side こころ
いよいよ旅行だ。目的地は…老舗の温泉旅館だそうだ。あまり人のいない所で療養しようということになったのも、この前の拉致が原因だ。確かにアレは不安にもなるよなって。皆んなはオレが傷ついて無いかと不安だったようで、慰安旅行まで計画してくれた。
まぁオレからすれば別にそこまでこたえるようなものでも無かったし、ある意味良い体験になったのだが。そんな事を知る由もない3人からしてみれば、トラウマになっていてもおかしくない事だと思われたらしい。
あの豚怪人達はいわゆる…マンガやゲームでいう『オーク』みたいな見た目だったのもあり、絵面的には最悪だったのは間違いない。ソリッドブックまっしぐらだろう。多分リズはもう一冊書き上げてる。
とにかく、オレのための慰安旅行という事で来たこの旅行。都会とは全く違う、自然による癒し。道中の森の中を散歩するだけでも心地よい日差しが差し込んできて、思わずあくびが出てしまう。
「ふぁ…」
「ふふっ!」
「むぅ…」
笑わなくたって良いじゃないか。眠たい訳じゃないし。そう、別に楽しみ過ぎて前日によく眠れなかったとかではない。断じてない。
「眠い訳じゃないぞ!ほんとだ!ねむい…わけじゃ…!」
「眠いんでしょ?おぶってあげる。ほら、背中に。」
「んぅ…ねむく…にゃい…」
「どうみても眠そうですわ‼︎大人しくすみかさんに体を預けては?」
「そう…だよ…!旅館に着いたら…起こす…から…」
そこまで言われては仕方ない。別に眠くはないが?お言葉に甘えて寝るとしよう。
「ふ…ぁ…おや…しゅみ…」
「どう?ちゃんと寝た?」
「うん…寝てるよ…!」
「間違いなく寝てますわね。寝顔も可愛らしい…‼︎」
side すみか
やっぱり連日の戦いで心も身体も疲れ切っていたのだろう。移動中に眠くなってしまうなんて初めてだ。それほどこの前の事がこたえていたか…‼︎あの時はこころの要望を聞き届けたけど、今度同じような事があったら耐えられるかは分からない。こんなふうにこころが苦しむことになるなら、認めるわけにはいかない。
「そういえばなぎの、ちゃんと人が少ないタイミングなのよね?」
「えぇ、入念に下調べしたので間違い無いですわ!
貸し切りにしても良かったのですが…それだとこころが変に気負ってしまうかもしれませんし。」
「余計な詮索をされない程度に…だもんね…?」
「なら完璧!あとは怪人だけど…」
「任せて…!わたしとなぎので片付けてくる‼︎」
「爆発と斬撃‼︎わたくし達遠距離完封コンビの隙はありませんわ‼︎」
「よろしく!一体も漏らさないように…とは言いたいけど、そう簡単に行かないのは分かってる。だから…」
「こころの護衛としてすみかが近くに居れば大丈夫。という事ですわね!」
改めて作戦を確認する。これなら間違い無いだろう。以前のようなパターンで襲われる可能性も考えての作戦だ。水族館や動物園での二の舞にはさせない‼︎
「じゃあ私は旅館に連れて行くから、2人は周辺の掃除をお願い‼︎」
「任されましたわ‼︎」
「任せて…‼︎」
さて、ここからは変身して行くとしよう。何かあった時にすぐに対応できるようにしないといけない。ただ問題なのは…
「…ん…むにゃ…!」
こころが可愛すぎることだ。やっぱり小動物的な可愛さがあると見て間違いない。粘液で色っぽくなった時があって少しドキッとしたが、やっぱりこころはこっちだ。おそらく普段のイメージ的には犬に近いが、眠っている時はまるで借りてきた猫のように大人しくなるのだ。それでいて、ご飯を食べる時はハムスターのよう。意外と寂しがり屋で、魔法少女になってリズが家族になるまではちょくちょく私の家に遊びにきていた。そうやって考えると兎かも…?まとめると、こころは犬で猫でハムスターで兎みたいな小動物という事になる。かわいい。
そんな事を考えているとあっという間に旅館に着いてしまった。特に襲撃は無かったが、旅館の中も安心は出来ない。ある程度に限定はされるが、近くにいないと何が起こるかわからない。最大限に警戒しながら旅館のチェックインを済ませて、部屋に向かう。
「んにゅう…はっ⁉︎」
「こころ、起きた?」
「おきた!おきたぞ!…まだねむいけど!」
こころは起きたとは言っているが、そんなふにゃふにゃな返答ではバレバレだ。まだ起きたばかりでふわふわしているのか、私におんぶされたまま離れようとしない。とりあえず部屋には着いたので、名残惜しいがぽけーっとしているこころを降ろす。
ようやく目が覚めてきて自分の状態を把握したのか、こころは真っ赤に染まった顔を手で覆って俯いた。
「…忘れてくれ…!あんな…恥ずかしい…‼︎」
「そう?猫みたいで可愛かったけど?」
「それがダメなんだって…!オレの尊厳的に…‼︎」
「まぁ良いじゃない。旅の恥はかき捨てっていうでしょう?」
「かき捨てられるようなものじゃない…‼︎」
そうだろうか?いつものイメージからはかけ離れているが、あれもあれで良いと思う。ギャップとかそういう感じで。
「…先に軽く風呂入ってきて良い?露天風呂じゃなくて屋内の方。」
「良いわよ?ただし私も一緒に行くわ。」
「……いや…その…今の顔を見られたくないから…ね?」
「…分かったわ。ただし、何かあったら声をあげる事。外からでも聞こえるようにね?」
「分かった!じゃ行ってくる!」
全くもう。赤くなった顔を見られたくないからってお風呂に行くなんて。一応先ほど屋外と屋内のお風呂場のお湯の周辺を探知してみたが、怪人らしき者は居なかった。大丈夫だろう。護衛とはいえ、こころにだって多少の自由はあった方が良いだろう。まぁ、今回みたいな場合とトイレとかくらいは自由で良いと思う。
…どこぞのヤンデレみたいではあるが、あくまでも護衛なのだ。多少はそういう感じに寄っても仕方ないと誰に言うわけでもないのに言い訳をする、私なのだった。
side こころ
恥ずかしい‼︎あんな子供みたいに…‼︎すみかの背中は思ってたよりも大きく、心地よく。ついつい寝てしまった。あれは反則だろう?あんなにも落ち着くとは思わなかった…!
