「か…は…っ‼︎」
「おやおや…とうとうその状態ですらギブアップですかなぁ?」
「…ぁ…ぐぅ…けほっ…‼︎」
「失敬‼︎…流石に無茶が過ぎましたな…‼︎」
side こころ
きつい。ここまできつい戦いは久しぶりだ。獣化によって上がった身体能力ですら上回る相手とはいえ、ここまで疲弊するとは。
尻尾を握られる事はなんとか躱せているが、正直厳しい。連戦のダメージもそうだが、今回は逆転を敢えて使わないようにしているためだ。
逆転を使用した上で戦うのであれば、肉弾戦に特化した相手ならいつかは勝ててしまう。それではダメだ。そのため、逆転抜きで戦うことで戦闘の勘を鍛えようとしているのだが…
「…はぁ…はぁ…っ…‼︎」
「少し休憩を挟みますかな?あくまでこれは特訓ですし…」
「…いや…つづ…ける…‼︎」
「そうですか…ではそのように。
レベル7‼︎もっと本気でやってもいいですぞ‼︎」
先ほどよりもキレのある動きで襲いかかってくる怪人。思っていた以上に厳しいものだ。ただでさえこちらは疲弊しきっていると言うのに。だが、おかげで着実に成果は出てきている。今までであれば、逆転が無ければ瞬殺されてもおかしくない相手と渡り合えているのだ。
繰り出される攻撃を、すんでのところで躱す。受け流す。こちらから攻めるのは最小限に。よし、この速さにも慣れてきた。攻め手に欠けているのは仕方がないが、敵の動きに隙が出来たタイミングで攻めればいけるだろう。
数十発もの攻撃をいなしていると、流石に相手も疲労してくる。今だ‼︎ここしか無い‼︎幾度となく同じフォームで繰り出された拳に、ステッキを沿わせる。一気に加速して、ステッキを顔面に叩きつける。後は連続だ。一瞬の隙も与えずに連打していく。
暴れ出す怪人の腕をすり抜けるように躱し、ステッキを叩き込み続ける。途中何度か腕が掠ってしまったが、なんとか急所は躱している。
そろそろだ。ぐらりと傾いた怪人の土手っ腹にステッキを押し当てて、必殺技。なんとか撃破に成功する。力が抜けて、思わずぺたりと地面に座り込んでしまう。
「…ぜぇ…ぜぇ…‼︎レベル7…勝てたか…‼︎」
「…流石ですな‼︎拙者の予想ではレベル5程度が限界だと考えていたのですが…やはりプリズムハートちゃんは強い‼︎折れぬ心はやはり相当な力になりますなぁ…‼︎
さて、次はレベル8ですが…今日はもう遅いですぞ?
いくらなんでもここに泊まっていただくわけにもいかないと思うのですが…どうしますかな?」
「泊まる」
「えぇそうですな、ちゃんと帰って……は?
今…なんと?」
「ん?泊まるって言っただけだけど…」
「何を馬鹿な事を‼︎良いですかな⁉︎
ただでさえ敵の基地で戦っていると言うのに‼︎なぜそんなにも警戒心が無いのですかなぁ⁉︎おかしいですぞ⁉︎いくらなんでも純粋過ぎますぞ⁉︎うら若き少女が一つ屋根の下で男と寝泊まりするなどダメに決まっているでしょうが‼︎」
そうだろうか?どうせこいつが襲ってこない事は分かってるし、別にそこまで警戒は要らないだろう。両親はそもそもこの状況も知らないし、すみか達だって知らないはずだ。リズは…多分察してくれるだろう。
「だってお前、オレのこと襲ったりしないだろ?」
「そう言うことではござらん‼︎倫理的な話なのです‼︎」
「そんなこと言ったらお前…自分の家みたいなところに少女を連れ込んでる時点でなぁ…?」
そういってやれば、「うぐっ‼︎そ…それは…‼︎」と言ったっきり言い返してこなくなった。よっぽど効いたのだろう。そりゃまぁやってる事は側から見れば薄い本の導入のそれだったしなぁ…ここまできたらいっそ泊まろうが変わらないと思うんだよなぁ。
「…では…泊まると言う事で良いですかな…?」
「おう‼︎」
「せめて少しは迷っていただきたいですなぁ…‼︎」
震える声で確認してくるので元気よく言葉を返せば、ものすごく辛そうな声を捻り出してきた。こっちとしては信頼の証なんだけどなぁ?
