TS転生ドM強制逆転オレっ子魔法少女の日々   作:メガネズミ

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1話に居たような感じの役員とか書いてないな〜と今更になって気付いたので書きました。


逆転の魔法少女、役員‼︎

 

「えぇ、はい。申し訳ありません。

ですが…‼︎

 

…っ! …はい。分かって…おります…!」

 

side 魔法省のとある役員

 

まただ。何度上と掛け合ってみても、全く取り合ってもらえない。現状が正しいはずがないのというのに。年端もいかない子供を戦わせているこの状況は、全くもって良いはずが無いのだ。

 

だが、そうせざるを得ない状況になっているのは事実だ。せめて因子とやらを解明出来ればどうにかなるかもしれないが、引き合いに魔法を出されてはお手上げだ。完全に未知の代物を制御し切れるはずもなく、もしもの事があれば、現代兵器のどれをとっても比較にならないほどの被害が及ぶだろう。

 

確かに、戦力の観点から見ればどうしようもないのだ。だが、改善出来る部分はあるはずだ。彼女達魔法少女は命の危険が及ぶだけでなく、ある意味では娯楽として消費されつつある現状がある。

 

他ならぬ魔法省がグッズを販売している現状はいかがなものだろうか?非公式で勝手にやられるよりかはマシかもしれないが、それでも良いとは思えない。本人達の許可を得ているから良いという意見も見かけるが、まだ大人にも慣れていない子供達に正常な判断が出来ているとは考えにくい。

 

ただ、グッズ等が元でモチベーションを保つことが出来ているといった話も聞くことがあるので、完全に否定しきる事も違うだろう。だが、時に命のやり取りをしなければならない彼女達に対して、私達が出来ることがあまりにも無さすぎる現状をどうにかしたいのだ。

 

「ハァ…また断られたか…」

 

これで何度目だろうか?何度掛け合っても聞く耳すら持ってはくれない。明らかにまずいと分かっているはずなのに、上はどう考えているのだろうか?思わずため息を吐く。ここ最近は特にため息が出る。何もしてやれない事への歯痒さと、心の中で何処か諦めてしまっている自分への苛立ちは募る一方だ。

 

公園のベンチに座り、コンビニで買ったばかりの酒を片手に空を見上げる。ヤケ酒だ。こんな昼間から飲むのは中々無いが、こうでもしないとやってられないのだ。今にも雨が降り出しそうな曇天だ。遊具の周りでは子供達が遊んでいる。あぁ、この中からまた一人、また一人と魔法少女が生まれ、戦いに駆り出さなければならなくなるのだろうか?情けない話だ。酒の効果もあって、じわりと目尻に涙が浮かぶ。何故なのだろうか?何故こんなにも自分は無力なのだろう?

 

グッと酒を煽るが、全く旨くない。馬鹿みたいに度数の高い、酔っ払うだけの酒は随分と不味い。それでも酔いは回ってくれる。このまま酒に呑まれてしまおうか。そう考えていると、声が掛かる。

 

「うおおおおおっ!?セーフ!当たってない‼︎

えーっと…ボール当たってなかったか?おっさん!」

 

「……あぁ!当たってないとも!」

 

この子は確か…さっき向こうで遊んでいた子だ。抱えているサッカーボールを見るに、これが当たってないかと聞きにきたのだろう。当たってないことを伝えると、安心して胸を撫で下ろしていた。

 

「じゃあ、オレはこれで…」

 

こちらに会釈をすると、彼女は走り去っていった。意識を少しそちらに向ければ、彼女よりも小さな子供達に注意しているのが見えた。そういえば…どこかで彼女を見かけた気がする。だが、どこだったろうか?そんな事を考えているうちに眠くなり、ベンチに座ったまま眠ってしまった。

 

 

目が覚めると、日が暮れていた。ちょうど子供達が帰ろうとしているのが見える。その中から、一人だけこちらに向かってくるのが見える。先ほどボールを取りに来た彼女だ。どうした事かと聞いてみれば、悩んでいるのをみて気になったそうだ。

 

子供には分からないからやめておきなさい、と諭そうとしたが、私が胸につけていた魔法省のバッジに気づいていた彼女は、自分が魔法少女であると伝えてきた。通りで見たことがあるはずだ。魔法少女・プリズムハート。主力と言っても過言ではないほどの戦績を持つ魔法少女。グッズ展開なども本人が全面的に許可しているため、比較的他の魔法少女よりも表に出てきやすい魔法少女だ。

 

この時の私は酒が入って血迷っていたのか、抱えていた悩みを吐き出してしまった。自分達大人は何も出来ていない。君達子供に戦わせるだけ戦わせなきゃいけない現状が許せない。それだけでなく、娯楽として消費されつつある現状もどうにも出来ない。自分は今もこうして腐っているだけの、役立たずなのだと。

 

何も言わずに全てを聞き届けた彼女は、そんな事は無いと否定する。私は役立たずなどでは無いのだと。戦えるのが自分達だけなのは仕方ない。けど、そこで諦めて何もしないんじゃなく、ちゃんとサポートしてくれているのだと。娯楽になっているかもしれないけど、おかげでファンの姿も見えやすく、自分達の頑張りがちゃんと伝わっている事が分かるのだと。そう言ってくれた。

