今日は普段のロードバイクじゃなくて、白を基調としたママチャリだ。
こいつで街中を巡回していると、ちょうど下校中の小学生たちに出会った。
「こんにちは~」
「こんにちは。自動車に気を付けるんだよ」
今週は交通安全強化期間! 歩いて帰る小学生や中学生たちを、不逞の輩から守るためのイベントだ。
地域部門の僕は、近くにある帝丹小学校に配属されている。
一応相棒として篠谷もいるし、数人の馬鹿ものを逮捕することもできた。
うんうん、ちゃんと守れているな!
あとはこのまま何も起こらず、ふつーの下校風景が見られればいいんだけど。
比較的近くに聞こえた不穏な空気で、すべてがぶち壊されてしまう。
ナンバープレートが物理的に偽装されているワンボックスカーが、小学生の集団に突っ込んできたんだ。
僕はすぐに近くの小学生たちを守るように動いたんだけど、それはブラフだった。
それは一人の小学生を狙ったもので、そのぶつけるような勢いある挙動に騙されてしまったんだ。
くそが!
とにかく応援だ。
僕はすれ違いざまに攫っていく犯人の車を、柔道にはないけれど努力すれば何とかなる世界観で鍛え上げた拳法で車両のボンネットをへこますことができた。
「テメェ、こら、待てえ!」
「自ら隊の応援頼む! 白のワンボックス、トヨタ、ニのアルフォード! 偽装番号、東都450、に、65-58! 場所は電柱番号、米花町1-45-22!」
<了解した>
すぐに警察のサイレンが聞こえたので、いけるだろうと思ったんだが……すんごい不安!このまま学校側に連絡して職務を全うしようかと思ったんだけど……。
「河野巡査!」
「あ、コナン君!」
なんとこっち方面にコナン君たちが下校しているではあーりませんか!
ということは、集団下校時の班の一つが、こっち方面なのかな?
このまま彼らを送ってあげたいんだけど、ちょっと心配なんだよなあ。
まあ、上の人とかが何とかするんじゃない?
「何があったの!?」
コナン君は周囲の子供たちが泣いているのを見て、僕に問う。
ただ誘拐されてしまったとしか言えない。車種やナンバー、逃げた方角等を伝えたがちゃんと見つけてくれるだろうか。
「そんなことが……」
「さすがに自動車相手だから、ここは自ら隊に任せることにするよ」
「……いや、僕たちでもなんとかなりそうだよ」
そういって見つけたのは、とある子が大切に握りしめていた人形だ。
何だろうと思って、その子に聞くと自動車が突っ込んでくるときに攫われた子から強引に渡されたんだってさ。
なるほど、それが目的と。
「きっとその人形……ちょっと貸して」
「う、うん」
「トリックじゃ、常道なんだけど。ほら、あった」
コナン君が人形の中から取り出したのは、一つのフロッピーディスクだ。
きっとこれに関係があるんだろう。誘拐された少年も、わかっていたんだろうな。
僕は誘拐ということもあって、捜査一課を呼ぼうとした。
しかし、少年探偵団が自分たちで解決してやるぜっていわれた。
ごめんね、漫画の世界だったら任せてたんだろうけど、ここはげんじつなんだよ。
ちゃんと目暮警部に伝えるからさ。
「まずは初動捜査してみない?」
「うーん。わかった」
行き成り諦めるよりかはましかな。
でもなぁ。
「よし、河野。引継ぎはやっておく。初動捜査やっとけよ」
「わかった。やっとく」
そういうわけで、コナン君にフロッピーディスクを渡した後アガサ博士の住居を教えてもらった。
ほかの子たちを送った後、すぐに向かうと約束したよ。
けがをしている子はいなかったため、ちゃんと送り届けることができた。
僕はすぐに走ってアガサ博士の住居に向かう。
「すみません、巡回中の河野です」
<け、警察の方ですか?>
<博士! だから、河野巡査がくるって言ってるだろ!>
<あ、ああ! どうぞ、お入りください>
「失礼いたします」
アガサ邸に入る。敷地が結構広く、実験失敗しても大丈夫だなこりゃ。
それで中に入れてもらってコナン君にいろいろ見せてもらう。
アガサ博士にそのディスクの中身を見せてもらうんだけど、中に入っていたのはいろんな横領や資金洗浄の資料だった。
しかも司法取引とは言えない裏の取引が記載されていた。
そこに一人、最近のニュースに出てきている人物の名前があった。
有名な資産家の名前だが、まさか社内資金の横領とそれを基にした株購入や別荘の購入もしていたようだ。
酷い話だな。
さらに判明するのが、これを作成した人物は下請けの人でサーバールームの管理の為にメンテナンスをしていた時に発見したそうだ。
本来は業務上における守秘義務なんだけど、下手すると経済界に影響が多分に含まれるとして善意で抜き取ったようだ。
やっちゃだめだろ。わかるけど、これ、裁判されたら負けるやつだこれ。
とにかく、この独白見たいなtxt文を削除して、PC内日付を変更して更新。
この作業によって、最終更新日がこの情報を抜き取った日になった。
あのtxt文は存在しないことになる。
「あとはどうやって見つけるかなんだが、何も情報がないのはきっつい」
「情報? さっきありましたよ?」
「どこに?」
「先ほどのテキスト文の最後。妙に年代が古いので、何かと思ったんですが」
「1990/8/15? これ書いた人の誕生日じゃねえか?」
コナン君と光彦君が話し込んでいる。
僕はというとアガサ博士に、他に何かディスクに特殊なものがないか聞いてみた。
しかし、ふつうのフロッピーでなにも変わりないようだ。
ただ妙な粉末がかかっているくらいだという。
妙な粉末? ということで、その一部を見せてもらった。
成分とか調べられるか聞くと、十分後に解析できるとのこと。
すごいな、国立総合研究所みたいなことができるんだなあ。
「1990年といえば、バブル期の最盛期じゃな」
「バブル期?」
「ほれ、日本電気通信や東芝等、多くの電機メーカーの株価が上昇しあらゆる物価が上がって未曾有の好景気になった時期じゃよ」
「……投機か!」
そうしてコナン君や博士が、調べていくと一人の人物の名前が出される。
その人物を探してもらうことと、事件の引継ぎを口頭で行う。
と言っても、まだ突っかかるところがあるみたいだ。
やっぱ、コナン君の頭は切れるよなぁ。すごいや。
こうして表に浮き出てきたものを、警察として捜査し続けた結果。
裏取引に夢中になっていた輩を逮捕し、元商社の廃ビルの一区画に縛られて放置されていた子供を救出することができた。
捜査一課の目暮警部には感謝をされるが、僕の手柄ではないので少年探偵団を引き立てることにしたぞ。
これで、もっと信頼関係を築いていってほしいな。
ちなみに謎の粉末は、アスベストだった。
1990/8/15は、膨大な債務を抱え込む原因となる大規模な貸し出しを行った時期で、
資料の一つに不良債権も確認できた。
この事件は国会をも騒がせる事態に発展したが、ここじゃ関係ない話だね。
「捜査協力ありがとうございました」
「いやいや、無事お子さんが戻ってきてよかったよ」
「うんうん、平和が一番!」
「やっぱ俺たち、探偵に向いているんだな!」
「「いぇーい!」」
少年探偵団の評判がよくなるのはいいんだけど、警察としたらあんまり事件にかかわってほしくないね。
でも、君たちのおかげで事件を解決できたありがとう。
じゃ、帰ったら報告書書こうか。
今の子たちって、フロッピーディスクやビデオカセットテープとか知っているんだろうか?