side こころ
さて、残念な雰囲気のまま到着した訳だが、どうやらアジトとしては本格的らしい。ただ、怪人は武器を使ったりしないのでそういうものは置いてないようだが。
ずた袋から顔だけ出した状態で地面にそっと置かれる。いや優しいな⁉︎普通そこはもっとこう手荒に扱って地面に放り投げるとかなのに…
暗くて見えなかった奥の方の電気が付き、カツンカツンと足音が聞こえてくる。どうやらボスのお出ましのようだ。
「ご苦労だった!ブタ男にブタ助‼︎」
ゆっくりと拍手をしながら、やつは近づいてきた。ブタ怪人の上の立場なのだ。一体どんな顔…っ⁉︎
「イノシシか!」
「御名答だ、魔法少女よ。」
メガネをかけてスーツを着こなした、いかにもビジネスマンみたいな見た目にイノシシがいた。ただし、スーツが破れそうなくらいパッツパツになった筋肉は隠し通せてない。
まずいな…筋肉バカやインテリだけのボスなら良かったが、まさか両方兼ね備えているとは。おそらく一対一でも苦戦するレベルの相手。オレがいつも苦戦してるとかは今は関係ない‼︎
とにかく、この豚怪人を統率しているところを見ると、ちゃんと頭も良さそうだ。先ほどの言葉遣いといい、中々出来るやつかもしれない。
「さて、せっかくやってきた客人にもてなしの一つでもしてやりたいが…私はそう言ったものが好きではなくてね。すぐに本題に入りたいたちなんだ。分かってくれるね?」
「はっ!人質ごとさらっておいて何が客人だ!こっちから願い下げだ‼︎」
「つれないな…まぁ良い。今から詳しく話を…
…ん?今…人質ごとと言ったか⁉︎どう言う事だ?」
「そりゃあ…アレだろ。」
驚いたような声を出して聞いてくる猪怪人に、オレは首だけ動かして奥の方を見るように言った。
そこには…
「そう!そこはそうやれば正解でやんす!
いや〜教えた事をすぐ応用できるなんて、飲み込みが早いでやんすね!」
「それほどでも…そっちの教え方が良かっただけだしね!」
「さっ、じゃあこっちの宿題もこの調子で終わらせるでやんすよ!」
「うん!僕頑張るよ!」
和気藹々と勉強をしている2人がいた。方や、豚面の怪人。明らかにバカそうな見た目でバカな事を言っていた上、親分の豚の言う事ばかり言っていたから頭が悪いのかと思いきや、かなり頭がいいようだ。教え方の要領も良いらしい。方や、人質になったかと思えば宿題を優先する図太い子ども。豚怪人に褒められて嬉しいのか、あっという間に宿題を終わらせていく。
「…なんで⁉︎」
「こっちが聞きたい。」
素っ頓狂な声をあげる怪人。なんでこうなってるのかなんてこっちが聞きたいんだよ。マジでどうしてこうなった?
「…まぁ良い。結果的に目的は果たせたしokと言うことで。
おいブタ助!後できっちり親御さんの元に帰しておくんだぞ!分かったな!後菓子折りもな!」
「なんと言うか…大変なんだな…あんたも。」
「さて‼︎いよいよ話と行こうか。
話というのは他でも無い、私たちイノブタ連合を魔法省で保護して欲しいのだ!」
「…あんたらも『組織』かなんかから追われてきたはぐれものって事か?」
「察しが良くて助かるな!かつてカギムシ怪人のカギムーが居ただろう?やつは倒されることは無かった!であればこれ以上危害を加えず、組織の情報も喋るということで保護しては貰えないだろうか?」
「…オレ個人としては良いんだけどさ?」
「おぉ!認めてくれるか!」
「周りがどう言うかなぁ?そもそもこの交渉?ですらオレを攫って動け無くした状態で乱雑に扱ってる時点で対等とは言いにくいしな?
「…確かに穏便では無いな!むしろダメだったりするか…?」
「ダメだな。多分。後オレを攫ったところを誰かに見られてたらおしまいだと思うぜ?例えば…」
言いかけた瞬間、アジトの壁が吹き飛ぶ。
「うぉっ!?」
「ぬぁっ!?」
おっと危ない。猪怪人が不意の揺れに倒れそうになるのを、上体を起こして受け止める。どうやら後ろで手を組んでいたまま転けたようで、あのままだったらメガネが割れていただろう。
一応交渉しようとしてる比較的に理性のあるやつなのだ。メガネを割るのは勿体無いだろう。そう思っての行為だったのだが。
「こころ!助けに…来たよ‼︎」
「よくもこころを攫ったわね…⁉︎」
「人質を取って拉致するなど…許せませんわ‼︎」
「…噂すべきじゃ無かったなこれ!ごめん‼︎」
来ちゃったよ。てかなんでアジトが分かったの?あぁ…リズ経由ね。わざとかあいつ⁉︎この状況楽しんでたりしないか⁉︎
「おぉ続々と…!なんとか説得をして…」
「無理だと思うぞ?今の状況だけ見ると完全アウトだし。」
実は今の絵面が中々やばいのだ。オレはずた袋から中途半端に出た状態で手足を縛られている。猪怪人はなんとかオレが受け止めた事で顔面からの衝突は免れたものの、代わりに顔面からオレの胸に突っ込んでおり、なんというか…やばい。息苦しいのかフゴフゴしているせいでくすぐったいし、メガネも衝撃で外れた事でこいつは自分の上体を把握しきれていない。
こんな状況を他から見ればどう見えるだろうか?
