side こころ
吸血。表現の仕方によってはグロ表現になりかねないが、基本的にはいかがわしい感じのものが多い。フィクションにおいては吸血鬼の存在が最もわかりやすいだろうか?アレは色々と時代の流れに翻弄された結果、原型からはかなり捻じ曲げられたものだが…まぁこの際どうでも良い。
重要なのは、吸血の際に快楽をもたらす者が多いという部分だ。そういう本だけの設定だと思われがちだが、原典の頃からそういうものだと知っている人はどれくらい居るだろうか?まぁ吸血自体が狩りと同じようなものだからこそ、確実に仕留めるためにはこういうのが必要なのだろう。
それにしても…何というか思っていたのと違った。今日出会った怪人は、コウモリ。というかほぼ吸血鬼。パブリックイメージそのままみたいな奴だ。普通と違うのは、昼間に居ることだろう。それはイメージ的にダメじゃ無いかなって。
「…フゥ…随分と美味い血だ…吸われた心地は如何かな?麗しき少女よ…」
「…なんっ…というか…!イメージと違ったな…って…!」
いや、確かに気持ち良いのは認める。けど…シチュエーションとしてはかなり台無しなのだ。よりにもよって昼間。しかも人の多い街中でと来た。その上、雑なイメージで固めたせいか、銀の十字架のネックレスという弱点中の弱点を身につけている始末だ。
吸われた事で頭が朦朧としているが、どうでも良いことだけは何故か考えていられる。今は身長差もあって、こいつに抱かれている状態だ。もちろんそっちの意味では無い。こいつの肩越しに見える店をよく見れば、ニンニクマシマシラーメンと書かれたメニューが看板になっている。さらに台無しだ。
せっかくこいつの見た目はパブリックイメージそのままの吸血鬼なのに、状況がいくら何でも酷すぎる。正直かなり憧れていた吸血鬼との対決というシチュエーションなのに、それ以外が最悪だ。
昼間に人通りの多い街中で、ニンニクマシマシのラーメン屋の前でやられているのだ。首から下げた銀の十字架のネックレスが高貴なイメージにつながってはいるが、素材とデザインがアウトすぎる。ここまでくると、せっかくの見た目が一周回ってギャグみたいになってしまっている。
「…ぉ…お前…せめてもう少し…‼︎」
「む…?嗚呼、我が吸血の虜となったか!
良かろう!幾らでも吸ってくれよう!」
「この…っ‼︎」
違う!!!!!そうじゃ無い!!!!!
この馬鹿野郎‼︎そうじゃないんだよ‼︎何で分からないんだろうか?確かに弱点がない方が優秀かもしれないが‼︎そうだったとしてもせめてイメージは崩さないで欲しかった‼︎
憧れの一つがこんな形で終わるのかと項垂れていると、何やら声がする。
「そ…その子を放せ‼︎」
「…貴様…邪魔をするな‼︎」
一般人のようだ。いくらこの怪人が馬鹿だったとしても、腐っても怪人。ただでさえ通常の人間では勝ち目がない。魔法少女であるオレですら、その速度に追いつけずに対面状態から一瞬で吸われたといえばその速さが分かるだろうか?獣化していれば躱せたかもしれないが、結果論でしかない。
とにかく、馬鹿に見えてもこいつは強い。一般人を巻き込むわけにはいかないのだ。
「…ま…待て!一般人には…手を…出すな…‼︎」
「ふむ…貴様が我の言う通りにするなら手を出さずに居てやろう。」
「…っ‼︎分かった…‼︎」
あれ…?よく考えるとこれ美味しいシチュエーションじゃないか?意外と良いかも…人が居たことで新しい展開に持っていけたのは良かったかもしれない。
「なら良い…そこの貴様!命拾いしたな‼︎」
「…お…オレの事は良いから…逃げ…」
「君は…!すまない‼︎」
よし、逃げたな。怪人もちゃんと逃してくれるようで何よりだ。いや〜良かった良かった。さぁ、ここからだ。
「さて…何をさせようか?」
「…何しても…良いが…!一つだけ頼む…‼︎」
「…ダメだ。既にこちらは要求を呑んでいる。」
ちぇっ。せめて夜になるまで待って欲しかったのだが…ダメらしい。雰囲気だけも欲しかったが…残念だ。
「では、こちらが提示する条件は…場所を変えよう、という事だ。無論、拒否権は無いがな。この場所ではあまり良くは無い。なるべく暗く雰囲気の出る場所へ向かうつもりだ。」
「…分かった。」
ワンチャンあるんじゃ無いかこれ⁉︎暗い場所に行きたいとか‼︎この流れならかなり良い感じかもしれない。こいつに抱かれたまま、空を飛び移動する。空飛べるのはやっぱりずるい。
結構長い時間飛んでいたが、ようやく着いた。周囲に人が居ない、廃墟ばかりの場所だ。そこに明らかに新しく建てられた建物が建っている。これはまさか…いかがわしいホテルでは⁉︎
流石にまずいけどまぁ連れられて入るだけだし…と言い訳をしながら待っていると。あろうことはこいつはその隣のボロ屋に入った。嘘だろう?入らないのかと問い詰めてみれば、モニョモニョと恥ずかしいだの何だのと言い出した。
…まさか。まさかとは思っていたが。こいつ…!コウモリ怪人ってだけで。吸血鬼に憧れてるだけのやつなのか⁉︎散々問い詰めたことで、部屋の隅で体操座りをして俯いている。
何というか…すごく残念だ。せっかく憧れのシチュエーションだと思っていたら、相手もそういうシチュエーションに憧れているだけの奴だったとは。しかし、これはチャンスかもしれない。双方が合意なら…かなり良いシチュエーションにできるのでは⁉︎
この時のオレは血を吸われていた事もあり、割と馬鹿になっていた。後で考えると結構無茶してるな〜と思いつつ、結果的には上手くいったし良かったな。と思いかえすのだった。
ちなみに、怪人の方も怪人の方で太陽の熱で頭が茹だってたらしい。後から見てみれば、何ともまぁ気の抜けた話というわけだ。
今日はめっちゃ短いですが、最近多めだったので勘弁という事で…
モチベup&番外編用?人気度アンケート どの魔法少女が好き⁉︎
-
桃井こころ/プリズムハート
-
青木すみか/ブライトダイヤ
-
藤原なぎの/グリッドスペード
-
緑谷よつは/シャイニークローバー
-
白銀あかり/レイスターレット
-
リズ/プリズムイクリール