「で…では少しお待ちください…準備してまいりますぞ…‼︎」
「よろしくな‼︎待ってるぞ〜‼︎」
とぼとぼと別の部屋に歩き出した博士を見送って変身を解除する。思ってるよりも疲労が蓄積していたようで、変身が解けた瞬間に倒れそうになってしまい…怪人に抱き止められた。レベル8の怪人だ。思ったより紳士的でびっくりする。喋る事は出来ないが、態度から親切さが滲み出ている。明日はよろしくと言う意思を込めて拳をコツンとぶつければ、任せろと言わんばかりに胸を叩いた。やっぱり、怪人と言っても千差万別だ。こういったタイプの怪人が多ければありがたいんだが…そうもいかない現実にため息が出るのだった。
side 博士
今日1番の深いため息を吐く。本当に信じられない。なぜああも警戒心が無いのか。こちらに悪意が無いことを察した途端、全面的に信頼を寄せてくるのはいかがなものか。彼女いない歴=年齢の拙者にはただでさえ女の子というだけで刺激が強いのに、信頼して寝泊まりするなどと言われてしまうとは。そういった気は一切無いが、それでも流石に刺激が強過ぎるのですな‼︎
誰かこの気持ちをぶち撒けられる相手が欲しい。防音室に入って叫んでしまおうかと考えていると…目の前の景色が揺らぐ。
「やぁ博士、久しぶりじゃないか。
少し話があって来たんだけど…ちょっと良いかい?」
「これはこれは…いつの間にか入られていましたか、銀の魔法少女。
…その魔法、やはりずる過ぎませんかな?」
急に現れた彼女は、最強の魔法少女と名高い相手。拙者達は銀の魔法少女と呼称しているが、名前等は不明なまま。わかっていることとしては、固有魔法があまりにも万能なことくらいですな。
「…そろそろその呼び方変えてもらっても良い?
ボクには『レイスターレット』っていう立派な名前があるんだけど?」
「…は?それって世間に公表されてない情報では…?」
「別にボクは隠す気無いんだけどねぇ?そもそもボク自身が謎の多いキャラみたいにされてるせいで、あんまり公表される機会が無くてさ。周知されにくいんだよね…」
まさかまさかの情報だ。名前だけではあるけれども。少なくとも、この組織において初めてその名前を知ったのは拙者だ。前回に続き、銀の魔法少女ことレイスターレット推しの同僚には本当になんといったら良いのか。
「そうそう、この基地にあった自白剤貰ってるけど良い?これはあると会話しやすいから助かるんだ…」
「えぇまぁ…どうせ止めようも無いので良いですが…」
「さて本題だ。特訓に関してはリズ経由で…プリズムハートちゃんの妖精経由で伝わっては居るから良いんだよ。監視役としてボクが選ばれた訳だしね。
問題なのは…さっき泊まるって言ってたけど、どうする?本当に泊まらせちゃう?」
「拙者としては断りたいですな。流石にヤバ過ぎますし、準備も出来ておりませぬ。一応部屋がない事も無いのですが…アレは…」
「アレは?」
「なんと言うか…その…」
正直言いたくはないですな。自分のプライドに関わりますし…‼︎ですが、こんな状況である以上は仕方がないというもの。
「とある施設を再現した部屋があるのですぞ。
寝室もシャワーもお手洗いもあります…が。
その…いわゆる、いかがわしいホテルの再現なのです。
様々な発想を得るため、彼女いない歴=年齢の拙者が行った事もないホテルを再現したという訳ですな。」
「…嫌な事聞いてごめんね?
一応場所自体はあるけど…流石にって感じなんだね。」
気遣いが逆に辛いですな…‼︎実際、今回は状況が状況ですので、いくらなんでもここに泊まっていただくわけにはいかないのですが…ここしか泊まれる場所が無いのが致命的なんですなぁ…‼︎
「うーん…そうだなぁ…
…よし!じゃあボクも泊まるからさ、それなら安全が確保できるからいいでしょ?」
「えぇそれなら…とはなりませんぞ⁉︎
確かに貴殿は強いですが…それとこれとは話が違うわけで…‼︎」
「うーん…じゃあさ、リズも呼んだらどうだろう?あの妖精がいれば安心だろう?なんたって相当強そうだし、妖精だからね‼︎」
「………!?!?!?!?
もう…好きにしてくださって構いませんぞ…」
頭がどうにかなってしまいそうだ。魔法少女の関係者とは、ここまで警戒心が無さすぎるものなのか。いくら拙者に悪意が無いのが分かるとはいえ…ここまで来ると、いっそ全てを話してしまった方が楽になれる気すらしてきてしまいますな。
もう考えるのはやめてしまいましょうか。知らぬ間に転移して来ていた妖精がレイスターレットを叱っているのを見て、もう無駄に隠すのはやめてしまおうとする拙者なのでありました。
「地味に初めましてかな?博士?」
「こちらこそ、リズ殿?」
まぁ、一応腹の探り合いはしておくべき…
そう考えていた拙者の考えは、いとも容易く打ち砕かれ。
「とりあえずこころもレイスターレットも僕も今日はここに泊まるって事で。後でまた詳しく話だけは聞かせてね?ああそう、腹を探ろうとしても無駄だよ?こっちはそちらの考えがある程度読めるけど…そっちは読めないだろうしね?まぁ一応事情とかがありそうなのは把握してるし…詳しくは明日にでも話そうか?」
この妖精あってプリズムハートちゃんありだったと教えられるとは。まったく…もうヤケクソですなぁ‼︎
次回あたりで特訓回は終わり…かなぁ?
モチベup&番外編用?人気度アンケート どの魔法少女が好き⁉︎
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桃井こころ/プリズムハート
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青木すみか/ブライトダイヤ
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藤原なぎの/グリッドスペード
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緑谷よつは/シャイニークローバー
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白銀あかり/レイスターレット
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リズ/プリズムイクリール