side こころ
我が家に家族が増えてた翌日。
怪人が出ることも無く、学校が終わってからはカギムーのクッションのような体に沈み込んで昼寝していたオレだが、リズの視線が痛い。まぁ確かに怪人を倒さずに家に連れて帰るのはおかしいけどさ?
情報も手に入るし、こいつが敵に回らなくなるしでいい案だと思ったんだけどな…?
「そう思うのは君だけだろ⁉︎いくらなんでもやりすぎじゃないか‼︎まぁ戦ってもらってる手前文句なんて言えない立場だけどさ…まぁ良いよ。どっちにせよそっちのやる気が重要だしね。」
「やったー!良かったなカギムー!無理やりじゃなく認めてもらえたぞー!」
「やったー!オイラもこれで正式に家族だー!」
「ハァ…先が思いやられるねぇ。
というかなんだい?昨日の戦い!馬鹿げた理由で捕まった挙句くすぐられて降参⁉︎別にカギムー君が弱いとは言わないけどさ?アレに引っかかる君も君だぞ‼︎」
言われてしまった。まぁこれに関しては正直言い訳出来ないところはあるかもだが。
「いや…でもさ?前も言ったけどオレってそういうのに弱いし…な?」
「ダメだ!昨日だって誤解を解くの大変だったんだぞ⁉︎幸い僕の尽力でニュースで流れはしなかったけども!すみかもライも、君が洗脳されたと勘違いしてこの家にカチコミされるところだったんだから…」
「…マジで?後で言いに行った方が良いかな?」
「まぁ別に言いに行くのは自由だけど…カギムー君は絶対に連れて行かない事!これで連れて行ってみたらどうなると思う?彼女達からすれば自分たちも洗脳に巻き込まれるかと思ってカギムー君に攻撃するかもしれないんだよ?」
「そっか…じゃあすみかやライに紹介は出来ないか…残念。」
「やっぱり君洗脳されてないか⁉︎普通そこまでなるかい?いくらブサかわいいからってこの子怪人だろう?やっぱり危険なんじゃ…」
そんな訳ないだろう。洗脳やら何やらをするとしたら、専用のアプリかおじさんか5円玉かそれ専用の能力だけを持った怪人くらいのもんだ。粘液や和む空気を発する事が出来るカギムーは、すでに持てる能力分を使い切ってるはずだ。
「そんなこと言うなよ!ほらみろ、リズがカギムーを泣かせたー‼︎」
「ひっく…オイラ…泣いて…ないもん…!」
「あーもう!僕が悪かったよカギムー君…後でおやつ食べるかい?」
「食べる!」
「オレもオレも!」
「ハァ…全く…!子供2人の世話は疲れるなぁ!」
さてと、冗談はこのくらいにしてそろそろカギムーを家に迎え入れた本題に入るとしようか。これまでの分かっている情報はこうだ。
①怪人には裏で糸を引く者がいる事。
裏を引いている者がいるのは分かっているが、トゲハーンやカギムーという例から、怪人をコントロールし切れているとは言えないようだ。
②何かしらの手段で怪人を生み出す、もしくは育成をしているという事。これに関しては、カギムーという失敗例がいることから、自由に生み出す、もしくは育成する事は出来ないということが分かる。
③これからの怪人は今までの傾向とは違い、虫以外の怪人もあり得るという事。
カギムーがいい例だが、カギムシは「ムシ」と語尾についているため、虫でなくとも「ムシ」とついていれば良い可能性もある。ここに関してはそこまで考えていてもどうしようもないからパスで。
④怪人の知能には大きな個体差があり、性格の差だけではないという事。
カミキリンやトゲハーン、アリーズなんかは知能が高かったが、見ての通りカギムーは幼い子供レベルだ。明らかにおかしい。育成が途中の個体はまだ未発達とかなら納得も出来るが…なんにせよ、怪人について分かっている事は多くないので結論づける事は出来ない。
これらの分かっている事をより詳しくカギムーに聞いて、今の謎を解こうと言うのが現在の状況だ。
と言うわけで聞いてみたのだが。
「オイラはえらいひとにおやつをまいにちもらってたんだ!えらいひとがどんなひとか?うーん…はげ!
いっしょにいたひとにはげっていわれてた!」
①に関してはほとんど知らなかったらしく、禿頭のおっさんである事くらいしかわからなかった。
「いくせー?オイラはおやつをもらってうんどうして、ましん?でそくてーしてたぞ!そくてーってなんだ?」
②は分かりやすい。恐らく育成で間違いが無いだろう。カギムーが捨てられたのも基準値を満たせなかったからだとしたら納得ではある。
「むしいがい?いたぞ!たしか…むしはてすとけーすだっていってた!しゅるいはいろいろいた!いろんないろのやつがいてきれーだったぞ!」
③も然りだな。虫以外の怪人も今後現れるとみて良いだろう。色々いたとなると…総戦力は相当のものだろう。オレ1人でカチコミに行くわけにも行かないという事だ。
「あたまのいいやつ?うーん…オイラいがいはたぶんみんなあたまがいいぞ?だって、えらいひとがそういってたし!」
④は少し残念だ。カギムークラスの知能のやつが多くいれば助かったんだが…まぁ分かっただけでもいいか。
「どうだった?リズ!参考になりそうか?」
「かなり参考になるね。この結果を上の方にも持って行って少し掛け合ってみるよ。そうすれば、正式にカギムーを味方に引き入れることもできるかもしれない。」
「マジか!そりゃ良いな!なーカギムー?」
「うん!よかったー!」
[ピンポーン!]