『四肢を拘束されて襲われている』ようにしか見えないだろう。もちろん襲われているというのはあっちの意味だ。
この状況をどう覆すか。考えに考えたオレが出した答えは…
「で!そっちの要求は保護って事で良いんだな⁉︎オレが上と掛け合ってやるからそれ以上頭を下げるなよ?子分に顔が立たなくなるだろ⁉︎」
とりあえず大声で誤魔化す事だった。内容自体は大体合ってるからまぁ大丈夫だろ。ほらさっさとメガネかけろ!お前も誤魔化せ‼︎じゃないと保護されなくなるぞ⁉︎
「う…うむ。ではそういう事でよろしく頼む。なんとか保護してもらえると助かる!」
よし!これなら良いはずだ!これでこいつらは保護してもらえるような流れになるはず…っ!
「ひゃうっ!?なっ…何が…⁉︎」
「む…?すまない。前が見えなくてメガネがどこにあるか…これか?いや違うな…こんなに柔らかくはない…」
「おまっ…‼︎せっかく良い感じに誤魔化せそうだったのになんて事を…んぅ…!」
あーあ。やったなこいつ。もう言い逃れ出来ないだろう。まぁ罪状が変わっただけだが。にしてもくすぐったいな?思ったより声が漏れる。言い訳しようにもこいつに身体をまさぐられる度にくすぐったくて声が出てしまう。どうすれば…‼︎
「分かったわ。こころ。この怪人たちは保護されたがっている。過程はどうあれ、こころが良いと言うならそれで良いわ。人を見る目はあるのがこころだし。」
良かった‼︎ありがとうすみか‼︎それでこそオレの親友‼︎よくその結論に辿り着いてくれた‼︎
「…けど、こころに手を出したことは…許さない‼︎」
「右に同じです‼︎」
「わたくしもですわ‼︎」
「そう言うわけで死なない程度にボコボコにしてあげる。動けそうにない状態なら上層部も認めるでしょう?じゃあいくわよ‼︎ブライトダイヤ‼︎」
「グリッドスペード‼︎」
「シャイニークローバー‼︎」
「「「トリニティ・スプラッシュ!!!!!」」」
「保護は助かるがソレは要らな…ぐあああああああ!!!!!」
「なんと言うか…ドンマイだな!」
本当ごめん。もし攫ったのがオレじゃ無かったらこうなってなかったかもしれない。まぁ…散々まさぐられたしトントンって事で良いか…?
あれから1日が経った。事の顛末としてだが、あいつらは無事保護された。うち1名は死にかけだったが。子供は宿題を終わらせて学校へ行けたようだ。あの豚の怪人と連絡先を交換したようで、ちょくちょく勉強を教えてもらってるらしい。そのうちあの豚怪人が家庭教師をし出す気がしてきた。
未だに怪人がなんなのかは分かってはいないが、明確に生み出している組織がいる事と、組織から逃げ出した存在がいる事。また、怪人によってはかなり友好的なやつがいる事など、今回の事例のおかげで色々と研究が進みそうだ。
さて、肝心のオレはだが…うちのソファーもといカギムーにもたれかかったまま、すみかとなぎのとよつはの3人に囲まれて…いや違うな。くっつかれたまま動けないでいる。
誘拐からの襲われているように見えたのが中々応えたらしい。そのせいで昨日の夜から3人はこの家に泊まっている。というか離してもらえない。
「なぁリズ?どうしたら良いと思う?」
「君が反省したらいいんじゃないかな?
というか僕だって怒ってるんだぞ?
いくら君でもまさかあんな事するとは思わなかった‼︎焦って3人を呼び出しちゃったじゃないか!」
「…なんというか…流石に軽率過ぎたな。ごめん。」
「まぁ君も猪怪人も今回は自業自得って事で。そうそう、3人から聞いていないかい?今度のこと。」
「今度?一体何が…」
「慰安旅行。皆で行くつもりらしいよ?」
「はっ…はぁあああああああ⁉︎」
マジかよ。旅行⁉︎どうやらなぎのが予約を取ったらしく、逃げる術は無さそうだ。まぁそもそも逃げられるとも思ってないが。
「オレの同意は…?」
「なくて良いでしょ?こころなら行くでしょう?」
「そうですわ!こころさんなら!」
「わたしも…楽しみ。一緒に…行こう?」
……せっかくだし行くか‼︎ここまで言われちゃ仕方がない。だからその…リズ?うわチョッロみたいな顔でこっちを見るのはやめてくれないか…?オレはチョロくないぞ!誰がなんと言おうと!オレは…‼︎
「オレはチョロくなんてないからな‼︎」
「チョロいよ‼︎」
「チョロいわよ?」
「チョロいですわね!」
「チョロい…よ?」
オレは…チョロくない…はず。多分。
チョロいです。簡単に怪人の言う事を鵜呑みにしてるのがチョロくない訳無いんですよね…
モチベup&番外編用?人気度アンケート どの魔法少女が好き⁉︎
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