「やぁあかり!この前はこころを助けてくれてありがとう!やっぱり僕の見る目は間違ってなかったね‼︎」
「…それほどでも」
「元気そうな顔を見れて良かったよ!じゃあまた!」
side あかり
元気そうなリズを見送ってから、ボクはグッズを抱きしめてベッドに寝転がる。
ボクの名前は白銀 あかり。
固有魔法は
性格は…無口とかクールとか言われたりする。けどそれは違う。単に喋るのが苦手で、会話に混ざれないだけ。言葉が足りないとよく言われるけど、自分でも分かってるけど治せないんだよね…
後ボクはオタクだ。部屋には魔法少女のグッズがいっぱいだ。今抱きしめているぬいぐるみもそう。スタンスとしては出来れば推しを眺めて居たい派だが、推しのピンチには駆けつけるタイプだ。
ボクの推しは魔法少女。
プリズムハートちゃん、ブライトダイヤ、グリットスペード、シャイニークローバー。
世間からは、4人合わせて『スート・スターリー』と呼ばれている。
名前にそれぞれハート、ダイヤ、スペード、クローバーと付いているので、トランプの『スート』。スターリーは星がたくさんあるさまを言う。プリズム、ブライト、グリット、シャイニー。どれも輝くような名前だ。これを星に見立てて、『スターリー』。
この二つを合わせて、『スート・スターリー』と呼ぶのだ。ただ、あまり4人で戦う事はない。よっぽどの強敵でもないと過剰戦力になってしまうし、各地に怪人が出た場合は固まって行動するわけにもいかないからだ。
ボクは基本箱推し。どのメンバーも大好きだ。だけど最推しはと聞かれたら…直接助けてもらった事のあるプリズムハートちゃんだろう。ファンの間では、プリズムハートだけはちゃん付けで呼ばれる事が多い。理由としては様々だろうが、なんというかほっとけないような気がするのが要因だろう。それでいてどの魔法少女よりも頼れるのだから、ファンはそのギャップに脳を焼かれ切っているのだ。当然ボクも。
彼女に初めて会った時の事は今でも忘れない。まだボクが魔法少女になる前の話。
あれは…
〜1年前〜
どうしよう。避難する人の波に呑まれて意識を失ったボクは、避難区域まで逃げることができなかった。今は瓦礫の中に息を潜めて隠れている。ちょうど良い隙間があったので隠れたところ、入り口が崩れてしまって閉じ込められてしまった。なんとか声を出そうとするも、元々声の小さいボクが出せる声は小さい。助けを呼んでも無駄かもしれないけど、なんとか声を出す。
諦めかけていたその時、ふと声が聞こえた。
「ここら辺には居ないようね?私は帰るけど、あなたはどうするの?」
「うーん…探しても居ないようだしなぁ…」
魔法少女の声だ。助けてもらえるように、必死で声を出す。けれど、この小さな声じゃ届かない。まして瓦礫の中から叫んでいるのだ。届かなくてもおかしくない。
「まぁ居ないなら仕方ないな!」
あぁ、ダメだったか。力が抜けて、ズルズルと瓦礫にもたれかかる。希望が絶たれた事にショックを受けたボクは、そのまま眠ってしまった。
「…ん?」
…呟かれた言葉を聞き届ける事なく。
それからボクが起きたのは、夕方になって夕日が差し込む頃だった。昼頃に瓦礫の中に閉じ込められてから、かなり時間が経っていたようだ。
「ん…ぅ…」
何やら声が聞こえる。もしかしたら助けが来たのかも。そんな希望を踏み潰したのは、ボクを探している怪人の存在だった。
「ここかぁ〜?逃げ遅れたってガキは…!」
「っ!」
「ちゃんと見てたからなぁ…1匹避難し切れて無かったのをな‼︎」
もし怪人に見つかってしまえばどうなるか。あの凶暴そうな見た目の怪人は、ギラリと光る太い爪を持っている。コンクリートの壁を簡単に切り裂くほどの鋭さだ。あんなものを直接喰らったら、バラバラに引き裂かれてしまう。
必死で口を塞ぎ、震える身体をなんとか押さえ込む。幸い、怪人は気づいていないようだ。このまま隠れていれば逃げ切れるかもしれない。
「見当たらねぇ…!こっちに居ないって事は…向こうか…?」
どうやら怪人はここから立ち去るようだ。足音がどんどん離れていって、ひとまずは安心する。
ふと、瓦礫の隙間から魔法少女の服が見えた。急いで助けを呼ぼうとして、なんとか思いとどまる。今叫んでしまえば、怪人に聞こえてしまうかもしれない。けれど、このまま瓦礫の中にいてはいずれ生き埋めになってしまう。どうしよう。どっちを取れば…?
