一般警察官の日常   作:名無しの権左衛門

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巡査長と高校生と捜査二課の警部

 黒羽くんの今まで聞いたこともアニメでも知り得ない焦りに焦った声。

まずは深呼吸して状況を教えてもらう。

 

<はあっはあっ、首都高と周辺の……2キロが落ちた。ジャンクションも崩落して───>

 

 喫緊の状況のようだ。

そして現状を教えてくれるが、それと一緒に爆発音が発生。

 黒羽くんが電話ボックスから一旦出たんだと思う、少し声が遠くなって<逃げろ!>と声が聞こえる。

その後崩落音や水の音が聞こえる。はてには、火災の音も聞こえる。

 たしかまだ携帯は、そんなに普及していなかったはず。

すぐに無線機で、高木刑事に電話をかける。

 

<はい、高木です!>

「南交番の河野です! 首都高が崩落しました!」

<場所は!?>

 

 場所を聞いてなかった! すぐに無線機と受話器を交互にする。

 

<もしもし、河野さん!? 場所を>

<っ、首都高が崩落した場所は、芝浜橋JCT!>

<わかりました! すぐに対応します!>

 

 お互いに大声で会話していたから、状況がわかった。

また二人が会話しているときに、今一番最新の地図が机の上に広げられる。

そちらを見ながら、細かい状況を再び黒羽くんから聞くぞ!

 まずは、芝浜駅から南のレインボーブリッジにかかる芝浜JCTが崩落し、

そのまま二ノ橋JCTまで崩落したことが判明した。

 

<中森警部が来たから電話を切るぞ!>

「わかった。こっちはこっちで調べるから、黒羽くんもそっちで法則性を見つけてほしい!」

<りょーかい!>

 

 ガチャッと切れる。

さて……佐伯さんと一緒に、首都圏高速道路の一部が爆砕されたことを共有して、

なんでこの範囲が破壊されたのか。関係者に、それとなく聞いてほしい事を伝える。

 もちろん僕のほうも、上や捜査資料を調べて関連性を見出すことにする。

なにせ、わざわざ壊しにくいコンクリート橋梁を破壊したんだ。

作ったのはオリンピック開催周辺だけど、きっとここに武蔵工業と習志野コンクリートが

関わってくるんだと思う。

 

「佐伯さん。今すぐ現場へ向かいます。貴方は、都市計画関連で爆破された場所に関して、市議会議員や都市計画責任者と話し合っていただけませんか?」

「……つまり、証拠に足る物証を揃えれば良いのですかな?」

「はい。よければ、破壊された場所に関する工事や施工管理・受注している会社を、

聞いてきてほしいです」

「よし……やるか」

「お願いします」

 

 いわゆる機密や侵してはならない領分に踏み込むので、ヤクザとか派遣される可能性がある。だから無理してほしくない。

この後追加で、露骨に嫌な顔をすれば黒なので、無理せず引いてくださいと言った。

 けれど、笑みを深めてしまったので、どうなるかわからない。

頼むから、早期退場しないで。

 

 ロードバイクに乗って、周辺住民に地震ではないことを大声で叫びながら、

黒羽くんがいるであろう港警察署に来る。

流石に現場は消防や特殊作業車でごったがえしていると思う。

 だからここが一番安全な場所だと考えているよ。

っと、予想通り。中森青子さんに、怪我しているところを治療されている黒羽君を発見した。

 

 中森警部の所在は不明であったが、警察車両は全て消えていたことから交通整理のために行動を開始したんだろうね。さて、仲睦まじいカップルの空気感を、あまり壊さないように会話を挟めるときに声をかけた。

 

「黒羽くん、無事か!?」

「お、河野巡査!」

「あ、河野さん!」

「中森さんも無事でよかった!」

 

 意外にもピンピンしてるから、空元気でないことがわかるね。

強がっている黒羽くんが、中森さんにつっかかっているのはいつものこと。

さて、本題を聞こうか。

 

「黒羽くん。壊れた首都高はどうだった?」

「ああ、首都高だけど、ありゃあ火薬だ」

「やっぱり?」

「その感じだと、TNTじゃないってわかってましたね?」

「……黒羽くん?」

「あー、まだ距離を測りかねてるっていうか。ほら、中森警部とのアレが……」

「そっかー。まあ、臨機応変でいこうよ」

「うっす」

「また快斗巻き込まれてるの?」

「絶賛巻き込まれ中だっての」

 

