一般警察官の日常   作:名無しの権左衛門

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東洋火薬強盗事件、富士見花火強盗事件

<東洋火薬庫からオクトーゲンを含む爆薬と富士見町の花火製作所から

火薬が盗まれたことについて、警察は────>

 

「あーらら」

「来年の夏の花火は絶望的だなー」

「そういうわけだ。爆弾テロへの警戒として、早速巡回してきてくれ」

「「了解!」」

 

 と、時計じかけの摩天楼きちゃったよ。

堤無津川緑地公園、米花駅の噴水前ベンチ、5箇所の東都環状線の軌道内に仕掛けられて、

シティビルの大規模爆破かあ。

 

 どうすっかね。

 

 わかっているなら行動しろっつっても、米花駅はこっから東北の端っこにあるから

行きたくても難しいんだ。

堤無津川緑地公園なら、まだ近いからこっち行こうかな?

 

 そういうわけで、自転車を使って高速移動だ!

物陰から緑地公園を見るが、子どもたちはいない。今日じゃないのかな?

時間的には冬休みのクリスマスイブだったかな?

 その割には寒くない……ああごめん、意識し始めたらすごく寒くなってきた。

おかしいな。昨日まで夏日だった気がするんだけど。

 

 しばらくいないことを確認したので、違う区域にけったを走らせ地域住民の方に

不審物を見つけたら警察に連絡してもらうようお願いした。

時計じかけの摩天楼ならコナン君が直接解決すると思う。

 だけど、花火製作所から盗まれたとあっちゃ、別の所でやらかされることは目に見えてる。そういうわけだから、僕は僕のほうで対策なりなんなりするしかない。

注意喚起をしておかないと、警察の方にヘイトが向く可能性があるからね。

 

 まあ米花町付近に住んでいるんだから、あるていど自衛の心得はあると思う。

 

 さて、次は学校へ注意喚起……なんだ?

 

 頭に疑問が浮かぶ前に、地面が破裂した。

何を言っているのかわからないと思う。

でも、ほんとうにそのままの意味なんだ。

 くっそ。ここには先週植え始めた桜の木があるっていうのに。

しかも、佐伯さんが繋ぎ止めた『花の都』案件だぞ!?

 

 住民なら偶然だと思うだろうね。

でもこの世界なら関連計画を行なうのは、経験則からわかる。

森谷帝二と一緒に共謀しているか、隠れのみにしてやらかすつもりだ。

そうはさせないぞ。

 

 たしかこの時間帯、佐伯さんは植物園のほうだ。すぐに呼べないなあ。

まずはこの破裂を連絡して、この道路を担当している企業に修理をお願いしないと!

 

「杉方……さん、米花5丁目で、水道管爆破です。修理業者をお願いしてほしいんですが」

<おう! おいらに任せんしゃい!>

「場所は────」

 

 対応部隊がくるまで、閑静な住宅街の交通整理を行いますかね。

 

 ついでに周囲をつぶさに観察する。

破壊されたのはマンホール。

マンホールに穴をあけて、花火の火薬をしきつめ爆破したと考えられる。

 上水というより暗渠排水に近く、そこまで市民の生活に影響を出すとは考えづらい。

それに爆破も威力が高いというものの、地下のどこからか漏れているメタンガスに引火したわけでもなさそう。

 

 しばらくして緑台の刑事に引き継ぎを行い、パトロールを開始した。

さて、今回もめんどうな構図が見えてきた。

ただでさえ政治が止まっているというのに、コレ以上の厄介事は勘弁だぞ。

 そう頭の中で愚痴を吐き出しているんだけど、結局探偵に頼らないとどうしようもない。探偵がいなくても警察の上澄みは、犯人を特定できる。

しかしそうではない人が多い。僕も同様だ。

 

 というわけで、今日は休みであろう黒羽くんを誘おう!

 

「なんでオレを頼るんだよ!?」

「『花の都』案件って聞いて飛んでまいった!」

「佐伯のおっさんまで、きちまった!?」

 

 いろんなパイプを持ってる佐伯さんが、留守電を聞いて飛んできた。

では、黒羽くんの家でお話をしようか。

 守秘義務? どうせ明日朝刊を飾るんだからいいじゃん。

ああいや、本当は良くないことはわかってる。でもね、無差別爆撃は、ただの爆弾テロと変わりないんだよ。

 

「いや~ごめんごめん、黒羽くん」

「せっかくの休みだってのによお」

「休みなのに家にこもってばかりの君に、寺井さんがしんぱいそうな顔をしてらっしゃる」

「……わーったよ。で、何すりゃいいんだ?」

 

 僕は捜査協力()をしてくれる黒羽くんにお礼を伝えた。

そして黒田邸の火災も含めたニュースを聞きながら、米花町の桜の場所を聞き回る。

他にも植物園を経営していながら、市議会議員や町会に参加しているお仲間さんの事を聞く。

 植物園のデザインを考えながら、庭のデザイナーでもある庭師の笹川さん。

臨時西多摩市議会議員の八瀬山さん。米花市議会議員の楯岡さん。米花町長の目白さん。

都市計画の責任者の大江戸さん。

 

 このあたりを被疑者として扱うことにした。

といっても誰も彼もアリバイがあるので、今回の爆破はマンホールに仕掛けができる人に限られる。

 

「インフラ系で関わった人はいるのかな?」

「そもそもマンホールが爆発ってどういうことなんだ?

写真は……守秘義務で無理か」

「巡回中に使い切りカメラは持てないよ」

「だよなあ。ってか、巡査が個人判断で捜査協力はありなのか?」

「完全にダメだね」

「じゃあなんで」

「タンカー東京湾強襲事件で、国がてんやわんやしてるから人的リソースがね?」

「なるほど?」

「河野巡査、ここらの工事を担当しておるのは、武蔵工業と習志野コンクリートだ」

「なんで千葉?」

「まぁた過去の面倒事かよ!?」

 

 冷静であり続けないといけない警官としてありえない叫びをするけど、恨みは後で効いてくるっていうのはこういうことじゃないはずなんだ。

流石に早計な思い込みはダメなので、まずは持ち帰って調べる方針。

次に利用されている『花の都』案件で、政治的取引でやっちまったことがないか新聞で調べる。

 たま~に、小さなコラムや隅っこに、市民にとってあまり関係ないことがサラッと流されていることがあるんだ。

ここ数日の新聞は、黒羽くんがとっていたから容易に調べ上げることができたぞ。

 

「う~ん、マンホールデザインの方向性が僅差で、漫画などのキャラクターになってんな」

「工業会規格(JGMA規格)をもとに、日本下水道協会規格(JSWAS G-4)が制定されたのも直近ですな」

「犯人の目的や爆破回数も不明だから、絞りきれないよね」

「もう少し情報が必要だぞ、コレ」

 

 結局のところ資料作成の時間が来たので、これで解散になってしまった。

つぎはもっと情報を仕入れて、彼らがもつ情報と照合して犯人を特定しなければならない。ちょっと浮足立って、急にお邪魔してしまったので犯罪行為以外で、何かしらの埋め合わせや協力することを約束し黒羽家を去った。

 佐伯さんも自転車を蹴って、それとなく探りを入れてくるとのこと。

疑心暗鬼になっちゃうから、本当に少しでいいんです。

誠に申し訳ないです、はい。

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