「なぁ!聞こえてるか?オレは魔法少女・プリズムハートだ‼︎もし聞こえてるなら返事をしてくれ‼︎」
向こうから声を掛けてきた。どうやらこちらの場所は分かっていないらしい。でも、ここで声を上げれば怪人に気が付かれてしまうかもしれない。だが、このまま瓦礫の中にいても何も変わらない。けれど…けれど、怖い。怖いのだ。
もし怪人に見つかってしまったらと思うと、声が出せない。恐ろしくて、恐ろしくて仕方がない。やっぱりボクはダメな人間だ。こんな風に逃げ遅れるし、助けに来てくれた人の手も取れない。
「安心しろ!怪人が来たってオレが守ってやるからさ!な?声を出してくれればすぐに助けにいく!ずっとそうしていたってどうにもならないだろ?ほら、勇気を出して助けを求めてみろ‼︎」
分かってる。どうにもならないことくらい、とっくに分かってる。けど、出来ない。そんな簡単に勇気なんて出ない。どこまでいったってボクはダメなのだ。
半ばやけになっていると、瓦礫にヒビが入る音が聞こえた。もう終わりだ。このまま声を上げなければ生き埋めになってしまう。意を決して声を出そうとして、同時に足音が聞こえる。怪人だ。近くに来ている。
瓦礫で潰れても死、怪人に見つかっても死。死ぬならせめて、苦しまない方で。生きる事を諦めたボクの耳に、声が届く。
「聞こえるか⁉︎あたりで瓦礫が崩れ始めてる…早く声を上げてくれ‼︎怪人が近づいてても気にすんな‼︎オレが絶対に、何があっても守ってやる‼︎だから‼︎誰も手の届かないところで死のうとなんてするな‼︎」
そうは言うけど、もしかしたら守ってもらえないかもしれない。そう考えている頭とは裏腹に、口が大きく開かれる。あぁ、ボクはやっぱり死にたくないんだな。これ以上ないような大きな声で、ボクは助けを求める。
「助けて‼︎プリズムハート‼︎」
「そこか‼︎任せろ‼︎」
頼もしい声が聞こえた。瞬間、瓦礫が一気に吹き飛ぶ。崩れてきていた部分もろとも、ボクには傷一つつけずに。助かったことに安堵しそうになるも、恐怖で顔が引き攣る。
「見つけたぞガキィ‼︎」
怪人だ。居場所がバレてしまったのだから、仕方がない。襲いくる爪を前に、目を瞑る。覚悟はしていた。もしかしたら守ってもらえないかもしれないと。けど、これで良い。確かにあの瞬間、ボクは間違いなく生きようとしたのだ。苦しんで死ぬかもしれないという恐怖を乗り越えて、生きようとした。もうボクはダメ人間なんかじゃない。それだけで十分だ。
おかしい。いつまで経っても痛みが来ない。ゆっくりと目を開けてみれば…怪人の鋭い爪に貫かれた、魔法少女の姿があった。
「ぐ…ごぼっ…‼︎」
「チィ…‼︎邪魔をするなテメェ‼︎」
「悪いな…げほっ!こっちも引けないんでな…‼︎」
そんな…‼︎ボクを庇ったせいで‼︎確かに守ってくれるとは言っていた。けどそれは、命と引き換えになんて意味じゃなく…‼︎
「…なんで!」
「…何か勘違いしてないか?オレはこの程度で死ぬつもりも無いし…!負けるつもりもねぇ‼︎…けほっけほっ!」
無理だ。ここから逆転する事なんて不可能だ。とんでもなく強い固有魔法でもあれば話は別だが、そう簡単に持っているはずがない。
「おい魔法少女!テメェの固有魔法はなんだ!殺す前に聞いといてやる‼︎」
「オレの固有魔法か?それは…」
お願いだ。超強いのを持っていてくれ!じゃなきゃ、目の前で死ぬのを見せられるだけになっちゃう…‼︎
「無しだ‼︎オレに固有魔法は…ない‼︎」
「…え?」
嘘だ。それじゃあ…もうどうしようもない。固有魔法がない魔法少女は、とんでもない落ちこぼれだ。怪人に勝ったという事例はごくわずか。このまま殺されてしまう。
「…ハッ!ハハハハハハハハハハハハハハ!!!
