病院食って味が薄いとか言いつつ、普通に美味しいんだよなあ。
と感傷に浸りながら、米花南交番を出発した。
美堂巡査長や杉方・田中に、大変心配されたのと同時に、よく帰ってきたと喜んでくれた。僕もやりがいがある仕事に復帰できてよかったよ。
それに、今月も仕送りをして母親に恩返しと弟へ支援をすることができる。
今が最高だと思ってるよ。
「本庁から司令が来てる。捜査一課に協力してほしいとのことだ」
「わかりました。本庁へいけばいいんですか?」
「いや、なにかあれば高木巡査部長に聞けばいいんだと。それ以外は、通常の任務とともに聞き込みや調査をお願いするってよ」
「そういうことですか。わかりました。今日も巡回へ行ってきます!」
「おう、気張ってこい!」
色々ベストに着込んで着用! 警察帽やそのたの道具、チャカも自分に割り振られたものをベルトに挿す。更に胸側に無線機も搭載だ。
ロードバイクに乗って、巡回と聞き込みを行うとしよう。
まあ、聞き込みを行っても、真実が出てくるわけじゃないんだけどね。
そこで佐伯さんのお宅を尋ねることにした。
黒羽くんは学校へ行っているから、この時間帯は無理。佐伯さんなら、アポイントの約束くらいならできると思う。
ピンポーン
<はい、佐伯です>
「おはようございます、南交番の河野です」
<おお、河野巡査! 怪我をしたと聞いていましたぞ!>
「ご心配をおかけしました。ピンピンしてますよ!」
しばらく雑談をすると、玄関から佐伯さん御本人が登場。
約束を取り付けたかったんだけど、ちょうど時間がよかったらしい。
そのままお通しされて、家の中まで案内されてしまった。
いや、あの……居座るわけじゃないんですが、それは……。
そう心の中も表情も遠慮していたが、出てきたのはお茶と周辺地区の地図だった。
その地図には、休んでいる間に発生した爆破されたマンホールや暗渠の場所が書かれていた。もっと細かく言うと、火薬の材料や爆破された物体、下水や上水と情報が併載されている。
病院で療養しているときに、面会をした高木巡査部長に情報をもらったり、
捨てられていなかった新聞をもらって収集をしていたんだ。
おかげさまで、抜けている情報を照合できる。
佐伯さんから話しを伺った。被疑者と思われる人たちに、アリバイとか聞いてみたところ全員白だったんだって。理由というか、それら行動を記録した紙を渡してもらった。
被疑者全員何かしらの責任者であるためか、どこかで抜けるということは難しいらしい。
いったん被疑者たちは、直接手を下していないということで佐伯さんと意見をあわせる。前回のタンカー強襲も、過去の因縁を利用した第三者の利権や思惑が絡み合った結果のものだと判明している。
そう、計画殺人を犯していた犯人を操っていたタンカー強襲を企てた犯人が、
資金調達や破壊行動を裏社会で宣伝したところ、日本経済を陥れようとした海外のファンドが仕組んだものだった。
投資に明るくないけど、空売り? というもので、利益を上げるんだとか。
よくわからないんだけど、公安が頑張ったらしい。
今回は海外よりも、国内犯の可能性が高い。
根拠はインフラを熟知していることだと考える。
「町長のところで聞いてきたんだが、都市再開発計画というもので米花駅周辺の再開発や
道路アスファルトの更新が活発になってきたようでねえ」
「また都市計画ですか?」
「いんやちがう。なんでも、景観における差異を見出すのが前の事件で潰れた奴で、
今回は都市インフラの更新みたいなんだ」
「高度経済成長から30年も経過していますが、そんなすぐ更新します?」
「(都市計画の責任者)大江戸さんによると、都と国が国際都市を目指すため人と自然が調和する未来的な都市を作るためなんだと」
佐伯さんと頭を突き合わせて、情報を整理していく。
そうしていると、僕の第六感が揺れを感知した。すぐに、地震と思わせるような地響きが発生! 僕と佐伯さんはあまりの揺れに、地面へ這いつくばった。
「い、いったい何が……?」
「テレビをつけましょう」
テレビをつけようとしても、全くテレビがつかない。
おかしい。地デジじゃなくて、衛星放送のはず。
と思えば、電源がつかないことが問題だった。
そりゃそうだよな、電気がなけりゃ映すことすらできないんだから!
とにかくだ。初期微動だったらまずいので、資料を持って庭へ出る!
庭へ出ると再び、横隔膜を揺らす重い音が地面を伝って渡ってきた。
少なくとも音と地震は関係ない。縦揺れを経験したことないけど、直下地震だったらもっと家屋が倒壊しているはず。
コナン世界は1年も経過していないのに、技術は進化している。これは、僕がいた現実世界の技術とリンクしているからだ。
ならば、原作が開始された97年の今、ある程度更新されているといっても耐震性が脆弱なはず。だというのに倒壊した家屋は全く存在しない!
ブロック塀、古そうな木造建築の重い瓦もずり落ちていない。
どこだ。いったい、何が起きようとしている!?
高木刑事からお願いされた調査を一旦中断して、町中へ繰り出そうとしたとき佐伯さんに呼び止められた。
「で、電話で黒羽くんから!」
呼び鈴を聞いて受話器を取った佐伯さんが、焦ったように呼んでくる。
一刻も早く状況を知りたかったため、急いで受話器を受け取って耳に当てる。
受話器の先にあるのは、混乱したがやの声・クラクション・爆発音、そして怒号。
「黒羽くん!! こ────」
<巡査!! 首都高が落ちた!!!>
「はあ!!?!?」