「ん?インターホンが…すみかか!ちょっと出てくる!」
どうしたんだろう?特に連絡もよこさずに急にくるなんて珍しい。
「待つんだこころ!今の君が行ったらまずい!変に誤解されてるままかもしれないだろう!?ここは僕が言った方が良い!」
「まぁ確かにそうかもな!よろしく!その間オレはカギムーと遊んでるからなー!」
「ほどほどにしときなよ?全く…
さて、お客様を迎えないとね。やぁすみかにライ。急に来たりしてどうしたんだい?」
side すみか
ここだ。こころが住んでいる家。そして今は…怪人カギムーの縄張りでもある。
リズは誤魔化そうとしていたけど、私には分かる。あれは本人でも迷っている証拠だ。それはつまり、僅かながらも怪人の洗脳に抗っていると言う事だ。
だからこそ、カギムーにバレないようにここまで来たのだが…
「こんにちは、リズ。急に来てしまってごめんなさい。実は相談したい事があって…中に入ってもいい?」
「相談するのは良いけれど、中でってのはちょっと無理かな?」
「それはどうして?何かやましい事でもあるの?」
「そう言う事じゃ無いさ…ただ…その…」
怪しい。やっぱり何かを隠そうとしている。いつものリズとは思えない動揺っぷりに、疑惑が確信に変わっていく。
「とりあえず、また今度ならいいからさ?今日のところはせっかく来てもらって悪いけど…帰って貰えないかな?」
やっぱり絶対何かを隠してる‼︎無理やりにでも家に入ってしまおうか。そう思っていると、何やら声が聞こえてくる。
「あー!それオイラのおやつ!ずるいぞ!こころ!りずがいってたぞ!そんなにたべるとぶたみたいになっちゃうってな!」
「なっ!なんだと!そもそもこれだって元々オレのだしー!お前が来たからちょうど3個あったお菓子をお前に渡してただけで別にお前のって決めてたわけじゃ無いからな‼︎」
聞こえてきたのは断片だが、内容は想像で補える。おそらく…こういう会話に違いない!
『
『
あの時だってそうだ!
やっぱり!早くこころを助けないと!
「やっぱり隠してるじゃない!今の声を聞いてもまだ言い逃れする気⁉︎」
「えぇ…?今ので、かい?どう聞こえたらそうなるんだ…!」
「早くして!じゃないとこころが…あの怪人に!口にも出来ないようないかがわしい事をされた上、家畜みたいに扱われちゃう‼︎」
「ハァ⁉︎なんでそうなるのさ‼︎本当にどう聞こえたんだ⁉︎
とりあえず…もう面倒だし家の中に入ってもいいよ?好きにしてくれればそれで…」
「ありがとうリズ‼︎待っててこころ‼︎私とライとで必ず助けてあげる‼︎」
side リズ
本当になんでさっきの話を聞いていたらそういう考えに繋がるのかが分からない。ライもそう聞こえたらしく、すみかと一緒に家に飛び込んで行った。確かに2人は家の外にいたせいで断片しか聞こえていないとはいえ、どう聞こえたんだ…?
さっきの会話の全文はこうだ。
「あー!それオイラのおやつ!ずるいぞ!こころ!りずがいってたぞ!そんなにたべるとぶたみたいになっちゃうってな!」
「なっ!なんだと!そもそもこれだって元々オレのだしー!お前が来たからちょうど3個あったお菓子をお前に渡してただけで別にお前のって決めてたわけじゃ無いからな‼︎」
果たして2人にはどう聞こえていたのやら。そろそろ誤解を解きに行かないとカギムー君がやばそうだ。今日一番のため息をつくと、僕は玄関のドアをバタンと閉じた。重苦しいドアの音が、これから解かなきゃいけない誤解の重たさを表しているようで。僕はより一層大きなため息をついた。
久々のまともな勘違い。そこら辺の描写は次回にもう少しやる予定です。
モチベup&番外編用?人気度アンケート どの魔法少女が好き⁉︎
-
桃井こころ/プリズムハート
-
青木すみか/ブライトダイヤ
-
藤原なぎの/グリッドスペード
-
緑谷よつは/シャイニークローバー
-
白銀あかり/レイスターレット
-
リズ/プリズムイクリール