side こころ
よつはが魔法少女になった事で一歩踏み出せたのは良かった事だ。だが正直一歩どころか十歩ぐらい踏み出しているような気がする。爆発という攻撃にしか使えなさそうな魔法を即座に応用して見せたりと、どうやら彼女の内に眠っていたのは獅子どころではなかったようだ。多分キマイラとかグリフォンとかそういう類のやつだろう。
ここ最近の事について、オレはとある事に気がついた。あれ?オレって最近守られたりする事増えてない?と。前までは一方的に守る側だったのに最近はすみかやなぎの、よつはにちょくちょく守られている気がする。
逆転が発動するギリギリまでやられたあたりで助けが入ったり、せっかく庇っても相手の攻撃で動けなくなったりして結局戦って貰ってたりと、オレ自身だけで怪人を倒すことが減ってきているのだ。
悪い事ではないが…このままいくとオレのイメージが「ボロ負けしそうになってる所を仲間に助けられてる魔法少女」で固定されてしまうかもしれない。それはまずい。今まで築き上げてきた「諦めない魔法少女」としての立ち位置が脅かされてしまう。
そんな事もあり、どうにか活躍したいと考えていたのだが…
「へっへっへ…!おい聞こえてるか魔法少女!」
「そうだそうだ!聞こえてるでやんすか?」
「聞こえてるけど?どうかしたのか?」
なんと。オレはこの豚の怪人2人に捕まってしまっているのだ。手足を縛られて、大きなずた袋のようなものに閉じ込められて担がれている所だ。
「そろそろアジトに着くからな!
着いたらじっくり…!へっへっへ…!」
「そうだそうだ!着いたら…何するんでやんしたっけ?アニキ?」
「このバカ助が!そりゃもちろん……!
…色々してやるのさ‼︎」
「さすがアニキでやんす!おいらみたいに何するのか忘れてるわけじゃなかったんでやんすね!すげぇ!」
「ああ当たり前だ!おおおれがおまえみたいなドジするわけねぇだろ!」
話を聞くに、こいつらは親分と子分みたいな関係らしい。だが、おそらくもう1人くらいは上に居る気がする。親分の方は子分に隠してはいるがバカのようで、流石にこいつが1番上という事はなさそうだ。
「覚悟しろよ魔法少女!アジトに着いたら…その…色々してやるからな‼︎」
「あーはいはい、一体何されるんだろーなー?」
適当に相槌を打っておく。そもそもなんでこんなバカにオレが捕まったのか。それは少し前に遡る…
〜1時間前〜
「やいやい魔法少女!これが見えるか?ん?」
「その子は…避難し切れなかった子か!その子を放せ‼︎」
「それはそっち次第だな…!この子を解放して欲しかったら大人しく言うことを聞いてもらおうか!」
「くっ…卑怯な…‼︎」
「そうだそうだ!大人しくアニキのいう事を聞くんでやんす!」
奴らが人質をとるというのは初めての事だった。それも幼い子供を。どうやらこの子は避難している際に親と逸れてしまって怪人に捕まってしまったらしい。それを利用するなんて…‼︎
「助けて魔法少女のお姉ちゃん!」
「大丈夫…!お姉ちゃんが助けてあげるからな‼︎」
「うぅ…今避難してたら宿題が…!」
「はぁ?宿題だと⁉︎このおれに捕まっているのに宿題のことを考えているのか⁉︎このガキ‼︎」
ちょっと待て。図太すぎないかこいつ⁉︎いやまぁオレを信用してるからこそ、必ず助けてもらえる前提で言っているのかもしれない。なら尚更助けないと…‼︎
「うぇーん!怪人警報が出たから学校行かなくて良いと思ったのに…!午後から学校があるから今からやらないと宿題が間に合わないよぉー‼︎」
「一応助けなきゃいけないけどすごく複雑だな…
避難が遅れてた理由が親と逸れたんじゃなくて溜まった宿題をやってたからなのがな…まぁ気持ちは分かるから良いんだけどさ…‼︎」
「なぁなぁ、そんなに宿題がやばいならおいらたちに捕まったままアジトに行ってみるのはどうでやんすか?それならアジトで宿題も出来るし攫われている間は授業に出られなくても仕方ないって事になるでやんすよ?」
「良いの?じゃあ行く!着いてく!」
嘘だろ。何言ってんだこいつらは。片方は警戒心無さすぎだし、片方は悪意が無さすぎる。
「ちょっと待て‼︎君、知らない大人には着いていかないって習わなかったか⁉︎ダメだぞそういうことは!何されるかわからないんだぞ‼︎」
「そうだぞ!そもそもバカ助!お前も何提案してやがる‼︎仮にこいつをアジトに連れていくとして、こいつの面倒は誰が見るつもりだ‼︎」
「おいらが見るからアニキは何もしなくても良いでやんすよ?子どもの勉強くらいは教えてやれるし、大丈夫でやんす!ねー?
