side:こころ
皆を連れ帰った翌日。身体は回復したらしいが、1人を除いて目を覚まさずにいる。正直めちゃくちゃ不安だ。リズの回復で治したし、本人が大恋人と言っているから万が一は無いのだろうけど、怖い。すみかが、なぎのが、よつはがこのまま死んでしまうのでは無いかと思うと怖くて仕方がない。けど、そんな事も言っていられない。
唯一目が覚めている人物である、魔法少女・レイスターレットこと白銀あかり。彼女から聞かなければいけない事が沢山ある。
…のだが。
「えっと…うへへへ…ってそうじゃなくて!
でも今ボクはあのプリズムハートちゃんの家に…ふふふふ…!」
「えっと…話、良いか?」
「うぇっ⁉︎ぼぼボクに話⁉︎そそそんなの恐れ多くて…!」
この通り、喋りづらい。いや分かるぜ?オレだってオタクとかのそういう…推しに対してのアレコレとかさ?でも今はそんな事言ってる場合じゃないんだよなぁ…!色々ありながらもなんとか聞き出したが、一応前に聞いていた話も少し混じっていた。なんならリズも便乗してかなり重要な秘密を話してくれた。…この話もっと早くに聞いた方が良かったんじゃないか?
かいつまんで説明するとこうだ。白銀あかり、彼女の正体は異世界人であり、幼少の頃にこっちの世界に捨てられる形で来たらしい。捨てたのは何を隠そう、これまでオレたちがラスボスとか呼んでた相手。名を「ラァス・ビォス」。もう実質名前がラスボスだろこれ。なんだその名前。言いづらいんだよなんか!
ともかく、そいつに捨てられたあかりは運良く年寄り夫婦に拾われて、すくすくと育ち今に至るそうだ。今の名前もこちらで付けられたらしい。元の名前についてはデリカシーとかを考えた結果聞かなかったけど。まぁ、絶対嫌だろうしな。オレだったら思い出すだけで苦しいはずだ。
オレたちが倒すべき相手、「ラァス・ビォス」。その名の通り、これまで起きてきた怪人による被害の元凶とも言える存在。正にラスボスだ。こいつは既にいくつもの世界、国々を滅ぼしているようで、その中にはリズ達妖精の国もあったそうだ。まぁ滅ぼすと言っても皆殺しにしたという訳ではないようで、リズ達の国に関しては徐々に復興が進んでいるそうだ。
好きなように国を破壊し、世界を混乱に陥れ、終わったら次の世界に向かう。こいつ頭イカれてるな。だが、こんな奴でも強さは本物だ。これまで多くの戦士達がラァスに戦いを挑み、散っていったのだという。その中には当然、リズの家族も。「家族って言ってもまぁお爺ちゃんだけどね?」とか本人が言ってるからちょっと悲壮感薄れるけどな。「だって面識無いし…ボクが実は王の血筋で、お前は次代の王だとか言われても正直実感なかったんだよねぇ…」とか、リズの気持ちは分かるけど、だいぶ無茶苦茶なこと言ってないか?
とりあえず、世界を滅ぼして回る奴なんて放っておいたらとんでもない事になる。滅ぼされた世界の人々は、ない知恵と技術を振り絞ってとある力を完成させた。それこそが、魔法少女。魔法少女とは、ラァス・ビォスに対抗するための力だったのだ。
話のスケールがデカすぎて色々とついていけそうになかったが、一つ疑問が生じた。
「なぁ2人とも、なんでラァスは…世界を滅ぼして回ってるんだ?」
「良い疑問だね、こころ?それは…」
「娯楽、ですね!ただ楽しいからやってる…それだけです!」
「なるほどな!ありがとな2人とも…
……は?」
今。今、遊びって言ったか?まさか。自分が楽しいからなんて、そんな理由で?幾ら何でもふざけすぎだ。そんな事あって良いはずがない。けど、それなら納得もいく。あのレイスターレットに加え、変身していないとはいえリズすらも簡単に倒してしまう力。はっきり言ってこいつがわざわざ自分より弱い怪人を生み出して戦う理由はない。それだけ力があるのだから、最初からラァスが出ていれば地球なんて簡単に滅ぼして次の世界へ進んでいただろう。
それをしなかった理由。臆病でもなく、油断が無かった訳でもない。寧ろその真逆。弱い手駒でどこまで遊べるか、試していたのだ。博士達に怪人を作らせたのもその一環か。自分で生み出すとどうしても強くなってしまって楽しくないのか、わざわざこちらのレベルに合わせてきたという訳だ。馬鹿にしている。だが、それだけの実力差があったのも事実。リズ達妖精が魔法少女という力を持ち込んでくれなければ、それすら跳ね除ける事は出来なかったのだろう。
