何とか不定期にならないよう更新していきたいです…‼︎
「ふざけないで‼︎それが本当に良いと思ってるの!?」
「うおっ⁉︎何もそんなに怒ることか…?」
sideすみか
ふざけている。結果的に無事だから良い?再生するから問題ない?それで良いわけがない。新しく得た形態について嬉しそうにと話すこころに対して、怒りが込み上げてきて、つい言ってしまった。
「確かに痛いけど…その分強くなったしさ‼︎
見たろ?あれだけの強さになるんだし…」
「良いわけないじゃない‼︎
再生するからって攻撃が効かないわけじゃ無いのよ⁉︎ちゃんと傷が出来て…痛みがあって…‼︎
それに何⁉︎傷が無ければ無いで身体の中が勝手に傷つくんでしょう⁉︎」
「それは…っ!そう…だけど…」
本当にどうかしている。なぜ神様はこころにこんな力を授けてしまったのか。確かに強くはなるかもしれない。今まででは太刀打ちできなかったという怪人を倒した事は知っている。だが、だからと言ってそれをよしとする訳にはいかない。
結果的に戦いの中で傷を負うならまだ分かる。これに関してはどうしようもないし、対処の仕方次第ではあるからだ。だが、こころのそれは違う。
戦う前から傷つく事が分かっているようなものだ。最初から、苦しむ事が分かりきっているのだ。そんな事を許してはいけない。今だって強がってはいるけれど、内心では嫌がっているのだろう。
あの形態について話し始める時、こころはいつも軽く震えるのだ。まるで、言葉に出すだけでも痛みを思い出して怯えるように。彼女は確かに強い。心も体も、技術だって。あの形態であるならば、最強に並ぶほどに。けど、そうじゃない。
彼女はただの女の子なのだ。痛いものは痛いし、苦しいものは苦しい。辛い事は辛いし、悲しい事はちゃんと悲しいと感じる。ただの女の子だ。なのに、私たちを心配させまいと強気に振る舞っている。
それを言葉通りに大丈夫だと受け取って、じゃあ良いよと言うわけにはいかない。そもそも、とっくの昔に彼女の心は悲鳴を上げている。一つ前の獣化だって、私たちと違って大きなデメリットを抱えていた。感覚が過敏になることで、痛みが増幅するというデメリット。見えない鎧を纏う私では、到底想像もつかない痛みだろう。
「でも…あれで戦わないと…」
確かに、戦力として考えればあの形態になるのが最善ではある。だが、あんな形態を許してはいけない。何より、あの形態を知って直感した。ここで私が止めないと、こころは手の届かないところへ行ってしまう。
「とにかく!あの形態にはなっちゃダメ‼︎
なるとしたら…本当にどうしようも無い時だけ‼︎
分かった?」
「うーん…でも…最初からあの形態の方が強いし…」
「ダメったらダメ‼︎本当にどうしようも無い時だけにして‼︎それ以上言うなら…獣化しながらマッサージを…‼︎」
「わわわ分かった!分かったから‼︎マッサージは勘弁してぇ…‼︎」
…ふぅ。ひとまずはこれで良いだろう。ここまで釘を刺しておけば、多少こころだって踏みとどまってくれるはず。
…という私の甘い考えは翌日のネットニュースにあがっていた、『紅い炎を纏ったプリズムハート、獅子奮迅の大活躍‼︎』という見出しによって簡単に打ち砕かれるのであった。
「こーこーろー?
この見出し…言い逃れ出来ると思ってるの…?」
「あ…あはははは‼︎
…ごめんなさい」
「あやまる気持ちがあるならあの形態にならないで‼︎
何で使っちゃったの?獣化でも充分だったじゃない‼︎」
確かに、強力な怪人が数体も出現していた状況を打開するのには、あの形態がちょうど良かったのかもしれない。けれど、別にそこまでしなくても良かったはずだ。『犬』のスピードなら、十分に対処出来たはず。夜になりそうだったこともあり、『蝙蝠』で戦うことも出来たはずだ。
「だって…そっちの方が楽だったし…」
「だからって無意味に傷つく事ないじゃない‼︎
前からだってそう!そんなに傷つく方を選んで…‼︎
自己犠牲が何でも良いわけじゃないのよ⁉︎
こころが傷付けば、嫌な思いをする人だっている!心配する人だっている‼︎何より‼︎こころ自身が、簡単に傷つく事を許しちゃいけない‼︎楽に戦えるからって何度も傷つくのが正しいわけないじゃない‼︎」
「そう…なんだけど…」
…どうにもダメだ。彼女は言っても聞いてくれないらしい。こうなったら、実感して貰うしかない。普段私たちが、どんな思いで彼女を見ているか。
「っと悪いすみか!怪人が…」
「分かってるわ。今回は私が行く。こころも着いてきていいけど…条件があるわ。決して手を出さない事。私にも怪人にも、干渉しない事。
もし今回の戦いの中でそれが出来たなら、あの形態になるのも許すわ。」
「…?分かった…」
よし。言質は取った。急いで現場に向かい、変身。今日の相手は、身体中に棘がある。ヤマアラシだろうか?棘だらけの怪人とは、つくづく縁がある。私がこの力を覚醒させたのも、棘の怪人だったか。私の鎧を通せないような棘では、傷一つつける事は出来ない。
それをこころは分かっているのか、手を出してくる気配は無さそうだ。微塵も心配のないその目を曇らせる事になるのは心苦しいが、彼女のためだ。
こちらに気づいて接近してくる怪人。背中を向けて飛びかかってくる怪人の攻撃を、そのまま受ける。痛い。急所に刺さってはいないが、深く刺された事であたりに鮮血が舞う。