なんだ!テメェただの落ちこぼれかよ‼︎良かったなガキ‼︎2人まとめてぶっ殺してやるからよ‼︎」
怪人の高笑いがあたりに響く。今度こそ、本当に終わりだ。希望は潰えた。思わず腰が抜けて、へたり込んでしまう。勇気を出したところで結局これか。落ちこぼれな魔法少女じゃ、怪人には勝てない。涙が出てきた。結局、ダメな人間じゃ何も出来ないのだろうか。
すっかり弱気になってしまったボクと対照的に、魔法少女は、プリズムハートは微塵も諦めていない。
既に腹を刺された重症で、そこから何度も爪で切り裂かれて衣装は血が滲んでボロボロ。全身傷だらけで、土と汗で汚れている。それでも、真紅の瞳は全く揺らぐ事なく敵を見据えている。
何度転がされても、何度切り裂かれても、着実に攻撃を当てている。どれだけ傷ついても、全く怯まない。
「…どうして」
どうして、そこまで出来るのだろう?とっくに限界は来ているはずだ。今にも叫んで倒れてしまいたいはずだ。楽になりたいはずだ。けれど、諦めない。
「どうして‼︎」
「ゲホッ!…そりゃあ…!諦めない事がオレの取り柄だからな‼︎固有魔法が無くたって…落ちこぼれだって…諦めなかったらさ!いつかは…勝てるだろ⁉︎」
そんなの理想論だ。『諦めない』なんて、簡単に出来る事じゃない。けれど、この人は。プリズムハートはそれをきっと成し遂げる。今だってそうだ。あれだけ劣勢の状態から、怪人を追い詰めるところまでいっている。
「バカな‼︎テメェのどこにそんな力が…‼︎」
「さぁな?けど、オレは諦めない!もしかしたらそれが力の源かもな…?これで止めだ‼︎プリズムハート・スプラッシュ‼︎」
「くそぉおおおおお!!!」
桃色の光の奔流が怪人を飲み込み、消し飛ばす。
信じられない。勝ったんだ。あの怪人に。
衣服は血が滲んでボロボロ。身体中に傷もあって、綺麗な髪は汚れでくすんでいる。けれど、ボクの目には…信じられないほどキラキラと輝いて見えたんだ。
「…ごぼっ!おぇ…!けほっ!だ…大丈夫だったか?」
「…そっちこそ」
あぁもう!なんでこう言う時に上手く言えないんだ‼︎もっとこう…ありがとうとか!良い感じに!もっと気を使った感じでさ!向こうのほうが重症なのに!
「なら良かった…げほっ!いてて…!」
「…大丈夫?」
「大丈夫だ‼︎ごほっ!だ…大…丈夫!」
全然大丈夫じゃないじゃん‼︎早くなんとかしないと!ああもうどうしたら…?
「また無茶して…ほら帰るよ?」
「リズ!来てくれて助か…げほっ!」
妖精だ。どうやらパートナー妖精らしい。プリズムハートが安心しているところを見るに、回復とかそういうのでなんとかしてくれるようだ。
「重症なんだからもう喋らない‼︎…って寝てるし!
そこの君、怪我は無いかい?無いなら帰るけど…」
「…あの!」
「何か聞きたいことでもあるのかい?」
ボクでも…こんなダメ人間なボクでも、なれるんだろうか?魔法少女に。落ちこぼれだったとしても、諦めずに戦い抜けるような魔法少女に!そして…いつか!
…けど、上手く伝えられないかもしれない。こうやって片言になってしまうようじゃ…伝えてくても…
「…なるほどね。僕は心を読めるからね、ちゃんと伝わるとも。さて…君は…うん。間違いなくなれる‼︎それもとびきり強くなれる!」
「…ほんと?」
「嘘は言わないよ。いずれ君の力を開花させる妖精が現れる。まぁ鍛えて待つと良い。いつか君がこころを、プリズムハートを助けてくれる事を信じてるよ?君が魔法少女になりたい理由、それなんだろう?」
本当に心を読めるらしい。言いたい事が全部伝わるのはとてもありがたい。彼の言う通りだ。ボクはこれから強くなって見せる。そしていつか、プリズムハートを助けたい。
「ただ、皆は心を読んだり出来ないから…そこら辺も鍛えておきなよ?」
「…頑張る」
出来るか分からないけど、頑張ってみるつもりだ。
「じゃあね!未来の魔法少女!
光波の魔法少女・レイスターレット‼︎」
〜現在〜
とまぁこんな事があって、強くなったボクはこの前ようやく彼女を助ける事が出来たのだ。アレから鍛えるために魔法少女を調べていった結果、無事オタクになったというわけだ。それもあまり推しとは関わらないようにするタイプの。
パートナー妖精のレイ曰く、ボクの名前、レイスターレットは『一条の光をもたらす小さな星』だそうだ。
ボクにピッタリ!プリズムハートちゃんのように皆を照らす光にはなれないけど。たった一条の光でも、小さな星だったとしても。彼女だけを照らせるだけで良い。
ただ…せっかく助ける事ができたというのに喋れなかったのは残念だけど、あんまり関わるのはオタクとしての名折れ。今度も直接会わずに助けられるよう、精進しなきゃ‼︎
「…頑張ろう…!」
それにしても、もう少し喋るほうはどうにかできなかったのだろうか?何度やっても上手く喋れない自分に、ついついため息が出てしまうボクだった。
いわゆる追加戦士みたいなポジション予定です
モチベup&番外編用?人気度アンケート どの魔法少女が好き⁉︎
-
桃井こころ/プリズムハート
-
青木すみか/ブライトダイヤ
-
藤原なぎの/グリッドスペード
-
緑谷よつは/シャイニークローバー
-
白銀あかり/レイスターレット
-
リズ/プリズムイクリール