side こころ
この前の吸血鬼との戦いで手に入れた、獣化「蝙蝠」。
能力は翼による飛行と、超音波だ。飛行に関しては念願のものだったのでかなり良かった。超音波は…見えない敵でも感知出来るとかだろうか?
では次にデメリット。これは、日中は体力の消耗が激しくなるという事だ。普段戦うのが日中なので中々厳しいが、犬の時のような弱点はないので大丈夫だ。一応翼は感覚があるものの、特に過敏になるとかもない。
体力の消耗を考えなければ蝙蝠一択だが、どうなのだろうか?一度実戦で試してみるしか無いだろう。そんな悠長なことを考えていたのが悪かったのだろうか?
オレは今、がっしり翼を掴まれた状態で地面に押さえつけられている。飛べると…思ってたんだけどなぁ…‼︎
「ぐっ…放せ‼︎」
「放すものか!飛ばれてしまえばこちらは終わりだからな!」
地上戦に特化していそうな怪人だったから飛ぼうとしたのに、いくらなんでも出オチ過ぎる。確かに獣化は隙があったかもしれない。それでも、翼が生えた瞬間に親の仇でも見るように襲ってきて握られるとは思わなかった。一体どれだけ空中に恨みがあるのか。
「貴様には分かるまい!一方的に空からハメられる者の苦痛など‼︎」
「分かる‼︎オレも一回やられたからな‼︎だからこそこの戦法の強さを知ってたんだが…まさか飛ぶ前にやられるとはな!」
「貴様…人にやられて嫌な事は相手にやらないようにと教わらなかったのか⁉︎」
「教わったけど!少なくともお前相手だったら使わなきゃダメだろ‼︎そもそも自分の強みと相手の苦手を押し付けるのが戦いだろ⁉︎」
確かに相手が嫌がる事をしてはいけないが、敵に対してそんな甘えた事言ってたらこっちがやられてしまう。
「それに…お前だってこっちの弱点付いてるじゃないか!飛ぶ前に抑えるのは卑怯じゃないか‼︎」
「…確かにそうだ。ではこの話は終わりにしようか!どちらにせよこちらが優位に立ったままなのだからな‼︎」
自分が有利な間は文句を言わないのは狡いが、まぁ今はそんな事どうでも良い。さてどうするか。獣化を解除すれば握られている翼を消せるので、隙をつく事が出来るだろう。そう考えて獣化を解こうとして…違和感に気づく。
「獣化が…解けない⁉︎」
「む?貴様何かしようとしたのか?抵抗するようなら…こうだ‼︎」
「うあ゛あ゛あ゛っ⁉︎」
いってぇ!こいつ翼を捻りやがった!初めての痛みに困惑する。これが翼の痛みか。攻撃を喰らい慣れていない部分の痛みは新鮮だ。ギリギリと捻られていく感覚は、何というか…やばい。よく子供の喧嘩で腕の皮膚を捻ったりする奴がいるが、あんなものの比じゃない。ビリビリとした表面の痛みと、骨が軋む感覚。筋肉を捻じられている事で上手く動かせない不快感も合わさり、かなり効く。
それよりもだ。なぜ獣化が解けないのだろうか?今まで獣化を解除出来た状況を思い返していくと…気づく。おそらくだが、獣化を解除する際は特徴が色濃く現れている部分がフリーな時。つまり、攻撃を喰らっていない時でないと解除は出来ない。前に解除された時は特に犬耳や尻尾に触れられて居なかったので解除出来たのだろう。
それにしてもまずい。見た感じかなりの武闘派であろうこの怪人。体格もがっしりとしているが、それ以上に目を引くのはその複数の腕だろう。合わせて3対のそれはオレの翼を捻るだけで無く、頭を地面に押さえ込んでいたり、手足をがっしり掴んで抑え込んでいる。
おそらく昆虫の何かの怪人なのだろう。パワーもしっかりとあり、振り解くのは無理そうだ。それこそ獣化「犬」でもない限り。
「…っぐぅうううう!ねじる…なぁ…!」
「そうか!ここを捻られるのが良いのか!止めろと言われたのだ…ならやらねばな‼︎」
「〜〜〜っ゛!!!!!」
さっきの意趣返しだろうか?下手に止めろとか言わなければ良かった。どんどんと捻られていく。ボキリと嫌な音がしたかと思えば、翼からかなりの痛みが届く。
「あ゛ぁ…っ!」
慣れない部位での骨折は、思っていた以上に痛い。その上、さらに嫌な予感がする。一度折れた骨の周囲が、さらにミシミシと音を立てる。これってやばくないか?そんな予測も束の間。それまで耐えていた骨は、一気に決壊する。
「……っ!!!!!」
ボキボキボキボキィッ!!!!!一気にへし折れたことがわかるような音が、あたりに響き渡る。あまりの痛みに声を出せない。その上、折れた骨が内側で肉に突き刺さって痛みが増している。幸い皮膚を突き破りはしなかったものの、オレの翼はぐちゃぐちゃだ。雑に捻られた新聞紙のようになっている。
「ふぅ…これでよし!ようやくまともに戦えるな!
