「そんなに身体を硬くしなくっても良いのよ?もっと力を抜きなさい?ほら…!」
「ひゃ…ひゃいい…!」
side ミュー
このままではダメね。始めるとは言ったものの、ここまで怯えている状態ではリラックスなどとても出来ない。まずは…
「アナタが悪いのよ?力を全然抜いてくれないのだから。」
「え…?何が…っ⁉︎」
「特製のオイルよ?力が入らないでしょう?筋弛緩剤に近い仕組みだから…少しの間だけど上手く力は出せないわ。」
こうでもしないと、ガチガチに緊張した身体はほぐれそうもない。より一層怯えた顔を見せているけど、これしか方法が無いの。時間がない以上、あまり下準備に手間取るわけにはいかない。
「さぁハートちゃん?そろそろ始めるわね。まずは…その小さなおててからにしましょうか。」
「……ぉ…お手柔らかに…」
「手だけに?上手ねアナタ。まぁ良いわ…ワタシのマッサージの凄さ、理解してもらわないとね。」
side こころ
やばいやばいやばいやばい。逆転は実質使用不可、変身も不可。なんなら着せられた服?っぽい布以外は衣類もなし。身体はオイルのせいで上手く動かせない。その上でここは相手のテリトリー。完全にまな板の上の鯉だ。
さらに悪いことに、今からされるのはマッサージだ。くすぐったいのが大の苦手なオレからすれば、史上最大のピンチと言っても過言ではない。まさにヒロインピンチだって?そんな事を言ってる余裕なんてないんだよ‼︎
あぁ終わった。ゆっくりとあいつの手がオレの小さな手を包み込む。
「まずは…じっくりとオイルを肌に馴染ませていくわね?」
ぐにぐにと揉まれていくオレの手。軽く撫でるような感じだったので、思わず声が出てしまう。
「っ!んっ…!…っあ…!」
「そうそう、そうやってじわじわオイルを染み込ませていくのが必要なのよ?ほら…!ぐーり、ぐーり。」
「あぅ…‼︎」
高々手如きでこれだ。ぐりぐりと押されるたび、声が漏れる。オレの身体はもう、オレの言うことを聞いてくれないらしい。口を閉じようとしても、気がつけば嬌声をあげている。こんなに恥ずかしい声を出したのは初めてだ。思わず顔がカーッと赤くなるが、それを隠す為の手はこいつに、ミューに堕とされてしまったらしい。
「随分と凝っているのね。むしろ良くここまで耐えていたと言うほど…大方妖精の回復を何度も無理やり使っていたのね?アレは身体に良いものじゃないのに…」
「ぅ…うるさい!余計なお世話だ!」
「また反抗的になって。でも良いわ。口でどう言ったって、アナタの身体は嘘をつかない。本人がどう言ったところで、身体は正直なのよ?こうやってツボを押してあげれば…ね?」
「〜〜〜っ!?!?!?!?」
「声にならない悲鳴とはこの事ね。このツボだって、健康な人が押されても気にならないようなツボなのよ?アナタ…もう少し自分を省みなさいな。」
side ミュー
ツボの痛みと快感に悶絶したのか、すっかり黙り込んで大人しくなったようね。疲労の分だけ効くツボをついた事であれだけ反応するとなると、蓄積された疲労が果たしてどれほどのものなんでしょうね。
さて、一旦これで手は終わり。次は腕…この手のタイプはやっぱりこれね。
「…ぁ…ああああっ⁉︎」
先ほどとは違い、最初から力強くする。絞るかのような動きで、硬く固まり切った腕をほぐして血流を良くしていく。
「やぁ…!んぅっ!ひぅ!…ぅあ⁉︎」
「そうそう、声は我慢しちゃダメよ?無理やり耐えようとしちゃいけないの。あら…そんなシーツを必死で掴んじゃって。我慢しようとする悪い子にはオシオキね…はむっ。」
「ひゃわぁ!たべないで…‼︎
オレ…みみは…!だめ…!だめだから…‼︎」
「そう?なら大人しく声を上げなさい?堰き止めたところでむしろ身体には悪いのだから。」
全くこの子は。何度もダメと言われた事をしつこいくらいに繰り返す。何度嫌な目に合っても、決して諦めようとしない。それがプリズムハートちゃんなのね。噂に聞いていた通り、相当な頑固者のよう。だからこそここまで戦ってこれたわけだし、ここまで疲労を蓄積してしまったのだろう。
「出来ればゆっくりやりたかったけど…気が変わったわ。一気にやってあげる。」
さっさとしないと、この子はきっと耐えようとしてしまう。時間が経つとともに、一瞬でも薄れた反抗心が戻ってしまう。なら、一気にやるしかないでしょう?