とりあえず逃げるように風呂に来たオレだったが、多少時間を過ごす事を考えると、すぐに風呂に入ってしまうのは違うだろう。長く居ようとするとのぼせてしまって、それこそまたすみか達に迷惑をかけてしまう。ここはやはり…サウナだ‼︎
サウナならある程度で出れば良いし、水風呂で体も引き締まる。赤くなってる顔を誤魔化した上で、風呂に入ってさっと出れば大丈夫なはずだ。そんなつもりでサウナに入ったオレだったが…一つ誤算があった。それは…
「…あらやだ。魔法少女じゃないの!その歳でサウナを選ぶなんて通ね?アナタ!」
怪人がいた事だ。いやなんで⁉︎オレだってバカじゃないから、すみかたちの計画はなんとなく分かっていたのだ。なぎのとよつはが旅館周辺を殲滅し、すみかがオレの護衛。その過程で旅館内の怪人を探す…というものだ。先ほど、すみかがお風呂場のお湯周辺を探知していたから大丈夫だと…あ。
そうか。お湯周辺。てっきり怪人がいたとしても、風呂に入ってる人を狙ってとしか考えていなかった。まさかサウナに入っているやつがいるとは。
「目的はなんだ‼︎」
「あら…そう身構えなくても良いのにね?
趣味よ趣味。ただの趣味。ワタシ、サウナ巡りが趣味なのよ。組織から逃げ出してやってる事が趣味なのも良くないかもしれないけど…まぁ良いじゃない?自由にしたって!」
「…敵対はしないってことか?」
「えぇもちろん!それよりアナタ、だいぶ疲れているでしょう?もしアナタが良ければ…後でマッサージでもしてあげるわ!」
別に良いや…と言いかけて、この怪人の目が明らかに変わっている事に気がつく。これは獲物を見つけた猛禽類の目だ。よく見ると、全体的に鳥のような感じの怪人だ。フサフサの羽毛は心地が良さそう。
「…断れば…どうなる?」
「別に?ただ…変身も出来ない魔法少女が怪人に何をされるか。分かってはいるんでしょう?」
「…っ!拒否権は…無さそうだな…!」
こちらが拒否すれば…敵対するかもしれない。オレがやられるだけならともかく、人質に取られれば他の皆んなが危ない。オレの選択肢は…一つしかない。
「あら人聞きの悪い。ワタシはアナタを思ってのことなのに。それとも…もしかしてくすぐったいのが苦手?」
「ひゃあ…っ!な…何すんだ‼︎」
「軽く背中を撫でただけじゃない?アナタ随分感度が良いわね?」
「余計なお世話だ‼︎だいたいそっちが…んぅっ!」
「面白いくらいに反応するじゃない。これは楽しめそうね。改めて自己紹介を。ワタシはミュー。エミューの怪人よ。得意な事は…この体を生かしたオイルマッサージよ。」
「…っ‼︎お…オレは…プリズムハート!これで良いか‼︎」
「ハートちゃんね。後でたっぷり可愛いがってあげるけど…まずは!」
「…まずは?」
「このサウナを楽しんでからね‼︎せっかくなら水風呂の後に風呂も入りましょう‼︎屋内とはいえ温泉を楽しまないのはありえないわ‼︎」
「あ…はい。確かに?」
ピンチのはずなのにすごく気が抜ける。なんか最近こういう怪人多くないか?まぁ組織から逃げてるんだしそういう事なんだろうが…なんとも締まらない。
そういえばこの状況って…この前見たソリッドブックにそっくりでは⁉︎やばい。ちょっと…ゾクゾクしてきてしまった。これはある意味シチュエーションとしては…アリなのでは?
どう見てもソリッドブックの導入。まぁここまで見てくれてる皆さんなら分かると思いますが?こころはこういうのには弱いです。特にシチュエーションっぽいのは尚更。
モチベup&番外編用?人気度アンケート どの魔法少女が好き⁉︎
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桃井こころ/プリズムハート
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青木すみか/ブライトダイヤ
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白銀あかり/レイスターレット
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