さぁかかってこい魔法少女よ‼︎」
「…ぁ…ぅ…!」
どの口が言うんだか。何が「まともに戦える」だ。翼だけとはいえ、こちらはもうボロボロだ。その上、押さえつけられているのは変わっていない。翼からは手が離れているが、こんなに痛いと集中して獣化を解除などできない。身体全体のダメージでもないので、強制解除も出来ない。
何とか翼を動かそうとするも、あまりの痛みに動かす事はおろか、意識を向けることすら出来ない。仕方ない。ダメージを無理矢理にでも受けて解除を狙うしかない。
「……ふぅ…っ…!
痛かったけど…耐えられる!オレ自身が大ダメージを受けなきゃいくらでも戻せるからな!覚悟しろよ?」
嘘だ。一回の戦闘において、受けたダメージは回復出来ない。唯一例外として、初めて獣化した際には回復出来たが…あれは例外中の例外だ。とにかく、こいつを煽ることでオレの身体にダメージを与えなければ。
「何だと⁉︎ならば喰らえ‼︎その身体を破壊し尽くせば…再生など出来んだろう‼︎」
「なっ…‼︎」
この感じなら良いだろう。再生の可能性があるとわかった途端、こいつはうつ伏せにしていたオレをひっくり返して拘束し直した。オレの上に乗っかる事で足を封じ、2本の腕でこちらの手を封じる。
「では…この連撃を耐えられるかな⁉︎」
「ごぼっ…!…っ!!!!!」
息を吐く間も無く、腹部に連撃が繰り出される。本当の鋼鉄かと思わせるほどの鉄拳がオレの腹に突き刺さるたび、突き抜けた振動がアスファルトの地面を砕く。
一瞬で蜘蛛の巣状にヒビが入り、周囲に広がっていく。
直に殴られているオレはといえば、初めての体験に文字通り身体を震わせていた。全く止むことのない拳の嵐が、腹部のただ一点に向くことなど初めてだった。要するにメチャクチャな連打の腹パンはやばいと言うことだ。内臓まで届くほどの拳を喰らった事はあるが、あれは一発だけ。ここまで連続で喰らった事は無かった。信じられないほどの痛みと不快感が身体を襲う。
そろそろだろう。ここまでダメージを受けたのだ。獣化は強制解除されるはず…来た!獣化が解除された事で、発動しにくかった逆転が発動する。が。動けない。ひたすら腹パンをされ続けているせいで、抜け出そうにも抜け出せない。仕方なく溜めた魔力を手のひらに集めて解放する。
「ここだぁ‼︎」
「ぬうっ⁉︎」
横から吹き飛ばされたせいで体勢が崩れたこいつに追撃をしようとして、体が崩れ落ちる。あれだけ腹に攻撃を受けたのだ。ダメージになっていないわけがない。そうしている間にも、怪人は体勢を立て直してしまった。これでは隙がない。格闘ではおそらく叶わない以上、どうにかして隙を作らないと…!
…そうだ。その手があった。
「さて…もう一回獣化を…」
「させるかァ‼︎」
「…なんてな!隙ありだ‼︎」
「何ィッ⁉︎」
獣化をすると言えば、こいつは阻止しようと最短距離を突っ走って翼の位置を狙ってくる。それが分かっていれば、その位置に必殺技を置くだけだ。
「プリズムハート・スプラッシュ‼︎」
「バカな…獣化は囮かァアアアアアア!!!!!」
翼を使おうとしてみた感想としては、やっぱり獣化要らないんじゃないか説が出てきてしまった。シチュエーションとしても痛みとしても悪くは無いけれど、やっぱり普通の方が戦いやすい。ただまぁ…今回はあくまで先に翼を潰されたのが原因だ。また試してみないと分からない。せっかく良いシチュエーションを作れそうではあるので何とか活かしたいオレなのだった。
そろそろ他メンバー関連をやりたいですね!
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