そう考えると博士達は凄い。オレと違って、怪人にすら抵抗できないほど弱かったのに。自分達が世界を滅ぼす片棒を担がされていると分かって、それでもなお諦めずに居たというのだから。オレもだ。どれだけ相手が強くたって、諦める訳にはいかない。決意を新たにしていると、魔法省から連絡が来た。内容は…っ⁉︎
「なんだこれ…避難指示?それも…魔法少女も含めた?」
「ボクの方にも来てる!いや来てます!」
「これは…テレビ付けるよ!」
あかりの方にも来ていたらしく、合わせてリズもテレビを付けた。そこに映っていたのは…炎に包まれた都市。いや、都市だったもの。
酷い。余りにも…惨い。幸い、死者数はゼロ。皆避難所に逃げ込めたようで、残ったのは人々には見向きもせず暴れる4体の怪人達だけ。なぜこれだけの被害で誰も死ななかったのか。答えはこれだろう。何度も流される避難時の映像を見れば、魔法少女が誘導しつつ一緒に避難しているのが見えた。普段は街を守る魔法少女達は、魔法省の避難勧告もあり敵に敵わないと見るやすぐに避難に全力を注いだ。流石だ。例え怪人に力が及ばなくても、やれるだけのことをやっている。
…オレ達も続かないと。
「いくぞリズ!アイツらを…倒す!」
「避難勧告は無視するのかい?まぁそれでこそ僕の相棒だけどね!」
今は街で暴れているだけとはいえ、避難所のシェルターに向かわないとは限らない。出ていっちゃダメとは言われているけど…そんなことは言ってられない。
「じゃあボクも一緒に…!」
「ダメだ!君はまだ体力が回復しきっていない!
外傷は無くても、実験のせいで削れた体力は削れたままなんだよ?無理やり回復するやり方じゃない、
あかりが行こうとするのを静止するリズ。出来ればあかりには着いてきて欲しかったけど、仕方がない。万が一、ラァス・ビォスが行動に出た時に備えてもらう事にする。
「そういう訳だ…何かあったら頼む!あかり!」
「いい…今ボクの名前を呼んで…!
…分かったよ!いえ分かりました!」
「別に敬語じゃ無くても良いんだけどな…まぁ任せた!」
なぜかピシッと敬礼するあかりを背に、燃える街に走るオレとリズ。2人でとはいえ、一気に4体の怪人の相手…さらに不安要素もある。正直あの街の被害を見てから嫌な予感はしているが、それが的中したらとんでもない事になっているだろう。
最高速で駆け抜けた先、空に浮かぶ4体の怪人を見た瞬間、その予感が的中していたことを悟った。これまでの博士達の作っていた怪人と、ラァスが直々に作った怪人。その両方を併せ持ったかのような姿だ。
ここで少しおさらいをしておこう。博士達の生み出した怪人は、何かの生き物をモチーフとして形作られている。カミキリムシとか、トゲハムシとか、カギムシとか。ムシ系以外にも電気ウナギとかパンダとか、エミューとか。様々な種類の怪人がいた訳だが、彼らは全て実在の生き物がモチーフだ。それぞれの動物の能力や、その動物に対して人間がイメージする能力を持ち、その特徴を大きく引き継ぐ見た目をしている。
目の前にいる怪人は、確かによく見たことのある特徴ばかりだ。ダイヤ、スペード、クローバー、そしてスター。すみか、なぎの、よつは、あかり。オレの頼れる仲間達、魔法少女達のスートが体に刻まれている。
それが意味するのは簡単だ。アイツらは、魔法少女から作られた怪人。これまでの奴らとは…文字通り格の違う相手だという事だ。背中を伝う冷や汗が妙に冷たく感じる。冷え切った雫は、オレの恐怖心を暗に示しているようだった。
次回更新は1ヶ月以内を目指しています!
高評価・優しい感想お待ちしてます!モチベ上がるので!
モチベup&番外編用?人気度アンケート どの魔法少女が好き⁉︎
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桃井こころ/プリズムハート
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青木すみか/ブライトダイヤ
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藤原なぎの/グリッドスペード
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緑谷よつは/シャイニークローバー
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白銀あかり/レイスターレット
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リズ/プリズムイクリール