「さっきまでのワタシは人間の体だったけど…ここからは本気。怪人としての力もフルに使って、アナタをマッサージしてアゲルわ‼︎」
そこからはもう大急ぎだ。身体にかけていく時間も惜しいので、エミューの力を全開にする。身体から大量のオイルを発生させ、羽の中に一気に浸透させる。後はハートちゃんを羽で包み込む。文字通り全身を。
ワタシの全力は、羽によるふわふわの感触に加え、羽一枚一枚を操作する事による全身の同時マッサージ。あまりの快感にとうとう声すら上げられなくなったハートちゃんは、完全に抵抗する力を失ったようね。
これで良いわ。これが最も理想的な状態。こちらが完全に身体を掌握する事で、それまで無意識のうちに我慢していた疲労が身体に現れてくる。思っていた以上の疲労に驚かされるわ。よくこの身体で動けていたものね?
持てる力の全てを使って疲労を取り除いていく。ここまで疲れる仕事は初めて。ワタシの方がマッサージを受けたいくらい。けれどそうも言ってられないわね。どうやら魔法少女がこっちに近づいてくる。早く終わらせてしまわないと…‼︎
「そこまでよ‼︎こころを放しなさい‼︎」
side すみか
あの時私の方に怪人が飛ばされてきて、ようやく自身の失敗を悟った。やられた。完全に裏を掻かれてしまった。なんとか倒して駆けつけてみれば、どろどろのオイルにまみれて倒れ伏すこころと、鳥のような怪人が居た。
こころはぴくぴくと小刻みに動いてはいるが、目は明後日の方向を向いている上、口からだらしなくよだれを垂らしている。その上布を軽く巻かれたような服を着せられており、見た目だけで見ればほとんど裸だ。
「こころに‼︎こころに何をしたの⁉︎」
「ただのマッサージよ?この子には少し効きすぎているけどね?」
「嘘‼︎ただのマッサージでこんなになるわけない‼︎」
「なら…アナタも試してみる?」
「お断り‼︎」
魔法を発動し、ステッキで殴りかかる。怪人の翼とステッキが衝突すると言うところで…白い何かが間に現れた。
「ストップだすみか‼︎怪人さんも少し止まって話を聞いてほしい‼︎」
こころのパートナー妖精、リズだ。私の全力のステッキと怪人の翼の一撃をいとも簡単に、ピタリと止めたリズは説得を持ちかけた。何を言っているのだろう?この怪人はこころに危害を加えた。それだけで許せる相手ではないが…
「とにかく‼︎僕の話を聞いてくれないか⁉︎」
もう一度攻撃するため、ステッキを振り上げようとしたが…ピクリとも動かない。なんて力。怪人の方も翼を動かせないようで、冷や汗が流れている。邪魔するリズを無視して怪人を倒すのが無理だと分かった以上、話を聞かざるを得ないだろう。
「じゃあ話すよ?今回の事についてなんだけど…」
リズの話をまとめるとこうだ。こころはあのまま戦っていた場合、いつかおかしくなってしまうほど戦い続けている。疲労が抜けないうちに無理をしすぎている。どうにかしたかったが方法がなく、困っていたところにちょうどマッサージをしたいと言っている超凄腕の怪人が居た。しかもその怪人は組織から抜け、善意でマッサージをしてくれると言う。
かなり怪しかったが、怪人の熱意や態度、経歴を調べた結果信じても良いとリズは判断してやって貰うことにした。結果としてマッサージは成功し、溜まっていた疲労はほとんど抜けた。しかし、まだ抜け切っていない上にこれからも疲労が溜まる可能性はある。そこで、この怪人には手出ししない代わりにこれからも定期的にマッサージをして貰う事、それに伴って保護を受けられるようにする事。
正直納得したくはない話だが、こころが無茶をし続けているのも事実。それを少しでも癒せるのなら…と私は納得した。疲れて眠ってしまったこころは別として、なぎのやよつはもそれでokという事になった。怪人側はむしろ定期的なマッサージに乗り気で、保護に関しても納得してくれた。「無茶をするあの子を放っては置けない」そうだ。
とまぁこんな感じで、今回の旅行はこころのマッサージ師が増えたという結末に終わった。元々の目的の療養が出来たといえば出来たので、一応成功と言うことで。
後に残ったのは、気がついたら旅行から帰ってきて家に居た上に、見覚えのあるベッドに乗せられてマッサージを始められているこころの絶叫だけだった。
「もうマッサージはいやだあああああ!!!!!」
「無理した分の自業自得‼︎覚悟しなさい‼︎
旅館で取りきれなかった疲労の分‼︎きっちり取り除いてアゲルわ‼︎」
と言うわけで旅行でした。海やら川やら観光やらはまたいつか。
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