今日は商店街で人気アーティストが、何やらイベントをするらしい。
そこで巡回と警備の両方をしなくちゃいけなくて、僕は巡回の方を任された。
商店街周辺ということもあって、結構人も多い。少なくとも平日なのがよかったね。
それでも15時に実施されているから、巡回を怠るわけにはいかない。
例の人気アーティストの面々は4人で、今後農業系アイドルと呼ばれそうな人たちとよく似ている。知らないかな、鉄腕なんとかっていうやつ。村や島を開拓している彼らのことだ。このイベントでは何をするんだろう?
後で録画するかな。
表通りから裏通りに入って、多くの人の目がなくなっているところを巡回する。
悪辣なことを考えている輩は、こういう大衆の目が一箇所に集まっているときに
やらかすから、隅々までやらないとなー。
狭い裏路地や夜は賑わってそうな薄暗い雰囲気の通りを歩く。
ふと。本当に一瞬だったが、絶対にありえないニオイがする。
とあるアパートやコナン君たちと一緒に乗り込んだ事件で、嗅いだことがある異臭がした。風向きを考えてながら、商店街周辺のちずを広げる。
確認したらその場へ走っていく。もちろん、無線で美堂巡査長に連絡を入れて、
勘違いであれば良いなっていう案件で応援を数人呼んでくれるようにした。
場所はゴミ捨て場。産業廃棄物の集積所ではなく、民間の一般ごみのほう。
木製の板で作られ、金網で補強されている。蓋は錆びている金属製の板だ。
潮風がない場合のサビっていうのは、発生までに結構時間がかかる。
腐食対策をしていなければ、すぐってもんだけど板の方には新し目の塗装がされている。
まだこのゴミ捨て場は、活用されているということが判明する。
しかし南京錠で閉められているはずなのに、それが外されている痕跡があった。
異臭の発生源がここであるとわかっちゃいるが、ちょっと覚悟決めさせてほしい。
なんせ、腐れ落ちてる遺体を見るのは、なにげに初めてなんだ。
今までは人に管理された遺体があったり、新鮮な遺体であることが多かった。
深呼吸するのも憚られる空気に、意を決して開ける。
ぷーんとする嫌な匂いに、胃の中から湧き上がってくる嫌悪感を飲み込み
ベルトに差している懐中電灯で中を確認する。
そこには遺体だけでなく、遺体の状態を表すギャザリングのカードが置かれていた。
うげっ、刑事に移管したのに、まだ捕まえられてなかったのか。
それに連続性の計画殺人かい。
ギャザリングカードによると、この遺体は胴だけでほかがないらしい。
「河野!」
「美堂巡査長!」
「捜査一課を呼んだ。現場保全の後、移管して巡回に戻るぞ」
「はい!」
なお、捜査一課が来てから現場に呼ばれることになった。
まあ第一発見者だし、そうなるよな。
「おや? 河野くんじゃないか」
「お世話になっております、目暮警部」
「ということは、キミが第一発見者なのかね?」
「はい。当時のことをお話いたします」
必要なことだけを理路整然と話す。
現場の状況や遺体、ギャザリングカードに関して。
更に先日発生したギャザリングカードを埋めて、逃走を図った被疑者との関連も
改めて聞いてみた。
「そういえば、二課が詐欺として、三課が強盗、組対が違法な高額取引に関して、
ギャザリングカードが出てきていたな」
「ひどいことになってますね」
「ああ。このことは表に出さないようにな」
「心得ております」
守秘義務~。
早速巡回から証拠探しに協力することになり、他の警官は叢(くさむら)や周辺の来客に職務質問して回っていた。
僕はみんなと違って、上を探すことにした。人って左右よりも上下に弱いんだよね。
だから、上の方をカメラで撮影したり、お店の人の許可をとってグリストラップ等を確認したんだ。
なお、グリストラップの第二浴槽……つまり油を浮かすところに、足と頑丈にラミネートされたギャザリングカードがあった。
風船みたいできもちわるかった。
「河野くん」
「なんでしょう、目暮警部」
「捜査一課に来ないか?」
「ははは、巡査だからこそできるってもんですよ。
それに職務に着任して1年未満のぺーぺーが、上に行けば警察の慣例を破壊しあまりよろしくないと思います」
「しかしだね」
「その話は後にしませんか? 今回の事件は、かなり大きいと思います」
「それもそうだな。よし、後日書類を送る。目を通しておきなさい」
警部より更に上の人に行くんだろうなあ。
し、試験に落ちないと!
そういうわけで、南部交番に届いた僕宛の書類に、同意不可ということで返信。
すると、次やらかしたら刑事にするからな、という意訳の今後の活躍をお祈り申し上げます文書が届いた。
コワすぎるぞ人事総務部!?