは…ごぼっ!?」

 

幾度となく繰り出される、苛烈な攻撃。

抵抗する力を失い、ボロクズのように扱われる、魔法少女。

 

しかしながら、その内心は…恍惚のソレであった。

 

「(さいっこうだぁ〜‼︎

仲間を庇って傷を負った魔法少女が抵抗虚しく数の暴力に溺れて力を失っていく姿…‼︎たまんねぇ〜‼︎)」

 

最低である。こんな状況でも未だにそんな事を考えているあたり、筋金入りの馬鹿。死んでも治らないどころか死んだ事で更に拗らせてしまったのだ。

誰かこの悲しい化け物を止めてやってくれ…‼︎

 

そんな声が届いたのか、それとも逆転の理にアリーズが負けたのか。とうとうその時が訪れる。

 

「…もう…良いだろ…?お前ら…!

これで‼︎終わりだ‼︎『プリズムハート•スプラッシュ』!!!」

 

折角の決め台詞が実は内心のせいで台無しな事に気づく者は、この世界にたった1人を除いて、誰も居ないのであった。

 

 

 

 

 

「…さてと、後でリズに回復してもらわないとな…そうそう!

 

 

 

ちゃんと撮れてるか?(・・・・・・・・・・) リズ!(・・・)

 

「バッチリだとも!こころ!

 

君の…いや、        

『魔法少女・プリズムハート』の!

しっかりと撮影仕切ったよ‼︎」

 

「流石!後で見るのが楽しみだな〜!」

 

…訂正しよう。

1人と1匹を除いて、だ。




変態1人と1匹の日々は、一体どこまでいくんでしょうね?

感想・評価も待ってます‼︎

モチベup&番外編用?人気度アンケート  どの魔法少女が好き⁉︎

  • 桃井こころ/プリズムハート
  • 青木すみか/ブライトダイヤ
  • 藤原なぎの/グリッドスペード
  • 緑谷よつは/シャイニークローバー
  • 白銀あかり/レイスターレット
  • リズ/プリズムイクリール
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