 そう、首都高は落ちたというのも、コンクリの一部が広範囲で崩れ落ちたことだ。

ここらの二ノ橋や銅座・芝浜周辺の首都高は、比較的初期に作られたもの。

コンクリの耐久性に関して、専門家じゃないからなんともいないけど、改修や補修が必要なほどではない。

まだ30年。少なくとも半世紀までいけると予想して作られている。

 それが、亀裂から派生するように割れて崩れたんだ。

昨今の車の発展は凄まじく、重量が増加し運搬する貨物も増えている。

そりゃあガタがくるだろうさ。

それでも比較的頑丈につくられているのに、これは想定外にも程がある。

 

 きっと、過去の施工にやらかしがあるはず。

警察の目は、火薬で道路のヒビに圧力をかけて崩したと思うはず。

ならば彼らの裏を行こう。

 

「河野巡査、興味深いものを見たぞ」

「何?」

「爆破されたところは、全て修復工事で発生している。

つまり、犯人は工事関係者だ」

「あー、黒羽くんもご存知の通り、首都高って日本道路公団が有料化している道路なんだよ。だから工事関係者じゃなくて、日本道路公団や建設省・運輸省・都庁が絡んでる」

「国の中枢かよ……」

「だから証拠を揃えたら、第三者を通して公正取引委員会に提出する」

「話がでかくなりすぎだろ!?」

「黒羽くんも見えてきてるはずだと思うんだけど?」

「あーまぁ、談合か贈賄ってとこか?」

「そうそう」

 

 爆破理由はまだわからないけれど、犯人は工事関係で何かをしたいと考える。

マンホールや暗渠を狙って、警察や世間の目をひいて関心をもたせる。

そして首都高というでかい奴を壊すことで、連続性の印象を与える。

 よし、やっぱり過去の施工管理や道路計画の資料を探さないと。

でもこういうのって、どうすればいいんだ? やっぱり警部だな。

すぐに高木巡査部長伝いで、目暮警部へ連絡して捜査資料という名目で情報を得よう。

 

 

「おや、君は……」

「はじめまして! 巡査の河野です!」

「ああ、青子や快斗くんから聞いている。あのカードの事件を解決に導いてくれたんだってな?」

 

 次の行動を決めていると、中森警部が近づいてきたので挨拶をした。

会話の中で中森警部は、僕が中心として事件を解決したように捉えている。

 残念ながら事実っていうのは、案外短絡的でね。

集まった情報をあわせたあとに、警部伝いで情報を渡したら、上が動いて最終的に自衛隊や消防の関係者が事件の後始末をした。

 

 完全なお手伝いしかしていないから、活躍したわけじゃないんだ。

 

「で、お前はあのたぬきのところに行くのかあ? そんなところより、捜査二課に来ないか? ともにキッドを捕まえようじゃないか」

「申し訳ありません。私は小心者なので、交番勤務がふさわしいんですぅ」

「ほう? まあ、そういうことにしておこう。で、困っていたようだが?」

 

 妙に顔面を強張らせていた黒羽くんを尻目に、核心をついてくる中森警部。

さすがは警部だ、察する能力高すぎる!

おありがてえ! 早速依頼しよう!

 

「首都高建設と企業の担当区画、発注者、その他諸々を捜査資料として閲覧したいんですが……」

「どこにかけあえばいいのかってことか? よし、本庁に伝えておこう。

それと次から目暮に頼るんだ。たしか、捜査一課から協力を頼まれているんだろう?」

「よくご存知で」

「快斗くんから聞いた。とにかくだ。よかったら快斗くんと青子とは、仲良くやってくれよ?」

「もちろんでございます!」

「よし……こちら中森だ。調査資料閲覧の許可をいただきたい。

代役を向かわせる……ああそうだ……。よし、私の名と照合パスを渡しておく。

本庁に向かいなさい」

「中森警部、何から何までありがとうございます!」

 

 そうして僕は、黒羽くんに引き続き現場で証拠探しをお願いして、青子さんや中森警部を含めた三人と別れ本庁めざして出発した。

ちなみに、本庁に到着すると高木巡査部長がいらっしゃって、一緒に過去の捜査資料や

一部の施工に関する資料を閲覧することを許可されたぞ。

 

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