 

その後も少し取り止めのない話をした後、私は家に向かって歩き出した。彼女はどうやら気になることがあるようで、公園に残るらしい。何か胸騒ぎがしていたが、私はそれを無視して帰ることにした。

 

後半分で家に着くというところまで来て、私は唐突に足を止めた。どうしても、どうしても胸騒ぎが収まらないのだ。柄にもなく全力で来た道を引き返す。こんな風に走ったのはいつぶりだろうか?ゼーゼーと息を吐きながら公園にたどり着くと、そこでは怪人と先ほどの彼女が対峙していた。

 

怪人には傷ひとつないが、彼女は違っていた。身体中に傷を負っている。一方的に嬲られていたのが分かるほど、両者の姿には大きな差があった。見れば、魔法少女の後ろには小さな子供達がいる。帰る時間になっていたのに、友達と遊んでいたいがために残っていたのだろう。子供達に傷一つないのを見れば、ずっと彼女が庇い続けてきたことが分かる。おそらく攻撃に出る事が出来ず、ひたすら庇うことだけをしているのだろう。

 

刹那。怪人に見えた一瞬の隙をついて吹き飛ばした彼女は、不安そうに服を引っ張っている子供に目線を合わせるためにしゃがみ込むと、頭を撫でて宥め始めた。今にも泣き出しそうだった子供は撫でられた事で落ち着いたようだ。

 

しかし、吹き飛ばした程度で怪人はやられはしない。無防備な背中を向けた彼女にとどめを刺そうとしている。このままではまずい。背を向けている彼女からは怪人が見えていない。だが、私では怪人をどうにかすることなど出来ないだろう。所詮私は役立たず。無力な自分を言い訳にしようとして…

 

その時、彼女から言われた言葉が頭をよぎる。そうだ。確かに、私は無力かもしれない。けれど、けれど間違いなく役には立てるはずだ。私は役立たずなどでは無い。他ならぬ魔法少女に言われたのだ。こんなところで言い訳をして逃げて良いはずが無い。

 

思い切って手に持っていた酒の缶を怪人に投げつける。缶は怪人の頭に当たると、コツンと小気味良い音を立てた。ギロリと怪人がこちらを睨む。これで良い。これで彼女は体勢を立て直せる。怒りの形相でこちらに近づいてくる怪人は…背後から近づいてきた彼女によって蹴り飛ばされる。

 

「おっさん!随分無茶するな⁉︎後ちょっとオレが遅れてたらヤバかったぞ⁉︎」

 

「それは君も同じだったろう?あのままでは…」

 

「…まぁそうだけどさぁ!まぁ良いや、ありがとな!おっさんのお陰で助かった‼︎」

 

「こちらこそ。さて、先ほどまでの君はおそらく子供達を庇っていたんだろう?私があの子達を送り届ける。だから…」

 

「良いよ良いよ言わなくても!むしろこっちからお願いしようと思ってたし…!怪人はオレが絶対倒すからさ、そっちはそっちで頼む‼︎」

 

「任せたまえ!私になりに役に立たせてもらうよ。」

 

「あぁ!それで証明してやれ!おっさんが役立たずじゃ無い事を!その上司とやらに‼︎」

 

全く…これではどちらが子供か分からないな。子供達を親元に送り届ける最中、改めてそう思う。彼女は…想像していたよりも遥かに立派だった。子供達を守り、私という大人を気遣い、その上で怪人とも戦う。少し舐めていたのかもしれない。所詮は子供だと。確かに、彼女は子供だ。まだまだ未熟ではある。だが…その判断や意思は、尊重されて然るべきだ。

 

遠くで桃色の光が空に打ち上がるのが見えた。決着が付いたのだろう。誰が勝ったかなどいうまでも無い。キラキラと輝く光がいつのまにか晴れていた夜空に広がっていくのを見て、彼女の言っていた事を思い返す。

 

自分が魔法少女として戦い続けるのは、自分以外の人が少しでも傷つかない為だと。それがたとえ魔法少女であってもだ。どれだけ無茶をしようとも、傷付こうとも、皆が受ける痛みを肩代わりするのだと言っていた。

 

確かに凄い志だが、未熟な考えだ。一人で抱え込もうとしているわけでは無いが、背負えるだけ背負ってしまおうという考えはかなり危うい。そんな危なっかしい彼女のような魔法少女達をサポートすることが、私に出来る第一歩なのでは無いだろうか?役立たずだなんだと腐る暇があれば、こうして直接力になれば良い。

 

彼女が言った言葉を嘘にしないためにも、私は気合を入れなおして…翌日酒が抜けた後。自分の恥ずかしさに悶えて死にそうになったのだった。




次回のネタ…どうしましょうね…?

モチベup&番外編用?人気度アンケート  どの魔法少女が好き⁉︎

  • 桃井こころ/プリズムハート
  • 青木すみか/ブライトダイヤ
  • 藤原なぎの/グリッドスペード
  • 緑谷よつは/シャイニークローバー
  • 白銀あかり/レイスターレット
  • リズ/プリズムイクリール
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