TS転生ドM強制逆転オレっ子魔法少女の日々   作:メガネズミ

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タイトルにあるとおり、今回はIFが絡むお話です。最初から最後まで作中での出来事であり、別世界線とかそういうのは関係ないので安心してお楽しみください。


逆転の魔法少女、仮定!!

 

 

side こころ

リズに描いてもらったイラストを眺めながら、オレは悦に浸っていた。例のサイトとは違い、服の細部まで再現されたその絵は、中々のクオリティだ。その上でストーリー性のある漫画のように絵が進行しているため、ある意味ではオレが逆転を持っていなかったifとも呼べるものに仕上がっている。

 

そんな中で既存の怪人にやられている姿は、なんというかその…くるものがある。オレが戦った怪人の中には、本気を出し切らずに負けたものもいる。カミキリムシの怪人/カミキリンのメイン武器は、なんでも噛み砕き、引き裂く顎だ。それ以外も鍛えていた事が仇となり、ただのパンチやキックでオレを敗北寸前まで追い詰めた事で逆転が発動し、顎を使うこともなく負けてしまった。

 

しかし、怪人の特徴をしっかりと捉えたこのイラストでは、その顎を生かした戦法を取れている。魔法少女が光弾を撃とうと振りかぶった瞬間に持ち前のスピードで接近し、強靭な顎で振り下ろされたステッキを受け止めた上でゆっくりと噛み砕く。諦めそうになるもまだ折れない彼女を前に、何を思ったか両腕を左右に広げて防御を捨てた。攻撃してこいという事なのだろう。チャンスとばかりに必死に攻撃し続ける魔法少女を嘲笑うかのように、傷一つ入らない肉体。

ステッキがあれば少しは傷が入ったかもしれないが、すでにステッキを失った彼女では傷をつけることすらできない。唯一可能性があるとするならば、カミキリンが触覚を用いて彼女を攻撃した際に偶然反撃が触覚にヒットする事だが、この世界におけるカミキリンは触覚での攻撃をしてこない。そう。最初から、この世界の彼女の敗北は決定していたのだ。

 

何度攻撃しても傷ひとつつかない怪人の姿に、絶望の表情に染まる彼女を見ると怪人はニヤリと笑い。

動きの止まった彼女の肩に大きく口を開けて噛みついた。魔法少女の悲鳴があたりに響く。生半可な攻撃を弾く防御力は、カミキリンの顎の前では無いに等しい。それでも未だ腕が繋がっているのは、怪人が手加減しているからにすぎない。彼は楽しんでいるのだ。魔法少女が苦悶の声を上げ、必死に自分に助けを懇願する姿を。

 

しばらくそうやっていると、叫ぶ気力も失せたのか。魔法少女が声を上げなくなった。音の鳴るおもちゃが壊れてしまい、つまらなくなったのだろう。カミキリンが顎を使って彼女を放り投げた。受け身を取ることもなく地面に叩きつけられた彼女の目はうつろで、目の端には涙が、口からは涎が無造作に垂れており、戦う気力が失せている事が見て取れる。少しして彼女の体から光のカケラが飛び散り、変身が解除されてしまった。

 

魔法少女は戦闘が継続できなくなった際に、強制的に変身が解除されることがある。自らの意思で解除する場合とは見た目が異なり、宝石が砕け散るような演出になっていてとても綺麗だ。

 

変身が強制解除された少女はその場からピクリとも動かない。死んだわけでは無い。痛みと敗北へのショックで動けないのだ。それを満足そうに見届けたカミキリンは、少女に背を向けて飛び去って行ったのだった。

 

中々見応えのある良い作品だった。確かにオレが逆転を持っていなければ、こうなっていた可能性もあったかもしれない。まぁ痛みに対する耐性はここまで低くないから怪しいところではあったが。

 

ふむふむ、次はトゲハーンか。トゲハムシの怪人で、武器は棘だ。よりにもよって攻撃が全く通らないすみかにやられたため、その攻撃力が舐められがちなやつだ。直撃を喰らったオレが一撃で体をぶち抜かれているので、その貫通力は尋常なものでは無い。あのカミキリンの打撃ですら、軽減されるほどの魔法少女の防御力を易々と貫く棘。もしもすみかが居なかったり、オレに逆転が無ければ間違いなくやられてた相手だ。どんな作品になっているのか楽しみだ。

 

トゲハーンは名乗りをあげると、小手調べとばかりに拳の表面の細く短い棘を見せつけるように拳を突き出してきた。当然、そんな分かりきった攻撃が当たるはずもない。魔法少女は紙一重で躱し、反撃しようとして…鋭い痛みに身体が止まってしまう。躱したはずの部分に、一本の赤い線が走った。驚く魔法少女に、トゲハーンは容赦なく追撃を仕掛ける。焦った事で回避がずさんになった彼女には、無数の傷が刻まれていく。

 

 

全身に切り傷を負い、痛みに顔を歪めて膝をつく魔法少女。なぜ攻撃が当たっているのかと困惑する彼女に、トゲハーンは攻撃のタネを明かす。曰く、あれはかまいたちだと。尋常では無い速度で繰り出される細くて鋭いものの周辺には鎌風が巻き起こる。見えない刃と言ったところだろう。諦めずにステッキの先を向ける魔法少女に、棘の怪人は己の切り札を切る。

 

先ほどまでの短い棘とは違う、太く、長く、鋭い棘。一瞬で彼女に接近すると、ステッキごと手を貫いた。壁に手を縫い付けられた彼女は、泣きそうになるのを堪えて抵抗を試みる。ステッキがないなりにパンチやキックを繰り出すも、傷が増えるのは少女の方ばかりだ。強力な棘は、攻撃だけでなく防御にも転じる。ステッキによる光線が使えない今、彼女はどうすることもできない。