負けじと光弾を放って吹き飛ばすが、思っていた以上に深く刺さった針が数本あったのか、抜けずに身体に刺さったままだ。あまりの痛みに気絶してしまいそうだ。すぐにでも諦めて降参したい気持ちを抑えて、いつもこころがするように不敵に笑う。
「すみか!!何で…⁉︎鎧があれば喰らうわけ…‼︎」
こころの驚く声が聞こえた。そりゃあそうだろう。いつも通り無傷に終わる戦いだと思っていたのだから、驚くのも無理はない。だが、この程度で終わらせるつもりはない。
あえてまばらな光弾を何発も打てば、折れて飛び散る針が私に突き刺さる。そんな事はお構いなしに、何度も何度も光弾を放つ。怪人は光弾に押されて動けてはいないが、力を溜めて何かをしようとしている。
「やめろすみか‼︎そんな戦い方…すみかじゃない‼︎
鎧を使わないと‼︎それじゃあ傷付くだけ…っ⁉︎
…まさか‼︎」
どうやら、こころは理解したらしい。なぜ私がこんな戦い方をしているのか。そろそろか。力を溜めきった怪人が全身に力を込めれば、四方八方に針が飛ぶ。この距離なら、こころにも当たってしまうだろう。
普段なら、形を変えた鎧で防ぐのだが…今回は違う。あえてこころの前に立ち、こころと同じように背中で庇う。何本も背中に突き刺さる針に、思わず声が漏れそうになるのを我慢して、にこりとこころに笑いかける。一本の針がちょうど傷ついていた位置に刺さり、貫通する。その針はこころに当たるか当たらないかの位置でピタリと止まった。
「ごほっ…‼︎こころ、大丈夫?」
「……っ‼︎すみ…かぁ…‼︎」
もう良いだろう。充分こころは思い知ったはずだ。自分が今まで強いてきた事の辛さを。心配する側の気持ちを。
怪人の方に向き直り、固有魔法をもって捕まえる。既に針を失ったヤマアラシなど、敵ではない。そのまま必殺技を放てば、甲高い断末魔を上げて怪人は爆発した。
やる事をやりきった事で、思わず身体から力が抜ける。そういえば、かなり重傷だった。鎧を持った私がここまで傷つくのはもしかしたら初めてかもしれない。
「すみか‼︎すみかぁ‼︎しっかりしろ‼︎気を強く持って‼︎今にリズが…リズが来てくれるから‼︎
リズ‼︎助けて‼︎このままじゃすみかが‼︎すみかがぁ…‼︎」
「分かっ…た…?
いつもの…こころって…こう…見えてる…の…よ…?」
「分かった…‼︎分かったからぁ‼︎ごめん…すみか…‼︎本当にごめん…‼︎こんなに…こんなに怖かったんだな…‼︎」
良かった。それが分かってもらえて。急いで転移してきたリズを見て安心したのか、徐々に瞼が重くなっていく。こころにギュッと握られている手にも、上手く力が入らない。血を流しすぎたのだろう。
ゆっくりと眠るように力を抜いていって、ふと気づく。あれ?このまま寝たら私ってこころに死んだと思われない⁉︎だがもう遅い。ゆっくりと暗転していく視界の中で、完全にやらかしたと考える私なのだった。
side こころ
ずるり、とオレの手からすみかの手が滑り落ちる。嫌だ。こんな別れなんて嫌だ。オレのせいだ。オレのせいで、すみかはこうなった。オレがいつもどんな危険な事をしているか。あの形態に固執する事がどんな意味を持つか。何も分かっちゃいなかった。
「リズ…リズぅ…‼︎」
「…任せて。こころ。」
「大丈夫だよな?すみかは…すみかは…‼︎」
「気絶しているだけだよ。血を流しすぎたみたいだ…ちゃんと治せば大丈夫。」
認識が甘かった。確かにあの形態であれば、強いし自分の欲も満たせるし、最高だと思っていた。けど、側から見たらどう思うかなんて、考えてなかった。
今までは確かに、仕方なく攻撃を受けると言うものだった。それでも心配したすみかは、魔法少女となってオレの負担を減らそうとしてくれた。そんな事を考えもせずに、オレはひたすら戦っていた。今まではまだ良かった。だが、あの形態は確かに違う。
わざわざ攻撃を受けないといけない形態なんて、普通じゃない。常識を見失うところだった。ただ強くなった事実に手放しで喜んで、周りのことを考えていなかった。
このまま戦っていたら、周りのことを考えずに戦うような魔法少女になっていたかもしれない。すみかのおかげで、何とか気づけた。
「ありがとう、すみか…」
それに、自分でも気づかない内にとんでもない事を起こしかけている事に気づけた。それは…
『最終形態が出ると、他の形態がリストラされる』事だ。
見る側だった頃は文句を言っていたが、実際戦ってみると楽な方に流れてしまう。そりゃあ簡単な方が楽だし、デメリットがあっても使ってしまう。オレ的にはデメリットは悪くは無いが、側から見たら正気じゃ無いだろう。見た目的にも周囲的にも、確かに良くなかった。確かに、皆が受ける痛みを肩代わりするのは良い。けど、わざわざ攻撃を喰らいにいくのは違う。それをするのは、どうしようも無い時だけで良い。
それはそれとして、思っていた以上にすみかを心配させてしまっていた現状を恥じるオレなのだった。
…あれ?よく考えれば…こう考えている人ってオレの周りにたくさんいる?結構多くの人の脳を焼いて心配させてる?もしかしてかなりやりすぎてた?
…あの…オレ…また何かやっちゃいました?
…やっちゃってますね!
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