一般警察官の日常   作:名無しの権左衛門

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米花シティービル爆破事件(時計じかけの摩天楼)

 ド深夜に強盗した犯人が、爆弾を仕掛けないか町中を自転車に乗って確認する。

ふわ~あ、眠い。朝になったら交代して近くにある寮で寝られる。

頑張って巡回だぁ。

 しばらく町中をギコギコみまわるが、ここは住宅街。

人っ子一人もおらず、どうしたもんかとついでに電柱の切れている蛍光灯を探しつつ巡回だ。

 

 まじで閑静。やることなにもない。

そもそもLEDでもないから暗い。いや、LEDも青色成分がつよいから、光が暗闇に吸い込まれて発光部分は眩しいのに意外と暗いんだよな。

 そう思いながらマンホールの上を通る。

その瞬間、地面が爆ぜた。

 

 疑問が頭に浮かぶ前に見えた景色は、白・赤・青色の光の奔流だった。

 

 

 

 

 う……ぐ……。

一体なにが起こった?

 

 眼の前がおぼろげに見える。

サイレンの音と一緒に、吐き気を催す下水が周囲に飛び散っているのが見えた。

 

 

 そして、だいぶ重症を負ってしまった僕は、病院へ運ばれたんだ。

なんで病院かわかったのかって?

目が覚めたら美堂巡査長や中村巡査部長がいたからだ。

 上司に心配されるとか部下の名折れじゃけえ。

 

 いやほんと。何やってんだろうね。

 

「お、気づいたか。ちょっくら呼んでくる。美堂くんは、そこで待っててほしい」

「わかりました」

 

 中村巡査部長が退出したのを見て、美堂巡査長が大事ないかを聞いてくる。

別に頭と腹が痛むしか実害がなかった。

 しかし、爆発を聞いて南交番と緑台交番の警官たちが来た時、だいぶ悲惨な状態だったらしい。なんでも僕は気絶しながら、汚水に半身が浸かっていながら頭や腹から血が出ていたんだってさ。

 

 そりゃびっくりするよ。

 

 そうして病院に運ばれて2日目の今。だいぶ寝ていたもんだ。

時刻も夕日が差し込んでいるという塩梅。何も出来ないね。

 大人しく主治医に診察を受けて、3日後退院してもヨシとされた。

いやいやいや、結構ピンピンですよ?

 

「君は知らないかもしれないけど。見つかった時、破片や自転車のハンドルがお腹に突き刺さっていたんだ」

 

 え、なにそれは。

よく生きてたね。

 

 簡単な感想しか出てこない。

 

「よし。元気になったから、オレは交番に戻る。安静にして、しっかりと傷を直してから出所するように」

「わかりました。お心遣い、感謝します」

「おう。しばらくは任せな」

 

 テレホンカードに課金して、しばらくテレビを見ながらこの2日間の情報を集める。

一昨日は気絶した日でしかなかったから、あんまり関係がない。

でも二日目の今日は、東都環状線が非常事態で17時まで走っていたことがわかった。

 つまり、だ。今日の夜、米花シティビルが焼失するってことだね。

やることは何もなし。どうしようもない。

 

 そううなだれていると、病室にノック音。

 

「どうぞ」

「失礼します。私は、本庁捜査一課巡査部長の高木と申します」

「お世話になっております、南交番巡査の河野です」

「河野さん。昨日何があったか、教えて頂けませんか?」

「富士見花火製作所から盗まれた火薬で発破されて、下水が溢れました」

「なぜ、花火の火薬と?」

「炎色反応です。マンホールの上を通ると、連続爆破しました。

その時見えたのが、白・赤・青色だったんです」

「たしかに炎色反応です。昼間の爆破も、周囲に飛び散った成分からマグネシウムが

検出されています」

 

 やっぱりあれもそうなんだな。よかった、読みが当たって。

しかしこうもけが人が出たんだから、捜査一課に丸投げしよう。

タンカーが強襲しにきたときも、上に丸投げしたしね。

 

「退院まで数日かかると思いますが、河野さんには調査に協力していただきたいのですが」

「わかりました。足で稼いでもよろしいですか?」

「お願いします」

 

 当時の事を言うにしても、真っ暗な中での爆破だったから言えそうなことなんて

炎色反応と状況しかない。よって高木刑事から、情報をできるだけ共有することに留める。

こっちが差し出す情報なんて、今のところこれしかないし佐伯さんや黒羽くんの

情報を出すのは不義理だ。

 

 そこで話していくうちに、目暮警部の話につながった。なんでも、僕は調査力が高いらしい。しかも例の少年探偵団と面識があるということで、一目置かれていることもわかった。おかげで、自分から言葉を投げかけることが出来たんだ。

 昇進は前回の巡査長で留まることもわかっているし、

ゲームの警察24時みたいに、軽々と昇進することもない。

 

 そんなこんなで、捜査一課に協力して調査をすることにした。

 

 なお、話している途中で、大爆発が聞こえた。

びっくりしたので、テレビカードを差し込んでいたテレビを再度つける。

そこには生放送でテレビ局が、米花シティービルの爆破火災現場を映している。

 花火は使われていないから、森谷とは違う動機だと判明した。

これだけでも、大きな収穫だなぁ。

 

 くいるように見ていると、なんだか映画のときよりも来ている部隊が増えている。

まさかと思うけど、タンカー強襲事件で爆弾処理や特殊化学隊の増員がされた?

 

<たった今、突入した爆弾処理班が爆弾の解除を成し遂げたようです!>

 

 蘭ねーちゃーん!? 森谷帝二もあんぐりだろうよ。

時刻にして、11時45分。18分も早いっすね。

 

「これでこの事件も終わりですね」

「そうなんですか?」

「はい。空撮でわっぱをかけられている人が、警部の隣に立っているわけですから」

「あちゃー」

 

 なんで空撮で翌日のネタを潰してんだろうね。

まあ現場では異色の存在だろうからなぁ。

警察的にも、こういう暴露はよろしくない。少なくとも犯人にも、肖像権があるから。

 

 このあと高木刑事と雑談して、面会は終わりになる。

やることは休むしかない。英気を養い、再び活動しよう。

裏で蠢く闇を暴くんだ。

 




次回から元気な河野巡査です。
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