 

ようやく己の無力を悟った魔法少女は、それまで堰き止めていた感情を曝け出した。抵抗もせずに悲鳴をあげ続ける少女を見て興がさめたのか、トゲハーンはステッキを完全に破壊すると魔法少女を蹴り飛ばした。壁ごと吹き飛ばされた彼女は、砕ける宝石のエフェクトと同時に気絶した。そんな事を気にすることもなく、トゲハーンは次の獲物を探し始めた。己を滾らせる存在を見つけに行ったのであった。

 

良かった。これならすみかにボッコボコにされて負けたトゲハーンも浮かばれるかもしれない。

 

次はアリの怪人。ハタラキ・アリーズだ。

彼らと戦った時はトゲハーンによってダメージを受けていた状態だったからあそこまでしてやられたが、それがないであろう状態でどうやって魔法少女を倒すのか。バトル漫画を見るような発言だが、実際の所どうやって勝つのかが予測できないため割と楽しみな方だったのだが…

 

「なぁリズ?タイトルだけ付いてるけどこれってまだ描けて無いって事か?」

 

「そうなんだよねぇ、正直全然思いつかなくて…」

 

「まぁ確かにな?傷を負ってたからああなった訳だし…強いていうなら痛みとかか?どれだけ万全でもこの絵の魔法少女は痛みに弱いみたいだし…」

 

「なるほどなぁ、疲れと時折喰らってしまう攻撃の痛みで動きが鈍ってきたところを数の暴力で、と言ったところだろうね。じゃあ早速描いてくるね!」

 

考えてみれば、この逆転という能力ですらオレみたいに痛みに強くないと発動するまで耐えられずに負けてしまえば終わりなのだ。前回くすぐりに屈したオレみたいに。

 

少し経った後リズが仕上げて来た作品は、先ほどの話を前提とした良いものだった。個人的にはこれが一番くるものがあった。1体1で戦えば簡単に倒せてしまう相手に数の暴力で押されるシチュエーションは、程よい痛みと長く続くピンチがとても良い。その上、それまで簡単に倒して来た相手に敗れるという屈辱がいいスパイスになっているのも挙げられる。とまぁ要するにめちゃくちゃ好きということだ。

 

改めて見ていくとしよう。

アリの怪人達/ハタラキ・アリーズに囲まれた魔法少女は、最初の方は優勢に立ち回っていた。多少の攻撃を受けても怯むことなく、果敢に攻めたて相手を薙ぎ倒す。多少のダメージや消耗はあるものの、このままいけば勝利は確実かに思われた。だが、ハタラキ・アリーズの真価はここからだった。

 

減らないのだ。いくら倒しても、何事もなかったかのように次々と増えていく。それもそのはず。ハタラキ・アリーズの数は尋常では無い。それまで彼女が体験したことのある連戦ですら、せいぜい数十体が限界。それを遥かに上回る数のハタラキ・アリーズ相手では、倒しても倒しても減っているようには見えないのだろう。その上、彼らは地下に穴を掘り、やられた側から次々と仲間を戦場に送り込んでいるため、援軍が到達していることも悟らせないのだ。

 

その上、ハタラキ・アリーズ達は見た目がほとんど同じだ。魔法少女からしてみれば、どれだけ倒しても倒しても何も変わらず、まるで攻撃などなかったかのようにそこに大勢の敵が残っているように見えるだろう。

微かにだがしていくダメージと、肉体的・精神的疲労による消耗はもはや誰の目から見ても明らかなほどだった。荒くなった息、白かった肌は見る影もなく、土気色になった顔。真紅の瞳は濁ってしまい、元の輝きは失われている。

 

とうとう膝をついた彼女に、じわりじわりと近づいていくアリーズ。そこからはただの蹂躙だった。抵抗する気力を失った彼女相手に四方八分から攻撃が襲いかかる。始めは痛みに声をあげていた彼女も、次第に声を上げることも出来なくなっていく。最後にはサンドバックのように扱われてもピクリとも動かず、身体から光の粒が飛び散ってその場に崩れ落ちた。変身が解けた後の彼女の姿からは、あの元気な魔法少女の面影は失われていた。

 

「うん!やっぱりこのシチュが一番だな!また描いてくれ!」

 

「良いけど…カギムー君のはどうする?描くかい?」

 

「オイラのかいてくれるのか⁉︎

できればかっこよくかいてほしいな!」

 

「うーん…オレは別に良いかな?実際に負けてるし、これ以外の負け方をリズも思いつかないだろ?

だからこそ催眠っていうキャラ付けをして描いた訳だし…」

 

「確かにねぇ。でも描いてあげないのも可哀想だし、カギムー君をかっこいい主人公にした絵本でも描くよ。」

 

「オイラはかいてもらえるならなんでもいいぞ!

やったー!オイラがしゅじんこーだ!」

 

なんやかんやでカギムーも普通に馴染んでるし、良かった良かった。こういう平穏な日々が続いてほしいもんだけど…まぁ明日には怪人が出てるんだろうなって。さぁ、これらの物語の魔法少女のように負けないように、逆転をしっかり使いこなして頑張るぞ!

 

「そういえば…すみか似の魔法少女を描いたことについての弁明は?」

 

「それは…削除じゃダメかな?」

 

「ダメに決まってるだろ‼︎」




次回、そろそろ新怪人かな?ワンチャン新魔法少女も出てくるかも…?

モチベup&番外編用?人気度アンケート  どの魔法少女が好き⁉︎

  • 桃井こころ/プリズムハート
  • 青木すみか/ブライトダイヤ
  • 藤原なぎの/グリッドスペード
  • 緑谷よつは/シャイニークローバー
  • 白銀あかり/レイスターレット
  • リズ/プリズムイクリール
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