ディスカウントショップのバルーンが揚がっていて、窓ガラスにSOSが描かれているのを背景に僕は走る。
「待ちなさい!」
「テメェ! 待ちやがれ!」
同じ交番勤務の巡査である篠谷さんと共に、誘拐犯を追っている。
相手は子供を担いで逃走している。
滅茶苦茶器用に走っていて、東都の入り組んだ裏口を行く。
特にゴミ箱を倒したり、野良犬を蹴り上げて僕らを目の敵にするように誘導したりと、いろいろ手が込んでいるんだ。
「自ら隊のあいつに、西側を封鎖してもらおう!」
「本庁の指示なしで勝手にやっていいんですかね!?」
「超法規的措置だ!」
逃げるのが早く、担いでいる子供が軽いのか誘拐犯が鍛えているのか、非常に身軽で今度はアパートの上に登って行っている。
そのままいろんなところを走り回って、屋上伝いに逃げるんじゃないか?
とにかく僕が後ろをそのままついていって、下から篠谷さんに追いかけてもらう。
こちらも日々の訓練の賜物により、追いついているんだけれど徐々に犯人側に不穏な空気が纏わりついていく。
その雰囲気は勘として当たってしまい、大型トレーラーが道路を渡る瞬間子供を投げ入れられるんだ。
僕は死に物狂いで走り、犯人の首を強打して失神させるのと同時に子供を救い上げる。
トレーラーのほうは、近くの交差点が赤信号だったおかげで低速になっていた。
よって、僕と子供の命は救われたんだ。
「6時43分。誘拐と住居侵入諸々で現行犯逮捕!」
いやはや、捕まってよかった。
僕はここからでも見えるディスカウントショップのバルーンを見る。
今日がデパートジャック事件だったんだなぁ。
結構初期の時間軸みたいだ。
そういえば、コナンの最新話ってそろそろ半年経過したくらいなのかな。
この事件量でさすがに一か月は経過していないと、黒の組織もそうだけど人的資源の被害が半端ないとおもうんだけど。
「当直交代の時間ですよ!」
「ああ、自ら隊が来たら連れて行ってもらおう」
書類作成は帰ってからやって、引き継ぎだな。
終わったら篠谷巡査と一緒に、飯でも食いに行こうか。
引継ぎと書類作成が終わったら、次の人に代わってもらって朝ごはんを食べに行く。
既に時刻は7時。やっているのは、どんぶりとかカレーとか。そういう単品を提供する場所くらいかな。
場所は中心部より離れた場所。
ここを訪れたら寝るために自宅に帰ろう。
かえって寝たら何をするかって?
そりゃ、周辺の散策だ。
地理を確認して頭に叩き込んでおかないと、いざというときに使えない。
あとは少年探偵団がらみで、何かあったときに対応できないからね。
覚えているのは地下牢のやつぐらい。
あとは何だろうなぁ。サトシの声優さんが担当している子のマンションとか、あゆみちゃんが住むマンションとか。
アガサ博士の住居とか。
いろいろ探さないといけない。
一応毛利探偵事務所の場所と住所は知っている。
最近も何も、警察内じゃ結構有名だからさ。
さて、睡眠して夕方直前。周辺を散策して発見したのは、アガサ博士の家とやけにでっかい犬を飼っている犬が数件。
それとなにやらおどろおどろしい家。今後発生しそうな物件が立ち並んでるなぁ。
しばらく歩いていると、周囲をきょろきょろしながら歩いている眼鏡の青年がいた。
ふーん。こんな住宅地をよくも知らないのに訪れているのか。
ちょっとつけてみようかな。
しばらく歩いていると、その男がとあるアパートの敷地に入った。
そしてそのまま二階まであるアパートの階段を上っていくと、建物の陰に隠れたので僕もあとを追う。
これで何もなければいいんだけど。
部屋の中で何か行われている。
静かだけど、二つの長いものが空気を切る音が聞こえる。うめき声。空気がかすれる音。
炭素繊維のものを結ぶ音。重いものを投げる音。
金属製の音。
僕は扉の少し隣で待つ。
しばらくして布が擦れる音が聞こえたので、手錠を用意する。
ガチャリと勢いよく出てきたので、そのまま僕は男の意識を刈り取ってアパートの手すりと男の手首を手錠で結びつける。
何やら焦っているようだけど、血濡れをごまかしただけじゃ血の生臭さを消すことはできんよ。
「おーい、河野ー」
「あ、やっときた。宮本、こいつしょっぴいて」
「OK。鑑識諸々連れてきた」
「部屋の中は見てないけど、たぶん首つり死体があると思う」
「OK。早速一課連れてきて内部精査するわ」
ふぅ。非番だけど、町の平和をまもれてよかった。
のちに判明したけど、死因はともかく犯行理由が浮気だった。
え、待って。住所だけ知ってそこに行った男が、その女性の家に行って直接手を下した理由がそれなのか?
まあ警察の本分がそれなんだから、そうなんだろうな。