「ねー?教えてもらえるなら宿題も早く出来るしラッキーだよ!」
どうかしてる。いくらなんでもそうはならないだろ⁉︎このままだとトントン拍子で話すが進みそうだ。絶対おかしいって。みてみろあっちの親分っぽい方の顔!大口を開けてポカーンとしたまま戻ってないぞ⁉︎オレだってそうだが。
「じゃあそういうわけでおいらはこの子と一緒にアジトに帰るんで…」
「待て!どうしてもその子を放す気は無いんだな⁉︎」
「放す気も何も…この子自身が望んでるんでやんすよ?」
「そうだけど…!でも!それはお前が騙して連れて帰ろうとしているだけなんじゃ無いのか⁉︎」
「そんなに言うならあんたも来れば良いでやんすよ。ね?アニキ?元々おいらたちの任務は魔法少女を連れて帰る事だったし…」
「…………」
「アニキ?」
「お前のアニキは今頭がフリーズしてるから何言っても多分無駄だぞ?」
さてどうするか。こいつら…いや、こいつの言う事を聞くべきか否か。どっちにせよ、子どもが人質に取られている上で二対一は厳しすぎる。であれば要求は飲むしか無い…か。
「…分かった。お前たちに着いてく。ただし…その子に何かあったら許さないからな‼︎」
「宿題手伝うくらいしかしないでやんすよ…アニキ!」
「…はっ⁉︎今どうなってる?…なるほど?
へっへっへ!じゃあ大人しくして貰おうか魔法少女!まずは手足を縛って抵抗できないようにして…このずた袋を被せれば完璧だ‼︎」
今どき珍しいが、縄で手足を縛られた。多少硬いけど普通に解けるレベルの縄だ。ずた袋も特に凄いものではない。もっとこう力を奪ったり固有魔法を使えなくなるとかを期待していたが、そんな事はないようだ。ちょっと残念。
「ぐっ…!こんな事をしてただで済むと思うなよ‼︎」
「うるせぇ!おれだって知らねぇガキなんて連れて帰って何言われるか分からねぇんだよ‼︎」
「ぉ…おう。なんか…お互い真面目だと大変だな?」
「…魔法少女と同意見なのはムカつくが同意だ。」
「さて、アジトに行くか。確か…米俵みたいに担ぐんだったか?」
「ひゃあ⁉︎お前よくも‼︎今オレのおしり鷲掴みにしたな⁉︎」
「わっ悪い!そう言う意図は無かった…じゃねぇ‼︎
へっへっへ…気分はどうだ魔法少女…‼︎」
「お前絶対その演技合ってないぞ…」
〜現在〜
と言うわけで現在。豚怪人2人と手足縛られてずた袋に入れられたオレと、豚怪人と手を繋いでスキップしている子どもはアジトに向かっているのであった。相槌だって適当になっても仕方ないだろ?疲れてるんだわ。
「ねぇ怪人さん!アジトって後どれくらい?」
「後もう少しでやんすね。そこの角を左に曲がったところにあるマンホールの中でやんす!」
「へっへっへ!そんな汚ねぇ所に向かう気はどうだ?魔法少女‼︎
…ハァ。」
もう親分っぽい方は演技やめても良いんじゃ無いか?疲れ切ってるじゃねーか。にしても子どもが元気すぎる。学校サボれてさぞ楽しいのだろう。
せっかく雰囲気のあるアジトに手足縛られてずた袋に入れられて運ばれている上に、人質まで取られているという、聞くだけ聞いたら良い感じのシチュエーションなのに。当のオレたちの雰囲気のせいで、全部ぶち壊しなのであった。
次回に話は続きます。
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